劉慈欣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★3.7
遥か白亜紀に、未来の孤独が滲んでいた。
恐竜とアリによる、文明発展の寓話的パロディ。
未来でも過去でもない、「今」の私たちがどう映るのか。
本書は、発明や哲学を司る”恐竜”と技術と組織を担う”アリ”が、小さな協力を経て巨大な文明共存を描く。そしてやがて「宗教」や「政治的・資源的対立」に突入し、文明は戦争へと向かっていく。
まさに人類史の縮図とも言える構図で、「蒸気・情報・核」といった技術史にも言及しつつ、最後は核のような大量破壊兵器まで登場する。
終盤は“Dr. Strangelove”を思わせる冷戦風の仕掛けをユーモアと風刺の色彩で魅せる。
蒸気→情報→核というように、古 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人類を救った理論は単純明快だった。真理ほどシンプルで、それ故に見過ごされるのだと思う。黒暗森林理論、これは本当に宇宙を説明できる社会学なんじゃないだろうか?とんでもない説得力だ。
ついに三体文明と会話を成立させるシーンの面壁者羅輯の頑張りには感動した。完全に負けたと思ったところからのどんでん返し。ヘタレだと思っててごめん。完璧な面壁っぷりに痺れました。全人類と三体文明が欺かれた。
それと、これは上巻の話だけれども、真理に気がついた時の、湖に落ちて宇宙を彷徨うような描写の美しさには息を飲まされた。そのあとの羅輯のセリフ、自分が自分の破壁人だと名乗るシーンは忘れられない。まさに鳥肌ものだった。
羅 -
Posted by ブクログ
劉慈欣が紡ぐ物語には、想像を超えるスケールと、壮大な設定を物語の終わりまで力強く貫き通す筆力があり、その圧倒的な構想力にはただ驚嘆するばかりだ。
中国SFがこれほどまでにスケールの大きな作品を生み出す背景については、単に中国人が壮大な妄想を好むからという説明だけでは不十分だという興味深い指摘がある。政府や国家体制への直接的な批判が許されにくい中国の環境下では、現実世界の崩壊やそれに対応できない政治の姿をリアルに描くことは難しい。結果として、作家たちは現実から一歩引いた視点を取り、自然と物語の舞台を地球規模、さらには宇宙規模へと広げるようになるという。この見方には深く頷かされるものがあった。
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Posted by ブクログ
ネタバレやはり面白かった。『三体』三部作のスピンアウト作品、と位置付けされているが、先にこちらを読んでから、三部作を読む順番の方が良い気がする。
というのは、本作品では、球電の謎が解き明かされていくに従って、量子状態やマクロ電子など取っ付きにくい言葉で説明される超(?)自然現象が、あたかも我々のいる世界で起きているかのようにすっとイメージを抱けるのではないかと思ったから。
ある程度の現代物理学の基礎知識があった方が楽しめるシリーズだと思うので、三部作の壮大×100倍位のスケールで、いきなり馴染のない言葉を追っかけるよりも、まず我々の世界と地続きにある本作品の世界で馴化しておくと、より楽しめるのではない -
Posted by ブクログ
ネタバレやっぱしスケール、規模感よな
扱う内容がどれも自身の生活の範疇を超えすぎていて、ニヤけてしまう。
最強の武器とは?球電とは?
そんなスケールを扱いつつ、叙情的でいちこましい描写が並び、そちら側でない人間の心にも寄り添ってくれたりしてにっこり。
男と女の関係性に関しては今作もほぼノータッチ、一方通行な恋慕があるだけ。まあこの作品はそれでいいんですよ。男女の関係はここに求めていないから。
シュレディンガーの猫やシェイクスピアを引用した人間存在が描かれているのは興味深いし、様々な武器を紹介するところは驚きとともに恐怖でもある。液体地雷とかね。
SFが強みだけどサイエンスフィクションの先端に