あらすじ
気鋭の歴史作家が『時の娘』『薔薇の名前』『わたしの名は赤』などの名作をとおして、小説・宗教・美術が交差する「近代の謎」を読み解く!
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Posted by ブクログ
肖像画、産業革命、作家の生きた時代と、母国の歴史の重さ。そういう様々な視点から、ミステリの構造を解いていく本。書籍というのは娯楽ではあるけれど、同時に社会そのものや政治でもあるのだな、ということが良く分かります。
難しい歴史背景はさておき、文中に例として引かれた作品がどれも面白そうで、何篇か通販で購入しました。一般の書店のベストセラーの棚には絶対に並ばない、ここで紹介されなかったら出会えなかったであろう作品たち。これらを読むのも楽しみです。
Posted by ブクログ
昔はやったニューヒストリシズムの文芸批評のような本かと思っていた。
いくつかの、ミステリの嚆矢となる作品を取り上げ、それぞれを書かれた当時の時代背景(そこには美術品も含む)の中に置いて解釈する、というようなー。
ところが、この本の射程はもっと長かったのだ。
近代という時代の特質が、見ることや語ることを変質させ、ミステリというジャンルを生んでいくという運動を解明しようとした本だと理解した。
とはいうものの、やはりどこかで富山多佳夫さんの本や、その論じ方を思い出さずにはいられず、既視感がどうもぬぐえなかった。
Posted by ブクログ
名作のミステリを、産業革命や宗教裁判など、史実・その時代背景から読み解く評論。
物語の中に書かれた、逃走の話を当時の時刻表などから調べ、どのように逃走したのか、どういう時代背景で逃げられたのか等を読み解く。
また挿絵や当時の美術から、その登場人物がどのような宗教を信じていたか、本心はどうだったのかも読み解いている。
普通に読むのとは違う面白い見方で、とても楽しんで読めた。
ここに紹介されたミステリを、これを踏まえて読んでみたい。
Posted by ブクログ
うーん。。
タイトルから「ミステリー」「美術」という二つのものから近代(ヨーロッパ、特にイギリス)という社会を読み解く…的なものだと思って手に取ったんです。最初はそんな感じで進むんですが、後半の方に一人称と三人称の話になり、最後は主観と客観の話になり、近代の話は一体どこに行ってしまったの?って感じでした。こちらの著者先生の本は初めてですが(「銀河鉄道の父」を書かれた方のようですね)先生の好きなもの、言いたいことを詰め込んだ感じの本の印象を受けました。
もちろん個々の話はとても面白かったです。産業革命とミステリー誕生の関連性とか、イスラム世界の細密画の描き方のルールとか、そうなんだ!と楽しく読ませてもらったのですが、最後の方の話が、近代とかミステリーとかに付き物の話でもない普遍的なものではないのかな…と思うのでタイトルとの違和感が拭えなくて。わたしだけかもしれませんが。
紹介されていた「薔薇の名前」や「わたしの名は赤」は読んでみたいなと思いました。
Posted by ブクログ
19世紀に生まれた小説の一ジャンル「ミステリ」。なぜこの時期にミステリが生まれ、一大ジャンルとなったのか。名作ミステリ、絵画や建築、中世から近代へと移行した当時の時代背景などをもとに考察する。まえがきで、「本書を読むことで結末の推測がやや容易になるかもしれない」として、「時の娘」「緋色の研究」「ノーザンガー・アビー」「薔薇の名前」の4つが挙げられている。私は「緋色の研究」を除いて未読だけど、犯人が分かってしまうようなネタバレはなかった。むしろ「薔薇の名前」はすごく読みたくなった。「荒野のホームズ」「わたしの名は赤」も面白そうだ。ミステリ好きなので楽しめた。