横山秀夫のレビュー一覧
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建築士の青瀬稔が空き家となった理想の家をめぐり、真実を追うミステリー。特に印象的だったのは、家の中に「椅子一脚だけ」が置かれていた場面。青瀬が設計したはずの“完璧な家”に住む人がいないことが謎を深め、物語全体を象徴するように感じられた。また、主人公が「家は人を幸せにするものなのか?」と自問するシーンも心に残る。家をつくる仕事に誇りを持ちながらも、彼は家族を失い、自分自身もまた居場所を求めているのだ。
物語を通じて、人が求める「理想の場所」とは何かを考えさせられた。外見が完璧でも、そこに人の心や絆がなければ本当の意味での居場所にはならない。この作品は、物や形よりも、そこに込められた思いが人を支え -
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陰の季節..D県警警務部警務課調査官の二渡(ふたわたり)真治は、警察一家の要となる人事担当である。二渡は「任期三年」という暗黙の掟を破り、天下り先ポストに固執する大物OB尾坂部の説得にあたるが、にべもなく撥ねつけられてしまう。周囲を探るうち、ある未解決事件が浮かび上がってきた…。
地の声..Q警察署の生活安全課長が『パブ夢夢』のママとできているという、タレコミの封書が届く。新堂はこの密告文書について調べることになるが。
黒い線..D県警警務課の婦警担当係長の七尾友子。機動鑑識班の平野瑞穂巡査が無届け欠勤していると電話連絡を受ける。瑞穂はひったくり犯の似顔絵を描いて、
その似顔絵をもとに犯人 -
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ロクヨンの真相、記者クラブとの対立、娘の失踪の結末を読み終え、清々しさを感じています。
記者クラブとの対立では、まさか熱い気持ちさせられるとは思っていなかったので、虚をつかれ、気付けば感動している自分がいました。
疑心からは、疑心しか生まない。誠実さ、信頼の大切さを痛感しました。
14年前に起き風化されつつあったロクヨン。あるかわからないゴールを目指し、人知れず闘い続けるロクヨンの関係者たちの執念を感じました。
登場人物が多過ぎで、誰が誰かわからなくなってしまったり、それに加えて、階級や部署も絡んでくるので、完全理解はできませんでした。それでも圧倒的な面白さがありました。さすがミステ -
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ネタバレ2015年(発出2012年) 429ページ
昭和64年の1週間という短い間に起きた未解決事件ー64ロクヨン。雨宮翔子ちゃんを誘拐、殺害した犯人は一体誰なのか? 時効まで1年間。そして、14年前の64ロクヨンを模倣した女子高生誘拐事件が発生。いよいよ核心に迫る下巻です。
物語冒頭から重苦しい展開のお話でした。上巻は、広報官として組織の板挟みとなる三上の苦労、心の葛藤がこれでもかと描かれています。そして家庭では、一人娘のあゆみが家出して行方不明に。あゆみは醜形恐怖症となり父親似の顔を憎んでいる。そして美人の母親・美那子をも憎み、引きこもりとなっていたが、父親とぶつかったことをきっかけに家を