川上未映子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ氷が張った湖のような透明感と静けさを感じる作品だった。光に感する描写が多くて綺麗。冬子の所在なさげな感じが読んでいてすごく共感できて、読みながら「頑張れ!」と心の中で応援している自分がいた。
とにかく冬子と三束さんがどうなるのか気になって、最後の方は一気に読み進めてしまいちょっと寝不足気味に笑
個人的には「そうかぁ…」と残念な結末ではあるけど、何も自分で選んでこなかった自覚のある冬子が初めて選んだものが、三束さんだったんだと思うと胸が熱くなる。きっと冬子にとっては忘れられない、意味のある出来事になるんだろう。
それにしても、聖さん好きだなぁ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの作品における「いじめ」は、テーマというより一つのモチーフとして扱われているように感じた。いじめが許されないのは当然だが、作者が描こうとしたのは、卑劣で非情な環境に置かれた人間がどのように生き延びようとするのかという、もっと根源的な部分だったのではないかと思う。とはいえ、凄惨ないじめの描写はあまりに辛く、一語一句を丁寧に追うことはできなかった。
コジマが父との繋がりを絶やすまいとして風呂に入らず、服も洗わない行為が周りに理解されることはない。しかし中学生の少女にとってそれは、理屈を超えた、自分らしく生きようとする精一杯の自己主張なのではないだろうか。
また、百瀬の無慈悲で過度に冷笑 -
Posted by ブクログ
自分の妊娠をきっかけに読み始めたけど、内容が濃くなかなか進まない。笑 結局正期産になってしまった。産後クライシスの場面では、さすがの語彙力で女性の脳内ではこういうことが起こるんだなあと、言語化されていることでとても勉強になった。クスッと笑えるところも多かった。ぜひ、世の中のパパになる人にも読んでいただきたい!!
産後に読むとまた違った気持ちで読めるのかもしれない。とにかくいまは、赤ちゃんに会うのがより楽しみになった。
ーーー誕生日におめでとうっていうのはきっと、この1年、無事にみんなが一緒に生きることができたっていうことに対するおめでとうで、それはほんとうにすごいことなのだと、そういうかもし -
Posted by ブクログ
川上未映子さんの文章を初めて読んだけど、こちらに語りかけてくれているような少し口語的なところがすごく心地よかった。
ひとつひとつは短くて軽やかなんだけど、女性に関する社会の問題提起とか、言葉や考えることの大切さとか、今の自分に刺さる話が多かった。
なんとなく価値観というか感性が似ているのかも…と恐縮ながら思った。別れるとき思わず泣きそうになってしまう人がいるよね、とか、あ〜〜わかるぅ〜〜となった。
深く息をするのが大事、は私も経験があって、なんだか私がこれから経験したり考えたりすることを先に経験して教えてくれる女性の先輩のような、そんな存在になりそう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ僕が百瀬の言ってることをなかなか理解できない、受け入れたくないみたいな感情の描写がリアルでよかった。
「権利があるから、人ってなにかするわけじゃないだろ。したいからするんだろ」
「欲求が生まれた時点では良いも悪いもない。そして彼らにはその欲求を満たすだけの状況がたまたまあった」
「自分が思うことと世界のあいだにはそもそも関係がないんだよ。それぞれの価値観のなかにお互いで引きずりこみあって、それぞれがそれぞれで完結してるだけなんだよ」
権利とか人の気持ち(罪悪感)で善悪を判断する僕、そういった人それぞれの都合に意味づけするのは弱いからであり、世界はシンプルな仕組みでできているしそこに善悪 -
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苦しい作品……苦しい!
救いの物語に進んでいくのかと思えば,どんなに踠いても逃げ出せない現実に収斂されていく生き地獄.
感想すら,うまく出てこない…….
いじめられる側の理屈は,感情的に「分かりやすい」.
でも,いじめる側の圧倒的な「屁理屈」は,「分かりたくないけど,分からされてしまう」.
「善悪とか関係なく,やりたい事をやるか,やらないか,それだけ.
その時,それが実行できる環境があるか無いか,それだけ,シンプル」――
きっと,現実世界でもひどいいじめをする人たちの心理って,そんなものなのかもしれない.
「いじめているつもりは無かった」って,言い訳でも何でもなくて,本当にそう思ってい