井上夢人のレビュー一覧
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ネタバレ容姿にハンディキャップを持つ鈴木誠がある日モデルの美縞絵里と接点を持ち、彼女をストーカーしていく、という物語。途中で彼女に近づく男を殺害していく描写は「狂気だ。」とドン引きだったが、それすらもミスリードで「殺人を犯した美縞絵里を助けようとしていた。」ということが真実だったということに驚いた。最初「やけに分厚いなぁ。」と思ったが「鈴木誠だったら彼女のためにここまでするだろう。」という掘り下げをしっかりやるためだったら納得。鈴木誠が最後の辺りで言った「絵里さんがぼくに与えてくれたのは、生きる、ということ、そのものなんです。」という台詞に「容疑者xの献身」の石神を思い出した。
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偶然出会ってしまった、鈴木誠と、美縞絵里。
ビートルズに異様に詳しいフリーライターであった鈴木誠は、いかにして美縞絵里のストーカーとなっていったのか。
ビートルズのアルバム、『ラバーソウル』の曲名とともに進む物語は、まるで心地のよい音楽のように、しかし不協和音を伴いながら、響いていく。
600ページを超える、大作であるのにも関わらず、途中で読み飽きたりしないのは、何故だろう、全く説明することができない。
この物語がいかにして終わるのか、それが気になって仕方がなかったからかもしれない。
この物語は、異形のラブストーリーなのか、それともミステリーなのか。
その答えは、最終章のボーナス -
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ネタバレずっしりとくる。
読んでいる間の長い長い苦しさが最後にもっと苦しくなる。違う意味で。
幸福とは何かを考えさせられた。
本人が望むならばそれはどれだけ周りが反対しようが、犯罪であろうが幸福なのかもしれないと。
それほどに重い幸福感を鈴木誠が感じているのが伝わってきた。
鈴木誠が幼い頃に病を患っておらず不自由がなにもない、満足のいく人生を送ってきたとしたら鈴木誠の最期は違ったのか?
絶対にそうだとは言い切れない。
違う人生を送ってきていたとしても三縞絵里と出会ってしまう限りは変わらない運命を辿っていたような気もする。
他人を全て理解することだけが正解ではないと金山を見て思った。
理解でき -
購入済み
蘇る昭和の世界、味わいある七編
東京オリンピックを背景に、著名なミステリー作家七人によるアンソロジー。あの頃は今よりもみんなが前向きで、街にも活気があふれていたような気がする。初めて読む作家もいて、それぞれの持ち味が楽しめてよかった。個人的には月村さんが面白かったかな。
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大沢在昌、藤田宜永、堂場瞬一、井上夢人 今野敏、月村了衛、東山彰良『激動 東京五輪 1964』講談社文庫。
昭和39年。東京オリンピック開催に沸く東京を舞台にした7人の作家によるミステリー・アンソロジー。古き善き時代の香りの中に描かれる様々な形のミステリーとピカレスクはいずれも秀逸。
2020年の東京オリンピック開催を記念しての刊行かと思うが、新型コロナウイルス感染拡大の非常事態により東京オリンピックは2021年に延期されてしまった。延期ならまだしも、2021年に開催できるかどうかすら怪しい状況である。自分は中止になると見ているが……『アンダーコントロール』『復興五輪』という日本の総理大臣 -
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昨年、岡嶋二人を知り、『99%の誘拐』『クラインの壷』『焦茶色のパステル』『ちょっと探偵してみませんか?』の4作品を読んですっかり虜になってしまいました。
二人の活動を振り返った本書には、未読の作品のネタバレも含まれると思われたので、読むのをためらっていたところもあったのですが、読み終えた今ではいいタイミングで読むことができたと思っています。
二人の出会いと別れの経緯が生々しく描かれていて、時に胸がつまるほどせつない部分もありましたが、読後感は爽やかでした。二人の天才が駆け抜けた13年間の歴史は、一人の創作者とは違う苦悩があって、まさに岡嶋二人でしかありえないエッセイです。 -
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バラエティに富んだ短編集。各話の冒頭に掲載された雑誌と時期、企画やらが書かれていて面白い。どれもこれも全く毛色が違う感じで、いい意味で予想を裏切られる。
「あなたをはなさない」「ノックを待ちながら」「サンセット通りの天使」「空部屋あります」「千載一遇」「私は死なない」「ジェイとアイとJI」「あわせ鏡に飛び込んで」「さよならの転送」「書かれなかった手紙」の10編。
個人的によかったのは、ラストが明確にされない(こういうのを嫌いな人もいるが)「ノックを待ちながら」と老女の柔らかい口調がだんだん怖く感じていく「空部屋あります」。もし自分の身になったら恐ろしすぎる「私は死なない」や全編手紙方式のミ -
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ネタバレ総合評価 ★★★★☆
サプライズ ★★★☆☆
熱中度 ★★★☆☆
インパクト ★★★☆☆
キャラクター ★★★★☆
読後感 ★★★☆☆
希少価値 ★☆☆☆☆
「おかしな二人」は、岡嶋二人の自伝的エッセイである。もっとも、二人の作品ではなく、岡嶋二人のうちの一人である井上夢人の作品である。井上夢人と徳永諄一の出会いから、乱歩賞を受賞するまでのストーリー。そして、職業作家としての苦悩の日々と、岡嶋二人の解散までのストーリー。これらのストーリーが、リアルに、そして生々しく書かれている。
岡嶋二人の出会いから乱歩賞を受賞するまでの「盛の部」は、将来への不安を感じながらも成