横山秀夫のレビュー一覧
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『64』を読み終えて最も印象に残ったのは、警察組織という巨大な世界をここまで緻密に描き切ったことだった。上巻は物語の進行だけを見るとゆっくりで、長く感じる場面もあった。しかし、その時間を使って警察組織の内部や人間関係、各部署の思惑が丁寧に積み重ねられていくため、物語の世界が少しずつ立体的になっていく。テンポの遅さは好みが分かれる部分だが、その積み重ねが作品全体のリアリティを支えていた。
主人公・三上についても非常に魅力的だった。物語の序盤では、自分の立場を守るために飲みたくもない唾を飲み、組織の中で折り合いをつけながら生きている。しかし、自分の置かれた立場や果たすべき役割と向き合い、覚悟を決 -
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非常に読み応えがある本だった。
山を登る場面は専門用語も多く、想像しにくい部分も確かにあった。しかし、熱渦巻く北関の大部屋とは対照的に、どこまでも澄み渡る壮大な山の描写は、物語に入り込みすぎて昂っている自分の気持ちを少し落ち着かせてくれる効果があったように感じた。
また、望月彩子の言葉は非常に印象的だった。
世界最大の航空機事故で亡くなった方も、交通事故で亡くなった方も同じ命である。しかし前者の命はずっと記録され続け、追悼され続ける。
では後者は軽い命、小さい命なのかと言われれば決してそんなことはない。しかし、この2つの命を扱う報道機関は命に差をつける必要がある。
メディアはどのように伝えてい -
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本作は、梶の事件という一本の強固な【縦軸】と、彼に関わるあらゆる立場の人間たちの有り様という【横軸】が見事に交差して進む、重厚な人間ドラマである。
章ごとにスポットが当たる警察、検察、新聞記者、弁護士、裁判官、刑務官といった横軸の人々。彼らにもそれぞれ生きてきた人生があり、私生活に重い荷物を抱えている。
最初はそれぞれの思惑や組織の論理で梶の沈黙を暴こうとするが、梶の言い訳を一切しない静謐な佇まい、その揺るぎない芯の強さに触れることで、彼ら自身が目を背けてきた人生のドラマや痛みが引きずり出され、問い直されていく。
そして終盤、頑なに守り通された「沈黙の理由」とその真実が明かされたとき、梶の行 -
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ネタバレひさしぶりの横山秀夫作品。本作はF県警強行犯係を舞台にした短篇集である。どの収録作品もなかなかおもしろく読むことができたが、刊行から時間が経過したため気になる部分が出てきてしまっている。本作は単行本の刊行が2003年なのでそこまで古いわけではないのだが、そもそも表題になっている「時効」という概念じたい、法改正によって現在では殺人事件などでは撤廃されている。また、取り調べなどにおける刑事の態度などにも気になる部分が散見される。もし現実世界において本作に登場するような取り調べが行われていたら、間違いなく大問題になるであろう。もちろん本作はただのフィクションなので問題はないが、しかしたとえば昨今違法