川上未映子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今まで気になりつつも作品を手に取ったことはなかった川上未映子さん。
平台に並ぶ新刊文庫のコーナーで、ひときわ目立つラブリィな表紙に目が行って、今回初めてページを開いてみました。
そしたら「イズミヤ」の文字が目に入り、あ、そうか、大阪の子やったんやな、とそこにあった行を読んでみると、思っていたよりもなんとなく気が合いそうな気がして、買ってみました。
今回のこの「世界クッキー」は雑誌や新聞に掲載された文章をまとめた本で、話題はいろいろあるのだけれど、特に、「本に関すること」や「言葉や文章に対する気持ち」を書いたものは、とくにおもしろく感じました。
単語の気持ちになってみたこと?
確かに、な -
Posted by ブクログ
コロナが蔓延し、生活が一変したあの春にまつわる物語を連ねた短編集。
全話に通じて対話が少なく主人公の心情を丁寧に描写していることと終始不穏な空気が漂っていることが印象的であった。
心理描写に関しては"不安"や"恐れ"などといった一言でも通じる感情を様々な比喩表現を用いてこれでもかというほど深掘りっているのが印象的だった。
心理描写ももちろんだか、傍から見た言動に関しても「この人はこういう感情なんだろうな」と読者が一目で分かるような表現が秀逸であった。
作品の空気感に関しては暗い話が多く、何かが起きる結末でないことが不穏な空気感を作り出していた。起き -
Posted by ブクログ
読んでいる間ずっと、痰が絡み続けてるような鼻水が落ちて来たときのような、そういう粘液状のものが喉にまとわりついてるいるような気持ち悪さがあった。文章の向こう側に見える景色はすごく透明感があって綺麗なのに、登場人物も、人間関係も、起こることも全てが気持ち悪かった。なのに読んでしまう。
前に、高瀬隼子さんの「おいしいごはんが食べられますように」を読んだ時に感じた不快感に近いかもしれない。あちらも人間の内面の醜さとか醜悪さをすごく上手く書いていて、こちらの著書はどちらかというと人間の弱さとか甘えとか、身近にいたらそっと距離をとりたくなる類の嫌な感じを書くのがとても上手いと思った。
自分の中にもあるそ -
Posted by ブクログ
なんだか不思議な感覚がじんわりくる小説でした。
言葉での表現があまり得意でなく、良く観察し、独特の感性で物事を感じとるタイプの人たち。
芸術的なセンスが強くて、真っ直ぐな心を持ってるから世の中を上手く泳ぎことが苦手でちょっと生きづらそうな遺伝子を持つ人たちかな。って思いました。
若い緑子は思春期に入りこれから色々と戸惑うだろう。
でも卵かぶり事件で母子の絆が再確認されたのかな。
このシーンは笑えてしまった。どこの家庭でもありそうな思春期の子とのぶつかり合い。それをこの家族は殴り合いや、言い合いではなく、卵かぶりでしたのだなあ
彼らは本当に個性的で平和的で、独特の魅力を持つ人たちだ。 -
Posted by ブクログ
「れもん」がなくなってから、生きていくため、居場所を守るために必死になる花。
居場所を必死に作っていかなければならない人がいる一方で、それが自然と作られている環境にいる人はそのことに気が付かない。
怒涛の展開に花の頭の中が考えに埋め尽くされていく様が文字数で表現されていて、苦しくなるほど。人は考えが止まらない時ってこうやって頭の中が文字で埋め尽くされるのかもしれない。
逆に黄美子さんの思考や心は見えなくて、器のような人。黄色い家を離れてからも記憶は薄れつつずっと何かに縛られていた花は、またそんな黄美子さんに会うことでようやくそれを手放せたのかも。
登場人物の感情や状況の切迫感を文体等で