門井慶喜のレビュー一覧
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ネタバレはるか原野の奥の闇に、ぽつりぽつり、橙色の点が横に並んでいる。星の列のようにも見える。
目的地の銭函でかがり火を焚いたのである──。
──まさしく北海道でなければ、しかも民家などの建て込まぬ開拓時代でなければ不可能なやりかた。最長距離の道しるべ。
この物語は、まだ北海道が蝦夷地だった頃。ロシアからの侵略に対して応戦する為、北の障壁となるべく都市の開拓が急務だった。それらの目的の為、世界的にも類を見ない速さで開拓・発展を遂げた近代都市札幌。幕末から昭和にかけて、未知の北海道で生きた5名の男女にフォーカスした、史実に基づいた物語。
島義勇の章では、『北海道開拓の父』と呼ばれ、碁盤目 -
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■内容
時は大正から昭和初期。主人公は作家 菊池寛。作家と名乗りはしても、まともな作品はなく、燻っていた時期。やがて「真珠夫人」が大ヒットし、一躍流行作家となる。
筆一本で世間を沸かせた寛は、ただ名声を得るだけでは満足せず、仲間と共に文学を広げたいという思いから私財を投じ、「文藝春秋」を創刊。とは言え、その道は決して平坦ではなく、社員の給与をはじめ執筆者の原稿料も全て自分の財布だから、帳簿を付ける発想もなく、やがて資金繰りに追われる始末。
それだけではない。時に信じた仲間から裏切られ、事業は暗礁に乗り上げる。それでも寛は、持ち前の行動力と人を惹きつける情の深さで、次々に打開策を見出していく -
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『天下の値段』(門井慶喜)
働く人が出て来る話しは好きです。主人公は江戸の享保時代(8代将軍吉宗の頃)の大阪で米の仲買人として活躍しました。現在では、お米については、政府備蓄・農協調整・長期契約が中心で、デリバティブ市場は存在しません。この本では江戸時代には、米市場に先物取引が制度としてあった事が書かれています。門井慶喜さんの本は、経済情報だけでなく人がきちんと描かれていて、だから「今を生きる人にも響く」?と言われる所以なのでしょう。主人公の垓太や米将軍と呼ばれた吉宗、大岡越前が出て来て享保の大飢饉を救った話しは胸がすぐエピソードです。全く歴史や経済の知識がない私でも面白く最後まで読めたのは、 -
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菊池寛と聞いて文豪をイメージする人は少ないのではないだろうか。
何を隠そう私もその一人だ。
名前は聞いたことあるけれど作品名やら経歴をなにも知らなかった。
師の夏目漱石、天才芥川龍之介に比べると知名度が低く陰が薄いイメージを持っていたけれど、本書を読んで180度ひっくり返った。
作家としても人間としても菊池寛は多才で凄い魅力的な人物だ。
打って良し、投げて良しの選手兼監督でオールラウンドプレーヤーの名選手。
作家以外にも映画や雑誌も手掛け二足のわらじどころではない。
しかもあの有名な文藝春秋の創業者であり、芥川賞、直木賞の創設者だというから驚きだ。
そんな菊池寛のドラマのような半生が描かれた1 -
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明治時代にキリスト教の伝道師として来日し、建築家、実業家として活躍する
ことになるアメリカ人のメレルが日本に留まり帰化することを選んだ理由とは!?
フィクションなのか、ノンフィクションなのか、
解説に書かれている、とある実録に名が記されていることでにより、
それが、小説の内容のようなことであるなら、現代日本にとって重大で重要な
ことと言えるでしょう。そして、ウィリアム・メレル・ヴォーリズの人生は、
良くも悪くも、心に響き、読者に感動を与えること間違いなし。
2025年8月に気になっていたこの小説を読んだことは、戦後80年という
ことは意識していなかったけれども、考え深いことではあります。 -
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本作は、『真珠夫人』などのベストセラーで知られる一方、『文藝春秋』の創業者として活躍した一面も持つ作家、菊池寛を主人公に、夏目漱石から向田邦子まで様々な有名な小説家がオールスター的に登場する大変賑やかで、楽しい一冊です。
直木賞、芥川賞の生みの親的な存在でもあり、本作でも創設の過程や芥川や直木とのエピソードがユーモラスに語られているので、著者はすでに『銀河鉄道の父』で直木賞を取っているので取ることはできないと知りながら、これが直木賞を取った世界線を思わず想像していました。
物語は挫折からはじまり、様々な失敗も描かれているので(と言っても、とてつもなくすごいひとなわけですが)、馴染みや -
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肉や骨はほろびるが、ことばは滅亡しない
映画観たかったぁ。。。
大好きな 大好きな宮沢賢治
その生涯を支えた父親の物語!!
そのせいか若き頃の賢治は、この本ではどうにもワガママ息子に描かれていた。
家業を継ぐ気はなく、でも将来を決めかねて、挙句の果てには仕事にもつかず学問を優先するがあまり、親にお金の工面を願い出たり。。。etc。。。
父親からみたら、可愛さ余って。。。だったろう!!
でも、この頃の賢治は、きちんと未来を見据えていたと私は思っていて、岩手の土壌が悪く野菜が育たない。。。でも肥料となりうるかもしれない鉱物は、岩手の地にはたくさんあって。。。
そのことを突き詰めるには、父の豊 -
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ネタバレ映画で原作が気になって読んでみた。
断然原作のほうが好み。
まず父親の内面描写が丁寧で、政次郎をぐっと好きになった。
おそらく私がオッサンになっている頃合いだからというのもあるだろうけれど。
で、筆は大抵政次郎に寄っているが、三人称で、賢治にも寄る。
そこで父が知りえない生活や、内面が多少描かれるが、ここもまたぐっときて。
正確な意味で、ファザーコンプレックスと、インフェリオリティコンプレックス。
法華経がらみも、おそらく映画よりは事実に近いんだろう。
親子を描くと同時に、政次郎の父喜助と、次女シゲや次男清六の子ら(政次郎の孫)を描く。
それを、食卓の座席配置に厳密であることから、新時代の卓袱 -
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ネタバレ直木賞受賞作品。
宮沢賢治の父に焦点をあてた作品。面白くて一気読み。
この父がとても過保護。明治の父なので厳しく接しようとはしているが、子にも「隙だらけ」と思われるくらい子に甘い。息子が入院するたびに周囲の反対を押して泊まり込みで看病し、自分も罹患してしまう。
宮沢賢治については「雨ニモマケズ」の印象が強くて貧しい農民出身なのかと思い込んでいたけれど、実は実家はかなりのお金持ち。質屋で儲かったお金で何不自由なく生活できたことに対する負い目はあるのだが、その割には、その実家に金の無心をしたり、父に改宗をせまったり、妹に禁断に近い愛情をもってしまったり、「ん?思っていた人と違うな・・」とオロオ -
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★4.6
聖人・宮沢賢治。農民のために身を捧げた「求道者」、あるいは「宗教的な詩人」。
しかし”父の目”に映る彼は、手のかかる不器用な一人息子だった。理解と困惑のはざまで、父はその背を見つめ続けた。
『風の又三郎』、『セロ弾きのゴーシュ』、『よだかの星』、『グスコーブドリの伝記』ーー。
ファンタジックで寓意に富んだ作品群で、”あの”教科書で出会う詩人の代表格だ。
宮沢賢治は、まさに“死後に再評価された”人物である。生前はほとんど無名に近く、その後の時代が“賢治像”を創り上げていった。
そもそも、本書を読む前は彼にどのようなイメージを抱いていただろうか。清貧?献身?理想主義?
「銀河鉄道の