あらすじ
「…あたしね」「うん」「宇宙人みつけたの」「…………」。男女の会話だけで構成される6篇の連作短篇集。宇宙人、四十四年後、呪い、狼男、幽霊、嘘。厄介な話を証明しようとするものの、ことごとく男女の会話はもつれにもつれ――。エンタテインメントの新境地を拓きつづけた著者の、圧倒的小説世界の到達点(講談社文庫)。
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Posted by ブクログ
「縺れっ話」
漢字はこうかな。
圧倒的小説世界の到達点
裏表紙にある文言通りの、抜群に面白い6篇の、男女の会話だけの中編集。
①は笑える。②は想像したことある。③は、おっとっと・・・。④は、ええと、そんなオチですか。
⑤は、まあそうなるかな。⑥は、やられたー!
で、秀作通りの中でも特に、①と⑥は申し分ない感じ。ファンである自分を褒めてあげたい。
①宇宙人の証明
宇宙人を保護しているという彼女と、存在自体を信じようとしない彼。その宇宙人の姿とは・・・。
②四十四年後の証明
24歳の男のもとに突然かかってきた少女の電話。身に覚えがないのだが、その声にはとても親しみが込められていて・・・。
③呪いの証明
職場で親しくなったカップル。突然亡くなった上司の葬儀に参列した後、彼女がとんでもないことを言い出した。
④狼男の証明
自分のことをバカだと思っていた彼は、芸能界に入り成功への道を突き進む。そんな彼が今度の18日のコンサートだけはやりたくないという。なぜか・・・。解決方法もあれっ?
⑤幽霊の証明
青白い表情の彼女が、彼の部屋にやってきた。寝ぼけ眼の彼はしばらくぼうっと話をきいていたが・・・。それはそうだろうなァ。
⑥嘘の証明
教室。男性教師が女子生徒に説教。この二人男女の関係?何について叱られているのかな?判断つかないまま説教は続く・・・。なんだこれは(笑)。
この作家、僕の感性にピッタリだなぁ。
Posted by ブクログ
最初の一行から最後の一行まで、すべて二人の会話で書かれてる小説です。(戯曲ではありません。)短編集で6つの話があり、会話だけで状況が解る様に構成されてます。(この技量は、驚愕です。)
「宇宙人の証明」
「あたしね」「うん」「宇宙人みつけたの」「・・・・」(こんな感じで文章が進みます。)
恋人も彼女が数日会社を休んだ心配になり訪ねて行くと・・・宇宙人を見つけたという彼女。見せられたのはナメクジ・・・。彼女は、ナメクジが宇宙人だと証明しようとするのだが・・・。
「四十四年後の証明」
彼の元に突然電話が掛かってきた。電話の向こうの少女が言うには、自分は彼の孫だと言う。彼は、まだ24歳で独身。彼は、彼女の言葉を信じない。少女は、彼に四十四年後からの電話だと証明しようとするのだが・・・。
「呪いの証明」
上司が自宅の中で火事にあい12階のベランダから飛び降りて死んだ。
部下の彼女が言うには、自分が上司を殺したと言う。彼女は、どうやって殺したか証明しようとするのだが・・・。
「狼男の証明」
テレビ番組の収録を終えた帰り道に、彼は18日のコンサートを中止してくれと言ってきた。彼女が理由を尋ねるとその日は、満月だからと言う。彼は、狼男だと言うことを証明しようとするのだが・・・。
「幽霊の証明」
起きると彼女が部屋の外にいた。彼女の顔色は、少し悪いようだった。彼女は私が見えるの?と尋ねてきた。その理由を聞くと自分が死んでしまったと言う・・・。彼女は自分が死んでしまった事を証明しようとするのだが・・・。
「嘘の証明」
自分は、万引きをしてないと呼ばれた彼女は訴える。先生は、彼女が万引きしたと思っていたのだが・・・。彼女は、自分の無実を歌える。話の真相はいかに・・・。
以上6作品です。すべて男女の会話でなりたってます。当然井上さんの作品なので、面白いです。ちょっと不思議な小説を試しに読んでみませんか?この作品は、だまされるのが楽しい作品です
Posted by ブクログ
実験的な意味合いが強いと思われますが、アイデアの勝利。しかも状況描写を会話の中でスラリと不自然にならないように説明されているとことが巧みです。
Posted by ブクログ
「・・・あたしね」
「うん」
「宇宙人見つけたの」
「・・・・・・」
男女の会話のみで構成される6編の連作短編集。
上の「宇宙人」を始め、厄介な話を証明しようとするもの男女の会話はもつれにもつれ・・・・・・。
なんというか・・・もう・・・・・・。
凄い!!の一言ですね。
例えば、男女がどういう関係であるだとか、彼らが生きる世界がどんな世界であるとか・・・・・・。
地の文章を添えて書くのであれば苦労もいらないのですが、会話文のみで構成されるとなると話は別で・・・。
そんな難関をものともせず、あろう事かそれぞれの作品でありえない物事をテーマに証明が繰り広げられる(例えば宇宙人だとか)快感。
一編読むごとににんまり。
読み進むごとにニヤニヤと顔がほころんでしまいました。
なんせ宇宙人の正体が●●(に似て…と言うべきでしょうか?)!?でなんて繰り広げられた日には他人事ながら笑うしかありません。
笑劇の世界にあなたを誘う6編の作品、是非お楽しみください。
Posted by ブクログ
男女二人の会話のみですすむ短編集。
「宇宙人の証明」「四十四年後の証明」「呪いの証明」「狼男の証明」「幽霊の証明」「嘘の証明」の6篇で、それぞれの事象を証明したい側と反論する側との会話です。
微笑ましいもの、ほっこりするもの、切ないもの、色々が確かにもつれまくってますね。
どれも可愛らしいなと思いましたが、個人的には「狼男の証明」と「幽霊の証明」が特に好きです。
Posted by ブクログ
見事。
二人の会話のみで構成される短編集。
どうしても会話のみだと説明臭くなりがちだが、一切そのように感じる事無く、いろいろな物を証明していきます。例えば宇宙人や幽霊など。
通勤通学にサクッと読みたい人にはオススメ。
Posted by ブクログ
会話文だけで進んでいくのですいすいと読み進められます。会話文だけなんで、それに騙されたりしますが…。四十四年後と幽霊の話の終わり方がいいなと思いました。
Posted by ブクログ
読みながら、はっきり&くっきりした情景で、
作中の人物たちを想像できる。
このはっきりとした楽しさは「会話」という
この作風ならでは?じゃないかな。
本書、どこを捲っても、会話。
会話以外の記述が、一切ない。 全ての会話が、自然。
無駄な装飾や脚色がない。いたって普通。
はっきり言うと、展開や結末は…残念ながら
読めてしまうものが多い。
でも、でもね、
「ちぇっやっぱりな〜」とは、ならない。
思ったとおりなのだが、それでイイのだ。\_(・ω・`*)ココ重要!
リアルな会話がもたらす驚きと、不思議な現実感は…
お見事です。 あっぱれ!!
あっという間に読めてしまうので、移動の合間や空き時間にでも、
ツマンデみてください。
会話という技法は、この後味を味わうために存在するのかもしれない。
後味は、最高です。
テーマは「証明」
“宇宙人”“四十四年後”“呪い”“狼男”“幽霊”“嘘” 全6篇。
一組の男女間の会話から、味わい深〜い「検証」を、ご堪能ください。
「 宇宙人の証明 」
婚期にさしかかっているであろうカップルの会話。
彼女は宇宙人を助けたのだそうだ。
宇宙人の話題から、結婚に関する話への
持って行き方や駆け引きが、笑える。
なかなか頭の回転の速いカップルだ。
しかし、宇宙人がナメクジには、驚いた(笑)
「 四十四年後の証明 」
切ない。涙もろいので(苦笑)ポロっと、一滴流してしまった。(^^;
十四歳の少女と二十四歳の男性の電話の会話。
彼女は、未来から四十四年前の祖父へ電話をかけているのだ。
何故会話だけで、こうも現実的に表現できるのか…
内容は、ちょっと勘ぐれば読めてしまう。
でも…後から後から唸ってしまった。
「 呪いの証明 」
職場の上司の死について、部下の女性とその彼との会話。
彼女は上司を「呪い殺した」と言う。
彼は「事故死」を証明しようとするのだが…。
二人の独白を聞いているうちに、
やはり先は読めてしまったのだが。
面白いので、構わない。(笑)
「 狼男の証明 」
男性アイドル歌手と、その女性マネージャーの会話。
彼は、満月の夜のコンサートを中止にできないかと言い出す。
なかなか理由を話さなかったが、問い詰められ、
狼男に変身するからだと切り出す。
その後のマネージャーの女性の強さに、コレが「女の力!」と、
感銘してしまった。
このラストは、個人的に好き。読ませますね〜。
「狼男」本当にいたらすごいなぁ〜(笑)
「 幽霊の証明 」
大学生のカップルの会話。
私は個人的にこれが一番のお気に入り(笑)
彼の部屋を訪ね、事故死したと、告白する彼女。
そんな彼女に対して、
様々な話術で「生きている」ことを証明しようとする彼。
この彼の捲し立てる話し方が、私のツボでした。
結末は読めてしまうが、イイ。分かったって、面白い。
またこの終わり方が、実にイイ!
「 嘘の証明 」
女子高生と教師の会話。
会話を存分に楽しめるのは、このラストが一番かな。
今までの5篇とトーンが違った。
この結末だから、私はこの教師に違和感を感じたのだと納得。
上手いですね。
〆としても、ストーリー的にも、見事に大とりを飾った作品です。
Posted by ブクログ
全て男女二人の会話のみ、地の文は一切なし、と言う異色の短編集。
どうかな?と思いながら読んだのですが・・・いいです!
地の文が無いのに妙に臨場感たっぷりです。それこそ息遣いさえ聞こえそうなくらいに。
会話の内容もユーモアたっぷりでくすくす笑ってしまいました。
『狼男の証明』の雰囲気が一番好きです。
2007/03/31
Posted by ブクログ
ウィットに富む6篇からなる短編集。
最初の1行から最後に至るまで、全て会話のみで綴られている作品。
私は『四十四年後の証明』が好き。
最近続けて読んでいる井上作品。
飽きが来ないなぁ。
Posted by ブクログ
2016年59冊目。
この作家さんはホントになんていうか幅が広いなーと改めて感じた作品。
良くも悪くも全て会話のみで進むのでほっこりしたり意表を突かれたり。
んー…でも基本的にこの作品に出てくる女子は、「狼男の証明」以外わりとニガテなタイプ^^;めんどくさいw
Posted by ブクログ
ジャンルは「エンタテインメント」。
それ以外にないと思います (笑)
6編を含んだ短編集。
すべてが男女1組の会話のみで構成されており
宇宙人や呪いや幽霊などを証明しようとする側と
反証しようとする側に分かれています。
そういう試みは個人的に大好きなんでするすると読めました。
でもせっかくなんで
もうちょっと男女の会話にバリエーションがあったらよかったかなあ。
相手の話に全く興味を持たないでスルーする人とか
反証しようとしてもすぐ飲みこまれちゃう人とかが出てきて
もっともっともつれた感じだったら評価も上がる気がします。
たとえばラーメンズのネタ「不透明な会話」のような (笑)
第2話の「四十四年後の証明」。
すっごく昔に観た世にも奇妙な物語の一作を思い出してググってみたら
やっぱり原作だったんですねえ。
毎週観ていた中でも特に印象に残ったエピソードだったので
18年も経ってから原作に巡り会えてうれしかったです。
Posted by ブクログ
すべて男女の会話文で構成された小説。
会話文だけであるが、その内容などから、背景描写などもわかりよかった。
自分はミステリー色の強い「呪いの証明」が一番よかった。
Posted by ブクログ
もし、宇宙人を見つけても、呪いが成功しても、
狼男みたいなのになっちゃったとしても、
「信じてくれないんだ」
って言うのはやめようって思えた。
岡嶋二人さんの一人だったんだなあ、知らずに読んじゃった。
Posted by ブクログ
「…あたしね」「うん」「宇宙人みつけたの」「…」。男女の会話だけで構成される6篇の連作編篇集。宇宙人、四十四年後、呪い、狼男、幽霊、嘘。厄介な話を証明しようとするものの、ことごとく男女の会話はもつれにもつれ―。エンタテインメントの新境地を拓きつづけた著者の、圧倒的小説世界の到達点。[Bookdbより]
地の文がまったくない、登場人物の会話だけで物語が進んでいく小説。このタイプの小説は、黒崎緑のしゃべくり探偵が有名ですが、これはひたすら男女の会話で進んでいきます。かなり手軽に読める1冊。
しかしあまりにも手軽に、あっという間に読めてしまうのでいささかあっさりすぎる感触でした。
Posted by ブクログ
全部会話のやりとり「」だけで進んでいくショートストーリー集。『世にも奇妙な物語』で映像化された話もありましたよ。どきどきというよりほのぼの系でしょうか。