川上未映子のレビュー一覧
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ネタバレ表紙、タイトルに惹かれて購入。
主人公の冬子の暗さ、自己肯定感の低さなど少し苛立ちを覚えたり、共感できなかったりする部分もあった。
だが、私自身が本気で人を好きになった時のことを思い返した時、冬子と同じようなことを考えていたなと思った。
冬子が三束さんに対して、
「いま、何をしていますか。わたしに会えないことは、三束さん、平気ですか。三束さん、わたしのことは、すこしでもいいから思い出してくれますか。」
(285ページ)
と、一人でグルグル考え、夢にまでも出てきてしまう。
好きな人のことを、本当は全部知りたいし、聞きたい。
だけど、聞く勇気がでなくて、聞いてしまったら何かが変わるんじゃないか、今 -
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ネタバレ下巻も1日で一気読み。
なんというか、悲しいお話だったと思う。発達障害の境界線ギリギリかアウトな母親との貧乏生活を抜け出すために、母親の知り合いの女の人についていって東京でどんどんダークな犯罪の方向へ転落していく主人公、花。みんな、たぶん悪い人はいなくて、ただひたすら生きようとしていただけ。主人公が幼かった頃は気づけなかったけど、親との生活を捨ててついて行った女の人も、発達障害か自閉症かなにかしら大人としては大事なものが欠けている黄美子さん。
幼少時代から母親からの愛に飢えていた主人公は、結局貯めたお金を母親の借金に充ててしまったり、せっかく過去を清算してなしにしたはずなのに、黄美子さんに会い -
Posted by ブクログ
コロナ禍が迫りくる東京を背景に六話の短編が綴られている。
感染症によって日常が崩壊する直前の脅威と不穏さが潜んでいた時期が舞台となっているのだが、登場する人物たちは切羽詰まった恐怖感には未だ襲われていなかったのだろうが、無意識ながらも情緒不安定な状態だったような気がした。
表題の「こわいもの」は身体が震え上がるようなものとは異なり、無意識に心に忍び込んでくる「こわいもの」だと私は理解した。
登場する人物が考えることや行動は極端な不自然さはなく、誰でもが陥る可能性があるような事柄だと思うのだが、川上未映子さんが描くと何となく不穏さが伝わってくる。
当たり前と思っていた生活が、当たり前で過ごせな -
Posted by ブクログ
3人の未成年を中心に、アングラな世界を覗き見るような1冊。夜の世界のぬめりと温かみと独自性を味わえる。知らない世界に潜り込んでしまった。
登場人物は大人も子供も関係なく、真っ当に生きようと、生き延びようとしているのに、選択肢がないせいで溺れていく様子が妙にリアル。はなちゃんはじめ登場人物はみんなどこか欠けている。選んでいる言動はなにもハートフルじゃないのに、どこか温かみを感じさせる空気の作り方が面白い。どんな世界にも人との関係はあって、それの全てにお金は絡んでいて、お金が絡むと人は変わってしまう。
終わりについては、そんな生き方をしてきた人がそうなるのか わたしはとても疑問である ここはリ -
Posted by ブクログ
乳と卵子と卵の話w。
三人の女性をとおして女性の身体、心、女性としてのあり方が描かれている。男からすると女性は大変だなあとつくづく思ってしまう。
思春期が到来した緑子は大人の女性になることへの嫌悪感と、女であることへ執着する母親への不快感で心を閉ざしてしまう。
こういう緑子の気持ちは少しだけわかる気がする、私も大人になりつつある時に期待がある一方で子供のままでいたいなあ、嫌だなあと思ったことがあった。
緑子は2泊3日の初東京なのに散歩と中華料理屋以外どこにも行ってないのはちょっともったいなかったね、しかし卵を頭にぶつけて、母親の巻子と抱き合って、少しは楽になれたのだろうね。