川上未映子のレビュー一覧
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パンデミック目前の日本で生きる人々の短編集。
その「パンデミック」というテーマがどれほど物語に影響しているかと言われると、あんまり関係ないのかなと思う物語もあるのだけど、総じて不穏な空気、人間の狡さや弱さ、生と死みたいなものを考えさせられるお話だった。
「青かける青」の『戻れない場所がいっせいに咲くときが、世界にはあるね』という一文のそこはかとない愛しさにしばし呆然とした。
結論のないふわっとした短編なので好き嫌いは分かれそうだけど、わたしは川上未映子さんの紡ぐ言葉が好きで、当たり前なことをこんなに詩的に捉えられる彼女の感性にうっとり憧れてしまうのでした。 -
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ネタバレ川上さんが伝えたかったことはとても難しいことだと思った。
主人公や、コジマが壮絶ないじめにあっていても何事も無かったように学校に通い続ける姿に、誰かに相談したらいいのにと思ってしまったけれど、中学生の視野じゃ様々な可能性ややり方があることも分からないし、目の前の孤独な世界で耐えることを選んでしまうのかもしれないなとも思った。
主人公がどんどん追い込まれていく描写が辛かった。
コジマは初めは良かったけど、段々と自分の状況と大好きなコジマの思想との間で揺れ動く主人公の様子を見ていて苦しかったし、自分の思想で勝手に仲間だと思ったり、勝手に裏切られたと思ったりというコジマの危うさを感じて怖かった。そ -
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水色のまぶたを持つミス・アイスサンドイッチ。
会ったことのない、半分だけのお姉ちゃん。
絵が得意で心優しい麦くんと、おかっぱ頭でやんちゃ娘なヘガティーの、淡くて切ない「あこがれ」にまつわるお話。
小学生の主人公たちにとって、心を惹かれる何かや、衝撃的な事実1つで、日々の色ががらっと変わって、世界のピントがその1点にぐぐーっとフォーカスされていく。そんな様子の鮮やかさが、主人公たちの感性の柔らかさを感じさせて凄く瑞々しい。
あとね、作中で2人がヘガティーの家で映画を観るシーンがあるんだけど。
アル・パチーノ主演の『ヒート』で繰り広げられる銃撃戦を完璧に真似しちゃうヘガティーの描写 -
Posted by ブクログ
ネタバレ心を抉られながらも一気読み。
いじめというものが取り沙汰されるたびに「逃げたっていい」「学校が全てではない」という言葉が自然と飛び交う。大人である我々の経験則から言えば間違いなく正しいのだが、実際にそこで生きている当事者にとっては虚しく現実味のない言葉なのだと思う。スマホが普及してネットへのアクセスが当たり前の世の中にあっても、やはり子どもにとっての世界は狭い。そんな中でコジマが拠り所として見つけ出した「強さ」が、「すべてを受け入れること」なのが虚しくてやるせない。それはコジマにとっての呪いになってしまっているからだ。
どこか他のクラスメイトとは違う百瀬を最終的には実はいい奴、といった描き方を -
Posted by ブクログ
これぞ純文学という文体で大衆文学を書いたような印象を受けた。ストーリーに大きな展開がなくても、川上未映子さんのような独特な言い回しでリズムよく心地よく読める本が好きになってきた。
本書は持たざる者の苦悩と葛藤を描いており、今の日本の裏社会に通ずるものがある。犯罪に手を染める人々はその実、染めざるを得ないのかもしれない。とは言え、いかなる理由があれど犯罪は紛れもなく許されない。ここにももどかしさのようなものを感じるが、そこを打破できるのは社会であり政治であり国であろう。しかし、持たざる者を救う政策を打ち出す人は持つ者から疎まれる。いやはや、難しい。得てしてマジョリティに迎合した政治家が生まれるん -
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途中、かなりの重さに読むのをしばらく中断。しかし再開後は一気読みだった。
黄美子さんは、考えることが苦手な人というのだろうか。生い立ちのせいもあるだろうが‥
登場人物は皆キャラが立っているが、蘭と桃子は結果的には常識人だったようだ。
花の思考回路は自分に近い部分がある、と感じるところがあり、それを桃子にビシッと指摘されて、うぐぐ、と胸に食い込んできた。
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「苦労するのは、いいことなんですか」
「いいことだとは言ってないよ。しょうがないってこと。でも苦労もできない馬鹿よかましでしょ。あいつらは幸せかもしれないけど、馬鹿だよ。」
自分だけが苦労してきたぶってるとこね。どんなふうでも人には