門井慶喜のレビュー一覧
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新選組には実はそれほど思い入れはない。
昔大河ドラマで見た、程度のものだ。
ただ、料理人目線で描いていく面白さに期待したのだ。
主人公は、菅沼鉢四郎という。
かろうじて、武士。
禄を取る甲斐性もなく、不器用で内職もできず。
故郷を捨てて一緒になった妻に養ってもらう生活。
他の男との子どもとも知らず、娘を育ててきた。
ところが、蛤御門の変での大火事を機に、妻に捨てられる。
この男を拾ったのが、新選組の原田左之助。
新選組に詳しくないので、この左之助なる人物については全く知らなかった。
屯所の設営などに尽力した人らしい。
そして、新選組の幹部には珍しく、京で妻帯した人でもあるとのこと。
そし -
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美術系ミステリ。
この人の本は何冊か読んできた。
きっと美術のうんちくがつまったミステリなんだろう。
何となしに手にしたが、これ、シリーズ第三作だった。
もちろん、ベテランの門井さんなので、この巻から読み始めても差し支えない。
とはいえ、やはり神永美有の設定が謎すぎる。
本物には甘みを、贋作には苦みを感じる、特異な舌で判断するというのだから。
この巻では、「春のもみじ秋のさくら」という一編がある。
美有が二十歳で特異な味覚に初めて気づくところが描かれている。
でも…だからといって、受け入れられるかというと、やはり人によるのかな。
大田聴雨の軸と大正六年の台風の関わりは面白かったけれど。
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門井氏の本は「家康、江戸を建てる」を先に読んだので、時代小説の作家と思ったら、推理小説でのデビューとのこと。この本のタイトルに惹かれて読んでみたが、膨大な美術の蘊蓄が書かれていて読み飛ばしながら読んで行った。本物かどうか、見た瞬間に味で分かるという、特異体質の青年美術コンサル(神永)と美術専門の短大講師(佐々木)が繰り広げる真贋論争。表向きは短大講師が勝つのだが、その裏でひっそりと神永が勝っているというパターン。神永のせいで仕事を無くした学芸員がライバルとして何度も立ち塞がる。政治家の親と子や佐々木講師の伯母との遺産問題も何となく最後は良い話しで終わる。もっと素人も分かる美術論争だったらとも思
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信長と鉄砲という組み合わせ~1鉄砲が伝わる(そして試作させる種子島時堯)2鉄砲で殺す(信長に命じられた橋本一把は根来から鉄砲を手に入れ,岩倉攻めで弓の師と差し違える)3鉄砲で儲ける(堺は鉄砲作りで根来・国友の後塵を拝していたが,後の今井宗久は後の千利休との硝石輸入合戦を日本で容易に手に入れられる硫黄で逆転する)4鉄砲で建てる(信長の天下取りに貢献した鉄砲足軽は平時には安土城の足場作りの足衆であったが,信長の天主作りに熱狂し,丹羽が画策する櫓作りと敵対したが,天主は名もない人々が主役となる世の中の象徴でもあったのだ)5鉄砲で死ぬ(有能であった明智光秀は京都係から外されて,新式銃を持って本能寺を攻
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後に『文禄・慶長の役』と呼ばれる朝鮮出兵。
タイトル通り『なぜ秀吉は』朝鮮出兵を思い立ったのか、について様々な視点で描く。
博多商人・神谷宗湛(そうたん)
キリシタン大名・小西行長
後の天下人・徳川家康
そして朝鮮から来た陶工・カラクと元武家の妻・草千代。
作中にも出てくる巷間の説としては
『あらたな封土』を得るため
『勘合貿易の復活のため』
『歴史に名をのこしたいから』
『権力者の気まぐれ』
など様々なある。
だが家康は全く違う視点で考える。個人的にはこの説は面白いと思った。家康らしい考え方でもある。
だが秀吉はそれは違うと言う。
またイエズス会宣教師たちの、一般的に伝えられている面 -
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ネタバレ文禄・慶長の役を起こした理由に迫る歴史小説。
ラストで秀吉が語る理由は後付けだとは思うものの、そのような考え方もありと思いました。
泳ぎ続けなければ死んでしまう魚のように、成長し続けるしかない企業のように、現状維持では我慢できないということには一理あると思います。
物語としては、巷間されている理由を各歴史上の人物たちに語らせ秀吉が否定する群像劇のパートと架空の登場人物である唐津の陶工カラクとキリシタン女性の草千代のパートの使い方が自分としてはイマイチな感じがしました。
著者らしく名護屋の街づくりについては分かり易く、歴史上の興亡も面白かったです。
せっかくおいしいテーマと面白い理由考察ができ -
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豊臣秀吉の晩年、朝鮮出兵の真の理由をめぐり、関係する人たちの心のうちを描く歴史小説。
博多の商人である神田宗湛、出兵の先鋒に立たされることになる小西行長、そして家康。それぞれの立場で、いろいろな解釈をいろいろな場面で披露している。そこに、朝鮮出身の陶工カラクや、武家の女房であった草千代が絡んでくるのが面白い。
力ずくでねじ伏せるしかない戦国の世にあって、天下人に登り詰めるその先に、ただ朝鮮があっただけと秀吉は言いたいのかもしれないが、その原動力はつまるところ、権力に対する欲望にほかならないのではないか。今の時代の権力者には想像もつかないほど強大な。
そして、名護屋城ほか全国各地の400を数える