あらすじ
すべてはここからはじまった――幕末から大正にかけて、未知の土地・北海道にわたり、近代都市・札幌を作った、島義勇、内村鑑三、バチラー八重子、有島武郎、岡崎文吉の熱き物語!
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Posted by ブクログ
幕末から大正。札幌が、函館に代わって北海道の中心都市になる。
その時代を生きた5人の人生が描かれる。
著者がふくらませた想像によって肉付けされ、過去の物語が生き生きと動き出す。
分厚い本だったけど読みやすかった。
また札幌を訪れたくなった。
島 義勇:明治政府官吏。札幌市の建設に着手し、「北海道開拓の父」と呼ばれる。
内村 鑑三:札幌農学校第ニ期生。文学者・伝道者・聖書学者。
バチラー八重子:有珠生まれのアイヌの歌人、キリスト教伝道者。
有島 武郎:小説家。農学者を志して北海道の札幌農学校に進学。
岡崎文吉:治水技術者。北海道庁の技師として、石狩川の治水計画の基礎を築いた。
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「家康江戸を建てる」と同じ感じかなと思って読み始めましたが、さすが北海道、話の幅は期待を超えて広く、知らなかった人物の人生にも多数触れることが出来て大変楽しく読めました。この時代独特の空気も書く話からもよく伝わってきました。で、最後はやっぱり石狩川!綺麗に整いました。
北海道に行きたくなります。
Posted by ブクログ
史実に基づいた小説。
地図を見ながら読むと面白い。
自分も地図に残る仕事をしたいなぁと思った。
アイヌにとってはロシアも日本も侵略者なんだなぁ。
島義勇さん以降はそんなに札幌誕生に寄与してる感は薄い。でも話としてはとても面白いから読む価値はある。
Posted by ブクログ
北海道が蝦夷地のころ、ロシアの侵略を防ぐために、作られた町、札幌。物語形式になっていて、読みやすい。厚い本だが、サクサクよめる。歴史地図のQ Rコードがついているから、昔を想像しなが、札幌を散策するのもいいかも
Posted by ブクログ
はるか原野の奥の闇に、ぽつりぽつり、橙色の点が横に並んでいる。星の列のようにも見える。
目的地の銭函でかがり火を焚いたのである──。
──まさしく北海道でなければ、しかも民家などの建て込まぬ開拓時代でなければ不可能なやりかた。最長距離の道しるべ。
この物語は、まだ北海道が蝦夷地だった頃。ロシアからの侵略に対して応戦する為、北の障壁となるべく都市の開拓が急務だった。それらの目的の為、世界的にも類を見ない速さで開拓・発展を遂げた近代都市札幌。幕末から昭和にかけて、未知の北海道で生きた5名の男女にフォーカスした、史実に基づいた物語。
島義勇の章では、『北海道開拓の父』と呼ばれ、碁盤目状の街路やインフラ整備など、札幌の基礎を築いた物語を描いた。
内村鑑三の章では、クラークが去った後の北海道開拓の上で切っても切れない、『札幌農学校(現・北海道大学』の学生たちの物語を描いた。
バチラー八重子の章では、アイヌを鼓舞する為に自身の半生を歌集に乗せ、和人と共存していくアイヌとしてのアイデンティティを描いた。
有島武郎の章では、農地解放を行い、小作人による農業組合が日本で初めて立ち上げられるまでを描いた。
岡崎文吉の章では、氾濫の多かった石狩川河川の現代にまで生きている治水事業を描いた。
下手な感想なんてありません。ただただシンプルに、自分の地元をまた一段と好きになりました。
Posted by ブクログ
蝦夷地をあらゆる分野で開拓する5人の物語。札幌市内に碁盤の目を考案した島義勇。石狩川を整備をし、豊かな札幌を不動にした岡崎文吉…我武者に生きる5人を人間臭く描写。簡潔明瞭な筆致も読みやすい。
Posted by ブクログ
蝦夷地から北海道へ。その中核として設計された都市、札幌。札幌が発展するきっかけを作った5人のあまり知られぬ人たちの苦闘を描いた感動作。
人がその一生でできることは限られているが、後世にタスキを繋ぐことはできる。
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道民なら教科書に出てきた大友亀太郎や小説家としてしか知らなかった有島武郎、さらには三日月湖として現代に残る石狩川治水など。幕末から続く壮大な開拓物語に一気読みした。
Posted by ブクログ
知らない話ばかり。創作と史実が混ざっているんだろうけれども興味深い。
佐賀の島義勇、そうだったのか…!
アイヌの人たちの哀しみは、そうだろうと思う。
北海道行ってみたい
Posted by ブクログ
読む前は「札幌」という都市の誕生を市政史的に淡々と語っていく感じを想定していた。
しかし、その予想は覆された。
北海道開拓使がおかれた明治初頭から始まり、開拓使の首席判官に任命され、現在の碁盤の目状の都市計画の基盤を構築した元佐賀藩士・島義勇、クラーク博士が去った後の札幌農学校二期生として入学した内村鑑三、アイヌの女性でありながらイギリス人の聖公会宣教師ジョン・バチェラーによって受洗し、ジョンや後に出会う金田一京助が作成するアイヌ語辞書の制作に協力したバチラー・八重子、父親から札幌に購入した巨大な農地を引き継ぎ、慣れないながらも農場経営も行うが、後に農地経営を小作人に譲渡する農地開放を日本政府の施策に先立って実施した作家の有島武郎、蛇行しているが故に気候の変化により周囲に繰り返し水害を及ぼした石狩川の治水の計画を立案して、実行した岡崎文吉。
そう言った札幌という都市の創世に関わった人たち、一方でそれは「和人」によって失われて行くアイヌの土地、北海道の歴史を時代小説的に語る作品。
歴史ノンフィクションというのではなく、Based On True Story 的なフィクション。
その読書前とのギャップが新鮮でどんどん引き込まれて読めた。
Posted by ブクログ
【349冊目】私の故郷を描いたこの作品に、わずかな文字数で感想を書き切れるわけがないのです。札幌は、はぐれ者や敗者の集まる土地であり、彼らが再起と希望を賭けた土地であり、あるいは、思うに任せない人生への思いをしがらみから離れて整理する土地だった、ということがよく分かります。
島義勇は内地(注:北海道の人が「北海道以外の日本」を指すときに使う言葉)ではあまり知られていない人物かもしれませんが、プロの札幌市民であれば市役所にその像があることで、札幌誕生に何がしかの貢献をしたことをほのかに知っているでしょう。内村鑑三や有村武郎は全国区の有名人ですが、バチラー八重子はいまや道民にしか馴染みのない名前かもしれません(道民ですら、どこかで耳にしたことがある程度でしょう。)。
ただ、岡崎文吉は…これは知りませんでした!しばしば石狩平野を水浸しにして開拓の積み上げを無に帰してきた石狩川の治水をした責任者であったそう。札幌の発展に重大な貢献をした方にもかかわらず知らなかった自分を恥じたい(なお、筆者も他の4章の主人公に比べて岡崎の名が知られていないことは認めています。)。
全編を通して描かれるテーマは、厳しい自然環境や冷徹な社会・人間関係の中で生きていくこと。
生きていくことは、悩み、苦しみ、良き友人や家族を得てその声を聞き、やっぱり最後には自分で決めるしかないってこと。
自分の内なる声が正しいとは限らなくて、時に妥協し、時に誤りを認めて、時に周りに流されても良い。最後にそういうことを全部自分で引き受けること。それが人生なんだろうなぁと考えてしまいました。
札幌は新しい街、よそ者ばかりで出来た土地だからこそ、そういう煩悶を抱えた人々をまるっと受け入れる懐の深さみたいなものを感じます。
「札幌誕生」というタイトルもまた、本書をとても魅力的なものとしています。日本にはいくつもの都市が存在します。しかし、その都市が誕生する過程をつぶさに描けるのはいくつあるでしょうか?
私の印象では、17世紀に徳川家康が都市改良を行った江戸、そして札幌ぐらいではないかと思うのです。京都や大阪、名古屋も都市としては有名ですが、それらは歴史が古すぎて「誕生」のプロセスを詳細にストーリー仕立てにすることは難しそうです。
そう考えると、今や人口200万人を誇る巨大都市がまさに生まれた瞬間をとらえることができる、札幌というのはとても貴重な存在なんだと思います。
郷愁や慕情にかられ、溢れ出る思いがうまく言葉にできませんが、この本は少しだけ不器用ながらも頑張る人たちの本です。大泉洋のような器用人は、北海道にはほとんどいません!笑
少し傷付いた人や何かに負けそうな人、絶対両立しないものの間で選択を迫られている人、そして、それでも頑張りたい人にはぜひオススメの本です!
Posted by ブクログ
北海道生まれの人には、是非読んで欲しい本です。
札幌という都市が出来るのには、名も無き人達が困難にも負けず、苦しみながら、未来を夢見てきた。
アイヌ問題や自然関係(特に動物)など、織り交ぜながら、物語がグッときました。
25/09/07 38冊目
Posted by ブクログ
開拓者たちにとって北海道は人生の逆転のための場所だった。明治維新で地位や名誉、土地などの財産を失った人たちが、必死の思いで何もない土地に文明を築いてきたと思うと、普段目にする建物や道路、河川の堤防にもそういった人たちの息遣いが感じられるような気がした。北海道の急速な発展の歴史を知ると、まだまだ北海道が秘めた可能性は無限大であるような気がして、楽しくなる。
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歴史が浅いと捉えられがち(捉えがち)だが、人のつくりたもう町は、一層人の想いの乗り移った街となっているものなのだ。と思わせてくれる一冊。地名の由来などを知ることができ、散策も楽しみになること請け合い。創成川行きてー⭐️
Posted by ブクログ
大河物語とも思いきや、札幌の街作りに携わった複数の人物の短編集でした。
壮大な物語を期待していたので少し物足りなさを感じましたが、
しかし一つ一つのストーリーがうまく纏められていて読みやすく、それぞれに感情移入できました。
その感情移入も、必ずしも主人公にフォーカスするわけではなく多面的に読めたのが面白く感じました。
個人的に土木学者の広井勇さんが好きなので、彼が所々登場するのもよかったです。
Posted by ブクログ
札幌を札幌たらしめるために力を尽くした人々、5人に焦点を合わせて語る。まずは開拓者と言える佐賀藩の島義勇、札幌農学校辺りの事情を述べる内村鑑三、アイヌの女性の視点からバチラー八重子、農地を小作人に譲るという快挙をなした有島武郎、そして石狩川治水の岡崎文吉。北海道そしてさの中心にある札幌の骨太の物語。堪能しました。
Posted by ブクログ
北海道、札幌を舞台にした5人の人物で構成されている。私はこの本で、初めて島義勇と言う方を知り得た。其々の人物に全方向から光を当てて、丁寧に描き上げていて、逆境にめげずに未知の世界に切り込んで行く生き方や行動力に脱帽しか無かった。このバイタリティーが明治を創り出したのだと感慨深い。
Posted by ブクログ
札幌に勤務して40年、このタイトルは読まずにいられない。
ぶ厚い本なので、ワクワクして読んだが、??
これ、長編じゃないのか。
中編が集まってます。しかも皆、北海道に在籍している者なら、一度は名前を聞いたことのある方々のお仕事小説です。どれも皆面白い。
クラーク先生のBoys, be ambitious…
その続きは…
気になります。
(like this old manだと思っていたが、違うのか?)
Posted by ブクログ
500頁を越える厚さに少し怯んだが、読み始めると興味深く読めました。
札幌開拓に由来する5人のお話しで、一人あたり100頁程。
時々、知らない単語がでてきたりもしたけど。日本史も世界史もちゃんと勉強して身に付けとけばよかったなぁ。なんて思いながら。
Posted by ブクログ
札幌の開拓に携わった人物の物語。
函館の方が大都市で札幌は後発的に出来た都市だということがよく分かる。
治水工事などの平野をうまく使えるようになったことで都市として発展してきたということがよく分かった。
Posted by ブクログ
碁盤の目のような札幌を設定するなんて、凄い。先人達の苦労やいかほどと思う。ススキノは、やはり色街だったか。厳冬期を考えると、よくもまぁ日本各地から移住したものだ。
Posted by ブクログ
幕末から昭和にかけて北海道に札幌の町を作りあげていった5人の物語を5章に分けて綴る。
広大な荒地を耕し、札幌の碁盤の目の街の基礎を作った初代開拓判官・島義勇。
札幌農学校で学び、キリスト教への信仰の反強制に抗いながら最後には日本人としてキリスト教思想家として名を馳せた内村鑑三。
アイヌに生まれ、アイヌ語を研究するアメリカ人夫婦の養女となってアイヌの歌集を出したバチラー八重子。
作家を望みながら、農場経営に苦労した有島武郎。
氾濫する石狩川の治水に取り組んだ岡崎文吉。
北海道の、札幌の歴史を学べる一冊でした。
Posted by ブクログ
札幌の成立過程を、幕末から昭和にかけての5人の人物のドラマを通じて描いた連作短編、門井先生自身が語った創作意図・作品で最も強調したかったのは、「人が住んで街になるのではなく、人はいないが街をつくる」という、極寒の大地で大規模な都市計画をゼロから推進した先人たちの信念と情熱、そして現代にも通じる「自制心」を持った5人らしい・・・が、小説ならば特定の主人公を通過した5人という書き方の方が馴染みある、つまり札幌誕生というタイトルに相応しい観察者が不在なため、読者はバラならの5人の先人話を読まされただけに終わった(辛口)バチラー八重子や有島武郎の話は札幌誕生ストーリーに何も寄与していないと断ずる
Posted by ブクログ
「開拓判官ー島義勇」「ビー・アンビシャスー内村鑑三」「人の世の星ーバチラー八重子」「流行作家ー有島武郎」「ショートカットー岡崎文吉」の五話。北海道に強く関係した5人の人物を主人公にした5つの中編を、時代に沿って並べる事で、札幌の誕生とその成長を描いた作品です。
『東京、はじまる』の感想には「口に出さない当人の考えをインデントや()で括って差し込んでいく文体は、池波正太郎によく似て非常に軽快です」と書いていましたが、今回は読み始めてしばらく(文章と言うより話の進め方が)「なんか司馬良太郎っぽいナ」と感じました。もっとも読み進めるにつれ、その感触は弱まってきましたが。とは言え、どこか余り逡巡が感じられず、バサバサと大きく切り取って行くような書き方で、軽快です。
気に入ったのは最後の「ショートカット」。同じ技術屋の話という事もあるのですが、主人公の奥さんの可愛らしくて。もうちょっと顔を出して欲しかったな。