劉慈欣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2026/03/18 読み終わった
劉慈欣とアンディ・ウィアーは全部読むと決めている。
ウィアーは今のところ全部読んでるけど、劉はこれが三体以来、かな?
三体のイメージが強い人だけど、短編も多く書いていて、この本が短編集2らしい。「円」が第1弾。
今回の収録作品は三体よりも前に書かれた作品が多くて、三体ともリンクする話や、三体に登場した人物が出てきたりする。劉慈欣らしい切り口の「世界のこの部分だけがこう異なっていたらどうなる?」からスタートする話や、三体にも通じる壮大なスケールの話が盛りだくさんで、ウィアーとは違うワクワクが味わえるのは三体と同じ。
グッときたのは、「時間移民」「思索者」「宇宙収縮」「天使時代」「鏡」「フィールズ・オブ・ゴールド」かな。最後の作品まで新鮮で飽きさせない話ばかりだった。
最後の「フィールズ・オブ・ゴールド」は三体よりも後に書かれた作品だそうだ。訳者あとがきで、劉慈欣の作品の整理もしてくれてありがたい…! -
Posted by ブクログ
ネタバレ三体が面白かったのでこちらも読んでみた
【印象に残った短編】
・郷村教師:高度な知的生命体から見た地球人。相互情報伝達は音波を通した毎秒10ビット程度の低性能なもの。世代間の記憶継承能力も無い地球人が技術を進歩させてきたのは、「教師」という人達が知識を紡いでいったから。物語後の子供たちの将来に想いを馳せずには居られなかった。
・詩雲:神に近いテクノロジーを持つ生命体が、古代地球文明の「漢詩」に興味を持ち、李白を越えようと太陽系全てと引替えに漢詩を総当りで作成しようとする話。
文化にテクノロジーで対抗しようとするその発想がまず面白い。宇宙に浮かぶ全ての可能性を含めた漢詩のストレージ、それこそがタイトルである詩雲。
「猿をキーボードの上で歩かせて偶然できた小説は、どれだけ出来が良いとしても傑作と呼べるのか?」今のAIと芸術の関係を示唆するような内容。
・人生:胎児に母親の記憶を遺伝させられたらどうなるかという話。最終的に今後の人生の悲観して胎児は胎内で臍の緒を自らちぎり自殺してしまった。無知というのは将来を考えるにあたっては保護するものになる、というのは他にも当てはまりそうだと感じた。
・円:三体にもでてきた人間計算機の話。途方もない話で面白い -
Posted by ブクログ
主要人物の一人である羅輯(ルオ・ジー)に関わる2人の女性の話し方がとても印象的。「作者のコントロールを離れ、やがて彼らの次の行動が予測不能になる。作者はただ好奇心に駆られて彼らのあとをついていき、彼らの生活の細部を除きま見たいに観察して記録する。それが名作になるのよ。」- 羅輯の元恋人である女性小説家から、小説を書いてプレゼントしてほしいとお願いされ書き始めるが羅輯の中で登場人物が自在に動き出すことに悩む。女性小説家は、作者が登場人物をコントロールするのではなく、真に才能のある小説家であれば登場人物は自由気ままに動き回り、作者はただそれを記録するだけだとするメッセージ。
「ええ。人間の表情、とりわけ目の光は、一番微妙で複雑なんです。視線やほほえみは、ものすごくたくさんの情報を伝えられる。そしてその情報は、人間にしか理解できません。人間だけがこの種の感性を持ち合わせている。」 - 羅輯の妻となる女性はとても綺麗な心の持ち方をする女性で今作の鍵になるんじゃないかと睨んでいる。SFっぽさが感じられて良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『三体』の前日譚という触れ込みであったけれど、実際には丁儀という物理学者が共通して出ているという程度で、話の繋がりはほとんどない。
が、そんなことはどうでもよくて、『三体』に比べて圧倒的に若書きで詰め込み過ぎなのが気になってしょうがなかった。
出だしは面白かったんよ。
14歳の誕生日に、目の前で両親が球電によって灰にされた陳は人一倍死を怖れながら、球電に魅せられ、物理学徒となる。
最初は気象を学んでいたが、自分が知りたいことは物理を学ばなければ分かり得ないと気づき、ひたすら球電についての研究を一人で行っていた。
ところが軍属の美女・林雲と出会ったところから、急速に物語は加速していく。
究極の兵器づくりだけを追い求める林雲とは目指すものが違うはずなのに、彼女に引きずられるように球電を兵器として活用するための研究を始める陳。
量子力学っぽい話が出てきて、なんだかシュレーディンガーの猫の話になりそうだと思ったら案の定。
観測者の有無で消失までの速度が変わる?
人間だけじゃなく、そこに観測装置があれば存在できない?
観測の意志を球電はどうやって判断するというのか?
空気中に存在するという、見えない球電の卵を捕獲する方法も、今一つ曖昧だし、球電が向かいターゲットに指向性があるってどうやって分かった?
そして、その球電が何をターゲットにするのか、どうやって分かった?
実験して、分析して、何年もかかりそうな家庭はさっくり端折って、何千もの球電を捕獲って、全然現実的じゃない。
プロットが足りなすぎる。
林雲の恋人である江星辰が戦死したとき、ガンダムのウッディ大尉みたいな人だったなと思ったせいか、後に球電の兵器としての使われ方、周辺の電波の遮断もまたミノフスキー粒子の二番煎じみたいだと思ってしまった。
中国とアメリカとの戦争で海戦と言えば、日本は絶対に巻き込まれているはずなのに記載なしなのは、まあしょうがないとして、絶体絶命だった中国が結局連合国軍に勝って終わるというのもリアリティがなあ…。
そして、丁儀が陳にその後の林雲について話すのも、さらに戦後の彼らの生活も、もはや蛇足。
とにかくエキセントリックと言えばいいか、誇大妄想狂気味の林雲の行動を正当化するための言い訳にしか見えない。
第一部だけを丁寧に書き込んでくれれば良かったのに。
残念。