川上未映子のレビュー一覧
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村上春樹ファンである小説家川上未映子が、村上春樹本人と対談したものを収録。熱狂的なファンのため、川上は細かい内容まで質問して、村上は質問に答える。なかでも『国境の南、太陽の西』、『アフターダーク』のような長編と短編に中間に位置する作品は、世間的にはあまり評価されていないと対談で言及されているが、川上はそのような作品こそ、村上作品の核なるものが詰まっていると指摘した点が印象的。また女性ファンの立場として、村上春樹の女性描写に若干の不満を募らせており、それに対して、村上が答えに窮してなんとか答えるところも、ある種の緊張感があって興味深かった。
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『乳と卵』 川上未映子
「ほんだら生まなんだらよかったやん、お母さんの人生は、あたしを生まなんだらよかったやんか、みんなが生まれてこんかったら、なんも問題はないように思える、うれしいも悲しいも、何もかもがもとからないのだもの。」
多様性が叫ばれる時代に生まれた。
いつのまにかテレビのコンプラはすごく厳しくなって、昔のように父親が笑いながら「これ見ぃ」っていう顔が見れなくなった。
整形は悪ではなくて、同性を好きになってもおかしくなくて、離婚も悲しくて悪いものではない。
そうとでも言わないと、なんだか、疎外感を覚えてしまう。そんな時代。
この作品もそうなのかな、と最初は思った。
だけどもっと、「多様性」を正しいと思わなくて良くて、リベラルで良くて、なんというか、私らしく居ていいのかなって。
私はそのように受け止めた作品です。 -
Posted by ブクログ
主人公の伊藤花は、小さなネット記事で監禁・傷害事件に関する事件を見つけ、吉川黄美子という名前に思い当たる。
今から二十年くらい前、まだ若かった頃の数年間を家族のように一緒に過ごした人だった。
加藤蘭と玉森桃子、あの時一緒に暮らしていた二人は今どうしているのか。
あの頃の記憶が一気に蘇る…。
元々母のホステス仲間だった黄美子さんと二人でスナック「れもん」を開店し、二十歳と偽って働き始め、同じような境遇の人たちが集まって、働いても働いても一生貧乏で、自分が育ってきたあたりまえの生活とはものすごくかけ離れていて、自分が知りえない世界を目の当たりにして震えが止まらない。
川上未映子さんの筆致が猛スピードで私たちに畳みかけてきて圧倒されます。
親って何だろう。
気がついたらこんな場所でこんなことになっていて、考えても仕方なくなってくる。
彼女たちの行く末は…。 -
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コロナ禍が迫りくる東京を背景に六話の短編が綴られている。
感染症によって日常が崩壊する直前の脅威と不穏さが潜んでいた時期が舞台となっているのだが、登場する人物たちは切羽詰まった恐怖感には未だ襲われていなかったのだろうが、無意識ながらも情緒不安定な状態だったような気がした。
表題の「こわいもの」は身体が震え上がるようなものとは異なり、無意識に心に忍び込んでくる「こわいもの」だと私は理解した。
登場する人物が考えることや行動は極端な不自然さはなく、誰でもが陥る可能性があるような事柄だと思うのだが、川上未映子さんが描くと何となく不穏さが伝わってくる。
当たり前と思っていた生活が、当たり前で過ごせなくなったのがコロナ禍だ。
人々の心の明暗が抉り出され、冷静な考えと行動が吹っ飛んでしまった時期だった。
この各短編の登場人物も、本人は冷静に行動しているつもりなのだろうが、何気に不穏さを含んでいる。
「黄色い家」しか読んでいないのだが、川上未映子さんの作風は現実と摩訶不思議な境目を描くことに秀でている作家さんのように思える。