あらすじ
北からの光線が射しこむ信濃追分のY邸。建築士・青瀬稔の最高傑作である。通じぬ電話に不審を抱き、この邸宅を訪れた青瀬は衝撃を受けた。引き渡し以降、ただの一度も住まれた形跡がないのだ。消息を絶った施主吉野の痕跡を追ううちに、日本を愛したドイツ人建築家ブルーノ・タウトの存在が浮かび上がってくる。ぶつかりあう魂。ふたつの悲劇。過去からの呼び声。横山秀夫作品史上、最も美しい謎。
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建築士の青瀬稔が空き家となった理想の家をめぐり、真実を追うミステリー。特に印象的だったのは、家の中に「椅子一脚だけ」が置かれていた場面。青瀬が設計したはずの“完璧な家”に住む人がいないことが謎を深め、物語全体を象徴するように感じられた。また、主人公が「家は人を幸せにするものなのか?」と自問するシーンも心に残る。家をつくる仕事に誇りを持ちながらも、彼は家族を失い、自分自身もまた居場所を求めているのだ。
物語を通じて、人が求める「理想の場所」とは何かを考えさせられた。外見が完璧でも、そこに人の心や絆がなければ本当の意味での居場所にはならない。この作品は、物や形よりも、そこに込められた思いが人を支えることを教えてくれた。
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今年も最後、やっと出会えた。
名著です。日向邸、桂離宮、洗心亭。
筆致も多重的で、情景に想いが乗ってて言うことなしです。ありがとうございました。
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2024.09.15
自分が住みたい家 施主の失踪 タウト 芸術家の記念館のコンペ バブル期 真相
前半はなかなか進まなかったが後半は怒涛の展開。久々の清々しい読後感。さすが横山秀夫。
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半年前に父を亡くしたので、ことさら刺さる作品だった。
生前の父の背中を思い出して何度か涙が出た。
それぞれの登場人物にそれぞれの守りたいもの、愛や信念が詰まっていて、内側が紐解かれる度に、心で温かいものを飲み込んでいた。
次の本を読み始めるのに少し時間がかかりそうな、いい意味で余韻の残る一作。
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本の表紙にそそられて購入したものの、数ページ読んで一年程放置。久しぶりに手に取り読み進めると引き込まれた。横山秀夫の作品は初めて読んだが、人間の描写が細かくかつ多彩で驚いた。横山秀夫は建築家だったのか?と思わせるほど、建築に関する記載も細かい。
岡嶋と青瀬のやりとりが好きだ。表面的には多く言葉は交わさないが、お互いを信頼し合っている。(途中)
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これは、出版社の戦略だと思うのだけど、いろんなレビューのどれもが最初の謎を提示しているものだから、私もそちらメインで読み始めてしまった。
だから途中から「あれ?」ってなってしまったのだ。
よく考えてみるとそんな理由でそこまでする?って思えるんだけど、横山秀夫の文章力に乗せられて「ふんふん、なるほど」と納得しながら読まされてしまう。
最初の謎からどんどんそれていくように思えたけれども、最後はきちんとその謎が解けるようになっている。
警察ものでも、刑事ものでもないので、推理によって導き出されたものではないし、正直「そんな理由で!?」と思わないでもなかった。
でも、作者が書きたいことが圧倒的な筆力で迫ってくるので、総じて満足な読書になった。
これは家族の再生の物語だ。
主人公の建築士も、その上司の岡嶋も、施主の吉野も、それぞれに家族に対して問題を抱えている。
愛情があるゆえの悔い。
だから切ない。
ただ、これは小説で、挿絵がついていないもので、設計された建物が上手く脳内でイメージできなかった。
こんなに左右上下に奥行きがある美術館って、躯体の強度は大丈夫なのだろうかとか、外見がドームに見えるのこぎり屋根の建物ってどういう作りなのだろうとか、読む手を止めて考え込んでしまった。
とはいえ、それは些細なこと。
ブルーノ・タウトという人物にも興味が持てました。
今年最後の小説、そして今年最高
最近映画64を見て、その勢いで前々から気になっていた本作を購入。
いつまで経っても起こらない殺人事件に途中までガッカリ。
後半、魂が震えた瞬間があり、そこからはずっと涙ぐみながら読み続けました。
間違いなく今年一番の名作です。
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横山秀夫氏の書く小説がやけに心に刺さるようになった。
それは自らの年齢も相まってかもしれない。
建築士である青瀬稔の最高傑作である信濃追分のY邸。
だがその最高傑作の家に、
引き渡し以降、ただの一度も住まれた形跡がないことを知る。
消息を絶った施主の吉野の痕跡を追ううちに
日本を愛したドイツ人建築家ブルーノ・タウトの存在が浮かび上がってくる。
物語の前半はゆっくりと状況を我々に説明してくれる。
そのスローテンポさに少し飽きを感じてしまうのだが、
ところがどっこい、後半に差し掛かるにつれ、
散らばった点と点は見事に線となり繋がっていく。
そして何より後半にかけての青瀬の決意にはグッとくるものがあった。
若い頃に読んでいたら青瀬の気持ちの何一つとして
理解も共感もできなかったかもしれない。
だが、今となってはそれが全て自分に置き換えて読むこともできる。
若い頃のほろ苦さとはまた違うのだが、種類としては一緒かもしれない。
残像を追う今の痛みをしっかり認知させてくれる。
これも成長なのだろうと自分に言い聞かせるしかなかった。
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面白かった。表紙から、少し怖そうな暗そうなイメージを持って読み始めたが、そんなことはなかった。
謎を追う展開だから、これはミステリーなのかな。
中盤、なかなか話が進まなくて少し中弛みしたけど、最後はとにかく面白かった。
主人公の建築士が、自分の設計した家にブルーノ・タウトゆかりの椅子を残し姿を消した一家の謎を追うミステリー。恥ずかしながら、ブルーノ・タウトという人物を初めて知った。タウトの椅子、実物を見てみたい。そして主人公の代表作となるY邸も、実際に訪れてみたい。
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横山秀夫のミステリーだよねと思って読み始めたら、想像とは異なる展開に驚かされた。読後、静かに本を閉じると心が洗われるような感覚に包まれた。これはきっと、「再生の物語」なんだろうな。前を向いてまた頑張ろうと思えたし、ブルーノ・タウトという建築家を知れたことも、嬉しい発見だった。
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自分が設計した新築の家に、顧客が引っ越した形跡がない謎を追う一級建築士のミステリヒューマンドラマ
以下、公式のあらすじ
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横山ミステリー史上最も美しい謎。
熱く込み上げる感動。
一家はどこへ消えたのか?
空虚な家になぜ一脚の椅子だけが残されていたのか?
『64』から六年。待望の長編ミステリー。
一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに……。Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、浅間山を望むように置かれた古ぼけた「タウトの椅子」を除けば……。このY邸でいったい何が起きたのか?
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大学の同期の事務所に所属する一級建築士の青瀬稔(45)
妻のゆかりとは離婚し、中学生の娘 日向子とは月に一度面会をする程度
そんな青瀬は、吉野陶太夫妻から信濃追分に3千万円で「あなた自身が住みたい家を建てて下さい」という好条件の案件を依頼される
そして完成した「ノースライトの家」通称Y邸は雑誌にも載るくらいの会心の出来
しかし、その物件を見に行った他のお客さんによると、人が住んでいるようではないとのこと
吉野に連絡を取ろうとするが、返信がない
訝んだ青瀬は実際にY邸を訪ね、吉野夫妻が引っ越してきていない事を確信する
また、室内にはブルーノ・タウトのものらしき椅子がひとつ置かれているだけだった
吉野夫妻の謎
それに伴うブルーノ・タウトにまつわる情報
青瀬の幼少期からの来歴
大学時代の友人 岡嶋設計事務所が挑む、非業の死を遂げた孤高の画家の記念館「藤宮春子メモワール」コンペ
終盤まで吉野夫妻の存在が物凄く怪しいように見えるし
岡嶋が裏で何やっていたのか、どんな心境なのかとか不穏なものを感じる
でも、最後まで読んでしまえばとても人情味に溢れたヒューマンドラマという不思議
これは恐らく再生の物語なのだろうな
バブル期の調子に乗っていたところから。崩壊後の転落、そして離婚
そこからの自分の人生の見直し
再生は青瀬だけでなく、作中の登場人物たちはそれぞれ何かしらの喪失を抱えていて
娘の日向子もそれを何とかしようとしているし
岡嶋の事務所の面々もコンペの修羅場を通じて新たな人生を見つけている
吉野さん達もやっと肩の荷の一部が降りたようなものだろうか
その再生のためには、それぞれが自分の過去と向き合い、自ら前に進んでいく必要があるのですよね
東洋新聞の記者 繁田満もある意味で変わったのだろうな
青瀬稔が言った一言から、後に記事になった部分に他社との違いが出てて
それが物語の中で誰かへの救いにもなっているという構造はよい
あと、ストーリー意外にも、戦前日本で工芸指導をしたドイツの建築家タウトに関する説明が多数あって
建築に然程興味がないので所々流し読みしたくなったけど
多分、タウトも含めて喪失と再生の物語なのかと思うと納得した
Posted by ブクログ
バブルが弾けて理想を忘れた建築家の話。日々のタスクに追われながら自分の理想、虚栄心などと向き合う建築家の気持ちが生々しいし、新鮮だった。あと、恋愛もコンペで勝つにもストーリーが重要だと実用的な知識も得た。勿体ぶらず、伝えたいことがよくわかる文体で安定感がある。中盤、展開が少なくて読むのに時間がかかった。
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久しぶりの横山さん!
D県警シリーズ思い出してたのに、警察出て来んねんな。
今回は、建築士が主人公!
まぁ、天才なんやろな。
バブルの洗礼浴びて、今は腐ってるけど。
そこに、好きに作ってくれ!との依頼!
めっちゃ、ええ出来やん!と自画自賛!
依頼主どうしてるかな?
で、噂で、ええ出来の家に誰も住んでいない!
失踪したのか?
なんか、元から住んでない?
一緒にいた家族仲良しに見えたのに、別居?
長身の女性の姿が?
謎が謎を呼ぶ!
まぁ、回りくどい事せんと、はじめから、キチンとした対応してたら、それで終わってる話やと言えば、それまでやけどね。
建築士が、建物をデザインしてるとこは、凄いなぁ…
アーティストって感じで、カッコいい!
何か、天から降って来たように、閃くとこがね。こういうの持ってないから、羨ましい…
創作物見ても、「う〜ん…」とか唸らんし、多分。分からんから(^◇^;)
注意!
人は死にますが、殺人はありません!
失踪はします!
Posted by ブクログ
一級建築士の主人公が建てたY邸は雑誌にも紹介され自身も最高傑作の手応えを感じる家であったが、引き渡しから1年後Y邸には誰も住んでいないことが明らかになる。
住まれなかったY邸の謎を追うミステリーであり、建築士を題材にした職業小説でもある。安定の横山秀夫、地味な話を徹底したリアリティと小説の上手さでグイグイ読ませる。
正直Y邸の謎は惹きつける力が弱いというか、この謎が明らかになったとして面白いか?と途中までは半信半疑だったけど、最後まで読むとちゃんとした結末が用意されてるから面白い。
ただちょっと綺麗にまとまりすぎていてフィクション感が強いので、その辺をリアリティのある建築士描写でカバーしてる感じだった。それにしてもタウト関連の描写は細か過ぎる。
Posted by ブクログ
主人公の建築家が渾身で建てた家に施主が住んでいないようだ、から始まる
家族の再生とミステリ
主人公の幼少期の時代背景やバブル期の建築業界
実際した有名建築家との関わりなどは
史実の部分もあるから情景がリアル
ミステリの謎解きは後半かなり急ぎ足で
きっとミステリ自体に重きはないのだろう
それはそれで良いようなストーリー
著作刑事物が印象的なのでどんな感じかと
思ったけれど、優しい物語
ああ確かにノースライトだと
Posted by ブクログ
個人的には「64」以来の横山秀夫さん。懊悩や葛藤、願いなど、心の機微を掬い上げて深掘りされた心情描写に人間ドラマが相まった長編。がっぷり四つに組んで、読ませていただきました。
実はハードカバー版が出た頃に読んでみたものの、当時は挫折していた作品でもあるのですが、あの頃ではこの作品を味わえる感性は育ってなかったなと感じてます。例えるなら、ビールを美味しく感じられるようにはなってなかったというか笑
時間が経ってから読める作品もあることを教えてくれた大切な一冊になりました。
Posted by ブクログ
いきなりのネタバレ。
「殺人のないミステリ小説。」
人は死ぬけど。。。
前半はちょっと休憩しながら読んでたのもあり、読み進めるのが少しつらかった(集中力がもたないという意味で)
青瀬の苦悩や過去。
元妻、ゆかりやライバルとのエピソード。
吉野家の失踪の謎。
実在する建築家、タウトの成し遂げたこと。
画家、藤宮春子の作品。
ものすごく長かったからこそ、終盤の事務所が一体となったシーンで胸が熱くなった。
個人的には馴染みのある地名がたくさん出てきたのも、ストーリーに入り込めて楽しかった!
Posted by ブクログ
十数年前、我が家を建てたときのことを思い出した。ハウスメーカーが所有する土地を購入したので、設計したのはそこに所属する建築士、こいつが嫌な野郎だった。
昔ながらの“夫は外で仕事、妻は家にいるもの”という感覚を持ったおっさん(たぶん私たちと同じ世代)で、私や子どもたちを施主である夫の従属物としかみなしていなかった。打ち合わせの際に言われた言葉の数々が、悔しくて忘れられない。
不思議そうに「奥さん…、聞くところによると、仕事を持っておられるらしいですなぁ?」と訊く。確かに子どもたちは未就学で経済的にも(家を建てようってくらいだから)余裕はあるけれど、平成十年代にそんな言い方はありえない。ちなみに、妊娠出産で正社員からパートタイムになるまでは夫より収入が多かったし、頭金の一部は私の貯蓄から出ている。他人から“食わせてもらっている家族”扱いされる筋合いはない。
更に、見取り図を見ながら私が「本棚やパソコンはどこに置こうかな」と呟くと「そんなもん、何に使うんだ」と言い放つ。2階のトイレに、トイレ本体についている手洗いとは別に小さな水栓が欲しいと言えば「そんなもん必要ない」と頭ごなしに否定する。
水栓の件は今でも悔しい。2階の掃除の際に雑巾を濯ぎたいときとか、ベランダの植木に水をやりたいときとかに、いちいち階下の洗面所に行かなきゃならないから。
入居した後、洗面所にタオルハンガーがついていなかったので電話したら「それ、必要ですか?」と言って(当たり前だろう)、自分のミスを認めない。結局ハンガーはつけにきたけれど、リビングを見て家具の配置にいちゃもんをつける。
奴にとってお客様は夫だけで、妻である私に敬意はなかった。そんな奴が設計した家で、家族の中で一番長い時間を過ごし、日常の家事を行う訳。
夫は、奴のような考え方は一切ない。お互いに対等なパートナーとみなし、敬意を払っている。だからこの件は、建てた当初に伝えて以来、夫とは話していない。ほんとしょっちゅう、思い出し怒りしちゃうんだけどね。
本作の主人公(ようやく物語に触れるぞ)となら、どんな家になったのだろうと思う。少なくとも、あの不快感はなかったんじゃないかなと。
ネタバレです
横山秀夫のミステリ、だと思って読み始めたが、半ばまで読んで、あれ、殺人事件が起こっていないぞ? 否、失踪した人物が実は殺されていて、主人公が素人探偵になるパターンだな?
……素人探偵は素人探偵だけれど、結局過去にも現在にも、事件は一切起こっておらず、悪人がひとりもいなかった。(あ、不法侵入と器物損壊は事件っちゃ事件だけど)そんなパターンだったのね。
建築業界の話は、いままで触れたことがなかったので、とても興味深かった。美術は好きだけれど、絵画や音楽にしか眼が行っておらず、建造物や家具に興味はなかった。たぶん私が視覚で美を感じるのは2次元どまりなんだろう。これから建造物への見方が変わるかどうかはわからないけれど、設計の意図に興味を持つことは、あるかもしれない。
ラストシーンの希望に涙した。みんな幸せになれ!
(2024-06-18L)
Posted by ブクログ
2019年第1回山中賞受賞作
同年『週刊文春ミステリーベスト10』
国内部門第1位
2020年 ドラマ化
初出は2004年から2006年にかけて月刊誌「旅」に連載
物語の中でも、主人公は趣ある土地を訪ね歩き、建築家としての目線で風景と人の営みを見つめる。
タイトル“ノースライト”は、北側から入る自然光。建築や写真などで使われる用語。
直射日光が入らず、一日を通して安定した柔らかい光を得る。それが、ノースライト。
この光は、作品がラストに向かうに伴い、心を照らす象徴としても描かれているかのよう。
本作は、ミステリーというより、
ひとりの建築士が設計と施工にかける生き方を、タウトの椅子から導いていく物語のようです。
現実の旅と、心の奥に潜る精神の旅。その二つが静かに重なります。
施主の詳細が見えないまま進む展開や、やや強引に感じられる新聞報道の要素など、
納得しきれない部分も残ります。
けれど、地方と東京を行き来しながら展開する物語は、「旅」という雑誌に連載された作品として、ふさわしい構成だったのではないかと思う。
Posted by ブクログ
文章が美しかった。ただ、相性の問題で面白くなかった。もっとハラハラする展開があったら楽しかったかも。全体的にだらだらと進む感じ。それと、別れた女性が自分のことをいつまでも好きでいるという男性の誇大妄想によった作品て感じがしちゃった。
伏線回収は綺麗にしてるので、読み終わったらスッキリはするかな。でも淘汰みたいな奇行、普通しないでしょうと思ってモヤる。
Posted by ブクログ
横山秀夫っぽくない小説。
横山秀夫=警察or新聞記者ではなく、主人公は建築家。
北側からの採光を取り入れ、自分が一番住みたい家を設計施工し、引き渡したが、空き家になっている様子。
おまけに施主は行方不明...
小説自体は面白いのだが、横山秀夫感を期待すると裏切られるかも。
映画化されているが、面白いのかな?
Posted by ブクログ
少し流れに無理があるところもあるかなという気がするのと、シーンが大きく変わるので、理解しながら読むのに時間がかかったが、後半は面白く読み進めることができた。
最後に頑張った岡嶋設計事務所の面々もそれぞれに報われるといいな。
Posted by ブクログ
横山秀夫さんの書いた本だからというきっかけで読むと、違和感がある作品だと思う。
途中離脱しそうになったが(タウトの痕跡をたどるくだりなど)、後半は一気にドラマチックになる。
伏線がどんどん回収されていくのは気持ち良い。
読むのに少し時間がかかったが、最後まで読んでよかった。
Posted by ブクログ
家の中のいつもの場所で、寛ぎながら読んでいると、家に護られているように感じた
この家も、誰かが図面をおこし、色々の人の手を加えて、建てていただいたのだ
改めて感謝
優しい思いも交差する人間味深いミステリー
Posted by ブクログ
連載してたやつかな?
同じ話を繰り返されているようで少しイライラ。
登場人物のセリフは、ほぼテレビ向けかな。
最後はハッピーで終われてよかったのかな。
ラストが良かった
この作家の小説を初めて読みました。
ガッツリしたミステリーを期待して読み始めたので話が進まず主人公の人となりの描写が長く中盤までは読み進めるのが辛かった。話が進み始めて馴染みのなかった建築や建築家の件になってから興味が湧き気持ちが入り始め後半は楽しく読ませて頂きました。期待した物ではなかったけれど気持ちの良い終わり方だったのが良かった。
Posted by ブクログ
「64」以来、久し振りの横山秀夫さん。
建築士の青瀬が、自分の設計した自信作の新築の家に一度も住まずに、ただ一脚の古い椅子を残して姿を消した一家の謎を追うお話。
なんだけど、話が進む内に何を追っているのか、消息を絶った施主・吉野の居所か、椅子を巡る伝説の建築家ブルーノ・タウトの痕跡か、青瀬自身の生きてきた証か、それに事務所の命運を懸けたコンペの成り行きも絡んで、得体の知れない展開が続く。
何だかつかみどころのないようにも感じる話だが、それでもそれぞれに読ませどころがあって興趣は切れず。
信濃追分のY邸に北からの光線が差し込む情景やダムをつくる山あいの町の暮らしの描写、ネットで検索したカウフマン邸の姿やタウトの作品などそこかしこに清涼な空気を感じるところも良い。
巷間の評価も含め読む前からハードルが上がってしまっているので★はやや辛めとなった。