川上未映子のレビュー一覧

  • 黄色い家
    早くこの黄色い家から出たかった。花を取り囲む人々も怖かったけど花自身がどんどん「おかしい人」になっていった。
    いわゆる闇の世界を身近に感じてしまい、その中で映水さんや琴美さんに癒しすら感じてしまった。冷静に見ればだいぶ怖い世界だし怖いことをしているのだが。
    なので早く読み終わりたかった。
    読み応えは...続きを読む
  • すべて真夜中の恋人たち
    切ない。人を好くということの描写が丁寧で美しい。
    忘れていくことの描写も良い。切ない。

    私自身相対的に人のことを好きになる頻度が低めだと思っているので、より、好きっていうことは切なくて尊いなと思った。
  • 黄色い家
    非常に重たい。裏社会に取り込まれていく人々のリアル。細かい描写でリアリティがある作品。お金は人を変えていく、実際にニュースで耳にするトー横や特殊詐欺の犯罪に手を染めてしまう人ってこんな感じなんだろうなと思いながら読んだ。
  • 夏物語
    40歳手前、自分と同年代の女性の物語。
    私は男性で、子供、出産に関してこういう感覚を持ったことはないけど、今を逃してもっと年をとったら出来なくなることがあるだろうなっていう感覚はわかる気がする。
    それが巻子の豊胸と夏子の出産だったのかなと思う。

    川上未映子さんの昨日を何作か読んで、仲の良かった女性...続きを読む
  • 黄色い家
    人間は生まれながらに平等ではない。
    幸せな人間とそうでない人間は存在する。
    この基準は人によって異なる。
    お金であれば、「お金持ち」と「貧乏」
    愛であれば、「温かい」と「寂しい」
    それがどちらもなかった場合、どうなるのか。
    この主人公は、今でいう親ガチャに失敗してしまった。義務教育が終わる頃には人生...続きを読む
  • 黄色い家
    2024.05.09

    読み終わったあと、じんわりと、心があったまるような、それでいて切なくて悲しくてやるせない、なんともいえない感情が心を占めた。

    あらすじから勝手に「若い子を監禁した悪い女の話」と思い込んでたのでいい意味で思いっきり裏切られた。
    花の読んだ黄美子の事件は、花たちとは別ものだった...続きを読む
  • 黄色い家
    すっごいボリュームのある本で一ページに文字がびっしり!
    セリフの「」の後に文章、そしてまた「」という感じなので行間のスペースがなく延々と文字を追いかける形になり600ページがすっごい重荷になりました。
    だからと言って物語がつまらないことは全然なく、まるでヨーロッパ小説を読んでいるような重厚で濃密な心...続きを読む
  • 黄色い家
    生きていくために真っ当な道だけ選ぶことはできない人もいる。良かれと思ってやっていることが、相手から期待されている事ではないのかもしれない。
    自分の知らないところで、悪い事を押し付けられやすい人がいるのかもしれない。
    何気ない黄美子さんの最後の言葉が胸に刺さる。
  • 春のこわいもの
    6編の構成だが、最後の「娘について」以外はあっという間に読める短編だ.若い女性の興味がどの方面にあるのかを特化しながら読んだが、スマホへの依存が大きい日常を過ごしていると感じた.「あなたの鼻がもう少し高ければ」でオーディションに応募するものの全く歯牙にかけてもらえない状況をフィナンシェで紛らわす場面...続きを読む
  • ラヴレターズ
    圧倒的に西川美和のラヴレターが良すぎる


    いろんな人の本気のラヴレター(実在する人宛て)を覗き見できるため、若干の背徳感がある。

    「なんだかんだあったけどまあそこそこにいい感じでぼちぼちお互いやっていこうね〜」というメッセージを、それぞれが添い遂げるパートナーだったり、二度と合わない初恋の人だっ...続きを読む
  • 夏物語
    子供を産む選択、産まない選択、女性には色んな選択ができる。一人で育てるという選択もある。今の時代は本当に多様性の時代になった。

    自分の家族を振り返り、時には悲しい出来事を思い出し、時にはそんななかでも幸せだった瞬間を思い出しながら、前を向いて自分の子供に会いたいと、悩んだり行動する主人公の姿、今の...続きを読む
  • 夏物語
    生まれてくることを望んで生まれる子どもは誰ひとりとしていない。
    生むことは賭けで親のエゴ。
    シングルマザー、経済状況、善百合子の言葉。
    全てを受け入れ、出産を選択した夏子。
    物語の結末に戸惑っている読者も多いように感じましたが、私はこれは反出生主義について問われている作品だと考えているので、あの結末...続きを読む
  • ヘヴン
    クラスで苛められている中学生の男女、「僕」と「コジマ」が、寄り添い合いながら苛めを乗り越えようとするが、「僕」へのある激しい苛めをきっかけに次第にすれ違うようになり、二人はすれ違ったままそれでも苛めは続いていたが、結局はたまたま苛めが露見して二人に対する苛めは終結して終わり。

    モノの善悪とは、世界...続きを読む
  • すべて真夜中の恋人たち
    結婚する幸せ、子供を産んで母親になる幸せ、自分のしたい仕事を思う存分出来ることの幸せ、好きな人と好きなことを共有する幸せ、幸せのカタチは人それぞれで、それは押し付けるものでもなんでもないなぁと改めて感じた。
    自分はSNS等で押し付けないようにしたいな...
  • 黄色い家
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    2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁·傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶――黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとう...続きを読む
  • 夏物語
    描写、例えが具体的で生々しかった。

    子供を産むということ、生きるということについて考えさせられた
    子供は自分の意思で生まれるわけではない、親の意思と選択でしか産まれてこないのだ。
    当たり前だけど、それが子供の望んだ形、自分が望んだ形になるとは限らない。
    自分のわがままで産んだ子に、生まれて良かった...続きを読む
  • すべて真夜中の恋人たち
    なんとも切ない。ハシゴを最後の最後で外されたような。冒頭で結末は語られていたといえばそれまでだが。確かに明らかに教師のタイムテーブルではなかった。

    聖の台詞はいちいちカリスマ的だった。ハッキリモノを言う美点(?)と他人の「なんでわからないのかがわからない」欠点(?)がないまぜになって、作品の中でも...続きを読む
  • 夏物語
    夏目の、周囲の人間との関係を取り結びつつ、子どもを産むか産まないかの葛藤が描かれていた。この作品の第二部の一番の読みどころは14と15なのではないかと思う。

    乳と卵は以前読んでいて、その続きにあたる部分を読んだ。

    仙川さんや善さんなど、子どもを産まない(産めない)人たちが、意図せずに、夏目のいる...続きを読む
  • すべて真夜中の恋人たち
    真夜中という限られていて、作り込まれただけの空間で、一生懸命、作られただけの”光”を探している。でもその光のことさえ知らないんだよね。社会に出るのは自傷行為ともいえるのでは?と思ったほど、丁寧ながらに鋭い描写だった。失恋したくなければ恋愛はしなければいい。ただ、恋愛という概念が存在する世界で、好きに...続きを読む
  • 夏物語
    子供を産むのはある意味賭けでもある。いい知らせばかりでない今の世の中で子供を産むということの目的と結果、本能と理論、エゴと世間体、利益と不利益その他諸々について考えるきっかけとなった。