門井慶喜のレビュー一覧
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購入済み
江戸を建てたのは誰?
江戸を建てたのは、勿論家康公。
だけど、「江戸」という大構成物のパーツの数は膨大で、
パーツの物語のいくつかをピックアップして
モザイクのように編んだ本、が本書です。
パーツを章立てにしてあるので、読みやすいです。
私は冒頭の川の話が好きです。
江戸開府には、きっと他にもドラマティックな話があるでしょうし、
是非続編が読みたいです。 -
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ネタバレ「人はなぜ小説を読むのか」と、本作で勇次が郁太に問いかけていますが、ちょっと前に同様のブログ記事を読みました。
そのブロガーの記事には時々違和感を覚えることがあって、その正体って何だろうと考えていたのですが、その解答は本作の言葉でいう「人格の修行」っていう点なのかな〜と思いました。
なんだか大げさな言い回しですが、自分と異なる考え方の人に(架空、現実問わず)どれだけ多くの人と接することが出来たか、というところでしょうか。人物描写が巧みな小説ほど、文字通り生き生きとその人物が描かれ、その人の考え方などを知ることが出来る。そうして「こういう考え方の人もいるんだ」と“他者を許容する範囲”が広がっ -
Posted by ブクログ
美術品を扱う五つの短編集。
ストレスを感じさせない良作。
誠実な学者先生と誰よりも先を見通す天才という、典型的なホームズ&ワトソンコンビ。が、趣は少し異なる。
本作の探偵役はホームズポジションとしては珍しいくらい、不遜でも変人でも嫌味でもない。口調は丁寧だけど紳士然とし過ぎているわけでもない。なんというか控え目。必要最低限のお手伝い。
代わってワトソン役がよく働く。(語り手なのだからワトソン目線で話が動くのは当然として)ここでいう「働く」というのは読者に対する蘊蓄披露という意味。優秀なワトソン。
ただ、私が見逃しているだけなのか、二人の年齢設定がよくわからず人物像をイメージしにくい。
蘊 -
Posted by ブクログ
美術史の助教授・佐々木は、本物を見ると舌に甘みを感じるという天才鑑定家の青年・神永美有に出会う。
ボッティチェッリの知られざる絵画「秋」を見て欲しいという画商の依頼で訪れた館には、初代館主の子爵が大正時代に東ヨーロッパで買い付けたという絵が壁にはめ込まれていた。
確かに名品だったが、さすがにボッティチェッリとは断定しかねて…?
なぜか神永は本物と断じて買い取ろうとしているらしい。
その理由とは?
画学生の実家にある蔵から出てきた古地図は、値打ちがあるものか?
仏ねはん図の不自然なポーズの意味は?
蒐集家だった佐々木の祖母が遺言に残した謎は?
佐々木が畏敬の念を抱いていた美術書専門の古書店主が、 -
Posted by ブクログ
数年前にこの作家さんの直木賞作品「銀河鉄道の父」を読んだけど、その時の作風とイメージが違ってちょっと驚き。
銀河鉄道〜はもうちょっと真面目な感じだったけど、この本はちょっとくすっとしちゃうようなところがあったり、少しくだけた雰囲気。
この本のほうが昔の作品だけどこんな感じの小説も書いてたのか。私としてはこの本のほうが好きで楽しかった。
実在人物が出てくるからてっきり本当にあった事件なのかと思ったけどそうではないみたい。
だけど史実を交えながらのストーリー展開で勉強にもなったしシンプルに面白かった。
こういうちょっと癖のあるキャラが出てきたりくすっと笑えるところがある小説はすごい好きだから、他 -
Posted by ブクログ
うーん。。
タイトルから「ミステリー」「美術」という二つのものから近代(ヨーロッパ、特にイギリス)という社会を読み解く…的なものだと思って手に取ったんです。最初はそんな感じで進むんですが、後半の方に一人称と三人称の話になり、最後は主観と客観の話になり、近代の話は一体どこに行ってしまったの?って感じでした。こちらの著者先生の本は初めてですが(「銀河鉄道の父」を書かれた方のようですね)先生の好きなもの、言いたいことを詰め込んだ感じの本の印象を受けました。
もちろん個々の話はとても面白かったです。産業革命とミステリー誕生の関連性とか、イスラム世界の細密画の描き方のルールとか、そうなんだ!と楽しく読