あらすじ
2027年大河ドラマ『逆賊の幕臣』の主人公に決定!
幕末を生きた天才的能吏の壮絶な生涯を描く傑作。
黒船の来航により、あらゆる価値観が変化していく幕末動乱期。
日本に「関税」という概念すら存在しないこの時期に、ひとりその重要性に気付き、諸外国を驚嘆せしめた男がいた。
旗本・小栗忠順。
武士でありながら、政治・経済の才覚を持つこの男は、外国奉行や勘定奉行を歴任。
幕臣たちに忌み嫌われる「上野介」を名乗り、勝海舟や十五代慶喜と対立しながらも、
幕府財政を再建のために、国内外を奔走する。
やがて訪れる戦乱。誰もが保身に奔る中、それでも忠順は、後の世のことを諦めない。
彼を突き動かすのは旗本としての矜恃、そして何より、大切な妻との約束であった。
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幕末の旗本、小栗忠順の21歳からの生涯が描かれた一冊。
幕臣側からの目線で、徳川慶喜や老中達の無能さ、開国をたくらむイギリス、ロシアのズルさ、財政崩壊していたことを知った。
2027年の大河ドラマになると知り、忠順と勝海舟のキャストだけ決まってる。
個人的に利八と妻の道のキャスティングが楽しみだ。
Posted by ブクログ
2027年の大河ドラマの主人公、小栗忠順の物語。最後まで幕臣であることを貫き、最後は斬首される。倒幕側からではなく、倒される幕府側にいた者で、なおかつ先の世を見つめ、民のために国のために国益になるものを残そうとした。先見の明があったにも関わらず、旗本としての自分を最後まで貫き通した。疱瘡痕を残した見た目は男前ではなかったかもしれないが、その生き様は、倒幕や大政奉還に巻き込まれながらも、ぶれることなく国としての未来を見つめて、幕臣として闘う男前な生き様だった。
今風に言うと忠順は、ダメな経営者の下で働く、とびきり財務能力のある部下、かな。
立場が違うと、こんなにも見え方が違う。そして、矜持を持つことの大切さを、この本を読んでいて、ずっと感じていた。まるで、忠順の人生を共に生き、人としての生き方を学んだような思いを抱いた物語でした。
Posted by ブクログ
歴史旬小説は登場人物たちの結末を既に分かっている事に加えて、小説の事案に対する感情は現代人が持つ倫理観であったり常識を基準するので、幕末の小栗上野介に対する読者の思いは切ないものになってしまう。
歴史的事実を読者の感情を揺さぶるように脚色され、余韻を残してくれた小説だった。
Posted by ブクログ
明治新政府をかたち作ったのが薩摩と長州なので薩長の出身者を英雄として教えられて来た。長き徳川時代を倒した彼らの鼻息の荒さが目に浮かぶ。けれど、無骨な迄に徳川一筋の一旗本の慧眼は新政府には邪魔でしかなかった。歴史がおもてで表している事、埋没させようとしている事、今にも通じていておそろしい。少しメロドラマの様な内容が残念。
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幕府は悪で、新しい時代を作った薩長中心の勢力がヒーローのような教科書的な印象が覆された。
攘夷を叫んでいた勢力が、裏ではイギリスに依存し軍備を固め、暴動・内乱を起こして幕府財政を破壊。その結果、諸外国への賠償金は日本国家の莫大な借金につながり、関税は改悪。
モヤモヤした気持ちで読み終わった。
小栗忠順は、百年後に生きる人にとってのネジになったのだろうか?
コムペニー(株式会社)や造船所の建建設の構想といい、小栗忠順の先を見据えた考え方に感心した。
「幕府の命運に限りがあっても、この国の命運に限りはない。この国の政を担うものとして、それだけは、忘れてはならない」
この時代にこんな言葉を言える旗本がいたとは。
佐藤雫さんの他の小説に比べるとドラマが少なめで小栗忠順の行った仕事を追っているだけな感じがしたけど、文章が柔らかくて、歴史小説としてはかなりわかりやすいと思う。
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世情の不安定化が進む幕末にあっても、武力ではなく、交渉=言葉と知力で常に問題を解決しようとする小栗忠順の信念と百年後に生きる人たちへの航路をつくろうとする眼の鋭さに胸を打たれました。頑張って、頑張って、頑張抜いた末に成果すべてを官軍から奸臣の悪行とされ、理不尽な最期を迎える史実には憤りをおぼえますし、いまも遣る瀬無い気持ちが重い波紋となって残っています。内政と外交の両面で重なる部分がある現代だからこそ、小栗の志を持った政治家がひとりでも多くいて欲しい、そんなことを思わずにはいられない小説でした。
Posted by ブクログ
有能な幕吏でありながら、幕府内では嫌われ者。財政危機に何度も勘定奉行として、外国との交渉、資金の捻出に貢献し、日本で自前の船を作るべく造船所の建設を夢に見ながら、大政奉還ののち、新政府に敵意ありとして捕縛され処刑された小栗上野介を描いた小説。再来年の大河ドラマで松坂桃李が演じる予定の人物だ。最後がわかってるだけに、読むのもちょっと辛かった。江戸城無血開城の勝海舟とかが、有名だが、この本の中では対立する間柄で、その辺も皮肉だなと思った。
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『私は、百年後に生きる人にとってのネジであるば、それでいい』
最近再評価されてきたものの、ずっと悪者扱いされてきた小栗上野介忠順の半生を描く。
幕末のヒーローと言われた人たちも小栗の視点を通せば国を混乱させ瓦解させ、列強国に付け入る大きな穴を開けた愚か者ばかり。
国を借金まみれにし、武家にも商家にも苦しい思いをさせ、生糸農家の売上も取り上げ、一方で莫大な費用をかけて製鉄所建設に拘り、日本に不利益な関税条約を結び…数え上げれば次々と出てくる小栗の悪名。
だがそこには彼が必死に列強と交渉し、内紛を抑えようと抗い、旗本として将軍家を命がけで守ろうとした闘いの結果だった。
『我々がこの先なすべきことは、対等な交渉をできるだけの、言葉の力を持つことだ』
『交渉はたとえ不備に終わっても挽回ができる。戦は、武力に訴えて負ければ取り返しがつかない』
幕府が倒れても、国を倒すわけにはいかないと、その後を見据えて行った事業が次々と失敗するのが辛かった。
勝海舟の言う通り、小栗の悲しいところは最後まで徳川の幕臣であろうとしたこと、そして慶喜が、小栗が命を懸けるに相応しい将軍ではなかったこと。
悔しい。
彼のように優秀な官僚は幕府側にもたくさんいたはずで、それがこのような形で失われたのは悔しい。
でも結局幕末のヒーローと呼ばれた人たちも多くは暗殺されたり内戦で命を散らしたりとこちらも切ない。
ただ現代になって小栗の考え方ややろうとした政策がクローズアップされたのは嬉しい。
また何かとぶつかっていた勝も最後は慶喜の名誉回復に努めたし、何か思うところがあったのか。
小栗の死後が描かれなかったのが残念。
その後の家族を調べたら、利八がおおいに関わっていたようで、彼の人柄と人情に感じ入った。
再来年の大河ドラマも楽しみ。
Posted by ブクログ
幕末にあって、幕府がどんな状態でも最後まで徳川家を支えることを信念として生きるザ・旗本、小栗忠順の生涯、といえば、ハッピーエンドで終わらないことはなんとなく見えてるわけですが、この主人公、清廉潔白なだけでなく、目上に対しても思ったことを恐れず口に出して行動するという潔さがあり、また偉ぶったところもなく、なんとも好感が持てる。
勘定奉行に複数回就任し、大鉈を振るい難題を解決していくが、その分各方面(幕府内にも維新派にも)から恨みを買うことになる小栗。それもこれも徳川そして日本のためと思い奔走するわけだけど、大政奉還後の流れを見れば、果たしてザ・旗本な生き方はそれでよかったのか?と疑問を感じさせる面もあるところが、幕末ものの読んでて辛いというか、救いどころがないところ。
蛇足:維新側だって、ろくなもんじゃないし、誰がヒーローになっても、ほんまかいなとなってしまう。