門井慶喜のレビュー一覧

  • 天災ものがたり
    「一国の国主」天文の乱十一年(1541)甲府洪水
    晴信と名乗る若かりし武田信玄が奮闘した「信玄堤」のとっかかり事業
    『家康、江戸を建てる』に繋がっていくような締め方でジンときた


    「漁師」明治二十九年(1896)三陸沖地震
    津波、、、どんなホラーよりもミステリーよりも怖かった、、、
    “金と言うもの...続きを読む
  • 地中の星―東京初の地下鉄走る―(新潮文庫)
    日本に初めて地下鉄を通した人の物語。
    色々な登場人物の感情が描かれていて面白い。

    もっと長く描いて欲しかった。
  • 天災ものがたり
    『銀河鉄道の父』の著者による、戦国時代から昭和に至るまで日本を襲った災害にまつわる人間ドラマ集。〈小説現代〉に2020〜22年に発表された。

    『一国の国主』天文十一年(1542)甲府洪水(「信玄堤」構築物語)、
    『漁師』明治二十九年(1896)三陸沖地震(ある漁村の高台への移転の試み)、
    『人身売...続きを読む
  • 文豪、社長になる
    文藝春秋社百周年を記念しての出版らしく、多分にヨイショ感はある。菊池寛が親友の芥川や直木三十五を偲んで賞を作ったのは有名な話で、別な書籍でも詳しく書かれている。
    が、ここでは、一筋縄では行かないが、魅力的で親分肌の菊池寛がよく描かれていて好感が持てた。小林秀雄、井伏鱒二、今はビッグネームの作家がゾロ...続きを読む
  • 地中の星―東京初の地下鉄走る―(新潮文庫)
    日本で初めて地下鉄を通した経営者の生涯。演出はあれどほとんど史実なのかなと思われ、男の名誉欲や不器用さがリアルで面白かった。
    結構若い人が仕事の中心となって動かしてるのが意外であり(20代で親方とは…)、人手不足もあったのだろうが熱意ややる気で立場を得て地下鉄開通のような大仕事をやっているのが羨まし...続きを読む
  • 銀河鉄道の父
    当時の理想とされる、厳格で威厳のある大黒柱像から外れていることに葛藤を覚えつつも、息子を守りたい、なんとか幸せになってほしいと願い支え続ける政次郎の父親像に感動。

    同時に、父のようになりたくてもなれず、普通の大人としてさえ仕事ができない賢治の自己嫌悪。その中でも、父の支えがあったから人生終盤で物語...続きを読む
  • 銀河鉄道の父
    第185回直木賞

    大正時代の父親の在り方、男尊女卑から、明治時代の性別分業へと移りゆく時代の流れを知ることができました。
    「父でありすぎる」と言われた政次郎が、賢治を愛しいあまりについ干渉してしまう様子が微笑ましく、葛藤する胸の内がよく表現された文章で、物語としては単調に進んでいきますがすらすらと...続きを読む
  • 文豪、社長になる
    お恥ずかしながら菊池寛の存在をこの小説で初めて知りました。
    まさに文豪であり、実業家。
    周りを動かす人望ここにあり。

    毎年話題となる芥川賞と直木賞も菊池寛によって作られた。
    その経緯を知り、また注目の仕方が変わる。
    受賞者はもちろん、賞そのものも長生き。
    その目標は今も受け継がれる。

    亡くなり方...続きを読む
  • 文豪、社長になる
    文藝春秋創立100周年記念作品。
    文藝春秋は知っていても、どうやってできたのか知らなかったことばかり。
    菊池寛も流行作家だったことは知っていたが、作品は一つも読んだことなし。
    へぇーって思うことだらけで、あっという間に読めました。
  • 家康、江戸を建てる
    【第一話 流れを変える】
    伊奈忠次 から4代。利根川の東遷事業。

    【第二話 金貨(きん)を延べる】
    後藤庄三郎光次。
    貨幣戦争については偶然最近「ホンモノのおカネの作り方」を読んでいたので興味深かった。もっと勉強したい。
    貨幣制度の日本統一は徳川家康、と漠然と理解していたつもりだったが、フィクショ...続きを読む
  • 天災ものがたり
    日本史上に起こった大災害を6編から描く。

    「一国の国主」
    暴れ川の治水工事を行なった武田晴信(後の信玄)。
    人間味あふれる一面が知れておもしろい。
    人は、津波・大火など天災の前では無力。
    P288
    〈人のいるところに天災がある。逃れるすべはなく、
    あるのは逃れかたの上手下手だけ。または運だけ〉

    ...続きを読む
  • 家康、江戸を建てる
    天下を取った家康が江戸を作っていく話。秀忠とか秀頼とか大河で見てたような人物像、ストーリーが絡んでいて面白かった。何も無かった江戸の地を日本の中心地として基礎を作った家康、すごいの一言。
  • 文豪、社長になる
    菊池寛の伝記小説。
    文藝春秋を作り、芥川賞、直木賞も作った人。
    無知とは恐ろしい。全然知らなかった。芥川龍之介、直木三十五、夏目漱石、川端康成。錚々たる登場人物の数々…。
    幼少期から小説家になるまで、芥川龍之介との関係、直木三十五との関係。当時の様子がありありとわかる。
    僕らは、日本の先人達の作った...続きを読む
  • 天災ものがたり
    タイトルが示す通り天災~洪水、津波(地震)、冷夏(飢饉)、噴火、大火、豪雪~を舞台にした6つの短編。時代も鎌倉時代から昭和38年(豪雪)まで、場所も様々です。
    門井さんはこれまで5作品読みましたが、短編は今回が初めてです。
    長編では軽快な語り口でサクサク読める作家さんという印象が強かったのですが、こ...続きを読む
  • 銀河鉄道の父
    「歴史的価値や意義というより、二十一世紀の我々にとって心に残る父親像がある。厳しさと過保護の間で揺れ動く現代のお父さん」(解説より抜粋)この言葉以上に今作の主人公_銀河鉄道の父宮沢政次郎を表すものはないと思います。
    父親の視点から、宮沢賢治の一生を追った今作。読み応えばっちりだし、小学生の頃伝記漫画...続きを読む
  • 銀河鉄道の父
    読み易くて面白かった♪

    只、映画ではボロ泣きしたけど、小説版だと淡々とお話しが終わってしまった感謝があります。
  • 家康、江戸を建てる
    利根川の流れを変える苦労、貨幣で天下を制する、伊豆から運んだ安山岩で作る石垣、白漆喰の江戸城等皇居東御苑のツアーの背景がよく分かる本であった。江戸の街を建設するのはこんなに大変だったのかと改めて感動した。
  • 銀河鉄道の父
    「そうでない。そうでないんだじゃ。これは伯父さんが病気のとき、ふとんの上に正座して、手帳に書いたものなんだ。私はその書くところを見た。そのときは私も『病気に負けず、人間として完成したい』というような道徳的な意味だと受け取ったんだが、いまはちがう。しかつめらしい話でねぇべ。伯父さんはただ、鉛筆を持って...続きを読む
  • 天災ものがたり
    洪水、地震、噴火…6つの物語の主人公が突然の災害に翻弄され、苦渋する姿は最早他人事とは思えなかった。災害の爪痕は後世に範例を残す。日本が災害に強い国になるには、未だ遠く長い道程だと感じた。
  • 銀河鉄道の父
    大筋としては親子のハートフルな話だけど、他人事とは思えない内容でした。
    宮沢賢治という(死後)大成ニキの話だからいいけど、結局は何者にもなれない現実から逃げて腐る大人の話。かなりグサグサくる。だからこそ好きな作品でした。
    そして親は偉大なり。