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Posted by ブクログ
日本の国土は太古の昔から不変ではない。北海道はその最たるもので江戸後期から明治にかけて幕府ないし政府が開拓したものだ。その経緯においてアイヌへの迫害ないし同化があり、ロシアとの領土争いがあった。
この本はその時代の開拓者たちの物語だ。都市計画、農業、宗教、短歌、文学、土木とさまざまな分野の開拓者たちが描かれる。激動の時代だと評される昨今だが、この物語を読むと必ずしもそうではない気がしてくる。むしろなんと生易しく安定した社会に生きているのだろうかと思わされる。今、我々が生きているこの環境は、先人たちが汗水をたらし命を削って行った開拓の上にあるのだと実感する。札幌に行った際はこの本を片手に先人の足跡を辿りたい。
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島義勇、佐賀藩藩士。安政3年、蝦夷行きを命じられる。まずは半年かけて蝦夷地に上陸し、箱館奉行所を訪れた。奉行の堀利煕について蝦夷地を巡ることになった。松浦武四郎も紹介されて北海道について学ぶ。松浦は内陸に町がないことを説いた。蝦夷地を巡って記録を取り、藩主に復命した。
明治の世になり、島義勇は大蔵省に配属になった。蝦夷地開拓御用係に任命される。北海道開拓使も設置される。松浦が北海道と名づけたのだ。大工、左官、石工、井戸掘りなどが来て、札幌建設が始まる。大友堀を基準に道を敷く。日本海から木材を運ぶための道も作る。建設がずいぶん早く、昼夜兼行で木材を運ぶ。義勇はやりすぎた。罷免された。佐賀の乱に散る。
内村鑑三、上州高崎藩士。英語を習得したが、元士族で金がなく大学を辞める。札幌農学校なら官費で学べる。同期に新渡戸稲造がいた。キリスト教に入信する。成績は良好だった。
八重子はモコチャロの次女。お嬢様として育てられた。父が死に、家は没落し、八重子は札幌の宣教師のジョン・バチラーの家にむかう。この夫妻はアイヌの少女たちの学校をしていて、その助手として同居を許された。八重子は病気になり東京の聖路加病院に入院した。八重子はバチラー夫妻の養子になる。バチラー夫妻を金田一京助が訪ねてくる。金田一を通して八重子は和歌を知る。歌集「若きウタリに」を出版。
有島武郎は札幌農学校に編入学した。教授は新渡戸稲造。数年で教師になった。その頃札幌農学校は東北帝国大学農科大学になっていた。父親が農地を買ってくれた。ところが農場経営に有島は興味がない。有島結婚。「白樺」創刊。三人の子供が産まれて家の中が騒がしくなる。だが妻が結核になり、有島は札幌を去り東京へ。有島武郎は人気作家になった。農場を開放すると言い出した。
石狩川は北海道最大の川である。河口まであまり標高差がない。そのため氾濫する。明治31年9月に大洪水がおきた。石狩平野のほとんどが冠水し、死者行方不明者112名、被害家屋は約2万戸。雨が上がって太陽が照る日が続いても水がひかない。復興に着手できない。岡崎文吉27歳、札幌農学校工学科第一期卒業生に声がかかった。札幌から銭函まで運河を引いた人である。放水路を作る決心をする。
まずは外国に視察へ。日露戦争開戦から5ヶ月後、また石狩川が氾濫する。11年かけてようやく調査が終わる。まずは護岸工事を始めた。放水路にするつもりだったが、ショートカットにのりかえる。
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現在では約200万人の人口を抱える札幌市。
その札幌に人が入植し始めたのは、明治維新の時代。
当時を生きた実在の人物たちの物語を通じて、「札幌」という街が「誕生」する姿が描かれた本でした。
最初は本当に、札幌が、アイヌ語で「広い乾いた土地」と呼ばれていた時代の話(主人公は島義勇)。広い土地を見て、碁盤の目に道を作る計画をたて、そこに役所などの必要な建物を建てようとしている話。
そして、2話目はその数年後。札幌農学校の第二期生の話(主人公は内村鑑三)。
さらには、アイヌ出身のバチラー八重子の生い立ちや、作家として有名になった有島武郎が北海道の農業のあり方を変えて行った話とか、最後は石狩川の治水工事の物語(主人公は岡崎文吉)まで。
数十年という短い期間で、札幌は函館を追い越して北海道一の都市になった。
その、走馬灯のような景色を感じさせる本でした。
ページ数は約560ページ。手に取った時には、「これ、途中でリタイヤするかも…」と思ったし、目次を見て実在の人物を主人公にしていることがわかった時に、話が難しいかも!?と身構えたのですが、杞憂でした。
どの物語も、その当時の状況がありありと見えるような文章で、興味を惹かれ、好奇心に導かれて、あっという間に読んでしまいました。
経済成長を果たした後の日本で生きてきた私にとって、「都市を作る」というのは、なんだか考えられない出来事。なのに、だだっ広い平野に碁盤の目の道路を計画して、開拓を始めて数年後には、北海道大学の元となる「札幌農学校」で学生が勉強しているという、何もないところに、突然、人の営み、それも教育すらも行われるようになっているというスピードの速さにびっくりしました。
「街」って、人の手で計画的に「誕生」させることができるものなのね!!
という驚きと共に、忘れられない本になりそうです。
と、調べてみたら、著者の門井慶喜さんは、「家康、江戸を建てる」とか、「東京、はじまる」とか、街の誕生を題材にした小説をいろいろ書かれているんですね。今回の「札幌誕生」のように、あっという間にのめり込んで読みながら歴史的な出来事を理解できるのを期待して、他のも読んでみようかな〜。
ちなみに、この本を手に取ったのは、YouTubeの「積読チャンネル」で紹介していて面白そうだと思ったからでした。いい本を紹介してくれてありがたいー。
Posted by ブクログ
幕末から大正。札幌が、函館に代わって北海道の中心都市になる。
その時代を生きた5人の人生が描かれる。
著者がふくらませた想像によって肉付けされ、過去の物語が生き生きと動き出す。
分厚い本だったけど読みやすかった。
また札幌を訪れたくなった。
島 義勇:明治政府官吏。札幌市の建設に着手し、「北海道開拓の父」と呼ばれる。
内村 鑑三:札幌農学校第ニ期生。文学者・伝道者・聖書学者。
バチラー八重子:有珠生まれのアイヌの歌人、キリスト教伝道者。
有島 武郎:小説家。農学者を志して北海道の札幌農学校に進学。
岡崎文吉:治水技術者。北海道庁の技師として、石狩川の治水計画の基礎を築いた。
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