横山秀夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
再読。横山秀夫の作品では「64」「クライマーズ・ハイ」と並ぶ三大傑作だと改めて実感した。
登場人物それぞれが組織の理論や自己保身、損得勘定などで動くが、その最たるものが警察と検察の関係だろう。担当検事の佐瀬は検察内の駆け引きに敗れ酒に溺れる辺りは情けないが、捜査一課指導官の志木は最後まで「空白の2日間」を負い続け真実に辿り着く。
初めて読んだ時も今回再読した時も最後の「空白の2日間」の理由については非常に感動したが、その点が2003年に直木賞候補に本作がなった際に北方謙三が指摘した「現実とは異なる」ために受賞を逃したのは皮肉としか言いようがない。そういう経緯はあれど、本作が傑作であることは間違 -
Posted by ブクログ
学生の時に初めて読み、そして人生で初めてどんでん返しをくらった作品。
それから、たまーに読み返しています。
今回は5年以上ぶりの再読だったので、覚えている所と覚えていない所が混在していて、ワクワクしながら読むことができました。
『15年前の女性教師の自殺は他殺の疑いがある』
突如警視庁に有力なタレコミが入る。
女性教師が死亡した時間帯に、その教え子三人が、期末テストを奪取する「ルパン作戦」のために校舎に忍び込んでいた。
捜査を進めていくと、戦後最大の謎「三億円事件」も絡んでくることに。
時効まであと24時間・・・
といったあらすじ。
登場人物たちの行動が複雑に絡み合い、この事件が形成さ -
Posted by ブクログ
何回目かですね。本書を読み直すのは。時期は大抵この時期。透き通るような夏の青い空と沸き上がるような白い雲を見ているとふっと読みたくなる小説である。
本書が舞台にしている日航機123便墜落事故については、実際にテレビや新聞などの報道を見ていたので記憶している。
受験生だったぼくは、夕方、家に帰った時に日航機が行方不明になったらしいという第一報が入ったところで、夜半過ぎになって、群馬の山中に墜落したことが判明した。
翌日には騒然としたなか、4人の生存者が確認され、そのうちの一人の少女がヘリコプターで釣り上げられながら救助されていた光景は今でも覚えている。
そして、最後に遺体が発見されたの -
Posted by ブクログ
非常に素晴らしい小説でした。物語の構成、展開など全てが完璧に近いものでした。個人的に最近読んだ中でもトップレベルで好きな小説です。
時効が迫る中、容疑をかけられた喜多たちの供述による回想と事件をおう現代、主に警察に焦点が当たる方での構成となっています。登場人物一人一人しっかりと描き分けがされていて、全員が人間性の溢れる人たちで読んでいて非常に楽しかったです。
横山秀夫さんが新聞記者であるということを知り納得が行きました。事件が解決してからの溝呂木、後閑たちの会話と最後に登場したお嬢さんでの掛け合いと会話が横山さんの伝えたいことのように感じました。単にミステリーだけで終わらず3億円事件も絡 -
Posted by ブクログ
後半にかけての疾走感が半端ない
警察組織の中でも地味な広報
小説として取り上げられないし取り上げにくい
この地味な広報をよくぞここまでエンタメとして昇華させたものだと思う
あの一瞬ともいえる昭和64年
誘拐事件、報道協定、記者クラブ、失態と隠蔽
お飾りのキャリア、警察内部の確執、刑事至上主義
リアル感がすごい!
実際の警察官達が横山作品を愛読するのも納得です
この凄まじい臨場感に自分も現場にいるような錯覚を起こして読み終えた時は疲労困憊ε-(´∀`; )
無言電話と血豆の爪には涙が出ました(/ _ ; )
さてこのD県警シリーズ再読してみようか!!