川上未映子のレビュー一覧
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この方の作品は『黄色い家』に続き2作品目。
すごく良かった。
心理描写がすごく細かく巧みで、誰もが味わったことのあるような感情を比喩を交えながら文章にしていて、登場人物に自分を重ねてしまう場面がたくさんあった。
特に物語の終盤、ヘガティのお母さんへの想いが溢れ出す描写は切なくて涙が溢れた。
「私が小さい時にお母さんはいなくなったから、お母さんのことで思い出せることはないのに、お母さんを思いだすと涙が出る」というところ。子どもはみんな、「お母さん」という存在が恋しい、大好きな対象なんだよね、ととても腑に落ちる文章だった。
子ども向けの本なのかもしれないが、私にとってはとても心に刺さる素敵な物 -
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恥ずかしながら川上未映子氏のことを某CMで初めて知り、手始めに『乳と卵』を読み、本作品を読む。
人生悲喜こもごも。生まれたことの意味。生まされたことの意味。生きることへの苦痛や喜び。それでも私たちは誰かとの関係性のなかで日々生きる。哀しみがあり切なさがあり笑いがあり。唐突さや滑稽さのなかで足掻く彼女らのなんとも眩しいことか。なんだかんだで前を向く夏子や巻子、遊佐に対して絶対的な負として善百合子を描くことでご都合主義に陥らないバランスも良い。圧倒的エネルギーに満ちた傑作小説だと思う。
唯一の不満点は第一部であれほど盛り上がった豊胸が第二部ではほとんど語られぬことくらいか(一応どうなったかは分かる -
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母親と娘、そして叔母の3日間の生活を描いたこの作品では、第三者目線の叔母と当事者の2人で、確実に違った感情を抱いている。
母親と娘は確実に愛がお互いにあるんだけど、お互いにまだ精神が成熟しきっていなくて、母親はうまくいかない人生があったからそうなんだろうし、娘は年齢(思春期であること)もそうだし、母親から一般的な愛を受けていないこともあるのだろう。
関西人だから家族間でのやり取りも雑になるという偏見は、関西に住む自分だからこそ偏見でないようにも思えてしまう。
娘は母親から愛されているのかという疑念が、しっかりと描写されていたわけではないけど、言葉の節々から伝わってくる。寂しさだったり悲し -
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ネタバレ私達は生きている限り、自分の体から離れることも自分の思考から逃げることもできない。緑子が体の変化を嫌がるのも、巻子が豊胸手術をしたがるのも、体という檻に閉じ込められた人間の必死の抵抗のように思えた。川上美映子さんの小説を初めて読んだけど、文体が気持ちいい。一つ一つの文が長くてすらすらと流れるように入ってくる。あっという間に読み終わった。
緑子、ほんまのことって、ほんまのことってね、みんなほんまのことってあると思うでしょ、絶対にものごとには、ほんまのことがあるのやって、みんなそう思うでしょ、でも緑子な、ほんまのことなんてな、ないこともあるねんで、何もないこともあるねんで。(本文より引用)
う -
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ふたつの物語があって、最初のは、小学校4年生の、近所に住む、男の子麦くんと女の子ヘガティーのお話。次のお話では、2人が6年生になっている。
4年生の麦君は、まだまだ子供で、ヘガティーのほうがしっかり者って感じだけど、6年生の麦くんは、だいぶ思慮深い感じになってて、素敵だ。
ヘガティーは、徐々に思春期にさしかかって、いろいろに思い悩むんだけど、お父さんには言えないっていうところが、ああ、自分もそうだったなあ、と思った。
大人になってしまうと、泣きたくても、泣けなかったり、誰かに何かを相談したくても、誰にも言えずじまいだったり。なんとか自分の中で折り合いをつけてしまいがちだ。
この本の2 -
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川上未映子さんの本は絶対重くて、絶対読まれへんと思ってたんやけど、なんとなく気になって読んでみることにした
子どもを産むってことは、眠っている子どもを起こすことや、っていう善さんの語りが印象に残った
子ども自身が生まれてきたいかどうかとか、未来に生まれる子どもの権利とか、ここ数年で見聞きするようになった
そんななかで自分は子どもを持ったし、まわりでは不妊で人工授精で授かったいのちもまま聞くようになった
この世に生み落とされたことって、子どもにとってはどういうことなんか。自分が子どもやったころはただひたすらに大人たちがいつか死ぬってことが怖くてたまらんかった。
うちの子はどう思うんやろ、せめ -
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「もしあなたが子どもを生んでね、その子どもが、生まれてきたことを心の底から後悔したとしたら、あなたはいったいどうするつもりなの」
15章の善百合子のここからの発言、苦しい、自分何度も人生で思ったことで苦しい、これを精子提供で生まれ育ての父親から性虐待された善ではなく作者が書いたと思ったら苦しい。
最後、主人公は「忘れるよりも間違えることを選ぼうと思う」と出産を決意するが、善百合子は「生まれてきたことを肯定したら、わたしはもう一日も、生きていけないから」と言う…リアルどおり人を救いきらないのが作者らしかった。他の人のレビューを読んでも善百合子に対する感想が多く、なんか救われた
ずっとなぜ夏子 -
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ネタバレこの作品における「いじめ」は、テーマというより一つのモチーフとして扱われているように感じた。いじめが許されないのは当然だが、作者が描こうとしたのは、卑劣で非情な環境に置かれた人間がどのように生き延びようとするのかという、もっと根源的な部分だったのではないかと思う。とはいえ、凄惨ないじめの描写はあまりに辛く、一語一句丁寧に追うことはできなかった。
コジマが父との繋がりを絶やすまいとして風呂に入らず、服も洗わない行為が周りに理解されることはない。しかし中学生の少女にとってそれは、理屈を超えた、自分らしく生きようとする精一杯の自己主張なのではないだろうか。
また、百瀬の無慈悲で過度に冷笑的 -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編集。それぞれに心に響くポイントが異なる作品が並んでいる。
『いちご畑が永遠につづいてゆくのだから』
幻想的。文章構成の妙。表題を提示しそのあとに続く文章はまるで連作詞編をよんでいるよう。二人の関係性はいかに。個人的には30代前半の夫婦で子作りに関する話題で大ゲンカ。ブチぎれる妻と黙秘と苛立ちを醸し出す夫の一幕。
『日曜日はどこへ』
淡い青春への憧憬。大人になって日々を惰性で貪る感覚が高頻度で襲う私の人生。そうではないパラレルワールドを夢見みながら日常の平凡さに押しつぶされそう。
『三月の毛糸』
ファンタジーなラスト。テーマはわかり味が一番強い。
凄惨な世界に取り囲まれている生活の危う -
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先日、母親3年生になりました♪
ということで、書店の文庫フェアでずっと気になっていたエッセイを見つけたので手に取った。
35歳で初めての出産。それは試練の連続だった!つわり、マタニティーブルー、分娩の壮絶な苦しみ、産後クライシス、仕事と育児の両立…芥川賞作家である川上未映子さんの異色エッセイ。
この作品のことをもっと早く知りたかった!
妊娠中に読みたかった!!!
(でも、もし妊娠中に読んでいたら出産に対する恐怖は増していたかも…)
エッセイを通して、慌ただしい日々の中に埋もれていた自分の妊娠、出産のこと、子どもが0歳だった日々のことを思い出して、懐かしい気持ちになったり、出産直後にメモし