川上未映子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ第一部は緑子の思春期特有のうまく伝えられない気持ちが繊細に描かれていてとても面白かったです。緑子が夏子と関わることによって様々なことに気がついていくのと同時に夏子も様々なことを感じていくという構成がよかったです。最後に緑子と巻子で卵を自分の頭にぶつけてお互いに伝え合うというのがシュールでしたがこの作品の中で最もインパクトのあるシーンであるのは間違いなく、非常に面白い体験をしました。第二部は夏子がAIDによって自分の子供と出会おうとする中で逢沢をはじめとした様々な人物と出会い、生命とはなにか、結婚とは何か、独りとはなにかを感じ取っていくというストーリーでした。登場人物それぞれが色々な感情や背景を抱えていてとても面白かったです。好きなキャラクターは遊佐です。男という生き物に対してはひとつの信頼も置いておらず世間を冷笑しているように感じられながらも娘のくらや夏子のこととなると真剣に考えて好きなように生きるように手助けするという性格がよかったです。また一番好きなシーンは夏子と善百合子が夜の公園で話すシーンです。善百合子の生まれたことこそが最大の不幸であり、母親たちのエゴで辛いことばかりが待っているこの世の中に子供を生み出しているという主張を聞き、一見支離滅裂に感じながらもハッとした気持ちになりました。他にも紺野や仙川といった魅力的なキャラクターが多く登場して夏子が迷いながらも成長するというのがよかったです。
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Posted by ブクログ
産後に読書再開しようと思い、Geminiで育児書を選書された中の一冊。
川上未映子さんの著書自体が初めてで「めっさ重たい」「むっさいかつい」「値段なんかこれもげっさ高い」などの副詞が新鮮で面白かった。
あとがきにも書かれているけれど妊娠、出産、育児の話題はとても個人的なもの且つとってもデリケート。この感想を投稿する文章を考えるだけでも書いては消してを繰り返し、いつもの倍以上の時間がかかってしまった。
育児に関して一番刺さったフレーズは
「世の中の思い込みから解放されて、自分たちにとっていいあんばいのスタンスをみつけてゆかねばならない」
マタニティブルーや産後クライシスの部分は読むのが苦しい人もいると思うくらい重たいけれど、個人的な体験や感情を晒すこと自体勇気のいることで、貴重な体験を読ませてもらった感謝の気持ちが生まれた。
次は小説を読んでみたいと思う素敵なエッセイでした
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Posted by ブクログ
親から守られなかった子どもが、大人としての役割を背負い、自力で生きていく物語。
まだ上巻なので何とも言えないけど、読んでいてドストエフスキーと吉田修一を混ぜたような雰囲気を感じた。
生きていくために、やってはいけないことをやっている。でも、それは正しくないけれど、間違っているとも言い切れない。そんな矛盾の中で、「私の人生ってなんなんだろう」と問いかける感じは、ドストエフスキーを思わせる。
そして、「血のつながりって何なんだ」というところは、吉田修一の小説を思い出した。
最後の母親との再会の後の花の場面では、瞼の奥が熱くなった。下巻でどう狂うのか、なんだか怖い。でも、早く読みたい。 -
Posted by ブクログ
「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」から始まる綺麗な恋愛小説。
真夜中の雨でぼやけた光みたいな繊細な瞬きがよく似合う不器用で素朴な主人公冬子34歳の生き方が愛おしい。
いちいち人と話したり出かけるたびに、酒かちこむアル中具合も人間らしい脆さがみえる。
周りの女友達たちはみんなフレネミー要素があったり、劣等感を感じさせる真反対の人ばかりで、冬子はきっと毎日心が疲れるだろうなぁって何度も読んでて苦しくなった。
でも、冬子みたいな女がむかつく聖の気持ちも少しわかるので、2人の女同士の言い合いは共感と反省で胸が少し抉られた。
意見をはっきりという人=きつい・我が強い・自己中心的と思われがちだけど
自分の本心を出さないずるい人の代わりに悪者になってあげてるのにって思うことある。
主体性のない人間に、思った事はハッキリ言えばいいのに、って思ってしまう事がある。
でも人には人の性格があって、感じ方があって、ペースがあって、だから何かを押し付けるのって違うよねって反省できた。
それにしても、川上未映子は「乳と卵」だけ読んで女版村上春樹のような印象を受けてたんだけど
この作品は全然印象が違かったな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ結構好きだった。
不気味で救いようのない雰囲気に引き込まれた。
コジマは 辛いことを受け入れて乗り越えることを美徳としていたが、それを主人公に押し付けて勝手に期待をし、考えが違うとわかると泣いて なにもわかっていないと言い放つ姿に重さを感じた。
理不尽な苦しみに耐える必要はないと思ったし、私はコジマの考えには共感できなかった。
主人公は百瀬と向き合おうとしたり、現状をどうにかしたいと思う気持ちがあったと思うが、コジマは 黙って受け入れることがアイツらに抵抗する唯一の手段だと考えていた。
読んでいる時、二人が報われて欲しいと思ったが、二人の考えはかなり違った。
主人公は、コジマに共感していなかったように思える。
斜視なことや、身体的特徴などが直接いじめに関係しているのではなく、全部たまたま タイミングで何もかも起こっているという、百瀬の考えに最も共感した。
コジマがいるけど斜視のままロンパリとバカにされひどいいじめがある世界。
コジマがいなくなるけれど何もかもから解放される世界。
どっちがヘヴンなのだろうか -
Posted by ブクログ
ネタバレ文章が綺麗で本当に好きな感じだったんだけども、終始しんどい。逃げればいいと思ったし、酷すぎる虐めに耐える行為に意味あることだと思えない。でもコジマにとってはそれが意味あることでそれを乗り越えてこそ、という考え方で…。
もうコジマの思想は恐ろしい程に確立していて、心は壊れてしまったのだと。2人が普通の友達になれればどれだけ良かったことか……。
今後コジマが大人になって、今までの習慣や考え方は意味なかったんだって思う時は来るのかな……それともずっと縛られて生きていくのだろうか。
主人公は、たくさん苦しんだ分、新しい目で色んなもの見て友達つくって恋人つくって普通に幸せに過ごしてほしいよ。コジマといても幸せになれないと思うよ。もう狂ってしまったからね。
そして、百瀬の透かした感じのニヒリズム、死ぬほど腹たったけどまあ気持ちもわかる。結局この非情な世の中、やられっぱなしになる理由もないしね。その状況に置かれてるのも自分の責任、そんな世の中ですからね。まぁ、仕方ねーーーーー