門井慶喜のレビュー一覧
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タイトル通り宮沢賢治の父。政次郎の視点で描かれてます。
解説にもありますが、宮沢賢治の障壁として悪役として扱われていた。よっぽど資料の捜索に苦悩したと思います。にも関わらず実際に見たんかなっていうぐらい描写がしっかりしててびっくり。父親ならシンパシーを感じちゃう政次郎の迷いや感情の動き面白い。私は割かし甘やかされて育てられたので、もしや私の父もこんな気持ちだったんじゃ?と思わされます。
宮沢賢治についての歴史も沢山出てきて、宮沢賢治の印象も変わります。優しい長男のイメージでしたが、純粋すぎる長男のイメージ
内容も時代が違うから想像するのが難しいですが、心の中の呟きが改行されるなどの工夫のお陰で -
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ネタバレ胸を打つ渾身の父親像を政次郎に見ました。
どうしようもなく甘いけど、それだけじゃなく人物として立派で、賢治と似ている部分、似ていない部分の対比が秀逸。
幼い頃から息を引き取るまで何度も賢治の看護をしているシーンは穏やかながらも悲しさが付きまといます。涙の別れではなく、遺言を聞き取ろうと最後まで父親であり続けた様に背筋が伸びるような思いになりました。
賢治が父のようになりたくてもなれなかった葛藤も胸に刺さりました。何とか自分に出来ることで必死に生きようとしている所が、痛いほど共感出来てしまいます。
ひとつの親子の形として、完璧じゃないかと思えるお話でした! -
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ネタバレGPSの進歩により、灯台がその役割を終えていっているという事実を初めて知った。
「海と灯台プロジェクト」協力のもと、灯台が存在することの意義を、その土地のあらましや歴史、灯台を守ってきた人々にスポットライトを当てることで言語化した、6名の作家さんによる紀行文。
作品を読みながら旅行気分に浸れるので愉しい。作家のみなさんが灯台の中の螺旋階段を登り、灯台室に入られる場面のわくわく感が伝わってきた。フルネルライトを初めて検索したが、見事なライトであった。
灯台の父と呼ばれるイギリス人のブラントンさんという方が、菜種油で火を灯す木造の灯明台が主な海の道標だった日本に、西洋式の灯台をもたらした。また -
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とても良かった。徳川家康が豊臣秀吉により関東へと移されそこで新たな都市を作る過程が描かれている。利根川を無理やり曲げることで沼のような土地だった場所を人が住めるようにし、貨幣を作ることで経済のあり方を変え、上水を整備することで多くの人が生活できるようにする。江戸城の築城にも多くの人が関わっていて、最後の章の天守閣が白の漆喰で塗られた理由(作者の考え?)が平和の象徴及びそれまでに亡くなった人への墓標というのも感慨深い。
東京の地理にもっと明るかったらもっと楽しく読めたし実際の土地へ行けたのに、残念。
1から都市を作るってすごいことでもう日本じゃぁ起きないよな。 -
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【地中の星】
中島みゆきさんのヒット曲に『地上の星』というのがありましたが、この著書は『地中の星』です。
日本で初めて地下に鉄道を走らせようとした男たちが数々の難局を乗り越えてみせる壮絶な冒険記です。
主役となる早川徳次、名前を見たときに最初はSHARP創業者かと思いましたが、生年月日、名前の呼び方が違いました。
その早川徳次、大学卒業後、南満州鉄道に就職、その後も地上の鉄道会社でそれなりに力を発揮していた人物ですが、ある時、地下鉄道を作ることを命じられます。
もちろん日本にはそのようなノウハウもスキルもなく、またどれくらいの費用がかかるのかも見当がつかない中でのスタート。まずは資金集 -
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定価をつけられないほど日本人にとって価値がある本 戦後間も無く、進駐軍はダスト・クリーナー作戦を進める。これは、日本人の歴史を奪い日本人のアイデンティティを破壊する作戦だ。そのために、進駐軍は日本の古書を買い集める活動をする。その中で起こる古書仲間とその妻の死に主人公は巻き込まれる。
この物語は、戦後すぐの神保町古書店主とアメリカとが「日本文化」という爆弾の撃ち合いによる戦争を描いている。
「定価のない本」というタイトルは、定価をつけられないほど日本人にとって価値がある本ということではないだろうか。古書は日本人にとってかけがえのない文化なのだと筆者は言いたかったのだろう。大変面白かっ -
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建築家、辰野金吾の大河小説。
正に大河と呼ぶに相応しい、波乱万丈の人生だった。
決して順風満帆ではないし、何より集大成とも言える建築に向かう頃には自分の老いを受け入れて新しいものを拒絶してるんだもんね。
栄枯盛衰、なるほどなるほど。
好きなシーンは色々ありますが、どこか1つを選べと言われたらやはり前述した箇所、辞表を突き付ける松井とのシーン。
時代の移り変わりと共に老いからも逃れられない。。。
『コーヒーにはうるさいぞ』からの『コーヒーはなかなかうまかった』の流れがより一層胸を締め付けます。
もはや、自分は最先端ではないことを社会全体が示してるんですよね。
切ない、切ないよ。
コンドルと -
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アメリカ人が日本に来たとか、実業家が何かを成し遂げたとか、一般化できるような話ではなかった。
この、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏でしか成し得なかったこと、彼にしか駆け抜けられなかった人生というものを存分に感じることができた。
まず、ヴォーリズ氏は、若くして非常に弁が立ち、向上心、野心に溢れた男で、この時点で、成功者としての素質を持っているのだった。
ヴォーリズ氏であれば、どの時代でも、どの国でも、成功することができただろう。
20代半ばで日本の近江八幡に来て、英語教師として教鞭をとったのをはじめとして、キリスト教の布教活動、建築活動、そして、メンソレータムの販売と、壮年期まで休むことな