門井慶喜のレビュー一覧

  • 定価のない本

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    戦後の古書の町・神保町を舞台にしたミステリー。『家康、江戸を建てる』の門井さんらしく、町の成り立ちや歴史的発展の様子がおもしろい。さらに、古書取引が当時どんなものだったのが詳しく描かれていて、これまた興味深い。
    主人公が語る古書や日本の書籍文化への熱い想いは日本人としての誇りに満ち、潔く、清々しい。
    古書好き、神保町好きにはたまらない一冊。

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    2025年04月16日
  • ゆけ、おりょう

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    門井さんとしては面白いところを主人公になさったなと思って読み始めましたが、司馬遼では味わえない、飾らない龍馬とおりょうに会えてとても楽しい読書でした。
    よろしく知っている話ではない龍馬没後の話は、なんとも切なく、関係者の心情を読み解くのが難しかったですが、その墓碑の内容や分骨のことなど、2度目の旦那さんは惚れきっていたんだなと私なりには解釈しました。
    先週末に旧東海道神奈川宿を歩いて田中屋の玄関まで行ったので、後書きも感慨深く読ませていただきました。
    2025-015

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    2025年03月25日
  • 定価のない本

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    GHQに勝ったのは俺たちじゃない。文字を愛し文字を尊ぶ日本人、日本の歴史そのものなんだ───。

    古典は『のこる』ものじゃない、誰かが『のこす』ものなんだ───。

    歴史を奪う。文化を奪う。敗戦国となった日本にGHQが無慈悲に吐き捨てる。戦いに負けた側が、全ての罪を負いその贖罪を課されるのは長い歴史の中で、戦の常である。

    それでもやはり、歴史は宝だ。文化も宝だ。そしてその記録は、どんな形であっても維持し続けなければいけない。奢りでも、陶酔でもそんなことではなく、各々が母国のルーツを知る手段は残っていなくてはいけない。

    今も尚、古典に触れられる。それは先人達の血と涙の滲む努力と、情熱と、不屈

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    2025年03月23日
  • 灯台を読む

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    作家さん達が全国18か所の灯台を巡り、紹介する紀行文。島国である日本人は古くから海と共生してきたが、現在のような西洋式灯台が建設されたのは明治維新以降になってからだという。風の吹きすさぶ岬の突端でポツンと立ちながら必死に灯を届ける様子は、孤高であり浪漫を掻きたてられる。
    近代日本の文化遺産として、灯台が見直されつつあり、各地域では新たな観光資源となっている。各地に旅行に行く際に、灯台へふらりと寄ってみるのも楽しそうだ。私の地元の灯台も紹介されていたので、まずはそこから訪問したい。
    また、どの作家さんも『喜びも悲しみも幾年月』という映画について言及されていた。近代日本を支えた誇りある灯台守という

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    2025年02月11日
  • ゆうびんの父

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    ネタバレ

    ちょいと読みづらい部分があったなぁ~越後高田郊外,母一人と暮らす上野房五郎は5歳で糸魚川で典医となっている叔父に無心の使いに出され,聡明さ故に相沢家の嗣子となった。漢方医の学びに飽き高田の儒者・倉石の塾にも飽き,江戸へ出る。儒学の戸沢,医者の上坂,旗本の添田と渡り歩き,叔父の死を知って相沢家の相続争いに勝って三百両で従兄弟に譲って江戸へ戻り,筆耕で糊口をしのいだ。ペリー来航に浦賀奉行の中間となって久里浜へ出掛け,長崎へは糸魚川から山陰を廻る。四国へ渡って和歌山から東海道で江戸へ戻る。旗本・設楽弾正・長尾全庵の知恵袋,次期船手頭と噂される江原に長崎の竹内を紹介される。江戸湾に来た観光に乗って船の

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    2024年12月19日
  • ぼくらの近代建築デラックス!

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    門井慶喜さんの「屋根をかける人」で、建築家のヴォーリズについて知ったところから繋がって、卒業研究を書き上げたら絶対に読もうとワクワクしていた一冊。明治以降のレトロ建徳を二人の博識な作家さんがタッグを組んで巡り、互いのおすすめ建築を見学し、知識を披露しながら楽しい道行き。

    この内容で面白くないわけがない。レトロ建築が気になりながら、特に建築に詳しくないし……でももう少し詳しく知りたい。なんなら見学だってしてみたい、という向きにはピッタリの一冊。私も辰野金吾やヴォーリズ、コルビジェくらいはふわっと知っているけど、もう一歩深く知ってるとは言えない、門前の小僧になりそびれている小娘であって。それでも

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    2024年12月07日
  • ゆうびんの父

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    前島密が農家の生まれ、何も後ろ盾のない状態から"郵便制度の祖”と呼ばれるまでになる話。師を替えながら様々な分野の勉強を極めたことが国の大事業に収束して行く過程が面白かった。当たり前になっているけれど、全国どこでも一律の料金で手紙や荷物を確実に届けられるって凄いことだ。

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    2024年11月25日
  • 銀河鉄道の父

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    宮沢賢治作品が好きですが、これはもう親バカで最大の父親の愛の話だった。
    政次郎は現代的な父親っぽい書き方をされていたので「自分の父もこんな気持ちでいるのかなあ」としみじみしてみたり。

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    2024年11月20日
  • 新選組の料理人

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    人情味のある話で、好きなかんじだった。

    新選組の中でも原田佐之助は好きな方、その佐之助が多く折り扱われていたし、主役の鉢四郎の悲哀が、気の毒ながらクスリときてしまう。

    歴史小説としてよりは人情話。

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    2024年11月10日
  • どうした、家康

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    家康というただ一人の物語でも、こんなにいっぱいあるもんなんだなあ、って思った。王道系も、恋愛系も、色々あって、「家康」を楽しめる。

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    2024年11月09日
  • 東京、はじまる

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    辰野金吾の二大建築、日銀本店と東京駅の建設を軸に辰野金吾の生涯が活き活きと描写されていて、話の展開がとてもおもしろい。ジョサイア・コンドル、曾禰達三、片山東熊、高橋是清など史実上の人物との絡みも臨場感を持って描かれていて、その時代の雰囲気を身近に感じられて楽しい。

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    2024年10月23日
  • 天災ものがたり

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    日本は本当に天災の多い国なのがよくわかる
    何となく知っているもの、全く知らなかったもの、どちらも気になったので調べながら読む
    実際に起きた事、その時生きていた人たちの奮闘や葛藤が感じられる物語ばかり(どれも短編なので少し物足りないが…)
    平気そうに見えてもサバイバーズギルトを感じて苦しんでいるのが伝わってきてつらくもある
    三八豪雪の話、被害のことを考えると良かったとは言えないものの、教師の成長を感じられる終わりで少しほっこりした

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    2024年10月08日
  • 天災ものがたり

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    日本史に残る天災―洪水、地震・津波、大飢饉、富士山噴火、江戸大火、豪雪―を描く短編集。フィクションではありながら、文献に残る数字も出てくるのでリアリティもあり、また災害を乗り越えていこうとする人間のたくましさも感じられる。『そこに人がいるから災害になるのである』には、なるほど!と思いました。

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    2024年10月07日
  • ゆうびんの父

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    お母様の決断が凄いです。自分の足で日本各地歩き、夜の常を目の当たりにしたのが日本を変えることになったのだなぁ。

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    2024年09月29日
  • ゆうびんの父

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    ネタバレ

    誰もが見たことがあろう1円切手の前島密の物語。

    幼少期から母の死までを描いていて、郵便の父になるまでの紆余曲折が面白すぎます。
    これまで密が主人公のドラマや小説を知らないので、こんなに破天荒な人とは知りませんでした。
    とにかく好奇心だけは旺盛で堪え性がなくいろんなことに手を出して物にはするものの、人生の目標となる軸が定まらない上に政局からは一歩引いた感じなので、生涯の仕事としての郵政に出会うまでが焦らされてしまいました。
    一つのことを突き詰めるのも素晴らしい事ですが、とりあえずは与えられた仕事をちゃんとこなしつつ夢を探すのもいいかもしれませんね。

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    2024年08月31日
  • 定価のない本

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    ミステリー仕掛けであるが、ミステリーというジャンルには入りきらない。「歴史ミステリー」かもしれないが、少し違う気がする。作品背景となる時代の情景もビビッドに書かれているが、抽象的な「歴史」を描くことが主目的ではない。中心にあるのは、その時代に、たまたま、ある分野で専門的に活動している主人公が、懸命に自己の分を尽くそうと奮闘する姿だ。
    門井は、そんなふうにジャンル分けが難しい作品を出す。
    本作では、神保町の古書屋が、戦後のGHQ統制時代に、日本の文化資産の散逸・消滅の危機に際し、自らの生業の範囲内で、知恵を絞って抵抗する姿を描く。
    地味で、大うけが狙えるようなテーマではない。が、小説として読むと

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    2024年08月24日
  • ゆうびんの父

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    「近代郵便の父」と言われる前島密が郵便制度を導入するまでの半生記。

    英語、数学、儒学、医学、蘭学、操船法など、手を付けたものは全て習得する才能の持ち主だった密は、常に新しいことを求め歩いた人生の旅人でもあった。

    長崎留学中に始めた英語塾で出会った勝海舟や薩摩藩士たちとの縁で幕臣となり、維新後は明治政府に誘われ郵便制度の基礎を築くに至る。

    頻繁に師を変えたりしても人望を勝ち得たのは、人柄に加え、志や才能が顕著だったためだろう。

    郵便制度構築に割かれたページ数は多くないが、その試行錯誤の様子は作者の真骨頂。

    制度を全国に拡げるに当たって各地の庄屋・名主が果たした役割は大きく、今でこそ特定

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    2024年08月23日
  • ロミオとジュリエットと三人の魔女

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    シェイクスピアを知っていれば面白さが倍増する小説だと思う。
    しかし知らなくても面白く、ワクワクしながら次へ次へと読み進めることができた。
    言葉の力、演劇の力を見せつけてくる文の力は見事。
    軽快な言い回しもニヤッとするし、登場人物の関係も分かりやすい。
    読めて良かった!

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    2024年08月16日
  • ゆうびんの父

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    郵便制度を創設した前島密の一代記。知った名前が、沢山出てくるあの時代ならではの面白さがあった。

    前半生においては人生の無目的に苦しんでいる。全国各地を旅したり、船乗りになったり、英語を学んだり、幕閣へさかんに建言したりしていたのは、人生の目的を渇望して発見できなかった軌跡といえる。もがくようにして、転がるようにして、自分そのものを探していたのだ。それがようやく郵便創始という目的を得て、明治時代に入ってからの後半生は国の大事業の土台を設計し創り上げていく。歴史上の有名な人物とやり合う様子は興味深い。

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    2024年07月09日
  • ゆうびんの父

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    ネタバレ

    越後の貧乏な母一人子一人で育った房五郎.元武士の出の母の教育もあって,志大きく育つ.十代の頃より家や藩などではなく日本の行末を見つめて旅をし主人を変え学ぶべきことは学び数々の失敗をしながら最後に郵便という花を咲かせた.
    房五郎は前島密になるわけだが,養子にと求められたり,彼を助ける人が多くいたことを思うと,若い頃より才能と人間の魅力に溢れていたのだろう.また,郵便の成り立ちもよく分かり面白かった.

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    2024年07月02日