門井慶喜のレビュー一覧
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タイトルが示す通り天災~洪水、津波(地震)、冷夏(飢饉)、噴火、大火、豪雪~を舞台にした6つの短編。時代も鎌倉時代から昭和38年(豪雪)まで、場所も様々です。
門井さんはこれまで5作品読みましたが、短編は今回が初めてです。
長編では軽快な語り口でサクサク読める作家さんという印象が強かったのですが、この作品はやや重く、しっかり書き込んだ感じがあります。短編のせいでしょうか。
天災を乗り超えて行く話ですが、いずれもかなりの苦みを含み、味わい深く仕上がっています。
強いて言えば、「大火」は前振りをもう少し、例えばキリシタンの妻の想いなどを書き込めば良かったように思うし、「豪雪」の最後の天災の解説は無 -
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ネタバレHKさんのお勧め。
たとえ、建築に興味がなくても知っているであろう「辰野金吾」のお話。
日本銀行本店、東京駅舎をはじめ、
中之島公会堂を設計したのはさすがに知っていたが、
唐津で高橋是清に英語を学んだとか、
鹿鳴館を設計したジョサイア・コンドルが先生だったとか、
国会議事堂の設計を争った妻木頼黄は
神奈川県立歴史博物館や横浜赤レンガ倉庫を設計してたとか、
いろいろ学べて面白かった。
もちろん、専門書を読めばそういうことは書いてあるのだろうが、
時系列で書かれているだけでは、なかなか入ってこない。
物語にしてもらうことによって、
人間関係や時代の雰囲気が感じられて良かった。
ペルーの銀山で -
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辰野金吾のイギリス留学からの帰国後から日本銀行本店と東京駅の設計建築までの生涯を描いた一冊。
辰野金吾という名前は知っていましたが、初めて人物像を知ることができました。
明治維新で江戸時代の名残が残る時代。
西洋に追いつけ追い越せと日本が大変貌を遂げた時代。
師匠のイギリス人のコンドルと日本銀行の設計を巡り、時の総理の伊藤博文への直談判した時の師弟対決。
その師弟対決を超えて、友情を死ぬまで持ち続けてきた二人の絆。コンドル先生の懐の大きさがあったからこその辰野金吾がいたのですね。
妻の秀子の献身ぶりや、苦楽をともにした曽禰達蔵の身分を超えた友情。高橋是清との接点。
偉人は偉人を呼ぶです -
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ネタバレ定価のない本、つまりは歴史的価値の高い、古典籍という、歴史研究に使うような文化財みたいな本のことだった。日本には歴史があるから変な自尊心があって駄目なんだ、歴史を奪ってまっさらにしてやらないと、という米国の考え。
ちょうど少し前に読んだ、加藤陽子著「それでも日本人は戦争を選んだ」でも話していたことだなと、内容を思い返しながら読んでいた。
日本の古典籍を片っ端から購入し、日本から奪うという米国。米国の金庫vs日本の古典籍という構図だったが、戦後の情勢による相場の変化は勿論だが、やはり日本の歴史の長さから、最初から結果は見えていたのではないかと思う。
太宰治が少し出てきたが、その役割は太宰治でなく