川上未映子のレビュー一覧
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尊い。
1人の人間がこの世に誕生することって、
自分の力じゃどうにもならないくらい偉大だからこそ畏怖の念を抱かざる終えない。
怖いんだけど尊い。
怖いと尊いって、相反する感情なんだけど、読んでいて
それが一気に押し寄せる感じ。
逢沢さんは、夏子に出会えて良かった。
生きる意味なんてない。
生きているだけで尊い。
善さんは、夏子と相反する価値観で1冊の中で、いろんな価値観が描かれているところも、これまた面白い。
そんな価値観、自分でも考えなかったような価値観に出会えることが読書の醍醐味だよな。
ゴンドラにのる2人のシーンは映画のワンシーンのようで、尊い!
今でもどこかを飛んでいるボイジャーの話が寂しく、孤高で尊かった。
ミッションを終えても、地球と交信をつづけながら、今も飛行を続けているボイジャー。
辛い時は、ボイジャーのことを思い出せ
尊さが詰まっていた! -
Posted by ブクログ
ネタバレシノギ、シマ、アガリ、ポン中、、、
知らない言葉ばっかりの、闇の世界が描かれている小説だった。
別にハートフルな話ではないと思ってたけど表紙が可愛かったので予想外。
ここ最近読んだ本の中では読みやすくてスラスラ〜と読めた。
親がイカレポンチで歪んでしまった子どもたちと黄美子さんの共同生活。
黄美子さんってものすごく何かが欠けていて不思議、、なんと言ったらいいんだろ、、
優しそうに思える時もあれば人の気持ち全く理解してなさそうな時もある、
何考えて生きてるんだろ?まあ基本ボケーっとしてるのかな?と思ったらラッセンの絵を振りかざしてふすまボコボコにしちゃう
そして常に拭き掃除してる
近くにいたら私は「こわい大人」と認定して近づかないんだけどね、花にはその感覚がなかったみたい。むしろ黄美子さん=救世主
金ために水商売や詐欺をする花。
ただ、金金金!とはなってるけど別に贅沢な暮らしがしたいわけじゃなくて、中卒で身分証もない・銀行口座もない、の状態だからこれでやっていくしかないんだよね。
ほんとはどれもこれも、親のせいだと思うのよ。
色々あったからお金貸してと娘に無心してくる親。しかも200万。
で結局亡くなった後にどれくらい貯めてるのかと蓋を開けたら7万、、、、7万って。返す気なさすぎだろ。
とか思うけど本人(花の母)は本気で頑張って7万貯めたんだろうね。
日本のどこかにリアルに存在しそうな人たちではあったのでちょっと心痛くなった。
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この物語を貫くのは、世間が押しつける「家族の幸せ」といった生ぬるい綺麗事ではない。
作中、夏子が編集者から「あなたの文章の良さ、リズム、それは強い個性」と評されるシーンがあるが、まさにこの小説自体のリズムと流れが、読者の身体にドクドクと流れ込んでくるような心地よさと、圧倒的な強さを持っている。川上さん自身もこう言われてきたのだろうか、と思わせるほどに言葉が生きている。
特に胸に刺さったのは、美化されがちな「思い出」や「女性の身体」の、あまりにも泥臭く生々しい描写だ。
幼い夏子のために、姉の巻子が一生懸命に考えてくれた「ぶどう狩り」。それは決して美化された思い出なんかではなく、どこまでも「情けない」光景だ。嬉しさよりも情けなさが勝ってしまった幼い夏子の記憶。けれどそこには、紛れもない姉としての温かい「思い遣り」があった。大人になった今、夏子が抱く巻子への大いなるありがたさと、当時の切なさが交錯するからこそ、このシーンは涙なしには読めない。
また、姪の緑子が頭に卵をぶつけて叫ぶ場面。
頭からどろりと滴り落ちる黄身と白身の描写は、月に一度、女の身体の中で飛び出る卵(排卵)、つまり、女性として生まれてきたことの抗えない肉体の現実と生々しさを、視覚的に突きつけてくる。
「子孫繁栄、は?なんですかそれは」
女性にばかり犠牲を強いてきた歪んだ社会システムを冷ややかに一蹴し、産むイニシアチブを自らの手に取り戻そうとする女性たちの静かな逆襲。今の非婚化や少子化の本質が、ここにすべて描き出されている。
しかし同時に、物語はさらに深い深淵へと私たちを連れていく。
「子どもはこの世に生まれたかったわけじゃない。産むということは、とても罪深いことなのではないか」という、逃げ場のない倫理の問い。
やはり妊娠や出産は、人間がテクノロジーでコントロールしてはならない「神の領域」なのではないか、という畏怖。
だが、本書を読み終えた今、もう一つの冷徹な救いのような視点に気づかされる。
生物学的に言えば、私たち生き物は次の世代を生み出すことで、「今生きているモノ」としての役割を終え、この世から静かに消え去る権利(バトンタッチ)を得るのだ。
ハッピーエンドもバッドエンドもない。
ただ、命をめぐるあまりにも重い矛盾の前に、立ち尽くし、震える。今を生きるすべての人に、この言葉のうねりを体感してほしい。 -
Posted by ブクログ
夢中になって上下巻をあっという間に読み切ってしまった。特に最後の100ページ。W杯で乱れた睡眠リズムを取り戻そうと、早く寝ようとした夜に気づいたら2時間30分。25時30分まで読んでいた。
川上美映子さんはどうやってこれを書いたのだろう。貧困から犯罪に手を染める、あの罪悪感を打ち消す自己肯定。少しずつ気が狂っていくも、本人は気づかない、そして気づいた時の絶望感。全ての描写、解像度が異様に高い。
自分も何かに気づかずに毎日を過ごしているのでは?何かを見ないふりをしているのでは?と恐ろしくなった。読書というよりアートのような。ハッとさせられる作品だった。
この後、色んな方々のレビューや、作者のインタビューを読んでみようと思う。それも楽しみだ。 -
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パンデミック目前の日本で生きる人々の短編集。
その「パンデミック」というテーマがどれほど物語に影響しているかと言われると、あんまり関係ないのかなと思う物語もあるのだけど、総じて不穏な空気、人間の狡さや弱さ、生と死みたいなものを考えさせられるお話だった。
「青かける青」の『戻れない場所がいっせいに咲くときが、世界にはあるね』という一文のそこはかとない愛しさにしばし呆然とした。
結論のないふわっとした短編なので好き嫌いは分かれそうだけど、わたしは川上未映子さんの紡ぐ言葉が好きで、当たり前なことをこんなに詩的に捉えられる彼女の感性にうっとり憧れてしまうのでした。 -
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ネタバレ川上さんが伝えたかったことはとても難しいことだと思った。
主人公や、コジマが壮絶ないじめにあっていても何事も無かったように学校に通い続ける姿に、誰かに相談したらいいのにと思ってしまったけれど、中学生の視野じゃ様々な可能性ややり方があることも分からないし、目の前の孤独な世界で耐えることを選んでしまうのかもしれないなとも思った。
主人公がどんどん追い込まれていく描写が辛かった。
コジマは初めは良かったけど、段々と自分の状況と大好きなコジマの思想との間で揺れ動く主人公の様子を見ていて苦しかったし、自分の思想で勝手に仲間だと思ったり、勝手に裏切られたと思ったりというコジマの危うさを感じて怖かった。それがやっぱり、最後の事件に繋がっていたと思う。虐められ、傷つけられることにも意味があると信じて受け入れるのは、最善の策とはどうしても思えなかった。
もう一つ百瀬との印象的な場面。私は百瀬の言っていることには1ミリも共感できなかった。それがその人の今やりたいことだからといって、人を傷つけていいわけない。虐められてる方がなにか行動を起こすべきだなんてそんなのは間違っていると思う。
正論を言っているようで支離滅裂なことを言っていたと思うけど、本人の世界ではそれが正しくて、自分が強者側だと信じてやまないからあんなに強気に出て、自分は正しいと胸を張って持論を披露できるんだね。
ろくな大人にならないなと思うし、最後の事件の後色々な大人からこっぴどく叱られていてほしい。 -
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水色のまぶたを持つミス・アイスサンドイッチ。
会ったことのない、半分だけのお姉ちゃん。
絵が得意で心優しい麦くんと、おかっぱ頭でやんちゃ娘なヘガティーの、淡くて切ない「あこがれ」にまつわるお話。
小学生の主人公たちにとって、心を惹かれる何かや、衝撃的な事実1つで、日々の色ががらっと変わって、世界のピントがその1点にぐぐーっとフォーカスされていく。そんな様子の鮮やかさが、主人公たちの感性の柔らかさを感じさせて凄く瑞々しい。
あとね、作中で2人がヘガティーの家で映画を観るシーンがあるんだけど。
アル・パチーノ主演の『ヒート』で繰り広げられる銃撃戦を完璧に真似しちゃうヘガティーの描写がめちゃめちゃいい。かわいい。
大好きなシーン。