門井慶喜のレビュー一覧

  • 天災ものがたり

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    日本は本当に天災の多い国なのがよくわかる
    何となく知っているもの、全く知らなかったもの、どちらも気になったので調べながら読む
    実際に起きた事、その時生きていた人たちの奮闘や葛藤が感じられる物語ばかり(どれも短編なので少し物足りないが…)
    平気そうに見えてもサバイバーズギルトを感じて苦しんでいるのが伝わってきてつらくもある
    三八豪雪の話、被害のことを考えると良かったとは言えないものの、教師の成長を感じられる終わりで少しほっこりした

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    2024年10月08日
  • 天災ものがたり

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    日本史に残る天災―洪水、地震・津波、大飢饉、富士山噴火、江戸大火、豪雪―を描く短編集。フィクションではありながら、文献に残る数字も出てくるのでリアリティもあり、また災害を乗り越えていこうとする人間のたくましさも感じられる。『そこに人がいるから災害になるのである』には、なるほど!と思いました。

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    2024年10月07日
  • ゆうびんの父

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    お母様の決断が凄いです。自分の足で日本各地歩き、夜の常を目の当たりにしたのが日本を変えることになったのだなぁ。

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    2024年09月29日
  • ゆうびんの父

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    ネタバレ

    誰もが見たことがあろう1円切手の前島密の物語。

    幼少期から母の死までを描いていて、郵便の父になるまでの紆余曲折が面白すぎます。
    これまで密が主人公のドラマや小説を知らないので、こんなに破天荒な人とは知りませんでした。
    とにかく好奇心だけは旺盛で堪え性がなくいろんなことに手を出して物にはするものの、人生の目標となる軸が定まらない上に政局からは一歩引いた感じなので、生涯の仕事としての郵政に出会うまでが焦らされてしまいました。
    一つのことを突き詰めるのも素晴らしい事ですが、とりあえずは与えられた仕事をちゃんとこなしつつ夢を探すのもいいかもしれませんね。

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    2024年08月31日
  • 定価のない本

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    ミステリー仕掛けであるが、ミステリーというジャンルには入りきらない。「歴史ミステリー」かもしれないが、少し違う気がする。作品背景となる時代の情景もビビッドに書かれているが、抽象的な「歴史」を描くことが主目的ではない。中心にあるのは、その時代に、たまたま、ある分野で専門的に活動している主人公が、懸命に自己の分を尽くそうと奮闘する姿だ。
    門井は、そんなふうにジャンル分けが難しい作品を出す。
    本作では、神保町の古書屋が、戦後のGHQ統制時代に、日本の文化資産の散逸・消滅の危機に際し、自らの生業の範囲内で、知恵を絞って抵抗する姿を描く。
    地味で、大うけが狙えるようなテーマではない。が、小説として読むと

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    2024年08月24日
  • ゆうびんの父

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    「近代郵便の父」と言われる前島密が郵便制度を導入するまでの半生記。

    英語、数学、儒学、医学、蘭学、操船法など、手を付けたものは全て習得する才能の持ち主だった密は、常に新しいことを求め歩いた人生の旅人でもあった。

    長崎留学中に始めた英語塾で出会った勝海舟や薩摩藩士たちとの縁で幕臣となり、維新後は明治政府に誘われ郵便制度の基礎を築くに至る。

    頻繁に師を変えたりしても人望を勝ち得たのは、人柄に加え、志や才能が顕著だったためだろう。

    郵便制度構築に割かれたページ数は多くないが、その試行錯誤の様子は作者の真骨頂。

    制度を全国に拡げるに当たって各地の庄屋・名主が果たした役割は大きく、今でこそ特定

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    2024年08月23日
  • 銀河鉄道の父

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    言わずと知れた宮沢賢治、のお父さんの物語。 宮沢賢治が本郷三丁目近くの菊坂にも住んでいたとは。 思わず探しに行きました。 菊坂途中歯医者横の階段を下りた先に宮沢賢治は住んでました。 宮沢賢治が決して文筆活動に集中していたとは言えないあたりが興味深い。

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    2024年08月18日
  • ロミオとジュリエットと三人の魔女

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    シェイクスピアを知っていれば面白さが倍増する小説だと思う。
    しかし知らなくても面白く、ワクワクしながら次へ次へと読み進めることができた。
    言葉の力、演劇の力を見せつけてくる文の力は見事。
    軽快な言い回しもニヤッとするし、登場人物の関係も分かりやすい。
    読めて良かった!

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    2024年08月16日
  • ゆうびんの父

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    郵便制度を創設した前島密の一代記。知った名前が、沢山出てくるあの時代ならではの面白さがあった。

    前半生においては人生の無目的に苦しんでいる。全国各地を旅したり、船乗りになったり、英語を学んだり、幕閣へさかんに建言したりしていたのは、人生の目的を渇望して発見できなかった軌跡といえる。もがくようにして、転がるようにして、自分そのものを探していたのだ。それがようやく郵便創始という目的を得て、明治時代に入ってからの後半生は国の大事業の土台を設計し創り上げていく。歴史上の有名な人物とやり合う様子は興味深い。

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    2024年07月09日
  • ゆうびんの父

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    ネタバレ

    越後の貧乏な母一人子一人で育った房五郎.元武士の出の母の教育もあって,志大きく育つ.十代の頃より家や藩などではなく日本の行末を見つめて旅をし主人を変え学ぶべきことは学び数々の失敗をしながら最後に郵便という花を咲かせた.
    房五郎は前島密になるわけだが,養子にと求められたり,彼を助ける人が多くいたことを思うと,若い頃より才能と人間の魅力に溢れていたのだろう.また,郵便の成り立ちもよく分かり面白かった.

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    2024年07月02日
  • ゆうびんの父

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    郵便制度の骨格を作った1円切手の肖像前島密。
    人は望む人物になるのではなく、周囲の環境や時の運により、思わぬ形でその才を発揮する。郵便制度に至るまでの道程のとにかく長いこと。
    挫折を繰り返しながらも前向きに生きれば道が開けて来ることを教えてくれる。

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    2024年06月09日
  • ゆうびんの父

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    幼少期から好奇心旺盛で、行動力がハンパない房五郎。紆余曲折を経て、前島密と名を変えても、彼のバイタリティーは続く。薩長土肥出身者を前にしても臆せず、彼ならではの芯の強さで難局を打開してゆく。郵便制度の基盤を完成させた前島密に感謝したくなる物語である。

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    2024年06月08日
  • ゆうびんの父

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    一つの時代にこれだけの改革者がいれば、時代が変わって当然と感じました。今の日本の礎を築いたのは間違いなく、知識欲おう盛で改革欲に溢れた人達が多く居たこの時代だと思いました。

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    2024年06月02日
  • ゆうびんの父

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    うわー、こんなところにも変人が。
    タイトルから、前島密の話だと分かったけど、
    まさか、前島密がこんなに変身だとは。

    ネット生活が当たり前の現代でも、
    郵便がなくなることはない。
    最強の二番手、恐るべし

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    2024年05月30日
  • 地中の星―東京初の地下鉄走る―(新潮文庫)

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    大事業に乗り出したのは早川徳次―地下鉄建設の歴史を知ることができる一冊です☝️渋沢栄一や五島慶太といったビッグネームも登場する一方で、現場で働く人々にスポットライトをあてた物語。これから地下鉄に乗るのも路線図を見るのも楽しみになりそう☺️

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    2024年05月28日
  • ゆうびんの父

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    今まで一円切手の肖像の人を気にしたこともありませんでしたが、郵便の創設等の感動的なエピソードを知ることができました。

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    2024年05月18日
  • ゆうびんの父

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    『ゆうびんの父』 門井 慶喜 著

     門井慶喜氏の本にハズレはないと新刊をゲット。と思ったところ、前半は前島密(上野房三郎)があっち行ったり、こっち行ったりの繰り返し。北は北海道から南は九州まで、上司・師・仕事を転々とし、「いつ本題は出てくるのやら…」と不安になってきます。後半から郵便事業の立ち上げとなり、ヤマト運輸の小倉昌男氏バリの活躍に移行します。しかも、前半の長々とした旅の経験が事業立ち上げに役立つということもわかりました。特に、旅を通じた維新の志士たちや勝海舟らとの交流が、やがて「人脈」となって活きてくることも描かれています。

     いまでも郵便局には地元の「名士」が就くことが多いようで

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    2024年05月08日
  • 地中の星―東京初の地下鉄走る―(新潮文庫)

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    日本で最初の地下鉄工事の物語。
    時代は第二次世界大戦の前、関東大震災のすぐ後に着工したことに驚いた。
    しかも東京のど真ん中に地下鉄を作るというチャレンジングな発想。
    早川徳次だけでなく、危険と隣り合わせの工事現場の人たちの苦労も描かれ、銀座線の歴史を十分に知ることができ楽しめた。

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    2024年04月16日
  • 銀河鉄道の父

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    この父でありすぎる父が生きたのが、人間50年で結核が死の病だった時代だったとは言え、今の人生100年時代という言説や風潮に流され、子供との一つ一つの時間をないがしろにしてしまって来た気がした。この春、二人の子供たちはそれぞれ次のステージに歩みを一歩進める。二人の健康を切に祈りながら、私も父でありすぎたい。

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    2024年03月15日
  • 天災ものがたり

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    「一国の国主」天文の乱十一年(1541)甲府洪水
    晴信と名乗る若かりし武田信玄が奮闘した「信玄堤」のとっかかり事業
    『家康、江戸を建てる』に繋がっていくような締め方でジンときた


    「漁師」明治二十九年(1896)三陸沖地震
    津波、、、どんなホラーよりもミステリーよりも怖かった、、、
    “金と言うものはタダでもらうなら単なる数字だが、労働の対価として受け取れば人間の肯定そのものなのである。”この作者はこういう金言になりそうな良い事を散りばめてくる。


    「人身売買商」寛喜二年(1230)大飢饉
    鎌倉幕府第三代執権北条泰時の時代
    寛喜の飢饉
    鎌倉幕府の六波羅探題


    「除灰作業員」宝永四年(170

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    2024年03月13日