川上未映子のレビュー一覧
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ネタバレ川上さんのエッセー集。タイトルのルーツは、
世界クッキー、なはんて書いてみると「うふふ、世界のほうも、クッキーのほうも、ここで隣り合わせになるなんてことは、夢にも思ってなかったはず」
と、あとがきにあるように、全然別の世界の言葉の出会いと化学反応に文章を書くことの喜びを見出している作者ならでは。
章ごとに、からだのひみつ、ことばのふしぎ、ありがとうございました(文学賞受賞などの際の感謝の言葉)、きせつ、たび、ほんよみ、まいにちいきてる、ときがみえます、と、とても面白いカテゴリー分けになっている。
しょっぱなの「からだのひみつ」から、彼女の独特の感性が爆発。特に、彼女のこだわる「境 -
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夢中になって上下巻をあっという間に読み切ってしまった。特に最後の100ページ。W杯で乱れた睡眠リズムを取り戻そうと、早く寝ようとした夜に気づいたら2時間30分。25時30分まで読んでいた。
川上美映子さんはどうやってこれを書いたのだろう。貧困から犯罪に手を染める、あの罪悪感を打ち消す自己肯定。少しずつ気が狂っていくも、本人は気づかない、そして気づいた時の絶望感。全ての描写、解像度が異様に高い。
自分も何かに気づかずに毎日を過ごしているのでは?何かを見ないふりをしているのでは?と恐ろしくなった。読書というよりアートのような。ハッとさせられる作品だった。
この後、色んな方々のレビューや、作者 -
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パンデミック目前の日本で生きる人々の短編集。
その「パンデミック」というテーマがどれほど物語に影響しているかと言われると、あんまり関係ないのかなと思う物語もあるのだけど、総じて不穏な空気、人間の狡さや弱さ、生と死みたいなものを考えさせられるお話だった。
「青かける青」の『戻れない場所がいっせいに咲くときが、世界にはあるね』という一文のそこはかとない愛しさにしばし呆然とした。
結論のないふわっとした短編なので好き嫌いは分かれそうだけど、わたしは川上未映子さんの紡ぐ言葉が好きで、当たり前なことをこんなに詩的に捉えられる彼女の感性にうっとり憧れてしまうのでした。 -
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ネタバレ川上さんが伝えたかったことはとても難しいことだと思った。
主人公や、コジマが壮絶ないじめにあっていても何事も無かったように学校に通い続ける姿に、誰かに相談したらいいのにと思ってしまったけれど、中学生の視野じゃ様々な可能性ややり方があることも分からないし、目の前の孤独な世界で耐えることを選んでしまうのかもしれないなとも思った。
主人公がどんどん追い込まれていく描写が辛かった。
コジマは初めは良かったけど、段々と自分の状況と大好きなコジマの思想との間で揺れ動く主人公の様子を見ていて苦しかったし、自分の思想で勝手に仲間だと思ったり、勝手に裏切られたと思ったりというコジマの危うさを感じて怖かった。そ -
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ネタバレ本書を読んで強く感じたのは、人の感情は決して一つではなく、いつも「ごちゃまぜ」なのだということだった。
聖は主人公に苛立ちをぶつける一方で、「友達になりたい」と涙ながらに伝える。三束さんの「人には、色んな事情があると思うので」という言葉も、主人公への優しさであると同時に、自分自身への弁明でもあったのかもしれない。誰かを思う気持ちと、自分を守りたい気持ちは、きれいに分けられるものではないのだと思った。
また、「自分の頭で考えたものじゃないと厭なのよ」「好かれるために生きてるわけじゃない」という言葉には、自立した生き方への憧れを感じた。自分を大切にしながら、周囲とは適度な距離を保ち、本当に大切 -
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水色のまぶたを持つミス・アイスサンドイッチ。
会ったことのない、半分だけのお姉ちゃん。
絵が得意で心優しい麦くんと、おかっぱ頭でやんちゃ娘なヘガティーの、淡くて切ない「あこがれ」にまつわるお話。
小学生の主人公たちにとって、心を惹かれる何かや、衝撃的な事実1つで、日々の色ががらっと変わって、世界のピントがその1点にぐぐーっとフォーカスされていく。そんな様子の鮮やかさが、主人公たちの感性の柔らかさを感じさせて凄く瑞々しい。
あとね、作中で2人がヘガティーの家で映画を観るシーンがあるんだけど。
アル・パチーノ主演の『ヒート』で繰り広げられる銃撃戦を完璧に真似しちゃうヘガティーの描写 -
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人とかかわるのが苦手な冬子はある日、勇気を出して足を運んだ文化セミナーで一人の男性と出会う。そこから冬子と、三束さんと名乗った男性との静かな交流が始まる。
仕事に恋愛、人間関係と、さまざまな悩みや不安、生きづらさを感じる誰もが共感し、胸が疼く作品なのではないだろうか。冬子のようにどれだけ孤独を受け容れ生きづらさを自覚していても、誰の人生においても自分は重要な人間ではないということに気づいてしまうことほど苦しいことはない。一歩踏み出し自分で選び、自分の人生を生きること。
当たり前で大切なことに気づかされる。
あまりにも切ないけれど、きっとこの出会いも冬子にとっての大切な人生の一部なのだと思う。 -
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ネタバレ心を抉られながらも一気読み。
いじめというものが取り沙汰されるたびに「逃げたっていい」「学校が全てではない」という言葉が自然と飛び交う。大人である我々の経験則から言えば間違いなく正しいのだが、実際にそこで生きている当事者にとっては虚しく現実味のない言葉なのだと思う。スマホが普及してネットへのアクセスが当たり前の世の中にあっても、やはり子どもにとっての世界は狭い。そんな中でコジマが拠り所として見つけ出した「強さ」が、「すべてを受け入れること」なのが虚しくてやるせない。それはコジマにとっての呪いになってしまっているからだ。
どこか他のクラスメイトとは違う百瀬を最終的には実はいい奴、といった描き方を -
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これぞ純文学という文体で大衆文学を書いたような印象を受けた。ストーリーに大きな展開がなくても、川上未映子さんのような独特な言い回しでリズムよく心地よく読める本が好きになってきた。
本書は持たざる者の苦悩と葛藤を描いており、今の日本の裏社会に通ずるものがある。犯罪に手を染める人々はその実、染めざるを得ないのかもしれない。とは言え、いかなる理由があれど犯罪は紛れもなく許されない。ここにももどかしさのようなものを感じるが、そこを打破できるのは社会であり政治であり国であろう。しかし、持たざる者を救う政策を打ち出す人は持つ者から疎まれる。いやはや、難しい。得てしてマジョリティに迎合した政治家が生まれるん