横山秀夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
実に読み応えのある警察小説だ。
私たち門外漢にとっては、作中に描かれている警察幹部たちの姦計や策略がどれほどリアルなものなのか判断はつかないが、そんなことは抜きにしてどっぷりとのめり込めるほどに構成力が高い。
ただ、「半落ち」を読んだ際にも思ったけど、この人の小説は時としてオチが弱いことがある。
この作品の場合も、いかにもミスリードっぽい伏線が中途半端に活きていたりして、よく出来たミステリーがもたらす、相応の驚愕を伴いながらもストンと腑に落ちる読後感、のようなものはちょっと足りなかったように思う。
にも拘わらず、全体としては傑作であると感じさせる技術が凄いんだけど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【震度0】 横山秀夫さん
近畿地方で大地震が起きた。神戸は震度6と発表があった。
被害者の数はうなぎのぼりに増えていく。
関東のN県警も、いつ出動命令が出てもいいように応援体制を
整えなくてはならない。
そんな最中、人事を司る警務課の筆頭課長が突如失踪した。
人望の厚かった警務課長突然の失踪はN県警の幹部にとって
は大問題だった。
この事件が出世への失点と捉えるキャリアの部長。
退官後、天下りの青写真が消えると心配するノンキャリアの部長。
各々の幹部が地震の対応もそこそこに、すねの傷を隠しつつ、
腹を探り合い、駆け引きを繰り広げる。
☆
お互いの保身と出世のために警務課長の失踪を -
Posted by ブクログ
面白かった。☆5にしようかとも思うがもっとすごいのに出会ったときのために取っておこう。誠実で他からの信頼も厚いひとりの警察幹部が阪神淡路大震災の朝失踪する。その失踪によって危うい均衡の上に成り立っていた県警警察幹部たちのバランスが崩れていく。徐々に明らかになる地震の被害と同じように誠実な人間のとった不可解な行動によってそれに係わる警察幹部たちとその妻たちの隠れた野心や欲望や思惑が明らかになっていく。これは「半落ち」のときと同じようにその失踪の謎を明かす物語とともに周りの人間たちの話なのだ。最初人物がすんなり把握できなくて、これってどんな人だったけ、どんな家族がいたんだっけと戸惑うのだが、だんだ