横山秀夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ多くの登場人物や、様々な事件・要素があったと思うけれど、どれも中途半端というか、あまり深掘りされないまま終わってしまった印象だった。
刑事部vs警務部の対立があるのはわかるけれど、三上の被害妄想じゃない? と思う部分も多く。そんなに邪推して生きてたら疲れそうだな、と。当たらずとも遠からずな部分はあるんだろうけど、警察ってそんなに身内の権力闘争ばかりやってられるほど暇なのか?
陰謀論は呑み込みやすいけれど、実際は陰謀や策略以外の偶発的な事情やタイミングも大きかったりするし。
三上が広報官として覚醒するあたりから読みやすくなるけれど、誘拐事件をリアルタイムでマスコミに情報を流すことは本当に必要なのかと思ってしまった。未成年、狂言の可能性、他の重大事件との関わり。それらが不確定なのに逐一マスコミに情報を与えることに意義があるのだろうか。少し古い時代の話なので、今のネット社会の視点で見ることは適切ではないと思うし、警察にも監視装置が必要だとは思う。でも、今の時代、報道は一生消せないデジタルタトゥーになるし、一瞬で人を社会的な死に追いやる事ができる。
何でもかんでもオープンにしてあとはマスコミの矜持にかけるのも、もう通用しないよなあと思った。
ロクヨンの犯人も娘の行方も、三上と奥さんの関係も、隠蔽の落とし前も、権力闘争の行方も、特に解決しないというか、もうちょっとオチをつけてもいい気がした。
登場人物もたくさん出てくる割に、みんなキャラが薄い。赤間いいキャラだったのに。二渡の思わせぶりは何だったの。広報の部下たちもいまいちキャラが薄い。当時の自宅班や雨宮、地元記者たちも。
基本的に三上の妄想で他人の心情が語られるから答え合わせがないというか。で、結局何だったの? というまま終わってしまった。
あと時代のせいか、謎に美雲に厳しくてイラっとする。警察広報という仕事について、もう少し別の角度から見たかったかなあ。 -
Posted by ブクログ
双子の弟が身体に同居している泥棒が主人公。
警察やマスコミなんかを題材にした息詰まる感の小説ばかり読んでたので、一風変わった印象があったんだけど、読み始めるとやっぱり屈折した心理描写で横山節は健在でした。
この祥伝社文庫のシリーズを見ると、なんとか殺人事件とかってのがたくさんあるので、昔は僕の知ってるような作風とは違ったものを書いてたのかな。
それも今後読んでみたいな。
双子の弟が犯した罪に罪悪感を抱いて、自らが幸せになることを拒絶する主人公が、コソ泥を重ねながら事件に巻き込まれ、兄弟の真実に迫っていくんだけど、結局最後は涙浮かべちゃうんだよな。 -
Posted by ブクログ
警察の広報という立場から見る仕事の理不尽さ、組織の非情さ。登場人物は多いけど、主人公・三上に寄り添ってくれたり味方になってくれる人がほぼいないので読んでてしんどかった。妻でさえ、三上にとっては細心の注意を払って扱わなければ壊れてしまう対象。
失踪した娘といい、抱えているものが多すぎる。そして娘から投げつけられたのは、三上にはどうする事もできない自分の容姿の否定。三上の尊厳は破壊され、それでも娘のため妻のために組織の駒として動かなくてはいけない。
家族、上司、部下、マスコミ、その他関わる全ての人が三上に感情や正論をぶつけ「何とかしろ」と責めたてている気がしてつらかった。最後の方でようやく「幸田メモ」の中身が分かり、少し物語は動き出すけど警察も家族もマスコミもここからどう流れていくのか予想できない。下巻はせめて三上が救われるといいな。