門井慶喜のレビュー一覧

  • 信長、鉄砲で君臨する

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    オムニバスのような形式で、文体も軽くテンポもよい。

    登場人物が割と簡単に死んで感情移入しづらい分、展開を楽しむ形になる。

    戦国時代の火縄銃を巡る変遷はよくわかる。
    初期は引き金を引いてから弾丸を発射するまで数秒かかっていたのが、日本の職人の工夫でほぼ同時になったというのは知らなかった。この工夫がなければ、火縄銃の使われ方も違っただろうし、違った歴史になっていたかもしれない。

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    2022年04月20日
  • 信長、鉄砲で君臨する

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    信長と鉄砲という組み合わせ~1鉄砲が伝わる(そして試作させる種子島時堯)2鉄砲で殺す(信長に命じられた橋本一把は根来から鉄砲を手に入れ,岩倉攻めで弓の師と差し違える)3鉄砲で儲ける(堺は鉄砲作りで根来・国友の後塵を拝していたが,後の今井宗久は後の千利休との硝石輸入合戦を日本で容易に手に入れられる硫黄で逆転する)4鉄砲で建てる(信長の天下取りに貢献した鉄砲足軽は平時には安土城の足場作りの足衆であったが,信長の天主作りに熱狂し,丹羽が画策する櫓作りと敵対したが,天主は名もない人々が主役となる世の中の象徴でもあったのだ)5鉄砲で死ぬ(有能であった明智光秀は京都係から外されて,新式銃を持って本能寺を攻

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    2022年03月22日
  • 信長、鉄砲で君臨する

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    小説としては何とも言い難い中途半端な印象。種子島に鉄砲が伝来してからの約40年を5つの切り口で書くという視点は面白いが、5話の連携が希薄なので全体としてやはり中途半端。個人的には種子島時堯と伝来してからの鉄砲の改良と戦への影響をもっと深堀してほしかったなあ。

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    2022年03月13日
  • なぜ秀吉は

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    後に『文禄・慶長の役』と呼ばれる朝鮮出兵。
    タイトル通り『なぜ秀吉は』朝鮮出兵を思い立ったのか、について様々な視点で描く。

    博多商人・神谷宗湛(そうたん)
    キリシタン大名・小西行長
    後の天下人・徳川家康
    そして朝鮮から来た陶工・カラクと元武家の妻・草千代。

    作中にも出てくる巷間の説としては
    『あらたな封土』を得るため
    『勘合貿易の復活のため』
    『歴史に名をのこしたいから』
    『権力者の気まぐれ』
    など様々なある。

    だが家康は全く違う視点で考える。個人的にはこの説は面白いと思った。家康らしい考え方でもある。
    だが秀吉はそれは違うと言う。

    またイエズス会宣教師たちの、一般的に伝えられている面

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    2022年01月15日
  • 天才たちの値段 美術探偵・神永美有

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    舌で真贋が分るという特殊設定なので、鑑定にまつわるといっても、こっちが本物で終る、単純な話は当然ない。美術品やその鑑賞にまつわる蘊蓄をベースに、凝った話が続く。細かいところのまで神経が行き届いた美術ミステリとして完成度は高いが、重点はそこにはなく、人間ドラマの方のようだ。きちんとした、と形容されるような話が好きな人には合うと思う。

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    2021年10月27日
  • なぜ秀吉は

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    ネタバレ

    文禄・慶長の役を起こした理由に迫る歴史小説。

    ラストで秀吉が語る理由は後付けだとは思うものの、そのような考え方もありと思いました。
    泳ぎ続けなければ死んでしまう魚のように、成長し続けるしかない企業のように、現状維持では我慢できないということには一理あると思います。
    物語としては、巷間されている理由を各歴史上の人物たちに語らせ秀吉が否定する群像劇のパートと架空の登場人物である唐津の陶工カラクとキリシタン女性の草千代のパートの使い方が自分としてはイマイチな感じがしました。
    著者らしく名護屋の街づくりについては分かり易く、歴史上の興亡も面白かったです。
    せっかくおいしいテーマと面白い理由考察ができ

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    2021年10月23日
  • なぜ秀吉は

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    秀吉が明に攻め入ろうとした理由についての物語。
    冒頭の秀長による話は本心のようにも感じたし、理由についてもこれだと思ってた。
    信長からの意向、封土確保、貿易、一致団結など、いろいろあるが秀吉はなかなか語らず、全国統一した秀吉にしか見えない視界なのかといろいろ錯綜するが、秀吉がいよいよ語った意外な発言とは。

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    2021年08月14日
  • なぜ秀吉は

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    樹ですか?ハードボイルドな秀吉像だけど、何となく違和感を感じてしまいました。小説は読ませてくれます。でも、えっそれ?

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    2021年08月09日
  • なぜ秀吉は

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    「西欧の大航海時代を、日本の戦国時代がどう跳ね返したのか」ということに最近はまっていて読んだ本

    もう少し人物に色付けが欲しかったかな
    題名の付け方は秀逸

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    2021年07月24日
  • なぜ秀吉は

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    豊臣秀吉の晩年、朝鮮出兵の真の理由をめぐり、関係する人たちの心のうちを描く歴史小説。
    博多の商人である神田宗湛、出兵の先鋒に立たされることになる小西行長、そして家康。それぞれの立場で、いろいろな解釈をいろいろな場面で披露している。そこに、朝鮮出身の陶工カラクや、武家の女房であった草千代が絡んでくるのが面白い。
    力ずくでねじ伏せるしかない戦国の世にあって、天下人に登り詰めるその先に、ただ朝鮮があっただけと秀吉は言いたいのかもしれないが、その原動力はつまるところ、権力に対する欲望にほかならないのではないか。今の時代の権力者には想像もつかないほど強大な。
    そして、名護屋城ほか全国各地の400を数える

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    2021年07月23日
  • 注文の多い美術館 美術探偵・神永美有

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    シリーズ第三弾。
    美術品にまつわる真贋を解き明かすシリーズだが、あいもかわらず読者を引き込む。
    本作は隕石で作られた流星刀、金印ならぬ銀印、支倉常長が持ち帰ったローマ法王の肖像画など。
    美術に興味のない読者も、興味をもってしまう語りも秀逸。
    しかし、歴史上、重要な逸品というのは名もない市井の農民の家から出てくるのは何故だろう。

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    2021年06月12日
  • なぜ秀吉は

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    なぜ秀吉は…朝鮮出兵したのか。
    秀吉の周りを取り巻く様々な人々の視点から。
    特にカラクが主のような気がした。

    生まれたときから武士であるような大名たちとは異なり、百姓の子という圧倒的な出発地の低さがあるからこそ、常に上に上にとする根性、欲が強かったのではないだろうか。そこが朝鮮、明へと手を広げていった根底としてあるのではと考えた。

    本当のところは秀吉にしか分からないが。 

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    2021年06月05日
  • なぜ秀吉は

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    なぜ秀吉は朝鮮出兵したのか?

    に関しては、弱い。。。

    小説としてはそれなりにおもしろい。

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    2021年06月03日
  • おさがしの本は

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    大多数の人に必要なものであることだけが重要なのではなくて、ほんの一部の、でもそれを確かに必要としている人を助けられる存在があることも重要。何に対してもそういう見方ができれば、もっと豊かでいられるだろうなって思った。いろんな本が読みたくなる。

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    2021年04月20日
  • 新選組の料理人

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    軽いなあ。
    『銀河鉄道の父』で直木賞後の第一作です。
    タイトルは『・・料理人』で、実際に前半は武道は全くダメで赤子の世話と料理が得意な菅沼鉢四郎という元浪人が主人公です。しかし、話が進むにつれ十番隊組長の原田左之助が、最後には隊長の近藤勇が中心になり、鉢四郎は端役に追いやられて行きます。それに従い、最初は新選組の衣食住を扱っていた物語が、幕末の政情と近藤勇の政治的活動が大きなボリュームを占める様になり、特異性が失われてありきたりの「新選組もの」になってしまいます。
    そうなると、どこまで人物が描けるかという事が作品の良し悪しを決める要素になると思うのですが、どうもそこがプアな気がします。その例が

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    2021年04月15日
  • にっぽんの履歴書

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     1971年群馬県生まれ、門井慶喜「にっぽんの履歴書」、2018.1発行。艦これ(艦隊これくしょん)と司馬遼太郎、お人よしの台湾統治、漱石書簡の文体秘密の3部構成からなるエッセイ集です。門井慶喜は本名のようで、幼いころから良きにつけ悪しきにつけ徳川慶喜を意識されたようですw。慶喜を名君と見るか臆病者と見るかは別にして、32歳から隠遁生活、45年の暇つぶし、狩猟、謡、油絵、囲碁、将棋、写真、自動車・・・、風流人であったことは間違いないですね。

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    2021年02月15日
  • シュンスケ!

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    伊藤博文は本当にこんな人だろうか?
    幕末後が殆どないのが特に残念。
    作者の思いが強すぎてどうも腑に落ちない。
    残念。

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    2021年02月06日
  • ゆけ、おりょう

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    坂本龍馬の妻、おりょうを描いた作品

    鉄火肌で喧嘩っぱやく、大酒呑み。
    龍馬の情けなさにほだされて結婚したおりょう。

    時代の真ん中へと突き進んでゆく龍馬。
    ただ待つだけの存在になってしまったおりょう

    普通に出会って普通に過ごせたらさぞ幸せだったのだろう。
    激動の時代に巻き込まれた女性でもある悲しさ。

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    2021年02月03日
  • にっぽんの履歴書

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    ネタバレ

    「慶喜」と名付けられたことで江戸史幕末史への関心が起きた/学生時代、古本屋で幸田露伴全集44巻24万円を購入し2ヵ月間食パン2枚づつで3食で読み耽った。文語文に通暁。現在では3万円程度/「書評試作」二十数篇を丸谷才一に送付。思いがけず返信あり「よく書けているが深みが必要」/サラリーマン作家の頃の習性で、四時半起床して執筆…午前中に昼寝が至福の快楽/『坂の上の雲』は〈艦コレ〉の源流という。明治時代の男たちは軍艦をどれほど誇らしく眺めただろう。日清戦争当時、清国の海軍力は日本を上回っていたが奇勝、それから十年

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    2021年01月30日
  • キッドナッパーズ

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    様々なテーマの短編集であり、あっさりとした話が多いので、気軽に作者の幅広い作風が楽しめる。
    だがこれをミステリーとして分類してしまうと期待外れ感が出てしまうのでは。

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    2021年01月24日