井上夢人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ総合評価 ★★★★☆
サプライズ ★★★☆☆
熱中度 ★★★☆☆
インパクト ★★★☆☆
キャラクター ★★★★☆
読後感 ★★★☆☆
希少価値 ★☆☆☆☆
「おかしな二人」は、岡嶋二人の自伝的エッセイである。もっとも、二人の作品ではなく、岡嶋二人のうちの一人である井上夢人の作品である。井上夢人と徳永諄一の出会いから、乱歩賞を受賞するまでのストーリー。そして、職業作家としての苦悩の日々と、岡嶋二人の解散までのストーリー。これらのストーリーが、リアルに、そして生々しく書かれている。
岡嶋二人の出会いから乱歩賞を受賞するまでの「盛の部」は、将来への不安を感じながらも成長していく二人の話である。徳山諄一の貯金を切り崩し、共通の知人であるダダと三人で会社を立ち上げ、わずか11か月で会社をたたんでしまう。会社を経営していたわずかな期間の間に交わされた無駄話が、岡嶋二人の小説作りの土台となったという。乱歩賞の存在を知り、小説を書こうとする二人。どうやって小説を書いたらいいか分からない二人は、小説のタイトルだけ考えたり、連想ゲームをしたり…。その後、本格的に乱歩賞を目指す。「くたばれ巨象」「探偵志願」「あした天気にしておくれ」という作品を経て、「焦茶色のパステル」で、二人は7年かけて実際に乱歩賞を取ってしまうのである。ここまではまさに痛快なストーリー。ここで終わっても「おかしな二人」は傑作だが、ここから、岡嶋二人が崩壊に向かう「衰の部」が続くのである。
衰の部では、乱歩賞を受賞した後、岡嶋二人がプロの小説家としてどれほど苦労したかが、恐ろしいほど生々しく書かれている。
岡嶋二人の不幸の原因の一つは、井上夢人が執筆という作業を担当していたこともあり、メキメキと力を付け、成長していったのに、徳山諄一はそれほど成長できなかった点にあると思う。いっそのこと、徳山諄一が井上夢人のマネージャーのような立場になってしまえばよかったのだろうが、わがままで頑固な井上夢人はそれを許さない。それどころか、デビューするまでのアマチュア時代の岡嶋二人の関係を取り戻そうと必死になるのである。井上夢人のわがまま、頑固、そして理想主義が、もう一つの岡嶋二人の不幸の原因だろう。
徳山諄一から、井上夢人の気持ちが離れていく様を読むのは、岡嶋二人のファンとしては辛い部分もあった。しかし、どういうわけか、井上夢人の方に感情移入をしてしまったので、「おかしな二人」を読むうちに、「もっと早く解散してしまえ」という気持ちがあったのも事実である。
岡嶋二人の作品は、どれも水準が高く、好きなのだが、一番好きな作品は『99%の誘拐』であり、二番目に好きな作品が『クラインの壺』である。どちらも傑作だが、ほとんど井上夢人一人で作り上げた『クラインの壺』という作品より、岡嶋二人の最後の合作といえる『99%の誘拐』の方が好きなのだ。
井上夢人名義の作品も好きなのだが、いつか、岡嶋二人の新作を読んでみたいという気がする。
いろいろ考えさせられ、何より小説を書きたいというような気持ちにさせられる「おかしな二人」という作品は、いうまでもなく名作。★5で。 -
Posted by ブクログ
「オルファクトグラム」井上夢人
SFサスペンス。特になし。
傑作!の一言です。
本作も冴え渡るサイエンスの設定と、次から次へとページを
めくらせる臨場感が最高です。夢人さんの独壇場。
加えて例のごとく、主人公と可愛い彼女のやりとりが胸を打つ。
巧いっ!
あえて小説という形式で、いやむしろ小説という形式でしか
描けないかもしれない、人間離れした「嗅覚」をもつ主人公を
めぐる犯罪劇です。
いかにも本当にありそうな描写の数々には唸らされるばかり。
夢人さんの十八番、「見えないものを読ませる」作品。
いやー・・・これだから井上夢人はやめられない。(5) -
Posted by ブクログ
「メドゥサ、鏡をごらん」井上夢人
叙述サスペンスミステリホラー。グレー。
トリッキー、崩壊もの、スパイラル。
途中まで読者に読ませた展開が後半で一気に形を失っていく。
どんでん返しなんじゃなくて、「アリ」だったものが「ナシ」になっていくというか・・・。
小出しにされる恐怖と、解決しない結末?
純然たるサスペンス、ミステリー、ホラーじゃなくて、構築された混沌に引きずり込まれた印象。
井上夢人さんの作品は総じて好きですが、本作品は期待以上のものでした。
世界観がとても好きですね。世界観というか世界の見方というか。
岡嶋作品からそうですが、IT技術の描写が古くさくなってしまうことだけは仕方がない。
それを補ってあまりあるストーリーだと思います。 -
Posted by ブクログ
気分が落ち込んで、鬱っぽくなり、エネルギーを要することが自発的にできなくなったときに読む本がいくつかある。その多くは、例えば『まんが道』『プレイボール』などのマンガであったけど、今回は既読の本棚に並んでいた本書を手にとった。本書は、井上氏による「岡嶋二人物語」であり、ミステリ作家の自叙伝であり、一種のノウハウ本であり、青春物語であり、そして何度も読むことができる☆☆☆☆☆の傑作である。
解説の大沢氏と同様に、私は雑誌(『メフィスト』だったのだろうか? 当時の講談社の日本ミステリ専門誌だった)初出時に読んでおり、それもちょうど就職活動期で落ち込んでいたときで、忙しい時期だったにもかかわらず、あまりの面白さに一気読みしてしまったものである。だから、読むたびに、あのシュウカツの空気を思い出す。 -
Posted by ブクログ
厚さを感じさせない面白さである。
『funny』では無く『interesting』な面白さである。
殺人犯に頭部を殴打され、昏睡から目覚めてみるとイヌ並の嗅覚を獲得していた主人公・片桐。今作は類稀な嗅覚を持つに至った彼が、その能力を生かして姉を殺した殺人鬼を追い詰めるミステリィなのである。
匂いが「見える」程の嗅覚である。
「パンの匂いが分かる」のではなく「パンを構成する匂いを解読出来る」のである。
まるで宝石の様な輝きを見せる嗅覚の世界の描写は本当に美しい。私も風を見てみたいものである。
ミステリィとしてはかなり変則的である。
常人を超えた能力を持つ主人公だから作法あれこれを論じても仕方が無いだろう。しかしながら、本の中の「ルール」の説得力が格別である。
『嗅覚探偵』に何が出来て、何が出来ないのかを分かりやすい比喩とともにスラリと解説してくれる。ルールが明確だからこそ、ミステリィとしては一見ありふれた設定の事件を一気に読ませる勢いを生むのである。
また、登場人物が非常に魅力的。
片桐とその彼女マミの関係性がかなり好きなのである。青春の終わりの素敵な恋愛なのである。
片桐と世界を共有する事が出来なかくなってしまったマミが最後に漏らす一言が、どこか破滅的な印象漂う物語に爽やかな救いを齎してくれた様に私は感じたのである。 -
Posted by ブクログ
最初の一行から最後の一行まで、すべて二人の会話で書かれてる小説です。(戯曲ではありません。)短編集で6つの話があり、会話だけで状況が解る様に構成されてます。(この技量は、驚愕です。)
「宇宙人の証明」
「あたしね」「うん」「宇宙人みつけたの」「・・・・」(こんな感じで文章が進みます。)
恋人も彼女が数日会社を休んだ心配になり訪ねて行くと・・・宇宙人を見つけたという彼女。見せられたのはナメクジ・・・。彼女は、ナメクジが宇宙人だと証明しようとするのだが・・・。
「四十四年後の証明」
彼の元に突然電話が掛かってきた。電話の向こうの少女が言うには、自分は彼の孫だと言う。彼は、まだ24歳で独身。彼は、彼女の言葉を信じない。少女は、彼に四十四年後からの電話だと証明しようとするのだが・・・。
「呪いの証明」
上司が自宅の中で火事にあい12階のベランダから飛び降りて死んだ。
部下の彼女が言うには、自分が上司を殺したと言う。彼女は、どうやって殺したか証明しようとするのだが・・・。
「狼男の証明」
テレビ番組の収録を終えた帰り道に、彼は18日のコンサートを中止してくれと言ってきた。彼女が理由を尋ねるとその日は、満月だからと言う。彼は、狼男だと言うことを証明しようとするのだが・・・。
「幽霊の証明」
起きると彼女が部屋の外にいた。彼女の顔色は、少し悪いようだった。彼女は私が見えるの?と尋ねてきた。その理由を聞くと自分が死んでしまったと言う・・・。彼女は自分が死んでしまった事を証明しようとするのだが・・・。
「嘘の証明」
自分は、万引きをしてないと呼ばれた彼女は訴える。先生は、彼女が万引きしたと思っていたのだが・・・。彼女は、自分の無実を歌える。話の真相はいかに・・・。
以上6作品です。すべて男女の会話でなりたってます。当然井上さんの作品なので、面白いです。ちょっと不思議な小説を試しに読んでみませんか?この作品は、だまされるのが楽しい作品です -
Posted by ブクログ
昼間に自分のバンドの曲が入った、完成したCDを聞かせようと訪れた結婚してた姉の家。呼んだのだが、誰も出ない。玄関は、鍵がかかって無く扉を開けると奥からうめき声が・・。うめき声を追って二階の寝室に行くと姉が全裸でベットに縛られてた。助けようとしたのだが、突然後ろから殴られ意識を失う・・。
意識が戻ったのは、病院の病室。聞いてみると脳内に大量の出血をしていて、血を抜く手術をしたと言う。意識を取り戻すのに一ヵ月。そして、目の前の光景が変わってた。匂いが見えるのだ。匂いは、クラゲのように漂っていて美しい光景に魅了される。
姉は、あの後血を抜かれ殺された。バンドの仲間も行方不明だと言う。
自分に起こった事に戸惑いながら、犬以上の嗅覚を使い姉の死・仲間の行方不明の事件を追い求める・・。自分の嗅覚を調べながら、事件の真相にせまる。彼が辿り着いた真相とは・・。
井上夢人が送る、不思議な世界です。このミステリーが凄い(2001年)第4位の作品です。これは、面白いですねもし、読んでなければ、読むのもいいかもです井上夢人の世界に浸かってみませんか?
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Posted by ブクログ
昼間に自分のバンドの曲が入った、完成したCDを聞かせようと訪れた結婚してた姉の家。呼んだのだが、誰も出ない。玄関は、鍵がかかって無く扉を開けると奥からうめき声が・・。うめき声を追って二階の寝室に行くと姉が全裸でベットに縛られてた。助けようとしたのだが、突然後ろから殴られ意識を失う・・。
意識が戻ったのは、病院の病室。聞いてみると脳内に大量の出血をしていて、血を抜く手術をしたと言う。意識を取り戻すのに一ヵ月。そして、目の前の光景が変わってた。匂いが見えるのだ。匂いは、クラゲのように漂っていて美しい光景に魅了される。
姉は、あの後血を抜かれ殺された。バンドの仲間も行方不明だと言う。
自分に起こった事に戸惑いながら、犬以上の嗅覚を使い姉の死・仲間の行方不明の事件を追い求める・・。自分の嗅覚を調べながら、事件の真相にせまる。彼が辿り着いた真相とは・・。
井上夢人が送る、不思議な世界です。このミステリーが凄い(2001年)第4位の作品です。これは、面白いですねもし、読んでなければ、読むのもいいかもです井上夢人の世界に浸かってみませんか?
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Posted by ブクログ
「・・・あたしね」
「うん」
「宇宙人見つけたの」
「・・・・・・」
男女の会話のみで構成される6編の連作短編集。
上の「宇宙人」を始め、厄介な話を証明しようとするもの男女の会話はもつれにもつれ・・・・・・。
なんというか・・・もう・・・・・・。
凄い!!の一言ですね。
例えば、男女がどういう関係であるだとか、彼らが生きる世界がどんな世界であるとか・・・・・・。
地の文章を添えて書くのであれば苦労もいらないのですが、会話文のみで構成されるとなると話は別で・・・。
そんな難関をものともせず、あろう事かそれぞれの作品でありえない物事をテーマに証明が繰り広げられる(例えば宇宙人だとか)快感。
一編読むごとににんまり。
読み進むごとにニヤニヤと顔がほころんでしまいました。
なんせ宇宙人の正体が●●(に似て…と言うべきでしょうか?)!?でなんて繰り広げられた日には他人事ながら笑うしかありません。
笑劇の世界にあなたを誘う6編の作品、是非お楽しみください。