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広告代理店に勤務する薫(かおる)と乃梨子(のりこ)は、同期入社。仲はよいが相手と自分を比べずにいられない微妙な関係。どちらも、同僚の郁夫(いくお)に恋心を抱いていたが、ささやかな駆け引きの後、薫が郁夫と結婚して主婦に。乃梨子は独身でキャリアを積み続ける。歳月は流れ、対照的な人生を歩みつつも、相手の生き方を羨んでしまうふたり……。揺れる女性の心をリアルに描く長編小説。
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Posted by ブクログ
結婚をきちんと考えるにはまだ少し早い年齢で、 だから経験したことはないけど、経験ないはずなのになんとなく分かってしまって、共感できて、心が波立つ、けど救われる話だった。
『もし、あの時ああしてたらって、自分のもうひとつの人生を勝手に想像して、それに嫉妬してしまうのね。何だか、いつも生きてない方の人生に負けたような気になっていたの。そんなもの、どこにもないのに、人生はひとつしか生きられないのに』 隣の芝生は青く見える。 どちらかに転んだとしても、幸せで不幸せかは一...続きを読む概に言えないし、自分の人生なんだからましてや他人にとやかく言われる筋合いはない。 傷つくこともまた自分を成長させてくれてる。 今日はどんなに最悪で嫌で逃げたいそんな日だったとしても、もしかしたら明日は楽しいことが待ってるかもしれない。 背中からポンと後押ししてくれるような心がじんわりと温かくなる一冊でした。 唯川恵さんの世界観が本当に好き。 他の作品も読みたくなった
会社の同期だった2人が、1人は寿退社、もう1人は独身バリキャリという道を進んでいく。そんな2人の約40年の軌跡を描いた小説。 少し時代が古く、極端な描写に感じるところもあるものの、女子同士の嫉妬や同情、戸惑い、優越感など心に渦巻くものをリアルに描写しているなぁと女の1人として面白く読んだ。 共感...続きを読むしたのはこの言葉。 「どうして誰しも、人を、どちら側の人間かとやたらに決め付けようとするのだろう」 特に女はこれを感じているんじゃないのかな。 結婚している、していない。 子供がいるか、いないか。 仕事をしているか、していないか。 幼稚園か、保育園か。 パートか、正社員か。 親は近くに住んでいるか、遠方か。 時短を取っているか、取っていないか。 こんなのどうでもいいよね! みんなそれぞれ生きてて、それだけじゃだめなのかな? 全部同じカテゴリーの人じゃなかったら仲良くできないのかな? 違うからって気後れする必要はない。 個として付き合いたいのにって思う時がある。 でも「失礼がないように」カテゴリーを確認したい気持ちもわかる。失礼ってなんだろう、子供がいない人に子供の話をしたら失礼なんだろうか、それこそ失礼なんじゃないか。人によって考え方が大きく違うから自分でも答えが見つからない。
過去、単行本でも読んだ本。 文庫になっていて再読。 乃梨子と薫。 同期で広告代理店に就職した2人の、同じ歳のお互いの様子を交互に描いてある。 比較対象になりやすい、専業主婦とバリキャリ。 どっちががうまくいっている時は、もう1人はうまくいっていなくて、…という繰り返し。 どっちの人生の出来事も、...続きを読む誰にでも起こってもおかしくないようなことが多く(起業はそんなに多くはないかもしれない)わたしは数々のエピソードに共感した。 あの時こっちを選んでいたら、そう思うことは、もちろん何度も何度もあった。 でも、選ばなかった方は、その時は青い芝でも、次のシーズンでは、また次の何かが起こってる。 人生の分岐点は、いくつもあり、進むルートは数えきれないほど、想像できないほどあるのだろう。 読む時々によって、感じ方も変わるのだろう。 選んだことを正解にする 敬愛するジェーン・スーさんがよく言っているが、わたしはこれを指針にしていこうと思っている。
感想書いてなかった…。 あのときああすればよかった、って、違う道を選んだもうひとりの自分に嫉妬するのはなんてむなしいんだろう。 たとえどんな道を選んで、どんな未来が待っていようと、女としても人間としても強く生きていきたい、と思えた本です。
女性の生態のほぼ全てが分かるといっても過言ではない作品。 結婚か仕事か。 どちらの選択をしたかによって、女性はそれぞれの派閥に分かれることになる。自分の選択こそが正しい選択なのだと思いつつ、自分とは反対の選択をした女性を羨ましいとも思う。 さらに面白いのは、選択する前の女性の多くが、私は両方手に入れ...続きを読むる、と本気で信じていること。 結局のところ、どちらを選んでも、それなりに楽しくて、それなりに辛いことがあるのだろう。 実は、女性はいつだってそういう経験をしていて、 例えば色違いのバッグを前に、どちらを購入しようか迷う。自分の意思で選択して、そこに後悔なんて微塵もないはずなのに、ある日自分が選ばなかった方のバッグを持っている人を見かけて、あーやっぱりあっちにすればよかったかな、と思う。でも、それを認めることは敗北を意味するから、自分の選択を正当化することに躍起になる。 女性の人生なんて、そんなことの繰り返し。 “あっちを選べなかった”ではなく、”こっちを選んだ”。 そんな人生を歩きたいなぁ。 小説の中に、それぞれの言い分として数多くの名言が出てきます!そばに置いておきたい作品です。
ずーっと探してようやく丸善で発見! 嬉しさのあまり1日で読破してしまった。 アァ…感じたことが多すぎて書ききれないけどチマチマ書いていきます。 郁夫さんなら仕事をする妻をちゃんと認めてくれる、そう思って仕事も捨てて結婚した薫がまずすごい。そんな人に巡り合ってみたい。けれど年々郁夫は変わっていくし、...続きを読む薫も変わっていく。 素敵な殿方に出会えたらなーと、どこかで思っていた私の自己中さ加減に嫌気がさした。 一人で生きていけるように仕事するのかな…それともやりたいことを仕事にしていくのかな…乃梨子さんは社長の立場になると従業員の生活を守る責任が生まれてくるって言ってたのも考えさせられる。 乃梨子が渉と付き合ってる時に、まるで自分が男みたいと言ったことに、衝撃を受けた。専業主夫になりたい男の人に会ってみたい!どんな考えなんだろう? ってか皆当たり前のように浮気しすぎじゃないか…?結婚すればこんなにするもんなの? あ、あとあと乃梨子が石田さんとは喧嘩をしないって話で、私も喧嘩なんて数えるほどしか、(あれ?もしかしてしたことないかも?嘘だろ)したことないのは、喧嘩したら関係が壊れるかもって思って怖くて自分の意見が言えてないんだな、と痛感。情けな… 60歳になっても、平均寿命まで25年あるって…日本人の寿命長すぎじゃない?80になっても自分のこれからを考えて、することを選べるような人になれるかな でも60になっても、もっと60歳はしっかりしてると思ってた、とか考えるなんて。今でも思ってるのに… あれ、ちょっと書きすぎたかな、恥ずかしくなってきた。
家庭に身を置くことにした薫と、ばりばりと働き続ける乃梨子との年齢ごとに二人を追った物語。仕事と家庭、女性にはどちらも手に入れたいものだけど、どちらも問い宇野はなかなか難しい。日本の中では最近はのりこタイプが多いのかもしれない。でも薫タイプのほうが結局は幸せになるのではないか、と私は思ってしまう。と、...続きを読むいうのも私は薫タイプの人間のような気がするから。
唯川恵の中で暫定1位 いろいろイベントがありすぎる気がしたけど、最後の10頁で★5つ 男でも分かる気がする
同じ会社で働く二人の女性の人生を、27歳から60歳まで、8つの章で追いかける小説。2人はこんな分け方をして欲しくないかもしれないけど、 ・キャリアに生きる乃梨子 と ・家庭に生きる薫 の物語。 どちらの言い分にも生き方にも共感できる一方で、反感も持つ。それは自分が今どんな環境にいるのか、タイミングに...続きを読むよっても変わるかもしれない。仕事を頑張っているなら乃梨子に肩入れするし、家庭を守ろうとしているなら薫に親近感が湧く。 単行本の出版は2003年ですが、そういう2人を比べたがって、二項対立を煽る風潮になりがちな現代でも通用する話。そして「age.60」の章で乃梨子が語る言葉で、そういえばそんな無意味なイガミ合いってホントは意味ないよなぁと思い知らされた。 文庫本の最後には吉川トリコさんの解説がついてて、そこで「現在独身で、結婚の予定もなく、できれば一生仕事をしていたい(文庫版解説295頁)」からトリコさんご自身も乃梨子を応援するはずだが、薫の言うことも分かる、というような一説が出てきます。 調べてみるとこの解説を書かれてから、トリコさんも読者も当然「永遠の途中」にいる人の時計は進んでいて、トリコさんもご結婚されているそう。多分この本をちゃんと読まなかったら、自分は「結局結婚したんかい」と文句を言ってたと思うけど、幸いながら乃梨子と薫の奮闘(生き様かな)を追体験できた身としては「そういうもんよ」と自然と受け入れることができた。きっとトリコさんもそうなのかもと、唯川さんの紡ぐストーリーと、乃梨子と薫、トリコさんと、すべて合わせて完成されている1冊だと感じました。
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