門井慶喜のレビュー一覧

  • かまさん――榎本武揚と箱館共和国

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    “釜さん”こと榎本武揚は、同時代の誰にも先駆けて、所謂“近代”というモノ、技術や社会の仕組みや、そういうモノが発達した歴史を知識として、体感として身に着けたような人物だった。そういう人物であったが故に抱いた野心と行動…それが本作の軸になっている。
    他方で、“釜さん”こと榎本武揚が知悉する「近代」に対する「近世」或いは「さむらい」の価値観や、“天子様”という朝廷の台頭によって、一連の戊辰戦争に通じる流れの中での「変化」というようなモノを考察する内容が含まれ、それがなかなかに深い…
    力強い感じで、ドンドン展開する物語に引き込まれる…愉しい作品!!

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    2017年01月22日
  • シュンスケ!

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    自身が生きる時代の、そして自身が創る時代の、その行き着く先を飽くまでも見詰めようとした男…本作の俊輔はそういう人物かもしれない。
    立派な時代モノながら、タイトルが漂わせる雰囲気のような、「現代の若者の奮戦」に何処か通じる…
    非常に愉しい一冊で、お薦めだ!!

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    2016年09月05日
  • 東京帝大叡古教授

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    ネタバレ

    結末の種明かしを読んでうなりました。これはすごい。夏目漱石や日露戦争などの歴史上の人物や史実と、叡古先生という架空の人物をうまく織りあわせて、すばらしいミステリーになっている。主人公・藤太の一代記のようにもなっていて、最後、泣いた。思い返してもゾクッとする種明かしだった!
    ウンベルト・エーコが亡くなり、夏目漱石没後100年、そして戦争を起こそうとしているようにも見える現政権。なんというタイミングで文庫化されたんでしょう。舞台は明治~昭和初期だけど、そのまま現代への警告のようにも読める。

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    2016年04月25日
  • ぼくらの近代建築デラックス!

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    2015年26冊目。
    京都、大阪、神戸、横浜、東京の近代建築を巡る、ゆる散歩対談集。街中で、「レトロかわいいな」とか「しぶいなあ」と感じた建築物は、これからは意識的にチェックしてみようかな。
    どの建築物にも、時代背景はもちろん、関係者の趣味や思惑も色濃く反映されている。人間味溢れるストーリーがある。
    色とか雰囲気だけじゃなくて、全体のバランスとか部分的なデザインにも、これからは注目してみたい。
    神戸と横浜の貿易関連施設、大阪の綿業会館とか、特に興味深かった。
    最後に台湾が出てきたのも良かった!植民地政策というと、どうしても、圧政のイメージが強くなっちゃうけど、八田與一のダム建設と銅像の件は、な

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    2015年09月06日
  • ぼくらの近代建築デラックス!

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    この手の企画は、東京だけとか、関西だけ、という内容が多いけれど、本書は大阪、京都、神戸、東京とバラエティに富んでいるのが嬉しい。さらに追加での台湾の部分も興味深い内容だった。
    近代建築というとどうしでもコンドル、そして辰野金吾に偏りがちだ。本書も勿論辰野金吾の作品はフィーチャーされているが、偏った感じではなく、また設計者の人生んいも多く触れられていて、読み物として面白かった。続編を期待したい。

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    2015年06月06日
  • おさがしの本は

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    本書の解説で「ビブリオ・ミステリー」という語を見て、そういうミステリーのジャンルがあることを初めて知り、どんなものだろうと思い購入。
    殺人事件や犯人捜しがあまり好きではなく、通常のミステリー小説だと、つい後ろから読んでしまって、楽しみを半分くらい失いがちな私にとって、本格派ビブリオ・ミステリーの本書は、純粋に謎解きを楽しむことができてよかった。

    この本、三省堂本店で「書店員のおすすめ」になっていたけれど、その気持ちは非常によくわかる。文献資料のリサーチや分類・整理に関わったことのある人であれば、自分の求める文献資料を探しているときのワクワク感がそのまま味わえるだろう。

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    2022年09月06日
  • 銀河鉄道の父

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    宮沢賢治の父 政次郎に焦点を当てた歴史小説。
    彼の純粋に子供たちを想う気持ちと、当時の時代の父親像に揺れる様が面白かった。
    農学校出身で真面目な人というイメージがあったけど、物語りでは自由奔放で親の脛齧りのように描かれている部分もあり、彼の印象が変わった。
    そして彼の本が沢山の人に読まれるようになったのは没後というのも知らなかったので驚き。
    宮沢賢治の作品を改めて読み返したい!

    あとPRIZEを読んだ直後だったので、「直木賞を受賞した文学的な作品ってこういうものなのかあ」とニヤニヤしながら読んだ。

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    2026年03月15日
  • 江戸一新

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    明暦三年一月、江戸が燃え尽きた。「明暦の大火」である。この大惨事からの復興に立ち上がった男がいた。老中・松平”知恵伊豆”信綱。叩き上げの天才政治家が、遅滞なく推し進めたのは、現代の東京につながる「大江戸」への建て替え。

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    2026年03月06日
  • 札幌誕生

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    札幌に生まれ育った自分が北海道という地がどういう経緯で開拓され、人々が住み始めのか、どのように発展していったのか、ほとんど知らずに現在を過ごしていた。歴史を知ることにより、自分の今いる地点を時系列で、そして俯瞰で捉えることができ、先人たちや今を幸せに過ごすことができる喜びを感じ、感謝の気持ちをもって豊かに過ごすことができる。

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    2026年03月06日
  • 札幌誕生

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    幕末から大正にかけて、未知の土地・蝦夷地に渡り、近代都市・札幌を築いた5人の物語。都市造成、アイヌとの関わり、農業、宗教、治水という多様な視点から、札幌という都市がどのように形づくられていったのかを追うのがとても興味深かった。
    改めて、今私たちが知っている北海道は“人の手によって造られた土地”なのだと感じる。アイヌの人々の苦悩に読んでいて胸が痛む場面もあったが、漫画などで描かれるような和人との対立だけではなく、彼らの文化を理解し残そうとした人々の姿も描かれていたのが印象的だった。

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    2026年03月06日
  • 銀河鉄道の父

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    この父親のすごさ、賢治のやりたいことを全て否定し、そして全てを受け入れ支援する。賢治の一番の理解者だった。この父親の懊悩と優しさに感動。

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    2026年03月01日
  • ゆうびんの父

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    一円切手の肖像画、郵便の父と言われる前島密の伝記的小説。新潟の田舎出身、母が授けてくれた教育によりなんでも好奇心を持ち、行動を恐れない勇気を持つ。この原則で、語学、法律、外交など、さまざまな分野で活躍し、明治維新ののち、誰も手をつけなかった郵便の整備に取り掛かる。それは、母への手紙が届くかわからない不安や、大切な本がなくなる心配を除きたいという思いから。顔と名前を知ってても、どんな人かはわからなかったが、知ることができてよかった。

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    2026年03月01日
  • にっぽんの履歴書

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    学生時代に24万円の露伴全集を購入した。2ヶ月食パンと塩とマーガリンで過ごして、毎晩読み耽った。という話が特に印象に残った。

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    2026年02月18日
  • 札幌誕生

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    新政府は南下してくるおそロシアに対する蝦夷地サッポロを一から街づくりを計画し島義勇を判官に任命する。わずか3カ月で退官もその暑き想いが今もこの街に。北海道神宮参拝時には六花亭神宮茶屋店限定のおやき判官さまもぜひぜひ

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    2026年02月16日
  • 天下の値段 享保のデリバティブ

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    現在の米騒動のソリューションのヒントになるような、享保の大坂商人VS将軍吉宗の米騒動を描く。サブタイトルの「享保のデリバティブ」の方がタイトルとして相応しい。歴史というよりは経済小説として楽しめる。流石門井氏はこの辺りの設定とストーリテリングが抜群にうまい。

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    2026年01月11日
  • 天下の値段 享保のデリバティブ

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    天下の台所大坂の米市場を巡る大坂商人と吉宗幕府の攻防。

    現代の先物取引の先鞭となる帳合米取引の様子が生き生きと描かれる。

    「立用(るいよう)」という現代取引所のサーキット・ブレイカーに似た制度や敷銀と呼ばれる証拠金、寄付き、大引けといった市場用語が既に使われていたのは興味深く、完全に民間によって創設された市場で合理的な制度が民主的に導入されたというのは、民主国家としてある意味誇れるものと思う。

    対照的なのは米本位制ゆえに米価を高く維持したい、本質的には統制経済を志向する幕府の立場。
    幕府からすれば、一般庶民が好き勝手に米価を決める米市場を統制したいと思うのは自然なこと。

    本書に描かれた

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    2025年12月26日
  • 屋根をかける人

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    明治時代に日本に来日し、建築家、あるいは宣教師、或いはメンソレータムを広めると様々な顔を持つW.M.ヴォーリズ通称メリル、最愛の妻満喜子と出会い、開戦の前夜に日本に帰化し日本人として生きる道を選んだ。
    そして、2つの祖国を持つメレルだからこそ、成し得た戦後日本の為の決断とは、開戦がアメリカ国籍のメレルに取ってはどう写ったか。
    時代の先を読む力、決断、実行力、色々と考えさせられた。
    故郷を捨て日本人として戦後を生きる姿に感服しました。

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    2025年12月11日
  • 天下の値段 享保のデリバティブ

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    世界最古と言われる先物取引市場、大阪堂島をめぐる大阪商人対江戸幕府の戦い、という構図だけど難しいところなくサクサク読める。最後は裏切られる事なくハッピーエンドで二重まる

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    2025年12月09日
  • 天下の値段 享保のデリバティブ

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    大阪商人かっこいい
    この時代でデリバティブ成立してるの凄すぎ
    やっぱり噂とか雰囲気で上げ下げするんだ

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    2025年12月07日
  • ゆうびんの父

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    日本の郵便制度をつくった前島密の話。幕末、越後の小さな村に生まれ、さまざまな学問をし日本中を旅して、やがて新政府で郵便制度をつくったのだが、そこに至るまでが長い長い旅路だった。「ゆうびん」という語を考えたのも彼。この制度に込られた思いを知ると、今日当たり前に見かける郵便局、郵便ポストを見る目も変わるかもしれない。

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    2025年12月04日