門井慶喜のレビュー一覧

  • ぼくらの近代建築デラックス!

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    万城目学と門井慶喜による近代建築散歩をまとめた本。大阪、京都、神戸、横浜、東京、台湾の近代建築について書いてある。
    建物が建った経緯や設計者の人柄、エピソードがとても面白い。
    ただ、冒頭に書いてあった通り人物に焦点を当てていて、建物の写真が少ないのは物足りない。
    門井氏の薀蓄を読みながら、建物の外観、内観、ディテールをじっくり見たい衝動に駆られた。

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    2015年06月09日
  • ぼくらの近代建築デラックス!

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    ネタバレ

    初読。「機知」担当の万城目さんと「情報」担当の門井さんの絶妙な掛け合いで、建築初心者の私でも、楽しく読めた。帯の「今すぐ見に出掛けたくなる」は嘘じゃない。見たことある建物も、あらためてじっくりと見に行きたいと思ったし、紹介されていない建物にもこれからは気にしてみようと思う。建築家や建築物にまつわるエピソードを紹介してくれる門井さんの圧倒的な知識には驚く。鳩山会館の万城目さんの感想は超辛口なんだけど、建物の批評じゃないところが笑えた。早速今週末、本を片手に見に行くかな。

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    2015年06月02日
  • 小説あります

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    ネタバレ

    「人はなぜ小説を読むのか」と、本作で勇次が郁太に問いかけていますが、ちょっと前に同様のブログ記事を読みました。

    そのブロガーの記事には時々違和感を覚えることがあって、その正体って何だろうと考えていたのですが、その解答は本作の言葉でいう「人格の修行」っていう点なのかな〜と思いました。

    なんだか大げさな言い回しですが、自分と異なる考え方の人に(架空、現実問わず)どれだけ多くの人と接することが出来たか、というところでしょうか。人物描写が巧みな小説ほど、文字通り生き生きとその人物が描かれ、その人の考え方などを知ることが出来る。そうして「こういう考え方の人もいるんだ」と“他者を許容する範囲”が広がっ

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    2014年09月07日
  • 天才たちの値段 美術探偵・神永美有

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    美術品を扱う五つの短編集。
    ストレスを感じさせない良作。

    誠実な学者先生と誰よりも先を見通す天才という、典型的なホームズ&ワトソンコンビ。が、趣は少し異なる。
    本作の探偵役はホームズポジションとしては珍しいくらい、不遜でも変人でも嫌味でもない。口調は丁寧だけど紳士然とし過ぎているわけでもない。なんというか控え目。必要最低限のお手伝い。
    代わってワトソン役がよく働く。(語り手なのだからワトソン目線で話が動くのは当然として)ここでいう「働く」というのは読者に対する蘊蓄披露という意味。優秀なワトソン。

    ただ、私が見逃しているだけなのか、二人の年齢設定がよくわからず人物像をイメージしにくい。

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    2013年01月04日
  • 天才たちの値段 美術探偵・神永美有

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    ネタバレ

    美術史や美術品にまつわる謎を解いていく推理小説。
    その深さや関連つけの見事さに思わず引き込まれます。

    美術史の勉強しようかなって思ってしまいます。
    続編も楽しみです。

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    2012年10月13日
  • 天才までの距離 美術探偵・神永美有

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    古本をネタにしたものはこれまでに読んできましたが、この本は古い美術品をネタにしています。イヴォンヌというキャラクターが個性的で面白いです。

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    2012年09月04日
  • 天才たちの値段 美術探偵・神永美有

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    美術史の助教授・佐々木は、本物を見ると舌に甘みを感じるという天才鑑定家の青年・神永美有に出会う。
    ボッティチェッリの知られざる絵画「秋」を見て欲しいという画商の依頼で訪れた館には、初代館主の子爵が大正時代に東ヨーロッパで買い付けたという絵が壁にはめ込まれていた。
    確かに名品だったが、さすがにボッティチェッリとは断定しかねて…?
    なぜか神永は本物と断じて買い取ろうとしているらしい。
    その理由とは?
    画学生の実家にある蔵から出てきた古地図は、値打ちがあるものか?
    仏ねはん図の不自然なポーズの意味は?
    蒐集家だった佐々木の祖母が遺言に残した謎は?
    佐々木が畏敬の念を抱いていた美術書専門の古書店主が、

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    2010年09月16日
  • 天才たちの値段 美術探偵・神永美有

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    仰々しいタイトルのわりには普通。良い意味で。
    本業が心配になるくらい間抜けな講師に、茶目っけのあるクールな天才。
    二人を中心に温かい雰囲気があって、美術のことよく知らなくても読みやすくて、映像が浮かぶ感じがした。

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    2010年05月07日
  • 信長、鉄砲で君臨する

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    鉄砲をテーマにいろいろ書きたかったのだろうか。切り口がおもしろかった。
    ただ、鉄砲で建てるは無理があるやろと。シンプルに伝来の話が一番おもしろかった。

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    2025年11月17日
  • なぜ秀吉は

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    豊臣秀吉は天下統一を果たしながら、晩年、無謀とも言える朝鮮出兵を行ったのか。その「なぜ」に迫る歴史小説。

    人間の欲は果てしない、配下へ報奨とする土地が尽きてしまった、権力者は愚行を繰り返す、秀吉は単純に戦争が好きだった、など、多くの学者により分析されつくした朝鮮出兵の動機。それらを踏まえて小説家としての著者視点での新解釈を提示してくれると期待したのだが、消化不良のまま完結してしまったという感想。

    本作に登場する秀吉は、名もなき庶民や商人などに、勢いで朝鮮・明などを征服すると公言した手前、引っ込みがつかなくなってしまっていたように感じられる。淡々と名護屋城を築き、朝鮮向けの人と船を集めるだけ

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    2025年10月18日
  • 札幌誕生

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    ネタバレ

    札幌の成立過程を、幕末から昭和にかけての5人の人物のドラマを通じて描いた連作短編、門井先生自身が語った創作意図・作品で最も強調したかったのは、「人が住んで街になるのではなく、人はいないが街をつくる」という、極寒の大地で大規模な都市計画をゼロから推進した先人たちの信念と情熱、そして現代にも通じる「自制心」を持った5人らしい・・・が、小説ならば特定の主人公を通過した5人という書き方の方が馴染みある、つまり札幌誕生というタイトルに相応しい観察者が不在なため、読者はバラならの5人の先人話を読まされただけに終わった(辛口)バチラー八重子や有島武郎の話は札幌誕生ストーリーに何も寄与していないと断ずる

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    2025年09月23日
  • 地中の星―東京初の地下鉄走る―(新潮文庫)

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    時は大正が終わり昭和が始まる頃に、日本初の地下鉄が開業した。いまの銀座線、浅草を起点に上野、神田、新橋と徐々に延伸していく形で現在に繋がる地下鉄道網が張り巡らされていく。その裏には歴史に名を残したいという野望を持った一人の男の姿があった。

    早川徳次は日本の地下鉄の父と呼ばれる。山梨の寒村から裸一貫で東京に出てきて、渋沢栄一や大隈重信といった経産界の大物と知己を得て資金を集め、日本初の事業である地下鉄掘削を開始する。当時は市電が地上を走るものの、次第に自動車との交通戦争が激化していく時代に差し掛かっていた。

    関東大震災が起こり、東京の重心は東寄りの下町から西側へと遷っていく。そこに目を付けた

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    2025年09月21日
  • 文豪、社長になる

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    日本の錚々たる文豪の名前が次々に連なる作品
    日本の近代史と文豪菊池寛の人生を綴った一冊
    作家仲間で雑誌を創刊し、発刊部数を伸ばし、組織を作り、と順風な中、日本が戦争の渦に飲まれていき、自分の思想とは真逆の文章を綴り、それでも自分のやり方は変えられないジレンマを感じた
    途中、後述といって先に進める割には、その後の話しが前後するので時系列が時々混乱する
    そこそこ厚みのある文庫だがストーリーを推敲すればもっと読みやすくなるのにと思った

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    2025年09月18日
  • どうした、家康

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    色々なエピソードを基に作られた家康の話。13人の作家さんの家康なのに違和感なく同じ家康。それが家康
    明智光秀の謀反を事前に知っていた!?ありえるかも

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    2025年09月18日
  • 札幌誕生

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    「開拓判官ー島義勇」「ビー・アンビシャスー内村鑑三」「人の世の星ーバチラー八重子」「流行作家ー有島武郎」「ショートカットー岡崎文吉」の五話。北海道に強く関係した5人の人物を主人公にした5つの中編を、時代に沿って並べる事で、札幌の誕生とその成長を描いた作品です。
    『東京、はじまる』の感想には「口に出さない当人の考えをインデントや()で括って差し込んでいく文体は、池波正太郎によく似て非常に軽快です」と書いていましたが、今回は読み始めてしばらく(文章と言うより話の進め方が)「なんか司馬良太郎っぽいナ」と感じました。もっとも読み進めるにつれ、その感触は弱まってきましたが。とは言え、どこか余り逡巡が感じ

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    2025年08月31日
  • 銀閣の人

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    鹿苑寺(ろくおんじ)は、日本の京都市北区金閣寺町にある臨済宗相国寺派の寺院である[1]。大本山相国寺の境外塔頭で山号は北山(ほくざん)。本尊は聖観音。正式名称は北山鹿苑禅寺(ほくざんろくおんぜんじ)である[2][3]。建物の内外に金箔が貼られている舎利殿「金閣」が特に有名なことから金閣寺(きんかくじ)という通称で呼ばれることも多い[4]。

    日本文化の礎は、この男がつくりだした!

    応仁の乱は、京の街を焼け跡にしようとしていた。
    室町幕府八代将軍・足利義政は、京の秩序を守る責務から目をそらし、自らの美意識の顕現に挑んだ。
    孤独な将軍は、何に苦悩し、何を実現しようとしたのか。
    日本建築の源流とな

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    2025年08月07日
  • 定価のない本

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    戦後間もない神保町で古書店の主が本に埋もれ圧死した。不審を感じた主人公は、GHQ少佐からの依頼もあり、調査を開始する。
    当時の古書売買の事情が丁寧に描かれており、フィクションとはいえ、今、歴史を学べる事は当たり前ではないと気付かせてくれる。

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    2025年07月18日
  • 小説あります

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    再読。
    人はなぜ小説を読むのだろう。
    「好きだから」それだけでも十分な理由だけれど、
    もしかしたら私たちは、小説を通して
    孤独と向き合い、誰かの言葉に耳を傾け、
    人生のヒントを探しているのかもしれない。

    物語の中で誰かと出会い、感じ、考える時間は、
    現実の自分を見つめ直す鏡のような気がする。
    この本を読んで、そんな小説の力をあらためて感じた。

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    2025年06月04日
  • 札幌誕生

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    新聞連載で読んだ。

    情熱を燃やした人々が連綿と続いて札幌を作ったという事実も面白いが、それを繋げて書く本書の構成も面白い。
    (でもあまり興味が持てない人物もいたが。)
    バチラー八重子の章が最も面白く、アイヌの人々の生活感や息遣いが感じられた。
    会話の前後の、作者特有の独特の語り口が面白かった。

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    2025年05月14日
  • 家康、江戸を建てる

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    今の東京しか知らない自分にとって、家康が江戸に左遷されたというのは驚きでした

    解説の「日本列島は西高東低」という話も、気候や大陸との距離といった理由を知って納得です

    何もなかった江戸を都市にしていく苦労や、地名の由来を知ることができたのも良かった

    天下統一で褒美に与える土地がなくなり、経済が貨幣中心へと移っていったという描写には、現代の知識を通して歴史を捉え直すような面白さがありました

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    2025年05月10日