唯川恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
同盟でドラマ化されたものの原作。
なお、ドラマについては視聴なし。
タワーマンションの一室。
大手自動車メーカー勤務の夫と私立中学に通う息子。
そして専業主婦の奈央。
彼女がこの物語の主人公。
彼女が友人の勧めで読者モデルになるところから全ては始まる。
モデルの世界、雑誌の世界。
それは購読者から離れすぎても近すぎてもいけない。
幻想的な存在、それがモデル。
そんな世界から抜け出たようなプロのモデルに比べれば、奈央は地味だ。
普通すぎる。
しかし彼女はモデルへと徐々に歩みを進めていく。
雑誌につきものの苦悩、主婦であることへの迷い、仕事を持つ身の揺らぐ心などを丁寧に描いている。
これはプライドの物語だ。
華やかな世界は弱肉強食。
自分を強く持たなければ残れない。
そのプライド、負けん気は時には揶揄の対象、嫉妬の保脳の向かう先かもしれない。
だが、プロであろうとするならばそれすら糧にできなければ。
そうでなければ一流になどなれっこない。
あまたいる「自称」にすぎない。
本書は華やかな世界を舞台にしている。
そうであるけれども、地味な普段の生活に取り入れられることも見つけられる。
「仕事」は心意気。
「自分のため」に一生懸命やることが「誰かのため」になれるならこれほどのやりがいがどこにあろう。
ここでの「仕事」とは生活全てのこと。
『あしたのジョー』の歌の一節を借りよう。
明日は、どっちだ。 -
Posted by ブクログ
久々の唯川恵。
読み始めると、良くも悪くも「そうだ、こんな感じだった」と思い出した。
たぶん、この方の全盛期というのは、女性が社会進出を始めてしばらく経って、時間が経ったからこそ見えてきた新たな問題や心の隙間がテーマになっていた頃で、それ故に、今読むとやや「古い」感が否めない。専業主婦とキャリアウーマンの対比とか、仕事と恋の板挟みとか、たぶん今はもうそういう選択肢で苦しんでいた時代からちょっと先へ抜けて、新たな局面がスタートしていると思う。だけど、その時代の延長線上に「今」があるというのも事実なので、懐かしい感じもするし、彼女が描く物語が今も残っている部分もあるし、そういう意味で、全体的に妙な吸引力があった。
個人的に悪くないなと思ったのは、不倫男女の行く末を淡々と綴った『プラチナ・リング』と、謎のビデオテープを前にして夫婦がそれぞれ自分の罪と向き合う『婚前』かな。前者は、唯川さんの新しい方向性として向いているスタイルだと思う。後者は、ちょっとしたミステリ短編の色合いもあって、新しい味付けにチャレンジしてくれた印象。
うーん、セリフも陳腐だしオチも読めるし、めちゃくちゃ好き!って感じには毎回ならないのだけど、たまに、ふっと手に取りたくなる不思議な存在感なのだよな、この人の作品は。