門井慶喜のレビュー一覧

  • 銀河鉄道の父

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    ネタバレ

     宮沢賢治という天才がこの世に生を受け、
    旅立つまでを見守り続けた父政次郎の視点で描かれた父子、家族の深い愛の物語。

     本書を読んで多くの人が宮沢賢治の人物像のギャップに驚かされたのではないだろうか?
    (勝手に人格者と思い込んでただけなんたけど)
    まさに私もその一人で、成績は優秀だけど、家業を手伝わせても役立たず、引きこもりで親からお金を無心したりと今でいうとニートだったなんて信じられないですね。
    しかも政次郎は超が付くくらいの親バカぶり!
    祖父の喜助からは「父でありすぎる」と苦言をいわれてしまうほど子煩悩。
    でも、当時の父親像からすると「甘えるな、自分の力で生きてみろ」とか言われそうだけど

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    2025年06月24日
  • 家康、江戸を建てる

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    東京の基礎を作った家康と、各自の技能・想いを街造りに生かした人物たち。
    関東のさまざまな土地の由来や歴史を知る事ができた。その場所に住んでいながら知らない事って多いなと思う。

    ・江戸湾に注ぐ利根川の流れを茨城方面に変更。
    ・井の頭から遥々引いた飲み水、堀の上に通した水道橋。
    ・伊豆から切り出した石を積み上げて作った江戸城の石垣、八王子の石灰石鉱山と石灰を運ぶために切り拓いた青海街道

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    2025年06月20日
  • 札幌誕生

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    札幌に勤務して40年、このタイトルは読まずにいられない。
    ぶ厚い本なので、ワクワクして読んだが、??
    これ、長編じゃないのか。
    中編が集まってます。しかも皆、北海道に在籍している者なら、一度は名前を聞いたことのある方々のお仕事小説です。どれも皆面白い。

    クラーク先生のBoys, be ambitious…
    その続きは…
    気になります。
    (like this old manだと思っていたが、違うのか?)

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    2025年05月30日
  • 東京、はじまる

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    江戸時代が終わって、江戸が東京になった時に、東京を諸外国に負けない都市に創り上げていった人の話。
    これからの日本がどうなっていくのか、というよりもっと主体的にどういう国にしていくのかというビジョンを持って、日本銀行や東京駅を作った人の話。
    なんで昔の人はこんな熱い思いを抱けるのかわからなかったけど、一節に「国家の方が年下なのだ」とあり、なんだか腑に落ちた。

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    2025年05月10日
  • 札幌誕生

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    500頁を越える厚さに少し怯んだが、読み始めると興味深く読めました。
    札幌開拓に由来する5人のお話しで、一人あたり100頁程。
    時々、知らない単語がでてきたりもしたけど。日本史も世界史もちゃんと勉強して身に付けとけばよかったなぁ。なんて思いながら。

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    2025年05月08日
  • 札幌誕生

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    札幌の開拓に携わった人物の物語。
    函館の方が大都市で札幌は後発的に出来た都市だということがよく分かる。
    治水工事などの平野をうまく使えるようになったことで都市として発展してきたということがよく分かった。

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    2025年05月07日
  • 札幌誕生

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    碁盤の目のような札幌を設定するなんて、凄い。先人達の苦労やいかほどと思う。ススキノは、やはり色街だったか。厳冬期を考えると、よくもまぁ日本各地から移住したものだ。

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    2025年05月04日
  • ホテル・コンシェルジュ

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    とても読みやすい短編連作集。
    ユーモアミステリということで、本当に軽くサクッと読める。
    サクッと1冊な気分なら最適。
    でもガッツリ読みたい気分なら物足りないと感じるかも。

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    2025年04月30日
  • 札幌誕生

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    幕末から昭和にかけて北海道に札幌の町を作りあげていった5人の物語を5章に分けて綴る。
    広大な荒地を耕し、札幌の碁盤の目の街の基礎を作った初代開拓判官・島義勇。
    札幌農学校で学び、キリスト教への信仰の反強制に抗いながら最後には日本人としてキリスト教思想家として名を馳せた内村鑑三。
    アイヌに生まれ、アイヌ語を研究するアメリカ人夫婦の養女となってアイヌの歌集を出したバチラー八重子。
    作家を望みながら、農場経営に苦労した有島武郎。
    氾濫する石狩川の治水に取り組んだ岡崎文吉。
    北海道の、札幌の歴史を学べる一冊でした。

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    2025年04月30日
  • 定価のない本

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    戦後の古書の町・神保町を舞台にしたミステリー。『家康、江戸を建てる』の門井さんらしく、町の成り立ちや歴史的発展の様子がおもしろい。さらに、古書取引が当時どんなものだったのが詳しく描かれていて、これまた興味深い。
    主人公が語る古書や日本の書籍文化への熱い想いは日本人としての誇りに満ち、潔く、清々しい。
    古書好き、神保町好きにはたまらない一冊。

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    2025年04月16日
  • ゆけ、おりょう

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    門井さんとしては面白いところを主人公になさったなと思って読み始めましたが、司馬遼では味わえない、飾らない龍馬とおりょうに会えてとても楽しい読書でした。
    よろしく知っている話ではない龍馬没後の話は、なんとも切なく、関係者の心情を読み解くのが難しかったですが、その墓碑の内容や分骨のことなど、2度目の旦那さんは惚れきっていたんだなと私なりには解釈しました。
    先週末に旧東海道神奈川宿を歩いて田中屋の玄関まで行ったので、後書きも感慨深く読ませていただきました。
    2025-015

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    2025年03月25日
  • 定価のない本

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    GHQに勝ったのは俺たちじゃない。文字を愛し文字を尊ぶ日本人、日本の歴史そのものなんだ───。

    古典は『のこる』ものじゃない、誰かが『のこす』ものなんだ───。

    歴史を奪う。文化を奪う。敗戦国となった日本にGHQが無慈悲に吐き捨てる。戦いに負けた側が、全ての罪を負いその贖罪を課されるのは長い歴史の中で、戦の常である。

    それでもやはり、歴史は宝だ。文化も宝だ。そしてその記録は、どんな形であっても維持し続けなければいけない。奢りでも、陶酔でもそんなことではなく、各々が母国のルーツを知る手段は残っていなくてはいけない。

    今も尚、古典に触れられる。それは先人達の血と涙の滲む努力と、情熱と、不屈

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    2025年03月23日
  • 灯台を読む

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    作家さん達が全国18か所の灯台を巡り、紹介する紀行文。島国である日本人は古くから海と共生してきたが、現在のような西洋式灯台が建設されたのは明治維新以降になってからだという。風の吹きすさぶ岬の突端でポツンと立ちながら必死に灯を届ける様子は、孤高であり浪漫を掻きたてられる。
    近代日本の文化遺産として、灯台が見直されつつあり、各地域では新たな観光資源となっている。各地に旅行に行く際に、灯台へふらりと寄ってみるのも楽しそうだ。私の地元の灯台も紹介されていたので、まずはそこから訪問したい。
    また、どの作家さんも『喜びも悲しみも幾年月』という映画について言及されていた。近代日本を支えた誇りある灯台守という

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    2025年02月11日
  • ゆうびんの父

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    ネタバレ

    ちょいと読みづらい部分があったなぁ~越後高田郊外,母一人と暮らす上野房五郎は5歳で糸魚川で典医となっている叔父に無心の使いに出され,聡明さ故に相沢家の嗣子となった。漢方医の学びに飽き高田の儒者・倉石の塾にも飽き,江戸へ出る。儒学の戸沢,医者の上坂,旗本の添田と渡り歩き,叔父の死を知って相沢家の相続争いに勝って三百両で従兄弟に譲って江戸へ戻り,筆耕で糊口をしのいだ。ペリー来航に浦賀奉行の中間となって久里浜へ出掛け,長崎へは糸魚川から山陰を廻る。四国へ渡って和歌山から東海道で江戸へ戻る。旗本・設楽弾正・長尾全庵の知恵袋,次期船手頭と噂される江原に長崎の竹内を紹介される。江戸湾に来た観光に乗って船の

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    2024年12月19日
  • ぼくらの近代建築デラックス!

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    門井慶喜さんの「屋根をかける人」で、建築家のヴォーリズについて知ったところから繋がって、卒業研究を書き上げたら絶対に読もうとワクワクしていた一冊。明治以降のレトロ建徳を二人の博識な作家さんがタッグを組んで巡り、互いのおすすめ建築を見学し、知識を披露しながら楽しい道行き。

    この内容で面白くないわけがない。レトロ建築が気になりながら、特に建築に詳しくないし……でももう少し詳しく知りたい。なんなら見学だってしてみたい、という向きにはピッタリの一冊。私も辰野金吾やヴォーリズ、コルビジェくらいはふわっと知っているけど、もう一歩深く知ってるとは言えない、門前の小僧になりそびれている小娘であって。それでも

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    2024年12月07日
  • ゆうびんの父

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    前島密が農家の生まれ、何も後ろ盾のない状態から"郵便制度の祖”と呼ばれるまでになる話。師を替えながら様々な分野の勉強を極めたことが国の大事業に収束して行く過程が面白かった。当たり前になっているけれど、全国どこでも一律の料金で手紙や荷物を確実に届けられるって凄いことだ。

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    2024年11月25日
  • 銀河鉄道の父

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    宮沢賢治作品が好きですが、これはもう親バカで最大の父親の愛の話だった。
    政次郎は現代的な父親っぽい書き方をされていたので「自分の父もこんな気持ちでいるのかなあ」としみじみしてみたり。

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    2024年11月20日
  • 新選組の料理人

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    人情味のある話で、好きなかんじだった。

    新選組の中でも原田佐之助は好きな方、その佐之助が多く折り扱われていたし、主役の鉢四郎の悲哀が、気の毒ながらクスリときてしまう。

    歴史小説としてよりは人情話。

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    2024年11月10日
  • どうした、家康

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    家康というただ一人の物語でも、こんなにいっぱいあるもんなんだなあ、って思った。王道系も、恋愛系も、色々あって、「家康」を楽しめる。

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    2024年11月09日
  • 東京、はじまる

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    辰野金吾の二大建築、日銀本店と東京駅の建設を軸に辰野金吾の生涯が活き活きと描写されていて、話の展開がとてもおもしろい。ジョサイア・コンドル、曾禰達三、片山東熊、高橋是清など史実上の人物との絡みも臨場感を持って描かれていて、その時代の雰囲気を身近に感じられて楽しい。

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    2024年10月23日