門井慶喜のレビュー一覧
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ネタバレ古典籍を巡るサスペンスミステリーですね。
戦後一年たった昭和二十一年終戦記念日に、神保町の古本屋で、古本に押し潰されて、一人の古書店主が死んだ。
そこから、事件は始まる。
古書店主の先輩で、古典籍のみを扱う琴岡庄治は、事故ではなく、事件ではないかとみて、真相究明に乗り出す。
話が、ここまでなら、単なる推理ミステリーなのですが、さすがに門井さんは歴史ミステリーの強者。
話が、GHQにも及んで、戦後の日本の古典籍の危機をサスペンスがらみで物語ります。
徳富蘇峰、太宰治、九条家、神田の古書店総出演で、物語を膨らませます。
門井さんの取材力と物語の構想力には畏れ入るばかりです。
参考文献は、古典籍販売の反町茂雄さんの本が有るばかり、凄い知識力で古典籍を語ります。
対談 門井慶喜✖️岡崎武志 も興味深いものでした。
古書好きには、面白味満載のミステリーですね。
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先日読んだ「帝国ホテル建築物語」と比較すると、どうも作品へ思い入れが出来なかった。
上述した大正期の苦労人達の物語と、維新を這い上がった(本書の辰野金吾も十分苦労はしているのだが)才能ある野心家の物語では、自分の性格的にどうしても前者に思い入れてしまう。勿論フィクション上の辰野に対して、だが。
辰野に対比されるジョサイア・コンドルや曾禰達蔵は実際もなのかも知れないが余りに恬淡としているし、辰野に似ている妻木頼黄は大して書ききれない内に病死してしまう。
辰野の対立軸を決められないまま作品が終わってしまった、という印象が強い。
天神橋筋 西日本書店にて購入。 -
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明治中〜後期の「はじめて物語」は
バイタリティがあって楽しいね!
もちろん、今と比べて一長一短あるけど
こうして後世から見てみると
何事かを成したいという熱量がすごい。
そのなかでも、これは建築の物語。
好きな分野だから、なお楽しかった。
この時代の建築関係の本には
かならず名の上がる「辰野金吾」
東京駅や日本銀行を設計した人として
名前はもちろん知っていたものの
その人となりと人生を
小説にアレンジされているとはいえ
これで追うことができました。
まぁ、天才のまわりの人間は
いつでも巻き込まれて大変ってことで( ̄∀ ̄)
曾禰達蔵もよくずっと交遊を続けてたなぁ。 -
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信長、秀吉、家康の3人の中で、この10数年前くらいから最も酷く、そして悪く言われているのが秀吉。「戦ベタ」で「調子のいい奴」。下劣かつ卑劣、家康に夫のいた妹と母親まで人質に差し出した。好色で、身分の高い女ばかり何人も側室にした。確たる理由もなく「千利休を切腹、そして梟首。」「甥の秀次切腹、女、子供を含む眷属30名以上の処刑。」そして最大最悪の愚行「朝鮮出兵」。この小説は最後の「朝鮮出兵」を、「なぜ」ではなく「なぜか秀吉は」決断したために起こる色々な思惑、騒動を書いている。他の悪行等についてはスルー。まあこの「朝鮮出兵」以外の悪行については、どういう経過だろうと戦国時代を終わらせ、絶対的権力者となった者が、たまにやってしまう悪行。古今東西、何処でも、何時でもある話。もっとも、こういう権力者を好きか嫌いかは別だが、戦国時代の武将の残忍さ卑劣さはよく知られている。信長の残忍性は凄まじいし、家康の狸爺い振りは酷い。問題は「朝鮮出兵」。「なぜ秀吉は」朝鮮出兵を決断し実行したのか?その理由は?従ってきた武将達に分け与える土地を得るためか?土地変わりの金を大量に得るための勘合貿易をしたいせいか?不満を持つ者達に共通の敵を与え、それに向かわせるためか?或いは単に秀吉が老いてボケただけか?秀吉が頭の働かない傲慢じじいで世界を知らな過ぎたからか?それとも·······?作者が、この小説のなかで主人公秀吉の口から言わせている答は、「欲という奴」。ただ、その答を聞いた家康は「多分違う」と思った。と言うことは作者自身も「違う」と思っているかも。この謎解きの部分は中途半端。しかし、この小説は謎解きを主体にしているのではなく「朝鮮出兵」によってもたされた騒動が主体だと思う。あっという間に日本一の港町になった九州博多の名護屋、日本一の城となった名護屋城。そして、あっという間に寂れた名護屋、廃城となった名護屋城。この馬鹿げた騒動は?一体何の歴史的意義があるのか?·······でも、この小説の秀吉が言った「欲」。良いなあと思ったけど。「秀吉」はボケたか、傲慢か、世界を知らないか、欲ボケか。·······では、テムジンには、どんな「欲」があったのか。彼は「世界の広さ」を知っていて、草原を駆け抜け、砂漠を越えて行ったのか?·······「掠奪者」と呼ばれ、大帝国「遼」の礎を築いた阿保機は「大宋」に何の夢を見たのか?·······大国「遼」を滅ぼし、ついには中国北半分を支配した「金」の阿骨打は「南宋」の何に憧れ、何に失望したのか?そして奴児哈赤は?·······「世界の英雄」達は、どんな「欲」があって他の土地を侵略していったのか?或いは「夢」があって。勿論、侵略された方は堪ったものではないし、赦せない暴挙にしか思えないだろうが。この小説は、この部分でも(「欲」、「暴挙」のことに関しても)中途半端だと感じた。ただ「大騒ぎ」を書きたかっただけなら、まあ、それはそれで有りか。
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ネタバレ明治期に日銀や東京駅を設計し、近代建築の祖となった辰野金吾の物語。巻末に自ら史実に基づくフィクションと書いてあるから物語なのだろうが、参考文献の記載がないのはなぜなのか。実在の人物を描いているにも関わらず、出版社が参考文献なしをよしとする基準はどこなのだろう。高橋是清が意外(私が知らなかっただけなのですが)な役割を演じていて、興味深かった。この作品と無関係だが、明治期の血気盛んな人物を描くと、なぜかみんな漱石の『坊ちゃん』に似るのは気のせいか。日銀といい、東京駅といい、新しい工法をその都度試していく先駆者の心意気には感服する。
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新選組には実はそれほど思い入れはない。
昔大河ドラマで見た、程度のものだ。
ただ、料理人目線で描いていく面白さに期待したのだ。
主人公は、菅沼鉢四郎という。
かろうじて、武士。
禄を取る甲斐性もなく、不器用で内職もできず。
故郷を捨てて一緒になった妻に養ってもらう生活。
他の男との子どもとも知らず、娘を育ててきた。
ところが、蛤御門の変での大火事を機に、妻に捨てられる。
この男を拾ったのが、新選組の原田左之助。
新選組に詳しくないので、この左之助なる人物については全く知らなかった。
屯所の設営などに尽力した人らしい。
そして、新選組の幹部には珍しく、京で妻帯した人でもあるとのこと。
そして、この人に関わってしまったがために、鉢四郎にもだんだんと変化が起こってくる。
(この人にそんな心境の変化が起こるのかなあ、とやや訝しく思ったりするのだが。)
ベテラン作家らしい、そつない作品だなあ、と思う。