あらすじ
2人が出会って多くの傑作ミステリーが生まれた。そして18年後、2人は別れた――。大人気作家・岡嶋二人がどのようにして誕生し、28冊の本を世に出していったのか。エピソードもふんだんに盛り込んで、徳さんと著者の喜びから苦悩までを丹念に描いた、渾身の自伝的エッセイ。ファン必携の1冊!(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
昨年、岡嶋二人を知り、『99%の誘拐』『クラインの壷』『焦茶色のパステル』『ちょっと探偵してみませんか?』の4作品を読んですっかり虜になってしまいました。
二人の活動を振り返った本書には、未読の作品のネタバレも含まれると思われたので、読むのをためらっていたところもあったのですが、読み終えた今ではいいタイミングで読むことができたと思っています。
二人の出会いと別れの経緯が生々しく描かれていて、時に胸がつまるほどせつない部分もありましたが、読後感は爽やかでした。二人の天才が駆け抜けた13年間の歴史は、一人の創作者とは違う苦悩があって、まさに岡嶋二人でしかありえないエッセイです。
Posted by ブクログ
総合評価 ★★★★☆
サプライズ ★★★☆☆
熱中度 ★★★☆☆
インパクト ★★★☆☆
キャラクター ★★★★☆
読後感 ★★★☆☆
希少価値 ★☆☆☆☆
「おかしな二人」は、岡嶋二人の自伝的エッセイである。もっとも、二人の作品ではなく、岡嶋二人のうちの一人である井上夢人の作品である。井上夢人と徳永諄一の出会いから、乱歩賞を受賞するまでのストーリー。そして、職業作家としての苦悩の日々と、岡嶋二人の解散までのストーリー。これらのストーリーが、リアルに、そして生々しく書かれている。
岡嶋二人の出会いから乱歩賞を受賞するまでの「盛の部」は、将来への不安を感じながらも成長していく二人の話である。徳山諄一の貯金を切り崩し、共通の知人であるダダと三人で会社を立ち上げ、わずか11か月で会社をたたんでしまう。会社を経営していたわずかな期間の間に交わされた無駄話が、岡嶋二人の小説作りの土台となったという。乱歩賞の存在を知り、小説を書こうとする二人。どうやって小説を書いたらいいか分からない二人は、小説のタイトルだけ考えたり、連想ゲームをしたり…。その後、本格的に乱歩賞を目指す。「くたばれ巨象」「探偵志願」「あした天気にしておくれ」という作品を経て、「焦茶色のパステル」で、二人は7年かけて実際に乱歩賞を取ってしまうのである。ここまではまさに痛快なストーリー。ここで終わっても「おかしな二人」は傑作だが、ここから、岡嶋二人が崩壊に向かう「衰の部」が続くのである。
衰の部では、乱歩賞を受賞した後、岡嶋二人がプロの小説家としてどれほど苦労したかが、恐ろしいほど生々しく書かれている。
岡嶋二人の不幸の原因の一つは、井上夢人が執筆という作業を担当していたこともあり、メキメキと力を付け、成長していったのに、徳山諄一はそれほど成長できなかった点にあると思う。いっそのこと、徳山諄一が井上夢人のマネージャーのような立場になってしまえばよかったのだろうが、わがままで頑固な井上夢人はそれを許さない。それどころか、デビューするまでのアマチュア時代の岡嶋二人の関係を取り戻そうと必死になるのである。井上夢人のわがまま、頑固、そして理想主義が、もう一つの岡嶋二人の不幸の原因だろう。
徳山諄一から、井上夢人の気持ちが離れていく様を読むのは、岡嶋二人のファンとしては辛い部分もあった。しかし、どういうわけか、井上夢人の方に感情移入をしてしまったので、「おかしな二人」を読むうちに、「もっと早く解散してしまえ」という気持ちがあったのも事実である。
岡嶋二人の作品は、どれも水準が高く、好きなのだが、一番好きな作品は『99%の誘拐』であり、二番目に好きな作品が『クラインの壺』である。どちらも傑作だが、ほとんど井上夢人一人で作り上げた『クラインの壺』という作品より、岡嶋二人の最後の合作といえる『99%の誘拐』の方が好きなのだ。
井上夢人名義の作品も好きなのだが、いつか、岡嶋二人の新作を読んでみたいという気がする。
いろいろ考えさせられ、何より小説を書きたいというような気持ちにさせられる「おかしな二人」という作品は、いうまでもなく名作。★5で。
Posted by ブクログ
気分が落ち込んで、鬱っぽくなり、エネルギーを要することが自発的にできなくなったときに読む本がいくつかある。その多くは、例えば『まんが道』『プレイボール』などのマンガであったけど、今回は既読の本棚に並んでいた本書を手にとった。本書は、井上氏による「岡嶋二人物語」であり、ミステリ作家の自叙伝であり、一種のノウハウ本であり、青春物語であり、そして何度も読むことができる☆☆☆☆☆の傑作である。
解説の大沢氏と同様に、私は雑誌(『メフィスト』だったのだろうか? 当時の講談社の日本ミステリ専門誌だった)初出時に読んでおり、それもちょうど就職活動期で落ち込んでいたときで、忙しい時期だったにもかかわらず、あまりの面白さに一気読みしてしまったものである。だから、読むたびに、あのシュウカツの空気を思い出す。
Posted by ブクログ
井上夢人さんと徳山諒一さんがコンビでやっていた、「岡嶋二人」というミステリー作家の誕生から消滅までが、包み隠さず描かれている。コンビという特殊性より、全くの素人から芥川賞を受賞するまでの苦悩・成長の過程がリアルに書かれていて、とても興味深い。電車で正面の人の顔をスケッチするとか、短編小説を分解して分析する等、努力で作家になるヒントがいっぱい。大先生の「文章〜」「小説家になるには」みたいなのより全然おもしろい。小説家を目指す人にオススメ。
Posted by ブクログ
岡嶋二人のファンなら誰しも興味があるであろう、二人がどのようにして出会ったのか、どのように創作していたのか、など、もう岡嶋二人のすべてが載っている本です。もう必見です!でも残念ながら絶版なんですよね。いや、是非古本で見つけてください。
Posted by ブクログ
「岡嶋二人」として、数々のミステリーをモノにした著者。「岡嶋二人」は著者ともう1人の合作ペンネームであった。この本は合作の始まりから、コンビの解消までを綴ったエッセイ。好きなのに上手くいかない・・・。男性同士ではあるけれど、それはまるで恋愛であるかのように切ない。伝えたいことが上手く伝わらないもどかしさ。何度読んでも、ちょっとだけ寂しい気持ちになってしまう。
Posted by ブクログ
何十年振りかの再読でした
この本を読むと小説家を目指したくなります。どれだけ大変さが克明に記されてても、なんだか憧れてしまいます
そして、イズミと徳さんの関係に切なくなります。
2021年11月に徳さんが他界されたこと、この本を読むとさらに寂しく感じます
なんとも良い一冊です
Posted by ブクログ
2017年21冊目。
大好きな作家である岡嶋二人が、どのように生まれてどのように解散するに至ったかを井上夢人氏からの視点で書かれたエッセイ。
デビューまでと、デビュー以降のギャップに読んでいて苦しくなる部分も多い。そして、既に読んだ小説がどのようにして完成したのかなど、ネタバレだけでなく組み立て方なんかも出ていてとても面白かった。
総合的に岡嶋二人は大好きなんだけど、面白い作品とそうでもない(もっと言えば残念とまで思える)作品のギャップがあって、それがやっぱり合作である故なのかと思ってたけどそうじゃなかったんだとか色々分かって、既に読み直したいと思う作品がいくつかある。
ただ、解散に至るまではやっぱり一方の話だけでは分からないかな。
徳山氏自身が出さないと言っているのだから真相は分からないままだろうけど、ぜひ徳山氏の思いも聞いてみたい。
あたしは「99%の誘拐」で岡嶋二人を知って、その後すぐクラインの壺を読んだ。この二作品は今も増版されてるくらい人気のある作品だけど、あたしは同じくらい「明日天気にしておくれ」が好きなのだ。
Posted by ブクログ
岡島二人はおかしな二人です。
片方の井上夢人さんの書かれた 内訳話。
話の作り方から書いてあるので 小説家を目指す人が読めば すごく勉強になると思います、
Posted by ブクログ
大好きな「岡嶋二人」さんのエッセイ。
二人で1つのPNで活動していたのですが今は解散してしまいました。その二人の様々なエピソードが描かれています。ファン必見の1冊。
Posted by ブクログ
面白かったが切ない話。
まさか[盛]の部分が乱歩賞受賞までとは。プロの小説家になってから(と言うより授賞式の日から)[衰]が始まるとは驚く。数々の傑作ミステリーが全て[衰]の時期に作られている事に驚く。小説家とはいかに厳しい職業か。ただこの本は井上氏側から書いた本なので、ちょっと徳山氏が可哀相に思えるが、あえて徳山氏は反論本を出していないのが、なんともこのコンビらしい感じもする。まるで恋愛小説みたいな本。
Posted by ブクログ
2人が出会って多くの傑作ミステリーが生まれた。そして18年後、2人は別れた――。大人気作家・岡嶋二人がどのようにして誕生し、28冊の本を世に出していったのか。エピソードもふんだんに盛り込んで、徳さんと著者の喜びから苦悩までを丹念に描いた、渾身の自伝的エッセイ