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もう圧巻
紀伊国屋書店のキノベスにランクインされていて何の気なしに読んでみた
ページをめくったその瞬間からもう、三上の世界にぐーっとのめり込んでしまった。続きが読みたくて、日常生活もままならないほど!電子書籍は布団被っても読めちゃうから危ない。
読み始めたら最後。全部全部完璧なる展開。人間って。警察って。親って。上司って。部下って。夫婦って。
久々のアドレナリン全開作品でした!
Posted by ブクログ
後半にかけての疾走感が半端ない
警察組織の中でも地味な広報
小説として取り上げられないし取り上げにくい
この地味な広報をよくぞここまでエンタメとして昇華させたものだと思う
あの一瞬ともいえる昭和64年
誘拐事件、報道協定、記者クラブ、失態と隠蔽
お飾りのキャリア、警察内部の確執、刑事至上主義
リアル感がすごい!
実際の警察官達が横山作品を愛読するのも納得です
この凄まじい臨場感に自分も現場にいるような錯覚を起こして読み終えた時は疲労困憊ε-(´∀`; )
無言電話と血豆の爪には涙が出ました(/ _ ; )
さてこのD県警シリーズ再読してみようか!!
Posted by ブクログ
『64(ロクヨン) 下』を読んでまず感じたのは、これは未解決事件の真相を追うミステリーである以上に、「自分の仕事に誇りを持つとはどういうことか」を描いた小説だった。
上巻では、昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件「64」を背景に、広報官・三上が記者クラブとの対立、刑事部と警務部の確執、県警と警察庁の力関係に巻き込まれていく。下巻では、それまで別々に動いているように見えたものが少しずつつながり始める。そして物語が大きく動き出してからの緊張感は圧倒的だった。
特に面白かったのは、上巻でかなりのページを使って描かれてきた警察内部の人間関係が、決して遠回りではなかったことだ。刑事、広報、警務、記者。それぞれが違う立場にいて、それぞれに守らなければならないものがある。だから同じ警察組織の中にいても、正義は一つではない。下巻になると、上巻で積み重ねてきた対立や葛藤があるからこそ、一つひとつの判断に重みが生まれてくる。
その中心にいる三上も印象的だった。元刑事である三上にとって、広報官という仕事は当初、自分が本当にいるべき場所ではないという感覚があった。しかし記者と向き合い、組織とぶつかり、自分が何のためにそこにいるのかを考え続ける中で、広報という仕事に対する向き合い方が変わっていく。
読んでいて何度も考えたのは、仕事の価値は「どんな仕事をしているか」だけで決まるものではないということだった。自分が望んでいた部署にいることや、華やかな仕事を任されることだけが誇りではない。与えられた場所で、自分なりにその仕事の意味を見つけ、誰のために何を守るのかを考え抜く。三上の姿を見ていると、仕事への誇りとは肩書から与えられるものではなく、自分自身で作っていくものなのだと感じた。
そして『64』が単なる組織小説で終わらないのは、物語の中心にずっと「あの日、娘を奪われた家族」がいるからだと思う。警察にとって64は未解決事件であり、組織にとっては重要案件である。しかし遺族にとって、それは十四年前に終わった事件ではない。時間がどれだけ経っても、失った人を待ち続ける時間は続いている。この視点があることで、警察内部の権力争いだけではない、人間の物語としての重さが最後まで残った。
上巻では、正直なところ登場人物も多く、警察内部の対立も複雑で、「この話はどこへ向かうのだろう」と感じる場面もあった。しかし下巻まで読むと、その積み重ねが一気に効いてくる。何気なく読んでいた会話や人物の行動にも意味が生まれ、最後には「64」という事件そのものの見え方まで変わっていく。この回収の気持ちよさは、上下巻を通して読んだからこそ味わえるものだった。
それでも、読み終えたあとに一番残ったのは事件の仕掛けではなかった。
組織の論理に従うのか、自分が正しいと思うことを選ぶのか。仕事と家族のどちらを優先するのか。自分の立場を守るのか、それとも誰かのために踏み出すのか。三上は何度もその境界に立たされる。そこには簡単な正解がないからこそ、彼が最後まで自分なりの答えを探そうとする姿に引き込まれた。
『64』は、警察という巨大な組織を描きながら、最後まで描いていたのは一人ひとりの人間だった。
組織の中で働いていると、自分一人では変えられないことはいくらでもある。それでも、自分がどちらを向いて仕事をするのかだけは選ぶことができる。
事件の真相を知った驚き以上に、そのことが強く残った。
上巻の長い積み重ねを含めて最後まで読んでほしい。すべてが動き始めたとき、それまで読んできた時間そのものが、この物語の面白さに変わる。警察小説としてだけではなく、「働くとは何か」を考えさせられる一冊だった。
#2026年36冊目
Posted by ブクログ
面白かったです。
主人公の三上は「ちょっと勘が悪めだけれど熱い男」だなと思いました。
「勘が悪め」というか「人がいい」。疑うことが苦手で、正面突破型。なので、警察内部の政治的な活動が上手くいっていない。でも、そういう人物には好感が持てます。
一方、三上と同級生の二渡は、警察組織の力学を把握して、裏側を読んで立ち回りができる人物でした。
三上と二渡の対比がすごくよかったです。
二渡は警察のトップに登り詰めるのでしょうか。
犯人は、予想がちょっと難しいパターンの人物でしたね。
お金欲しさに幼い子供を殺したヤツは、しっかりと罰を受けてください。お願いします。
Posted by ブクログ
『64』を読み終えて最も印象に残ったのは、警察組織という巨大な世界をここまで緻密に描き切ったことだった。上巻は物語の進行だけを見るとゆっくりで、長く感じる場面もあった。しかし、その時間を使って警察組織の内部や人間関係、各部署の思惑が丁寧に積み重ねられていくため、物語の世界が少しずつ立体的になっていく。テンポの遅さは好みが分かれる部分だが、その積み重ねが作品全体のリアリティを支えていた。
主人公・三上についても非常に魅力的だった。物語の序盤では、自分の立場を守るために飲みたくもない唾を飲み、組織の中で折り合いをつけながら生きている。しかし、自分の置かれた立場や果たすべき役割と向き合い、覚悟を決めてからは、その言葉や行動に強い熱が宿っていく。正義を振りかざすのではなく、組織の中で葛藤しながらも信念を貫こうとする姿が、この作品の大きな魅力だった。
下巻では、上巻で丁寧に積み上げられた人間関係や組織の力学が一つにつながり、物語として大きく動き出す。終盤は横山秀夫らしく無理なく綺麗にまとめられており、読み終えたあとの読後感も良かった。
一方で、全体としてはやはり長さを感じる作品でもあった。組織描写を重視するぶん、展開の遅さが気になる場面もあり、その点は好みが分かれると思う。しかし、その丁寧さが作品のリアリティや終盤の説得力につながっていることも確かである。
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