川上未映子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
コロナ禍を舞台にして春の不穏な雰囲気をそのままに色んな題材を織り込んだ6つの短編集。タイトルの通り春の怖いもの、短編に登場する主人公がどれも登場する相手役に少し妙な怖さを感じてるのは秀逸かも。
黄色い家を読んで面白くてこの著者の短編も手にしたけど、面白さは黄色い家の方が面白かった。まあ本ごとに色が違うからこの短編集はコレでいいのかな?どうなんだろう?期待していたこともあり少し普通だった。
でもちょっと貧乏や影のあるキャラの描き方はとても秀逸でした。
特に気になったのは◉あなたの鼻がもう少し高ければの整形にまつわる面接のやり取りは面白かった。
最後の◉娘についての、よしえと見砂の対比線のキ -
Posted by ブクログ
女たちの、誰にも話すことはないだろうというような出来事や記憶や考えをフィルム越しで見ているような短編集だった。
古い海外の映画を見ているような……舞台は日本で、現代なのに不思議な感覚だった。
最初の短編が刺さりすぎてしまい、その後の物語に入り込みきることができないまま、
大きなシャンデリア、深い森の湖、藤の花と、見ている景色が移り変わっていく。
それでも、ふと集中力が途切れると、西日が当たる小さな部屋と少女の記憶まで巻き戻されてしまう。それくらい衝撃的だった。
美しい文章の裏側でこの物語は何を示しているんだろう、何を感じとることができれば私は納得してこの本を閉じることが出来るのかな、と考え -
Posted by ブクログ
血が苦手な人にはおすすめしません。
川上未映子のすごさは、人間がノンフィクションより生きていること。主人公も、コジマも、百瀬も、それぞれの考えがあって、お母さんや先生などの大人たちもいる。
コジマの手紙の、言葉がちょっと間違えていたりするのも、上手いなぁと思う。本当に中学生が書きそうな文章。自分の仲間だと思っていたのに裏切られた、って思う気持ちも分からなくはない。
主人公も、いじめでボロボロになって、眠れなくなって、だんだん精神に異常をきたし始めるところもリアルだなぁと思った。
百瀬の考えも、ものすごく嫌悪感はあるんだけど、筋は通っているようで、理詰めでは否定できない。そして