横山秀夫のレビュー一覧
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戦争とは大切な自国を守るためのもので、戦争とは明日も生きるために戦っているものだと思っていた。人間魚雷「回天」で特攻して行く彼らはそうではなかった。自分自身が兵器の一部となり、後ろを振り返ることなく突っ込むことしか許されない。拒むことはおろか、笑顔を作ることさえ、喜びを喜びとして感じることさえ許されない。そんな死を約束された彼らが特攻として出撃するまでどのように過ごしたのかを描いた物語。
並木の願いはちゃんと読者に届いたのだと思う。
人間魚雷「回天」。そんな恐ろしい兵器が日本で使われていたこと。多くの若者の命を奪っていったこと。決して私たちが無視してはいけないことなのだ。
そして、並木はみん -
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ネタバレ読みごたえがあった。読みづらさは無く、夢中で読み進めてしまった。
警察組織内の対立構造、警務部対刑事部、キャリア対ノンキャリ、中央対地方、そして警察広報対事件報道。そんな対立構造に焦れる広報官三上。
いや〜、そこに上手く64を絡めて楽しく読めた。
しかもついに刑事部が暴発?と思わせてからの誘拐事件。本当に事件はあるの?と思わされたり、刑事部に同情しそうになったり。
そして雨宮さんの執念…
無言電話は何かあるとはおもったが、まさかそう来るとは…。
ミステリー小説として読みたい人には、警察組織部分は無駄に長いとか思ったりするのかな。
自分は主軸が64と新たな誘拐、警察組織、2本あっても楽 -
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はじめて横山さんの作品を読んだが、これは読み応えのある本だった。
前半部分の航空機事故発生のあたりは、読んでて本当に引き込まれた。
電車で読んでて、口がポカンとあいてしまった。
そして、なんとも言えない気持ち。
なんだか、涙が出てくる。
これは泣かせる本ではないけど、泣いてしまう本だ。
無駄のない文章は、著者の記者の経験からだろうか。
佐山に書かせた雑感は、とても印象深い、何度も読み返したくなる文章だった。
でも、あの一説、どこかで絶対見たけど、思い出せない。。
日航ジャンボ機の墜落。
私の記憶には一切ない。
だけど、実際に起きた事故として、その緊迫感が迫ってきた。
これは、事故そのものを扱 -
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ネタバレ神風特攻隊は有名だけれど、海軍が行った人間魚雷というこれまた恐ろしい回天隊のお話。気になって調べたら、攻撃成功率わずか2%…。開発もろくに完成していない状態だったからか、訓練や攻撃前に機体の故障によって亡くなる人も多く、主人公の並木もそのうちの1人。元々は大学野球をやっていた学生が、特攻に志願し自分なりの死ぬ理由をずっと探してやっと見つけ、いざ出撃という直前の訓練で行方不明になってしまった。小説を読みながら、出口のない海というタイトルにそういうことかと思った。読んでいると頭がおかしくなりそうな世界に身を置いて、戦争そのものと戦っていた人たち。艇の中でのシーンは緊迫感がすごくて、自分もそこにいる
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ちょうどお盆だったので、40年前に起こった日航機墜落事故について知りたくなって、本書を読み始めた。当然事故の詳細が語られると思って読み始めたが、どうやら違っていたらしい。事故を通じて、新聞を作るという仕事を生業にしている人間模様を描いた作品であった。
毎朝当然のように、新聞が自宅に届けられ、当たり前のように新聞を読む。しかしその当たり前の、『新聞を読む』という行為は、記者が自らの足で現地に赴いて取材し文章を作成、デスクが赤を入れ、構成を整え、広告を入れ紙面を作成、これを輪転機に回して印刷、刷り上がった新聞を各地の配達所まで配送、その後各家庭のポストに届けられ、漸く読むことができる。そういった一 -
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再読。横山秀夫の作品では「64」「クライマーズ・ハイ」と並ぶ三大傑作だと改めて実感した。
登場人物それぞれが組織の理論や自己保身、損得勘定などで動くが、その最たるものが警察と検察の関係だろう。担当検事の佐瀬は検察内の駆け引きに敗れ酒に溺れる辺りは情けないが、捜査一課指導官の志木は最後まで「空白の2日間」を負い続け真実に辿り着く。
初めて読んだ時も今回再読した時も最後の「空白の2日間」の理由については非常に感動したが、その点が2003年に直木賞候補に本作がなった際に北方謙三が指摘した「現実とは異なる」ために受賞を逃したのは皮肉としか言いようがない。そういう経緯はあれど、本作が傑作であることは間違 -
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学生の時に初めて読み、そして人生で初めてどんでん返しをくらった作品。
それから、たまーに読み返しています。
今回は5年以上ぶりの再読だったので、覚えている所と覚えていない所が混在していて、ワクワクしながら読むことができました。
『15年前の女性教師の自殺は他殺の疑いがある』
突如警視庁に有力なタレコミが入る。
女性教師が死亡した時間帯に、その教え子三人が、期末テストを奪取する「ルパン作戦」のために校舎に忍び込んでいた。
捜査を進めていくと、戦後最大の謎「三億円事件」も絡んでくることに。
時効まであと24時間・・・
といったあらすじ。
登場人物たちの行動が複雑に絡み合い、この事件が形成さ -
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何回目かですね。本書を読み直すのは。時期は大抵この時期。透き通るような夏の青い空と沸き上がるような白い雲を見ているとふっと読みたくなる小説である。
本書が舞台にしている日航機123便墜落事故については、実際にテレビや新聞などの報道を見ていたので記憶している。
受験生だったぼくは、夕方、家に帰った時に日航機が行方不明になったらしいという第一報が入ったところで、夜半過ぎになって、群馬の山中に墜落したことが判明した。
翌日には騒然としたなか、4人の生存者が確認され、そのうちの一人の少女がヘリコプターで釣り上げられながら救助されていた光景は今でも覚えている。
そして、最後に遺体が発見されたの -
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非常に素晴らしい小説でした。物語の構成、展開など全てが完璧に近いものでした。個人的に最近読んだ中でもトップレベルで好きな小説です。
時効が迫る中、容疑をかけられた喜多たちの供述による回想と事件をおう現代、主に警察に焦点が当たる方での構成となっています。登場人物一人一人しっかりと描き分けがされていて、全員が人間性の溢れる人たちで読んでいて非常に楽しかったです。
横山秀夫さんが新聞記者であるということを知り納得が行きました。事件が解決してからの溝呂木、後閑たちの会話と最後に登場したお嬢さんでの掛け合いと会話が横山さんの伝えたいことのように感じました。単にミステリーだけで終わらず3億円事件も絡 -
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後半にかけての疾走感が半端ない
警察組織の中でも地味な広報
小説として取り上げられないし取り上げにくい
この地味な広報をよくぞここまでエンタメとして昇華させたものだと思う
あの一瞬ともいえる昭和64年
誘拐事件、報道協定、記者クラブ、失態と隠蔽
お飾りのキャリア、警察内部の確執、刑事至上主義
リアル感がすごい!
実際の警察官達が横山作品を愛読するのも納得です
この凄まじい臨場感に自分も現場にいるような錯覚を起こして読み終えた時は疲労困憊ε-(´∀`; )
無言電話と血豆の爪には涙が出ました(/ _ ; )
さてこのD県警シリーズ再読してみようか!!