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人はそれぞれの星を持っている。病気の少女のため、地の果てに棲む火守の許を訪れたサシャは、火守の老人と共に少女の星を探す過酷な旅に出る--。世界的SF作家が放つ、心に沁みるハートウォーミングストーリー。
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Posted by ブクログ
大切な人の病を治すために、世界の果ての火守のもとを訪れる。 鯨の体から油を採り、骨や歯を用いてロケットを作る。月へと登り、星を磨く。毎日欠かさず決められた時間に火をつける。 幻想的な物語が、西村ツチカによるイラストと共に世界を構築する。
病気の恋人を治すため、サシャは火守の元へ赴く。 なんとあの「三体」の劉慈欣の児童書・絵物語です。日本版では西村ツチカさんが絵を描いているので、原書ではどのような雰囲気なのかちょっと興味がありますね。 ストーリーは月や星を行くとてもメルヘンな仕上がりで最後はふっと切なくて、他の作品で読み慣れた劉の印...続きを読む象はあまり感じられません。それでもところどころSF作家だなあ、と思わせる描写があったりして面白かったです。 この世界観を支えるのはなんと言っても西村ツチカさんの絵で、静謐な世界観を美しい、独特のタッチで描き出しています。西村さんといえば映画化もされた「極北百貨店のコンシェルジュさん」などの著作がありますが、その独特ながら図抜けた画力と画風は唯一無二といえます。 そんな西村さんと劉慈欣のコラボした本なんて見逃せるはずはないのです。劉のやさしい世界観と西村さんの圧倒的画力をぜひご堪能ください。
中国のSF作家である劉慈欣による童話です。 ヒオリの命を救うために、サシャは世界の果てで隠遁生活を営む火守を訪ねます。 夜空に輝く星は人の数あり、各々の星を磨き直せば体も回復すると火守は語ります。 三日月へロケットを飛ばしロープを引っ掛けるシーンは、幻想的かつ科学的で素敵な雰囲気でした。 火守にヒオ...続きを読むリを救ってもらう見返りにサシャは仕事を引き継ぐ約束をしますが、ヒオリが回復した後に心変わりはしないでしょうか…。 世界観、文章、絵、全てが温かい一冊です。
劉慈欣はアイデアの人だ。垢抜けないが、それでもその手があったかと思わせる設定や展開やディテールが次々と出てくる。段取りや手順を語る時は理屈っぽく説明調なのに、たった一言の情景描写で突然詩的になったりする。『三体』と一緒だ。でも『三体』と違って、すごく短くてファンタジック。劉のエッセンスが詰まっている...続きを読む感じがする。挿絵も物語の雰囲気にぴったりで素晴らしい。
劉慈欣氏初の童話。物語はサシャという青年が東の孤島に立っている場面からはじまる。淡々と描かれる情景描写。火守が持つ能力。サシャの願いが叶った後に描かれる火守の仕事に圧倒された。劉慈欣らしいラスト。私は少しだけ怖い。→ 童話を読まずに大人になったので、深読みしすぎなのかもしれないが、火守の仕事があま...続きを読むりにも過酷で驚いた。若き火守となったサシャはこれからずーっと火守なんだろうし、背の高い老人はずーっと火守だったんだ。 誰かがやらなければならない仕事だし、でもそれを1人の火守にやらせるのはどうなんだろう 好きな描写は40ページ。三日月の船が星々の間を通る場面。星がぶつかるときに「夏の風になる風鈴のような音を奏でる」らしい。すごく綺麗。 あと、蟻が出てきた瞬間テンション上がった(笑)
胸がむず痒いような温まるような感じがする。自分の小さい頃のアルバムを見たときのような気持ちになった。ノスタルジックっていうのかな? この本の舞台には行ったことも、見たことも無いはずなのに、何故か故郷を懐かしむような気持ちになれる。不思議です。 小説を頭の中で映像化して読むタイプの私にはぴったりでし...続きを読むた。 毎回頭の中で思い浮かんだ絵より綺麗でより鮮明な映像が見えました!あっぱれ 三体も挿し絵付きで見てみたいと思ったけどけど、最後は抽象画みたいになって無理だろうなー。却下!!
劉慈欣本人が、過去のエッセイ(ありとあらゆる可能性の中で最悪の宇宙と最良の地球:三体と中国SF)で述べている次の内容に照らし合わせれば、今作もしっかりSFだなと思う。 『SFは可能性の文学である。われわれの住む宇宙もまた無数の可能性の一つだ』 『聞くまでもなく、これこそ太陽だった。』のとことか素敵...続きを読む。 この童話は、自分達と違う理の世界が存在していいんだ、ということを優しく説いてくれていると思う。
不思議な童話。毎日太陽を昇らせる火守、愛する女の子ヒオリの病を治したいサシャ。火守のお陰でヒオリの病気は良くなったけど、サシャは再会しない。火守にも止められなかったんだから、自分の村に戻ればよかったのに。そこが不可解。
ジャンルは童話みたいですね。絵が好きすぎる。恐らく絵がなければ出会わなかった本。 でも、物語も良かった。哀愁という言葉が似合うかな。読むタイミングが違えば感想も変わる本かな。『訳者あとがき』も是非読んでください
中華SFの大作『三体』の劉慈欣による、今のところ唯一の童話、だそうです。 挿絵たっぷり、余白たっぷりの絵本の体裁で70ページほど、短ければ数十分もあれば簡単に読み終わってしまう1冊ですが、余韻も感じる素敵な1冊でした。 こういう「夢(夜見る方です)」のような展開を、綺麗にして世に出す、というのは物...続きを読む語としてとってもプリミティブな営みで、短い読書体験ながら、普段と違う脳の部分が刺激されるようで、心が洗われるような気持ちになりました。 1日の色々が全部落ち着いた夜に、ウイスキーかブランデーか赤ワインでも飲みながら、ゆったり読んでいくと、その日の寝付きが良くなりそうな気がします(笑 ただ本著、どう見ても大人向けのパッケージングではあるのですが、ストーリー的には子ども向けでも良いのでは?とも思いました。もちろん、本著は本著のままで、大人向けの1冊として素敵だと思うのですが。 言い回しも平易に直す必要が出てきちゃうとは思いますが、こういうストーリーに子どもの頃から触れるコトで、何らかの化学反応を引き起こせるような気がします。 ただ、それで若年層に売れるの?と言われると急に自信が無くなるので、KADOKAWAさんの判断はきっと正しいんだろうな...。 あらためて翻訳も、絵も装丁も素晴らしい1冊でした。
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劉慈欣
池澤春菜
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