門井慶喜のレビュー一覧
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現在では約200万人の人口を抱える札幌市。
その札幌に人が入植し始めたのは、明治維新の時代。
当時を生きた実在の人物たちの物語を通じて、「札幌」という街が「誕生」する姿が描かれた本でした。
最初は本当に、札幌が、アイヌ語で「広い乾いた土地」と呼ばれていた時代の話(主人公は島義勇)。広い土地を見て、碁盤の目に道を作る計画をたて、そこに役所などの必要な建物を建てようとしている話。
そして、2話目はその数年後。札幌農学校の第二期生の話(主人公は内村鑑三)。
さらには、アイヌ出身のバチラー八重子の生い立ちや、作家として有名になった有島武郎が北海道の農業のあり方を変えて行った話とか、最後は石狩川 -
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近代文学の文豪、宮沢賢治。
その宮沢賢治の父、政次郎の視点から賢治の姿を描いた直木賞受賞作品。
「フィクション」と謳っているが、史実に基づいた、限りなく真実に近いものなのではないだろうか。
このところ宮沢賢治を好んで読んでいたのでとても興味深い作品だった。
家業の質屋を継ぐこともせず、自由奔放にやりたいことに次々と手を出し、その度に政次郎に資金をせびる賢治。
貧しくても勤勉家で、堅実で、朴訥とした宮沢賢治のイメージがひっくり返されたようだった。
散々スネをかじられても、政次郎は賢治の作品の一番のファンでいたのだろうな。
「雨にも負けず」は、読者を説教している訳ではなく、ただの -
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幕末から大正。札幌が、函館に代わって北海道の中心都市になる。
その時代を生きた5人の人生が描かれる。
著者がふくらませた想像によって肉付けされ、過去の物語が生き生きと動き出す。
分厚い本だったけど読みやすかった。
また札幌を訪れたくなった。
島 義勇:明治政府官吏。札幌市の建設に着手し、「北海道開拓の父」と呼ばれる。
内村 鑑三:札幌農学校第ニ期生。文学者・伝道者・聖書学者。
バチラー八重子:有珠生まれのアイヌの歌人、キリスト教伝道者。
有島 武郎:小説家。農学者を志して北海道の札幌農学校に進学。
岡崎文吉:治水技術者。北海道庁の技師として、石狩川の治水計画の基礎を築いた。
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ネタバレ明治版「ハロー!ちびっこモンスター」。
…いや、全然違うのですが、お父さんの悪戦苦闘ぶりがなんだか微笑ましくて連想してしまいました。共働きが当たり前になって家でも休む間もない令和の父親も大変ですが、明治・大正となるとなによりまず家長としての威厳を保たねばならず、子供かわいさとの間で密かに揺れ動く父の姿は現代人から見てほぼコメディーです。
そんな父の愛を一身に受け、宮沢賢治は人格そなわった大先生に育ち…などという事はまるで無く、嗚呼、現代の子育てがそうであるように親の心子知らず極まれりなのです。河原でボヤは起こすわ、謎の商売を始めようとたくらむわ、そのくせ金はいつも父頼み。宮沢賢治、こんなに -
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「一国の国主」信玄堤、そのうち見に行こう。
「除灰作業員」富士山の噴火で火山灰に埋もれた須走、ブラタモリで見たなー。今でもあるだろう。被災地間の被災状況の違いによる勝ち組負け組。
復興の速度や援助の不平等による嫉妬や奢り、恨み。
「小学校教師」新潟から東京へ向かう列車で豪雪に遭う。三八豪雪。
社会がストップすることで、裏日本から表日本への輸送が止まる。逆も。社会が大きくなれば災害はその場だけで終わらず影響が全体に広がる。
てか雪すごいな。新潟来て、今年雪国初体験なんだけど大丈夫かな(;・∀・)
長靴買わなきゃな。買いだめもしなきゃな…。 -
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ネタバレはるか原野の奥の闇に、ぽつりぽつり、橙色の点が横に並んでいる。星の列のようにも見える。
目的地の銭函でかがり火を焚いたのである──。
──まさしく北海道でなければ、しかも民家などの建て込まぬ開拓時代でなければ不可能なやりかた。最長距離の道しるべ。
この物語は、まだ北海道が蝦夷地だった頃。ロシアからの侵略に対して応戦する為、北の障壁となるべく都市の開拓が急務だった。それらの目的の為、世界的にも類を見ない速さで開拓・発展を遂げた近代都市札幌。幕末から昭和にかけて、未知の北海道で生きた5名の男女にフォーカスした、史実に基づいた物語。
島義勇の章では、『北海道開拓の父』と呼ばれ、碁盤目 -
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■内容
時は大正から昭和初期。主人公は作家 菊池寛。作家と名乗りはしても、まともな作品はなく、燻っていた時期。やがて「真珠夫人」が大ヒットし、一躍流行作家となる。
筆一本で世間を沸かせた寛は、ただ名声を得るだけでは満足せず、仲間と共に文学を広げたいという思いから私財を投じ、「文藝春秋」を創刊。とは言え、その道は決して平坦ではなく、社員の給与をはじめ執筆者の原稿料も全て自分の財布だから、帳簿を付ける発想もなく、やがて資金繰りに追われる始末。
それだけではない。時に信じた仲間から裏切られ、事業は暗礁に乗り上げる。それでも寛は、持ち前の行動力と人を惹きつける情の深さで、次々に打開策を見出していく -
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『天下の値段』(門井慶喜)
働く人が出て来る話しは好きです。主人公は江戸の享保時代(8代将軍吉宗の頃)の大阪で米の仲買人として活躍しました。現在では、お米については、政府備蓄・農協調整・長期契約が中心で、デリバティブ市場は存在しません。この本では江戸時代には、米市場に先物取引が制度としてあった事が書かれています。門井慶喜さんの本は、経済情報だけでなく人がきちんと描かれていて、だから「今を生きる人にも響く」?と言われる所以なのでしょう。主人公の垓太や米将軍と呼ばれた吉宗、大岡越前が出て来て享保の大飢饉を救った話しは胸がすぐエピソードです。全く歴史や経済の知識がない私でも面白く最後まで読めたのは、