横山秀夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
D県警シリーズ3冊目。
警察組織とそこで働く婦警(女性警察官)を主人公とした短編集。そしてそれはこれまでの作品で登場した似顔絵を描く婦警。
これまでの2冊に比べると、ミステリー要素が少し強めかな。それでも、警察という組織の中でもがく女性に焦点が当てられている。実際の警察内部の事は分からないが、実際にそうなのではないかと感じさせられる程にリアリティのある表現がされている。
どの短編もなるほどと思わせる結末。そしてその出来事を通じて、主人公の婦警も着実に成長したのではないかな。
今後、このシリーズに登場するかは知らないが、その姿がまた読めるといいな。
シリーズ次作が楽しみです。 -
Posted by ブクログ
クライマーズハイの作者の初期の作品で評価の高い作品ということで読み始めました。
6つの短編で構成された警察小説、とても濃厚で緻密な作品ばかりでしたが、クライマーズハイには及ばないというのが正直な感想でした。
とは言っても、犯人逮捕に泥臭く、汗臭く、ドロドロとした執念を持って追及して行く刑事の迫力ある描き方はやはり作者の筆力を感じました。
6作品の中では、「ペルソナの微笑み」のストーリーが追求する刑事と犯人の精神面での葛藤や仮面を被ってしまう二人の子供時代の出来事、二人の取り調べのやり取りなど、一番読み応えがありました。
他の作品もまた手に取りたいと想います。 -
Posted by ブクログ
太平洋戦争期、回天という人間魚雷で海軍による体当たりによる特攻を描いた小説。
主人公並木浩二は甲子園で優勝投手になり期待されながらも、肘の故障で進学した大学でくすぶっていた。肘の故障から回復を目指している時、太平洋戦争勃発。戦局が悪化していく中で、並木をはじめ多くの若者が学徒出陣し、回天特攻隊に志願した並木を始め若者たちを描いている青春戦争小説になっている。
読みやすく、内容も分かりやすいが、日本がなぜ、特攻をやる国になってしまったのかというのがとても悲しい。追い詰められると、自己犠牲を厭わないという、民族性をもつ国民は戦争を放棄すべきなのだ。理解不能な戦争を仕掛ける日本は、米国に今まで使 -
Posted by ブクログ
臨場のドラマは、再放送でちらっと見たことあるくらい。
実は、横山秀夫さんの本を読むのもはじめてだったりする。
おもしろくてすらすら読めたし、短編集として語りすぎないところもよかった。
主人公の倉石はやたら偉そうで、「終身検視官」と呼ばれている、警察の中で特別扱いされている変人。
でも倉石のシンパは多数いて、倉石のもとで学びたい警察官たちから「校長」とまで呼ばれて慕われている一面もある。
完全一匹狼では、警察組織でやっていけないもんね。
教場と似たタイプの小説だと思う(どちらが先か、私はわからない)。
おもしろかった。またドラマ見たいな、再放送ないかな、とチェックしたくらい。
ただね、女性修習 -
Posted by ブクログ
神風特攻隊は小説や映画でも描かれることが多いが、この作品は回天「人間魚雷」がテーマだ…
回天とは魚雷にたくさんの爆薬を搭載し、人間が直接操縦し戦艦に体当たりする特殊兵器…
回天は神風特攻隊の水中版だ!
脱出装置もない回天に一人で乗り込み、暗い海の中を操縦し、敵の艦船めがけて突っ込む…
想像するだけで身震いがするこの人間兵器にたくさんの若者が散っていった…
ヒジの故障のために、期待された大学野球を棒に振った甲子園優勝投手の並木浩二
彼はなぜ回天への搭乗を決意したのか?
彼を取り巻く家族、友人、恋人の複雑な感情に考えさせられるものは大きい
警察小説でもミステリーでもない横山秀夫さんの戦争青春小