門井慶喜のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日本銀行、東京駅を建築した辰野金吾さんの一代記
留学先から戻った場面から始まり、夢や理想を語り実現に向けて進んでいく。
欲しいと思った仕事のためには師匠を否定することも厭わない豪快で単純な金吾。
晩年、弟子から否定され若かった頃に自分が師匠にしたことを思い出し、老いた自分に嫌気がさしながらも新しいことを生理的レベルで受け入れられないことで喪失感を覚えるあたりは切なかった。
時代が時代なだけに、色々なものが西洋式に変わっていく過渡期に取り残されていくような感覚は社会人なら誰でも経験することだけど、仕方のないこと。
物語の中の言葉を借りれば
人間は、真摯に仕事する限り、誰でも過渡期の人 -
Posted by ブクログ
[1]優秀な旅行企画マンだった敬典は現在ヤヌシ(専業主夫)として中学生の娘つばめ、大企業の子会社で重要なポストに就いている妻の陽子を支えているが難しい年頃の娘との関係はデリケート。
[2]家族とは《人はみな、死ぬ瞬間まで中ぶらりんだ》《だから親が子の心を忖度するのも、子が親の心を意識するのも、要するに中ぶらりんが中ぶらりんに対してる》《そのことに耐えねばならない。おたがいに》p.318
[3]ミステリとしては敬典が持ち前の知識と発想力で謎を解くあっさり軽やかな日常の謎系で読みやすい。いくらかウンチクも得られます。読んで謎を解ける読者はほとんどいないのでは? それこそ敬典並でないと。この『人形の -
Posted by ブクログ
ネタバレ古典籍を巡るサスペンスミステリーですね。
戦後一年たった昭和二十一年終戦記念日に、神保町の古本屋で、古本に押し潰されて、一人の古書店主が死んだ。
そこから、事件は始まる。
古書店主の先輩で、古典籍のみを扱う琴岡庄治は、事故ではなく、事件ではないかとみて、真相究明に乗り出す。
話が、ここまでなら、単なる推理ミステリーなのですが、さすがに門井さんは歴史ミステリーの強者。
話が、GHQにも及んで、戦後の日本の古典籍の危機をサスペンスがらみで物語ります。
徳富蘇峰、太宰治、九条家、神田の古書店総出演で、物語を膨らませます。
門井さんの取材力と物語の構想力には畏れ入るばかりです。
参考文献は、古典籍販