井上夢人のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「オルファクトグラム」井上夢人
SFサスペンス。特になし。
傑作!の一言です。
本作も冴え渡るサイエンスの設定と、次から次へとページを
めくらせる臨場感が最高です。夢人さんの独壇場。
加えて例のごとく、主人公と可愛い彼女のやりとりが胸を打つ。
巧いっ!
あえて小説という形式で、いやむしろ小説という形式でしか
描けないかもしれない、人間離れした「嗅覚」をもつ主人公を
めぐる犯罪劇です。
いかにも本当にありそうな描写の数々には唸らされるばかり。
夢人さんの十八番、「見えないものを読ませる」作品。
いやー・・・これだから井上夢人はやめられない。(5) -
Posted by ブクログ
「メドゥサ、鏡をごらん」井上夢人
叙述サスペンスミステリホラー。グレー。
トリッキー、崩壊もの、スパイラル。
途中まで読者に読ませた展開が後半で一気に形を失っていく。
どんでん返しなんじゃなくて、「アリ」だったものが「ナシ」になっていくというか・・・。
小出しにされる恐怖と、解決しない結末?
純然たるサスペンス、ミステリー、ホラーじゃなくて、構築された混沌に引きずり込まれた印象。
井上夢人さんの作品は総じて好きですが、本作品は期待以上のものでした。
世界観がとても好きですね。世界観というか世界の見方というか。
岡嶋作品からそうですが、IT技術の描写が古くさくなってしまうこ -
Posted by ブクログ
気分が落ち込んで、鬱っぽくなり、エネルギーを要することが自発的にできなくなったときに読む本がいくつかある。その多くは、例えば『まんが道』『プレイボール』などのマンガであったけど、今回は既読の本棚に並んでいた本書を手にとった。本書は、井上氏による「岡嶋二人物語」であり、ミステリ作家の自叙伝であり、一種のノウハウ本であり、青春物語であり、そして何度も読むことができる☆☆☆☆☆の傑作である。
解説の大沢氏と同様に、私は雑誌(『メフィスト』だったのだろうか? 当時の講談社の日本ミステリ専門誌だった)初出時に読んでおり、それもちょうど就職活動期で落ち込んでいたときで、忙しい時期だったにもかかわらず、あま -
Posted by ブクログ
厚さを感じさせない面白さである。
『funny』では無く『interesting』な面白さである。
殺人犯に頭部を殴打され、昏睡から目覚めてみるとイヌ並の嗅覚を獲得していた主人公・片桐。今作は類稀な嗅覚を持つに至った彼が、その能力を生かして姉を殺した殺人鬼を追い詰めるミステリィなのである。
匂いが「見える」程の嗅覚である。
「パンの匂いが分かる」のではなく「パンを構成する匂いを解読出来る」のである。
まるで宝石の様な輝きを見せる嗅覚の世界の描写は本当に美しい。私も風を見てみたいものである。
ミステリィとしてはかなり変則的である。
常人を超えた能力を持つ主人公だから作法あれこれ -
Posted by ブクログ
最初の一行から最後の一行まで、すべて二人の会話で書かれてる小説です。(戯曲ではありません。)短編集で6つの話があり、会話だけで状況が解る様に構成されてます。(この技量は、驚愕です。)
「宇宙人の証明」
「あたしね」「うん」「宇宙人みつけたの」「・・・・」(こんな感じで文章が進みます。)
恋人も彼女が数日会社を休んだ心配になり訪ねて行くと・・・宇宙人を見つけたという彼女。見せられたのはナメクジ・・・。彼女は、ナメクジが宇宙人だと証明しようとするのだが・・・。
「四十四年後の証明」
彼の元に突然電話が掛かってきた。電話の向こうの少女が言うには、自分は彼の孫だと言う。彼は、まだ24歳 -
Posted by ブクログ
昼間に自分のバンドの曲が入った、完成したCDを聞かせようと訪れた結婚してた姉の家。呼んだのだが、誰も出ない。玄関は、鍵がかかって無く扉を開けると奥からうめき声が・・。うめき声を追って二階の寝室に行くと姉が全裸でベットに縛られてた。助けようとしたのだが、突然後ろから殴られ意識を失う・・。
意識が戻ったのは、病院の病室。聞いてみると脳内に大量の出血をしていて、血を抜く手術をしたと言う。意識を取り戻すのに一ヵ月。そして、目の前の光景が変わってた。匂いが見えるのだ。匂いは、クラゲのように漂っていて美しい光景に魅了される。
姉は、あの後血を抜かれ殺された。バンドの仲間も行方不明だと言う。
自分に起 -
Posted by ブクログ
昼間に自分のバンドの曲が入った、完成したCDを聞かせようと訪れた結婚してた姉の家。呼んだのだが、誰も出ない。玄関は、鍵がかかって無く扉を開けると奥からうめき声が・・。うめき声を追って二階の寝室に行くと姉が全裸でベットに縛られてた。助けようとしたのだが、突然後ろから殴られ意識を失う・・。
意識が戻ったのは、病院の病室。聞いてみると脳内に大量の出血をしていて、血を抜く手術をしたと言う。意識を取り戻すのに一ヵ月。そして、目の前の光景が変わってた。匂いが見えるのだ。匂いは、クラゲのように漂っていて美しい光景に魅了される。
姉は、あの後血を抜かれ殺された。バンドの仲間も行方不明だと言う。
自分に起 -
Posted by ブクログ
「・・・あたしね」
「うん」
「宇宙人見つけたの」
「・・・・・・」
男女の会話のみで構成される6編の連作短編集。
上の「宇宙人」を始め、厄介な話を証明しようとするもの男女の会話はもつれにもつれ・・・・・・。
なんというか・・・もう・・・・・・。
凄い!!の一言ですね。
例えば、男女がどういう関係であるだとか、彼らが生きる世界がどんな世界であるとか・・・・・・。
地の文章を添えて書くのであれば苦労もいらないのですが、会話文のみで構成されるとなると話は別で・・・。
そんな難関をものともせず、あろう事かそれぞれの作品でありえない物事をテーマに証明が繰り広げられる(例え