川上未映子のレビュー一覧

  • 夏物語

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    川上未映子を初めて読んだ。

    大阪弁だけではなく、
    文学としての言葉のリズムの独特な美しさで構築された、
    空想と主観、無意識と意識の間の表現が、
    ありありと映像的に浮かび上がる世界に、
    すっかり心を奪われた。

    生きること、死ぬこと、生まれること、生むこと。
    そのすべてに対する平等な問いかけに、
    繰り返し、繰り返し、
    胸が詰まり、涙が出て、
    ラストに降り注ぐ光景に、
    なにかを許されたような心地がした。

    私にもあった子ども時代や、
    孤独や傷つきや後悔や、
    得られなかったものについて、
    こんなにも読書中に浮かび上がってくるとは。

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    2025年07月19日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    ネタバレ

    六つの物語から成る短編集、なんだけれど、ひとつひとつの完成度と熟成された感にいちいち圧倒されて、読後、おいおい、『ヘヴン』くらいのすごい物語を読んだぞ、これは……と、ちょっと現実に戻ってくるのに数日かかるって感じの読書体験でした。
    はああああ、ほんと未映子先生さいこう……たまらねえよ。
    やっぱり未映子先生で好きなのはエンタメより、純文学なのよ…!


    どの話も胸を抉って、わたしに色んな感情の種を植え付けてくるので、ある物語(たとえば「あなたの鼻がもう少し高ければ」や「淋しくなったら電話をかけて」)を読んだときはそれはいっそ暴力だったし、ある物語(たとえば「青かける青」や「娘について」)を読んだ

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    2025年07月19日
  • ヘヴン

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    ちょっと色々衝撃的やな、海外で刺さるのも良くわかるわ。どこから夢でどこから現実なんやろか、小説だからぜんぶ夢なんやろけど。斜視って治るんやな、現代技術は素晴らしいな。俺も白目の黒い部分取ってもらおかな。
    自分がされて嫌なことは、他の人にもやってはなりません、というのは綺麗ごとだという百瀬。自分がやられて嫌なことでも、やりたかったらやる、でも自分の身内がされそうになったら全力で防ぐ。それが嫌なら力をつけるしかない、それが現実なんや、という百瀬。
    いじめをしてる側の二の宮や百瀬みたいな奴らは、一見外見もよく頭もよく見えるけど、ほとんどの場合家庭環境が悪く、親に問題があって、そのストレスを外に向けて

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    2025年07月12日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    初めましての作家さんだったけど吸い込まれるように読んでました。
    不気味な雰囲気が漂う物語たち。
    言葉では言い表せない読後感がなんか癖になる。

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    2025年06月06日
  • あこがれ(新潮文庫)

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    はーもうため息が出るラスト
    しみじみと涙が浮かぶ
    自分とは違う存在、環境へのあこがれ
    戸惑ってみたり、手を伸ばしてみたり、思い描いてみたり
    二人ともとても可愛いんだけど、ヘガティー目線で語られる2章での麦くんが本当にいい
    みんな自分の子にはこうなってほしいと思わされるはず笑

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    2025年05月29日
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

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    大好き川上未映子さんのエッセイ
    なんで私の考えてることが分かるんだろう、言葉にしてくれるんだろうと一文一文が沁み入る
    日常のいろんなことの捉え方が深く優しくて、親友から肩を抱かれてるような気持ちになる
    子どもに感じる「だいじょうぶよ!」、鈍感になる感じすごく共感

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    2025年05月18日
  • ウィステリアと三人の女たち(新潮文庫)

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    表題作と、シャンデリアがとても心に残りました。どちらも主人公と自分と重ね合わせて、ちょっと違った別の私の人生を見るような…本当に川上未映子さんは凄い。

    表題作の喪失感はもの凄く、実際にいた子供、いたかもしれない子供、想像の中にいた子供を失うという恐ろしさを、この短編で味わいました。
    本当に恐ろしくて悲しい、けど美しいお話しでした。

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    2025年03月26日
  • 愛の夢とか

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    何気ない日常の中、光のような暗がりのような曖昧な部分を美しく表現した7つの物語
    詩的でゆらりと漂う文章の中で、はっとさせられる言葉に度々出会う。付箋を貼り、全て読み終えて、もう一度同じ場所を辿るがその感動は変わらない。日曜日はどこへが特に好きでした。

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    2025年03月20日
  • 乳と卵

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    短くて面白い。
    ちょっと関西弁が大阪住みの自分からしても古いのか変な言い回しに感じて音読しても読みにくいと感じた。
    都筑道夫のミステリイ指南より
    「すぐれた小説というのは、声に出して読んでみることのできる、言葉の音楽性のようなものを、ちゃんと備えている作品が多いと、私は考えています。」
    そういう意味では文章としては▲だが、テーマや心情を描くのは上手い感じた。

    「乳と卵」
    性の成長とそれに伴う様々な葛藤、そして女性特有の身体的な悩み、現代の身体感や他者からの視線、比較などが詩的な文章でつづられていた。
    男性に置き換えると現代で言えばボディーメイクや薄毛、骨延長手術、メンズメイクなど己自身に矢印

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    2025年02月25日
  • 乳と卵

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    読み進める手が止まらなかった...
    女性的視点かつ多くの人が公にはできない秘めた感情を全て綴ってくれている感じがして安心感もある。
    テンポも良くて読みやすかった。

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    2025年02月09日
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)

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    今1番気になってる作家のお2人の会話が読めてとても嬉しい。特に「騎士団長殺し」を最近読み終えたばかりだったので、インタビューの内容もついていきやすく良かった。
    川上未映子さんだからこそできる質問や、かなり深入りする質問がとても面白かった。特に村上春樹さんの小説の中での、女性の描かれ方についての突っ込んだ質問。めちゃくちゃ良かった。
    村上春樹さんの今まで読んだ(まだ数は少ない)小説は、どれも私はとても好きだったのだけれど、女性目線で読むと少しモヤモヤするところがあって、その霧が晴れたような気持ちになり、本当にこのインタビューを読めて良かったと思う。
    村上春樹さんへは、川上未映子さんがそう感じたよ

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    2025年01月09日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    ネタバレ

    人間関係のもやもや欲張りセット! な本。

    ・同級生を「家に自分で上がったから」と襲う男子学生
    ・男性上司との飲み会の席で口論になり、引き下がらない女。それだけでなく、何も言わないその場の女性たちを卑下する女
    ・↑この女性の知人に「あなたは利用されているだけ。あの人は男性をとっかえひっかえしている性悪女」と吹き込む会社の元同僚
    ・独身の同級生(女性)に家庭の愚痴を山ほどこぼした後、「あなたも子供を生むべき」と言い、最後には「この話ができたのは、あなたが自分の人生の登場人物ではなくなったから」と話す既婚女性

    ……そんな生活の中で、主人公・冬子は三束という男性と出会う。

    恋愛中心かと思いきや、

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    2025年10月18日
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

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    日々いろんなことがあっていろんなことを考えて生きてることを再確認できる本
    女性向けかもなあって思うところもある

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    2024年12月06日
  • あこがれ(新潮文庫)

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    高校の時の担任の先生が持ってて、教室に置いてあったんだけど、その当時の私は本が嫌いで読み終わることができず、、、でもずっとミスアイスサンドイッチのことを覚えていて、水色のアイシャドウで大きな目ってことまで覚えていて、ようやく5年ぶりくらいに読み終えることができました!言葉の綴り方というか、表現の仕方、語彙がパッと出てくるものではなくてというか、グングン読み進められた、理解できない比喩というか表現もあるけれど、自分なりにこういうことなのかな?と想像できるのも面白い、ミスアイスサンドイッチに私も会いたいし話してみたいし、というか、麦くんと同じ場所から眺めたいし、麦くんが描いた絵も見てみたい、ヘガテ

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    2024年11月14日
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

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    まさにタイトルのように
    深く深く息を吸ってはいて、そうできることに感謝したくなるような本でした。

    強さと優しさと繊細さを感じて
    なんだか泣きたくなった。
    私もこうやって生きていきたいと感じた。
    心が弱っている時って少々の刺激でも精神が揺らぐから私は本を読めなくなるのだけど、
    優しく寄り添ってくれるホットココアみたいな文章があたたかく包み込んでくれた。

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    2024年10月27日
  • 愛の夢とか

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    とても好き。アイスクリーム熱にぎゅっとなって、1番好きな話だった。
    痛いぐらいに伝わる繊細なお話。読み応えというよりもっと読みたいに変わりました。

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    2024年10月18日
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

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    日常のあれこれから世の中のあれこれまで
    みえこぱいせんがふんわりと綴ったエッセイ集。

    なんでふんわりしてるのかな、と考えたけど、
    いろんな方の意見があることを内包し、余白を残した上で綴られてるからだろうな。

    こちらもふんわりと読ませていただきました。

    あとがきがかなり良かった。
    私も、いろいろあっても、穏やかであることにこだわっていきたい。

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    2024年08月06日
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

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    ◾️特に好きなもの
    悲しみを乗り越えられるわけ
    別れのリトマス試験紙
    すべてを忘れてしまう私たちは
    いっそすべての穴を埋めたい
    主人などいない
    彼女のような人ならとくに
    これっていったい何なんだろう

    似てると言ったら烏滸がましいのだろうけれど、私も根っからのネガティブ人間なので、川上未映子さんのエッセイに何度となく出てくる、生きることは強制参加、なぜか涙が出てくる、みんないつか死ぬのに、エトセトラ、そんなような感覚がとてもよく分かって、泣きたい気持ちになる

    私は自分の心情を言語化することは好きだけれどうまく帰結することが苦手
    拡散して拡散して、なんだこりゃ、私、何がしたいんだっけ?何が好き

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    2024年06月12日
  • ジンジャーとピクルスのおはなし

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    ピーターラビットの絵本を初めて読みました。
    可愛らしくほっこりする物語です。内容はわりと大人向けかも知れません。「現金払いでがんばりました」など。
    肩の力を抜きたい時にまた読みたいシリーズだなと思いました。

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    2024年06月08日
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)

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    注! インタビュー本なのでネタバレ設定にしていませんが、内容にかなり触れています。



    年末(2023年のw)、本屋をブラブラしていた時、表紙のフクロウ(あ、みみずく…、ねw)が、なぜかミョーに気に入ってしまって、ついつい衝動買いしちゃった本。
    ちなみに、フクロウとミミズクの違いは、羽毛が耳のようにちょこんと出ているのがミミズクで、頭が丸いのがフクロウということらしいけど。
    ウチに時々やって来るのは頭が丸い方なせいもあって、ミミズクよりフクロウの方が好きだ(^^ゞ

    ……って、最近は、文章の終わりに「。」をつけたりすると怒られたり(ニュースで見た)、「、」や絵文字が多いと“おじさんの文章”と

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    2024年05月01日