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Posted by ブクログ
鳥取県に実在する第3セクター鉄道、若桜鉄道を舞台としたローカル線(または沿線地域)再生の物語…を想像して読んでみましたが、全然違っていました。これ、実在の鉄道を舞台にする必要はあったかなあ。若桜鉄道を積極的にPRしている訳でもないし、実際の沿線風景に触れる訳でもない。若桜とライトって現実にも関わりありましたっけ?
そういう馴れ初めというか、執筆の経緯は読者に知らせて頂きたかったです。解説はおろか、あとがきも無いってちょっとどうなんでしょう(単行本にはあるのでしょうか)。
で、肝心の内容ですが、大くくりすれば主人公の成長物語なのでしょう。しかし、焦点がローカル線にあるのか、近代建築にあるのか、地方選挙にあるのか、恋愛模様にあるのか(悠花ちゃん最低)、そこがイマイチはっきりせず散逸な印象が拭えませんでした。描きぶりは面白くてぐいぐい読み進んだのですが、結局何の話だったのか、と時間をおいて振り返るとどうにも思い出せないのです。
まあ人生の軸なんて1本に定められないですからね。翻弄された挙句人として一皮むけた、というのはある意味リアリティがあるのかもしれません。
Posted by ブクログ
鳥取県の三セク、若桜鉄道うぐいす駅の駅舎取り壊し計画をめぐり、村長と住民グループとが激しく衝突する。
主人公涼太は、ここに巻き込まれてしまう。
村長の孫にして、住民グループリーダーの重次郎からは学問上の孫弟子にあたるからだ。
うぐいす駅の駅舎は本当にF・L・ライトの設計なのか。
そうでないなら、真の設計者は誰なのか。
私大の史学科の院生である主人公が謎解きをする。
これがこの本の一番のサスペンスかと思うと、実はそうでもない。
現役のまま頓死した村長、芹山剛造の後任の村長選が告示される。
鶯村でのデモ中に発作を起こして死んだ守る会の久世みち子。
その息子、静男が村長選に出馬する。
涼太は恋人の悠花を静男に奪われた恨みから、村長選出馬に踏み切る。
自分にとって面白かったのは、選挙戦が始まってからかもしれない。
代々村長を務める芹山家に、代々軍師(選対本部長)を務める冥加家のタッグ。
圧倒的に有利なはずの涼太と静男の勝負は、意外な方向に。
涼太の軽い性格や語り口のおかげで、分厚いわりにリラックスして読める。
改行が多く、ページ数の割には、テンポ良く進んでいく感じだ。
ライトの生涯や、日本での近代建築の保存活動など、建築に興味がある人にも楽しめる作品かな。
Posted by ブクログ
「家康江戸を建てる」(まだ読んでいない)でこの作者を知り、読んでみようと思った小説。
芹山涼太という主人公の一人称で物語が進んでいく。
田舎の駅が取り壊されるという話が出てどんどん進んでいき、最後にはハッピーエンド?で終わる。
最後に物語の疑問点を回収していってよかった。
Posted by ブクログ
地方ローカル線の駅の取り壊しをするや否やで物語は進んでいく。
話しは全体的に面白いのだが、その場面展開が結構唐突過ぎて、無理やり感がある所が多い。
もう少しスムーズな場面展開を意識してストーリーを進めて貰うと良かった。
特にキーマンの一人の心変わりの突然感は頂けない。
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Posted by ブクログ
ストーリは鳥取のローカル私鉄の駅の取り壊し問題で住民が争う物語。駅が有名な建築家(ライト)が設計したと言われているが、病院建設のために取り壊すことにした村長派と、歴史的建造物だから保存しようとする人々。主人公は村長の孫で、この争いに巻き込まれる。その中、実はライトが設計していないのではないかと主人公は気づく。その気づきの流れは唐突な印象である。気づいた経緯・流れを丁寧に描くともっと面白いと思う。村長が急死して、村長選がはじまる。立候補者は主人公と、保存派活動をしていた女性の息子。この構図も唐突感がある。話を短くまとめようとしたのかもしれない。そして、主人公は病院建設と保存の両立を考えるが、それは村長派にならざるを得ない自分では実現できないと考え、保存派側が優位になるように話を持って行く。一介の大学院生である主人公が、政治的駆け引きを考えられることに驚いた。