川上未映子のレビュー一覧

  • きみは赤ちゃん
    5年前と3年前の毎日を思い出しました。
    今は毎日がバタバタとあっという間で、思い出したくても思い出せなかったかけがえのない日々をこの本が思い出させてくれました。
    そうそう!それやそれ!と共感することが多く、喜びや悲しみや怒りなどたくさんの感情が鮮明に蘇りました。
    あの時はこう思ってたけど今とそんなに...続きを読む
  • 黄色い家

    重くて、暗くて悲しい

    とっても辛かったしこんなに救いようのない狂った状況ってあるんだなって。人生お金が全てではないと言いたいけど、そういうことを言えるのも本当は金銭面でも精神面でも余裕があるからで、どん底から這い上がろうともがく花ちゃんが不憫で痛ましかった。周りの大人がもう少しマシならまともに育っていたであろう賢い子だと...続きを読む
  • 夏物語
    難しい問題に直面したとき、どんな答えを出したかではなく、どうやって答えを出したかの方が大事だと思っている。

    夏子がAIDに興味を持つに至ったのには、幼くして母と死別した経験や、巻子・緑子の強烈な母子関係を目の当たりにした経験などが根底としてあったんじゃないだろうか。逢沢との出会いがそこに波紋を生み...続きを読む
  • ヘヴン
    芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞のダブル受賞。
    2022年「ブッカー国際賞」最終候補作。

    虐めの描写が辛かったです。今まで文章で読んだ中で一番心が痛い。こんなに容赦なく人を痛めつけられるのか。
    少し曖昧で哲学的な表現が多く海外文学を読んでいるようでしたが、作者が詩人でもあると知って納得。重...続きを読む
  • きみは赤ちゃん
    妊娠出産って経験するまでは晴れやかなイメージが強くあった。けれど、実際始まってみるとそれだけってことはなくて。本の中の言葉を借りるとすると、"明るくて眩しい悪夢のような日々"もある。
    目の前のお子はいつでもとても可愛くて、しかも今の可愛さは今しかないから子どもの今をできるだけ見逃さないようにこの目で...続きを読む
  • ヘヴン
    多くの日本に生まれて育ってきた人はそこにある平均的正義に照らしながら読書をすると思うが、1/3ほどまでは虐められている主人公にその正義を当てはめて読むのが通用するので、感情が寄り添いやすい。しかしながら、途中から別の虐められているクラスメイトの思考を知ることで、段々と何が正しくて何が正しくないのかが...続きを読む
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集
    川上さんの、何気ない日常を表す言葉の解像度の高さがすごく好きだ。

    ・「ありとあらゆる世話をするために、どんなにどんなに眠くてつらくても、起きて動かなければいけないのだ。家事をし、公園にもゆき、ハイテンションで遊ばなければならないのだ。このつらさ、渦中にあっても未だにわたしはうまく信じられないのだけ...続きを読む
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)
    村上先生の本ということでこの本を読み、川上未映子先生を知りました。
    村上先生のファンで小説家になった方なんですね。
    小説家は「洞窟内でのストーリーテラー」という言葉が、情景が目に浮かんできました。
    お二人の対談が読者に対してすごく誠実で真摯だなと思いました。すてきという言葉では言い表せないくらい、「...続きを読む
  • すべて真夜中の恋人たち
    起こる出来事は特別派手なわけじゃなく至って日常的なのに、大きな渦に身を任せているみたいな心地よい激しさを持った作品だった。文章から伝わる感情の密度が高い感じ。
    正しさとかはわからないけど、自分の気持ちに素直に生きていたい。
  • すべて真夜中の恋人たち
    とても綺麗で素敵なお話だった。
    三束さんとわたしの会話や空気感が心地よくて、ずっと読んでていたかった。どの登場人物も個性的だけど自分の中で芯のようなものを持っている感じがして、尊敬する。

    内気な性格で、絶賛片思い中の自分に投影して余計共感しちゃって胸が苦しかった。
    真夜中に読み終わった今、私は彼に...続きを読む
  • 夏物語
    久しぶりに響いた。

    前半は、なんというか
    垂れ流しエッセイみたいな内容で
    そう、物語というよりエッセイ
    中盤になるにつれ、物語らしくなっていく
    そう思えば、前半の垂れ流しエッセイもこの物語を形成する上では必要なものだった気がしてくる
    主人公は、掴みどころにない説明の難しいキャラクターだが、心の内と...続きを読む
  • ヘヴン
    いじめに対するコジマの受け入れ方、言葉に
    強さを感じてこれからの展開に期待を寄せたが
    加害者の意識のなさに全部虚しく思えた、
    崩れ落ちる感覚があった
    印象に残る言葉もいくつかあって、
    苦しいながらも興味深く読めました



  • ヘヴン
    強いメッセージ性を持った作品だった。

    あらすじとしては斜視を理由にいじめを受ける僕と、小汚い見た目のためにいじめを受けるコジマの物語。

    色々と思うところはあるけれど、最も思うのは虐められる側の主張があり、虐める側にも主張があり、交わらないからどこかに軋轢が生まれているのだなということ。
    にしても...続きを読む
  • 夏物語
    「面白い」というのとは少し違う。一言で言うと「すごい」。すごい本に出会った。

    子供を産む、新しい生命を生じさせる、ということについて、
    個人的には、主人公を取り巻く3人の女性の考えが、それぞれ個性的で考えさせられる。

    詳細は省くが、
    ①50歳くらいの敏腕女性編集者。独身。
    →子供を産まないことが...続きを読む
  • きみは赤ちゃん
    知人から勧めれて読みました。
    子供との一日一日を大切に思えるような、そんな本でした。
    無痛分娩がもっと安価で皆が抵抗なく受けられる国になってくれたら良いなと思います。
  • 夏物語
    三十代後半になり、自分の人生の段階における出産のタイムリミットが間近になったことで、生きるということと新たな命を生むということを突き詰めて考える夏子が、自らの書いた小説を通して人と繋がっていく。
    途中、夏子の感情が昂る場面や恩田との会話は読むのが辛くなったが、その点を踏まえても内蔵にどすんっとくる小...続きを読む
  • ヘヴン
    コジマが自分を保つために、苛めから自分を守るために貫いていた信念のようなものが、最後に溢れ出してしまったシーンが苦しかったし、見惚れていた。
  • きみは赤ちゃん
    この本を世に生み出してくれてありがとう!!!
    と川上未映子さんへの感謝の気持ちでいっぱいになる一冊。
    私は子どもが4人いますが、妊娠するたび毎回この本を開いています。母親業って時に孤独で、特に夫との乖離を感じて淋しくなることが多いけど、あなたはひとりじゃないよって寄り添ってくれる戦友のような本です。
  • 夏物語
    初めて川上さんのを読んだけど、好きな文章でした。日常語での描写、ビーズクッション、匂い、大阪弁。すごく生活感のある文章でした。
    そして産まれる、生きる、死ぬをかっこ付けずに描いていた。僕にも子供がいるし、僕はいつか死ぬ、それが近いから遠いかわからんけど、確実に。それが急に死ぬことがリアルになった。く...続きを読む
  • 夏物語
    川上未映子さんの文章が好きなのに加えて、主人公の前に立ち現れる現在の悩み、過去の思い出たち、の描写の数々がクリーンヒットして胸に迫った。昔住んでいた家を訪れるシーンが印象に残っている。過去のたしかにあったものたち、でもいまは面影もない側にも存在しないものたち。それらを想うときに生まれる切なさや鼻のツ...続きを読む