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Posted by ブクログ
豊臣秀吉は天下統一を果たしながら、晩年、無謀とも言える朝鮮出兵を行ったのか。その「なぜ」に迫る歴史小説。
人間の欲は果てしない、配下へ報奨とする土地が尽きてしまった、権力者は愚行を繰り返す、秀吉は単純に戦争が好きだった、など、多くの学者により分析されつくした朝鮮出兵の動機。それらを踏まえて小説家としての著者視点での新解釈を提示してくれると期待したのだが、消化不良のまま完結してしまったという感想。
本作に登場する秀吉は、名もなき庶民や商人などに、勢いで朝鮮・明などを征服すると公言した手前、引っ込みがつかなくなってしまっていたように感じられる。淡々と名護屋城を築き、朝鮮向けの人と船を集めるだけ。そこに情熱はない。
秀吉の朝鮮出兵とは、放言したことを否定しないスタッフに囲まれた最高権力者の悲劇でもあり、喜劇でもあった。という、現代でもよくあることなのだろう。
Posted by ブクログ
信長、秀吉、家康の3人の中で、この10数年前くらいから最も酷く、そして悪く言われているのが秀吉。「戦ベタ」で「調子のいい奴」。下劣かつ卑劣、家康に夫のいた妹と母親まで人質に差し出した。好色で、身分の高い女ばかり何人も側室にした。確たる理由もなく「千利休を切腹、そして梟首。」「甥の秀次切腹、女、子供を含む眷属30名以上の処刑。」そして最大最悪の愚行「朝鮮出兵」。この小説は最後の「朝鮮出兵」を、「なぜ」ではなく「なぜか秀吉は」決断したために起こる色々な思惑、騒動を書いている。他の悪行等についてはスルー。まあこの「朝鮮出兵」以外の悪行については、どういう経過だろうと戦国時代を終わらせ、絶対的権力者となった者が、たまにやってしまう悪行。古今東西、何処でも、何時でもある話。もっとも、こういう権力者を好きか嫌いかは別だが、戦国時代の武将の残忍さ卑劣さはよく知られている。信長の残忍性は凄まじいし、家康の狸爺い振りは酷い。問題は「朝鮮出兵」。「なぜ秀吉は」朝鮮出兵を決断し実行したのか?その理由は?従ってきた武将達に分け与える土地を得るためか?土地変わりの金を大量に得るための勘合貿易をしたいせいか?不満を持つ者達に共通の敵を与え、それに向かわせるためか?或いは単に秀吉が老いてボケただけか?秀吉が頭の働かない傲慢じじいで世界を知らな過ぎたからか?それとも·······?作者が、この小説のなかで主人公秀吉の口から言わせている答は、「欲という奴」。ただ、その答を聞いた家康は「多分違う」と思った。と言うことは作者自身も「違う」と思っているかも。この謎解きの部分は中途半端。しかし、この小説は謎解きを主体にしているのではなく「朝鮮出兵」によってもたされた騒動が主体だと思う。あっという間に日本一の港町になった九州博多の名護屋、日本一の城となった名護屋城。そして、あっという間に寂れた名護屋、廃城となった名護屋城。この馬鹿げた騒動は?一体何の歴史的意義があるのか?·······でも、この小説の秀吉が言った「欲」。良いなあと思ったけど。「秀吉」はボケたか、傲慢か、世界を知らないか、欲ボケか。·······では、テムジンには、どんな「欲」があったのか。彼は「世界の広さ」を知っていて、草原を駆け抜け、砂漠を越えて行ったのか?·······「掠奪者」と呼ばれ、大帝国「遼」の礎を築いた阿保機は「大宋」に何の夢を見たのか?·······大国「遼」を滅ぼし、ついには中国北半分を支配した「金」の阿骨打は「南宋」の何に憧れ、何に失望したのか?そして奴児哈赤は?·······「世界の英雄」達は、どんな「欲」があって他の土地を侵略していったのか?或いは「夢」があって。勿論、侵略された方は堪ったものではないし、赦せない暴挙にしか思えないだろうが。この小説は、この部分でも(「欲」、「暴挙」のことに関しても)中途半端だと感じた。ただ「大騒ぎ」を書きたかっただけなら、まあ、それはそれで有りか。
Posted by ブクログ
後に『文禄・慶長の役』と呼ばれる朝鮮出兵。
タイトル通り『なぜ秀吉は』朝鮮出兵を思い立ったのか、について様々な視点で描く。
博多商人・神谷宗湛(そうたん)
キリシタン大名・小西行長
後の天下人・徳川家康
そして朝鮮から来た陶工・カラクと元武家の妻・草千代。
作中にも出てくる巷間の説としては
『あらたな封土』を得るため
『勘合貿易の復活のため』
『歴史に名をのこしたいから』
『権力者の気まぐれ』
など様々なある。
だが家康は全く違う視点で考える。個人的にはこの説は面白いと思った。家康らしい考え方でもある。
だが秀吉はそれは違うと言う。
またイエズス会宣教師たちの、一般的に伝えられている面ではない負の部分も描かれているのも興味深かった。
当時の宣教師たちが当たり前過ぎて違和感など感じていないことに焦点を当てているのが面白い。
そして架空の人物・カラクの視点も一般的に想像するような愛国心とは全く違うところにあって、彼が秀吉を殺そうと考えるほど朝鮮出兵に反対した理由は意外性があって良かった。
結局のところ『なぜ秀吉は』朝鮮出兵を思い立ったのか。この作品で明かされるその理由は個人的には拍子抜けの感がある。
だが実際のところはそういうものなのかも知れない。
しかし巷間の説も家康の説も捨てがたい。
結局、様々な理由が織り交ざって、ということだろうか。
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