川上未映子のレビュー一覧

  • 黄色い家(下)

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    生まれる環境や授かる能力は選べない。社会から疎外された者たちが反社会的行為に依って繋がり、疑似家族的な関係性を築くのはヤクザを筆頭に多くある話だが、本作では、貧困により無教養だった主人公が成長し、心の拠り所としていた「大人の女性」が、実は仲間内で最も「社会的弱者」だったことに気付いていく過程が繊細に描かれ、途轍もなく切ない。

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    2025年11月28日
  • きみは赤ちゃん

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    これから親になる未来を見据えて読んだ本。妊娠・出産に関するお金や手続きといった現実的なところから感情の起伏まで、女性にのしかかるさまざまな負担を知ることができた。この本から男が学べるのは「男にできることは怒鳴られても罵られても黙っていること、金を稼ぐことだけ」ということである。

    ただ、川上未映子が出産の不安や産後の苦労で旦那にキレ散らかしているのを「ホルモンバランスだから仕方ない」といった風に書いて夫に謝罪も悪びれる様子もないのは「気丈な女性」を通り越して不誠実だと感じた。

    川上未映子の小説は抒情的でやや誇張された表現が多いが、このエッセイは軽いタッチで描かれており、関西のチャキチャキ感が

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    2025年11月26日
  • 夏物語

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    何のために人は生むのか。生みたいと思う女性の本能は、自分勝手なわがままではないのか。男の 3秒の快感のために、60年の苦労を背負わせていいのか? などと考え始めると、ほどなく人類滅亡なので、とりあえず何も考えずに性的欲求、母性本能のおもむくままに種を存続させていただきたい今日このごろではあるのだが、AID (Artificial Insemination with Donor's Semen; 夫以外の第三者から提供された精子を用いる非配偶者間人工授精)の問題を絡めつつ、38歳という出産を考えると微妙な年齢の女性の想いを「乳と卵」のあの濃密な筆致で描く。前半はその「乳と卵」の焼き直

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    2025年11月24日
  • ヘヴン

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    ネタバレ

    前半長いけど後半が興味深い。

    特に興味深かったのは百瀬のいじめている人間は悪い良いではなく欲求に従ってるだけ、それができる状況だっただけ。など加害者側の行動心理みたいなものが解像度高く描かれているのが興味深く面白かった。
    いじめの加害者と被害者の考え方の乖離みたいなものも理解できてよかった。
    百瀬の考え方を読むだけでも私にとって読む価値のあった本だったと思った。

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    2025年11月20日
  • 乳と卵

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    緑子は、お母さんの「豊胸したい」という言葉が「あんたを産まなきゃよかった、産む前の体に戻したい」という意味に聞こえるんだよね。

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    2025年11月18日
  • ヘヴン

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    コジマのヘヴンはどんなだったのか…コジマに突き抜けるようなどこまでも広がる青空が見られる日が来るといいな。

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    2025年11月15日
  • きみは赤ちゃん

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    まだわたしには共感できる経験はしてないけど、言語化された感情に感動した。

    子供を身籠る、出産する、育てることは奇跡である。現にわたしは授かるフェーズで奇跡を願わずにいられない。

    正直、不妊治療を始めた今、この物語を読むことは少し勇気がいる。だけど、わたしの身の回りの妊婦の友達や実母の気持ちは知っておきたい。何かしら手助けができたらいいな、と思い読み始めた。

    作者はユーモアを交えて壮絶な日々を描いており、読みやすかった。
    子を産んだ後の夫への憎しみ(産後クライシス)に必ずなりそうだなぁとか思ってた。

    どちらかといえば、夫に読んで欲しい。ジェンダーの観点からもぜひ彼に読ませてたい。

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    2025年11月10日
  • 乳と卵

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    ふわふわでいてどろどろな、女の一部をゆっくり咀嚼して飲み込んだような読後感。独特な文体と浮遊感のあるストーリーで、女の奇妙で歪な部分を丸ごと食わされたかのようだった。

    女は、女を嫌うのに結局はどこまでも女なのだと思わされた。

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    2025年11月08日
  • 夏物語

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    乳と卵より性的多様性に振り切ってた。緑子は相変わらず可愛いしこういう子が地味な男に心酔するのには現実でもよく見る。性的にノーマルだからか共感は出来なかったけど理解はできた。

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    2025年11月06日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    一つのシーンを緻密に表現するのが特徴的だった。一読したけどあまり理解が追いつかず。。期待していたラストではなかったので驚き。ただ文のまま読んでいるだけだと、作者の意図を汲みきれてない気がした。誰かの解説記事を読んで「そういう事だったのか」と理解する事ができた。国語の問題文のようだ。
    もう一度読み直して咀嚼したい。

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    2025年11月04日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    ネタバレ

    三束さんとのシーンの表現が美しかった
    でも結局嘘で作られた世界だから美しかったのかなとも思えた
    本音でぶつかりあえた聖みたいに三束さんも一方的に告げるのではなく本音でぶつかってほしかったかな
    あと三束さんの仕事がなくなってから今までのことはどんなことが書かれていたのか気になる

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    2025年11月02日
  • ヘヴン

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    65/100

    うわぁぁーーん
    まじ長かっためちゃくちゃ
    しかも言ってることが反復しているから飽きちゃって読み進めるのが大変でした。

    でも主人公の子と手紙を送る女の子の対比がそれぞれ顕著に出てるのがすごく面白かった。
    あとは思春期の心の動きだったり、加害者側の無邪気さに怖さを感じる。

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    2025年10月31日
  • きみは赤ちゃん

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    私は今、第一子の出産予定日を4日後に控えています。

    SNSやネットをみてると、出産や育児関係のグッズ、トラブル、脅し系(これやっちゃうと難産かも!?的な)などばかりがおすすめされ、私は見事に振り回されてしまうタチなので、もっと健全でリアルな、笑いあり涙あり、苦労ありなエピソードを欲した私が本屋で偶然出会ったのがこちらの本でした。

    産後クライシスの時期の、あべちゃんをどうしても許すことができない状況があった作者さん。ここら辺の話が、私の夫と少し重なり、印象深く読ませてもらいました。

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    2025年10月24日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    とりあえず文章から連想できる情景がとても綺麗だった。雪や雨がとても似合うシーンが多く、主人公の感情が徐々に表現されていき、そこに切なさと愛おしさを覚えた。静かにスローに、大人の初恋がなされていく。相手もまたいい、好きだわ、哀れな彼。

    (ただ、少しダラダラと長く集中できない所もある。特に仕事系とか、友人のところとか、あまり記憶にない。もっと恋愛部分を深掘って書いてほしかった気もする)

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    2025年10月20日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    色んな種類の、いい人ぶった嫌な人が出てきた!
    そして、その嫌な人はどこにでもいるのめっちゃわかる。
    家族、友達、職場など、そしてその嫌な言葉を投げかけてくるのは異性とは限らず両方っていうのもめっちゃわかる。

    結婚して子供を産まない女は人として欠損があるように見られたり、籍を入れずに子供を産むのは親世代からしたら絶縁するほどの罪だったり。

    恋愛が本テーマなのかなと思い読み始めたのだが、こういう周りにいる地味に嫌な人達によって生きづらい世界を作られている感じにめちゃくちゃ共感した。

    34歳にして初恋をして、仕事1日2時間しかできなくなるぐらい苦しくなって部屋に閉じ籠る主人公、、、(^∇^)笑

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    2025年10月13日
  • ヘヴン

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    ネタバレ

    辛い、
    虐められている描写が想像できるリアルさで痛かった
    最初の手紙のやり取りは私的に凄く素敵だと思った
    2人の居場所みたいな
    手術した後の景色が主人公にとって綺麗でよかった
    幸せになって欲しい

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    2025年10月07日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    川上未映子さん初読み。
    読んでいる間、ずっと胸がざわざわしていた。
    得体の知れない違和感、不気味さ?があった。
    内容がよく分からないというか、難しくて、
    でも表現力がすごいのはひしひしと伝わってくるので、私にはまだ早かったか……と思った。
    書かれている春は、コロナ禍の春。
    あの頃の鬱憤とか得体の知れないウイルスに怯えていた気持ちを思い出した。

    「娘について」が一番印象に残って、こわかった。
    人間の醜さが生々しかった

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    2025年10月01日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    ネタバレ

    昔からよく平積みされていて気になっていたことと、最近YouTubeでこたけ正義感が好きな本としてあげていたので、ついに読んだ。「川上未映子さんの書く文章が心地いい」というふうに言われていたけれど、私にはそれが感じとれず。

    物語は35歳の女性が主人公で、人との関わり方の悩みや葛藤がテーマの物語だと感じた。昔からあまり話すことが得意ではなく、職場での居心地の悪さを感じる点など、初めは近しいものを感じていたけど、その後、とてもはつらつとした女の友達と親しくなるところやお酒をたくさん飲んでカルチャーセンターへ行き、結局気持ち悪くなって吐いてしまうところなど、あまり近しくないと感じる部分もあった。

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    2025年09月26日
  • ヘヴン

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    いじめをテーマにした作品だけあってかなり重い。胸にずしんとくるような重さだ。
    凄惨ないじめの描写も生々しく思わず目を背けたくなる。
    いじめはいじめとして受け入れて耐え忍ぼうとする思想、自ら行動を起こしいじめを止めるべきとする主張、それぞれについて深く考えさせられた。
    結末としてはどこか煮え切らない、歯切れの悪いものと感じてしまった。

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    2025年09月25日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    情景や心情の描写が柔らかい表現でされていて、穏やかな気持ちで最後まで読み進めることができました。反面、ひらがな表記が多いので、慣れるまでは読みにくかったです。
    恋愛経験がないまま大人になった冬子が、偶然出会った三束さんに惹かれながら、自身の生い立ちや課題に触れていくのですが、結末は釈然としないように感じました。

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    2025年09月22日