門井慶喜のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
豊臣秀吉の晩年、朝鮮出兵の真の理由をめぐり、関係する人たちの心のうちを描く歴史小説。
博多の商人である神田宗湛、出兵の先鋒に立たされることになる小西行長、そして家康。それぞれの立場で、いろいろな解釈をいろいろな場面で披露している。そこに、朝鮮出身の陶工カラクや、武家の女房であった草千代が絡んでくるのが面白い。
力ずくでねじ伏せるしかない戦国の世にあって、天下人に登り詰めるその先に、ただ朝鮮があっただけと秀吉は言いたいのかもしれないが、その原動力はつまるところ、権力に対する欲望にほかならないのではないか。今の時代の権力者には想像もつかないほど強大な。
そして、名護屋城ほか全国各地の400を数える -
Posted by ブクログ
軽いなあ。
『銀河鉄道の父』で直木賞後の第一作です。
タイトルは『・・料理人』で、実際に前半は武道は全くダメで赤子の世話と料理が得意な菅沼鉢四郎という元浪人が主人公です。しかし、話が進むにつれ十番隊組長の原田左之助が、最後には隊長の近藤勇が中心になり、鉢四郎は端役に追いやられて行きます。それに従い、最初は新選組の衣食住を扱っていた物語が、幕末の政情と近藤勇の政治的活動が大きなボリュームを占める様になり、特異性が失われてありきたりの「新選組もの」になってしまいます。
そうなると、どこまで人物が描けるかという事が作品の良し悪しを決める要素になると思うのですが、どうもそこがプアな気がします。その例が -
Posted by ブクログ
ネタバレ鳥取県に実在する第3セクター鉄道、若桜鉄道を舞台としたローカル線(または沿線地域)再生の物語…を想像して読んでみましたが、全然違っていました。これ、実在の鉄道を舞台にする必要はあったかなあ。若桜鉄道を積極的にPRしている訳でもないし、実際の沿線風景に触れる訳でもない。若桜とライトって現実にも関わりありましたっけ?
そういう馴れ初めというか、執筆の経緯は読者に知らせて頂きたかったです。解説はおろか、あとがきも無いってちょっとどうなんでしょう(単行本にはあるのでしょうか)。
で、肝心の内容ですが、大くくりすれば主人公の成長物語なのでしょう。しかし、焦点がローカル線にあるのか、近代建築にあるのか -
Posted by ブクログ
鳥取県の三セク、若桜鉄道うぐいす駅の駅舎取り壊し計画をめぐり、村長と住民グループとが激しく衝突する。
主人公涼太は、ここに巻き込まれてしまう。
村長の孫にして、住民グループリーダーの重次郎からは学問上の孫弟子にあたるからだ。
うぐいす駅の駅舎は本当にF・L・ライトの設計なのか。
そうでないなら、真の設計者は誰なのか。
私大の史学科の院生である主人公が謎解きをする。
これがこの本の一番のサスペンスかと思うと、実はそうでもない。
現役のまま頓死した村長、芹山剛造の後任の村長選が告示される。
鶯村でのデモ中に発作を起こして死んだ守る会の久世みち子。
その息子、静男が村長選に出馬する。
涼太は恋