川上未映子のレビュー一覧
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ネタバレ川上さんのエッセー集。タイトルのルーツは、
世界クッキー、なはんて書いてみると「うふふ、世界のほうも、クッキーのほうも、ここで隣り合わせになるなんてことは、夢にも思ってなかったはず」
と、あとがきにあるように、全然別の世界の言葉の出会いと化学反応に文章を書くことの喜びを見出している作者ならでは。
章ごとに、からだのひみつ、ことばのふしぎ、ありがとうございました(文学賞受賞などの際の感謝の言葉)、きせつ、たび、ほんよみ、まいにちいきてる、ときがみえます、と、とても面白いカテゴリー分けになっている。
しょっぱなの「からだのひみつ」から、彼女の独特の感性が爆発。特に、彼女のこだわる「境 -
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去年の今頃、男性である私の乳房が膨らみ、痛みを伴うしこりが生じた。乳がんを疑いパニックになりかけたが、乳腺内科で薬の副作用による女性化乳房と診断された。
ごく最近無事完治したものの、普段から自分より相手の乳房のことばかり考えてきた人間にとって、「女性らしい外見」としてシンボリックな膨らんだ乳房を自らが持つことは想像以上の違和感とストレスを覚える経験だった。
本作の登場人物である、豊胸手術を受けようとする母親と初潮が来て生命を育める身体になることを恐れる娘。それぞれ女性の外側と内側のシンボルの存在を象徴する彼女たちの関係性は、終盤の「玉子のシーン」で変化する。それが「女性である」ということ、ま -
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ネタバレ生まれ育った環境ゆえに貧困に喘ぎ、生きていくためにもがくが抜け出せない人達の話。あるいは、表面的な事実と、実際に渦中にあった人の認識とは、人それぞれの認識によって全く異なるという話。あるいは、善悪はさておき一生懸命にがむしゃらに生きている花が、その懸命さゆえに孤立していく話。あるいは、幼い辛い時期にしあわせの片鱗を見せてくれた黄美子さんを敬愛しつつも、「黄美子さんはわたしがいないと生きていけない」と依存しとらわれ、その生活を守るために(花にとってはその生活だけが「しあわせ」と同義であったのだろう)、土壺に嵌る話。
色々な人達が登場し色々な側面のある物語。各々の認識がそれぞれ当人にとっての「真 -
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ネタバレ恋愛小説として読む人も多いと思いますが、私は主体性と社交性が乏しい冬子が自分なりに〝苦手〟なことへ小さく踏み出してゆく物語なのかなと感じました。
冬子と三束さんの関係も「えっ、これ恋愛?」と首を傾げるような曖昧さ?
三束さんは成り行きで会っていただけで、気づけばただならぬ流れになり、ふと我に返って後退りしたのかな、そんなふうに想像しました。
終盤で人物像が覆され、ロマンチックな夢(酔い)から醒め、一気に現実に引き戻されるようなラストは、どこかブラックユーモア的で苦笑い。
不思議な余韻が残りました。
特に印象に残ったのは、冬子の「日本酒入り魔法瓶」と、知人たちとの後味の悪い会話の数々。そこ -
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川上未映子は以前にヘヴンという小説は読んだことがあり、その時はえぐい話だなと思うくらいで、特に文体が特徴的だったという印象はなかったのですが、この小説を読むと口語的で大阪弁をそのまま文章に起こした文体がとても特徴的であり、実験的もあり印象に残る。
内容の方は、豊胸手術を受けることに取り憑かれている母とそんな母親に嫌気がさし言葉を発することを拒否するようになってしまった小学生の娘の関係性の修復というのが主なテーマになっている。
心はまだまだ子供なのに、体は大人になっていく、思春期特有の不安定な感情をよく表現している。
親子揃って卵を頭にぶつけて割って、泣きながら会話するというシュールすぎる -
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ネタバレはじめは段落もかなり少なくて読みにくいと感じてたけど、日常生活の中の細かな独特の描写やリアルな話し言葉での関西弁が頭から離れなくて引き込まれました。
こんな文章の書き方があるんや!という驚きと本ってほんまに面白いやん!という感激がありました。
巻子と緑子のやり取りで、ほんまのことゆうて!ほんまのことってなに?ほんなのことなんてないこともある。と言うところは、あぁ二人の言ってること分かる気がするって思いました。
ほんまのことってほんまに何やろって思うことあるし、大事な人が自分自身を大事にしてないって感じた時、ほんまのこと知りたいし理解したい助けたいって思う。
夏子の友達の豊胸と化粧の違いのやりと -
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著者のお子さんが生まれてから1歳を迎えるまでの日々を綴った出産・育児エッセイである。
読みながら、自分の子どもが生まれた頃の記憶が次々とよみがえった。エコー写真を見て涙が止まらなかった日のこと、仕事を切り上げて病院へ駆けつけた日のこと、何もかもが初めてで発見の連続だった日々。泣き止まない夜に途方に暮れたことも、小さな手を握ったことも、まっすぐ見つめられたことも思い出した。
苦しくなったり、笑ったり、時には涙ぐみながらページをめくった。
子育ては永遠に続くようにも思えるが、きっといつか終わりがくる。まだ先のようでいて、きっとあっという間なのだろう。
読み終えて、二人の我が子の頭をそっと撫