川上未映子のレビュー一覧

  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    娘について、を読んだとき、どこか共感できてしまうような気がして空恐ろしさがつま先から鳩尾まですうっと広がってくるような気にさせられる。
    フィクションなら着地はこうなるんだろうと予測しながら読むのに、そうはならない。そのもやもやがかえってリアル。

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    2025年05月29日
  • 乳と卵

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    乳と卵は文学の課題で取り上げた話。自分が望まなくても胸が膨らんで生理が始まるし、まだ思春期の少女なのに母親としての体に変わってく、それを周りがいいこととしてお赤飯とか炊くのって嫌だよね。心と体が噛み合わない感覚、もう少し周りが理解してくれたらいいのにって自分も小学生の時同じこと思ってたわ。みたいなこと書いた気がする。思い出せないけど面白かった。その後の2個目の話は終わり方がすごい好き。

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    2025年05月27日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    わたがしみたいに柔らかいのに、触れた瞬間どろりと溶けてしまうような春の不穏さを味わえる短編集。

    「青かける青」の美しい文章に打ちのめされたあと「あなたの鼻がもう少し高ければ」でスーッと肝が冷えた気分に……。「ブルー・インク」はほのかに村上春樹の風味。

    春のほのぼのした心地良さの中に身の毛がよだつゾクりとしたちぐはぐさがあり、夢中で一気読みしました。

    「あなたの鼻がもう少し高ければ」が一番お気に入り。どこにでもいる若い女の子のどこにでもありえる日常。現代を生きる若い女の子の心情の生々しさは、もはや物語ではなく現実だった。

    SNSの幻惑的な世界に魅了され、小さいスマホ画面から大きな夢を見る

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    2025年07月21日
  • 愛の夢とか

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    川上未映子さんはどの話しも独特な雰囲気とテンポがあり、そのリズムにはまると最後、沼におちます。

    生活の中のまばゆい光も痛みの重さもどちらも存在し、白昼夢のような空気に包まれたかと思いきや、急に現実に戻されるような緩急のある短編集。「愛の夢とか」は物語自体が芸術に昇華されているように感じた。

    「十三月怪談」が一番印象的。強い想いや願い、川上未映子さんの魂が宿った筆力に胸がいっぱいになりました。

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    2025年07月30日
  • 乳と卵

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    登場人物各人の感情を、すごくざらざらと、直接表現しているから、人の『本心』と、「こう考えるべき」という社会の模範的な思考に促された本心のつもりの『実際に表出した感情(他者から読み取られる感情)』が同時に登場する。自分でもたまに嫌気がさす小さな二面性をひとつの話にしてもらえて、自分だけでは無いのかもしれないと思った。

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    2025年05月19日
  • 乳と卵

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    この本が芥川賞取ったのって2008年とかだったのか。
    なんか全然古くさくないというか、すごい新鮮な気持ちで読めた。

    生理についての描写が多かった。ちょうどこの本を読んでいるときの私は生理二日目だったので、薬を飲んでもなおじわじわと生理痛に苦しめられており、股の間から流れ出ていくぬるりとした血をいやでも感じなければならないときだった。読みながら登場人物たちと自分がなんとなくリンクして、少し生理痛が和らいだ。

    緑子の迫るような大きい方のノートの文章が好きだった。
    思わず声に出して読み、そう、本当に、そうだよね、としみじみ考えるような文章がたくさんあった。
    一方で、40ページくらいからの胸大きく

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    2025年05月13日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    しずかななにかが追い立ててくるようなこわさ。まさにパンデミックの中、身動きできない家の中から感じていたザワザワそのものが文字を、文を成しているような。なぜこれがこわいのか、きっと自分の人生を振り返るとわかる。

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    2025年04月28日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    「青かける青」
    「あなたの鼻がもう少し高ければ」
    「花瓶」
    「淋しくなったら電話をかけて」
    「ブルー・インク」
    「娘について」

    世界がどうなるかわからなかったパンデミックの淵、きれいな悪意に満ちている六篇。
    うとうと、夢と現のあわいで眠るようにしながら読みおえた。

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    2025年04月28日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    蔓延する感染病。

    無くなってしまった日常。

    続いていく日常。

    それまでの当たり前がなくなったことで、
    それまで気付かなかった孤独が浮き彫りになったところも
    あったのかもしれない。

    そんなことを考えさせられるような短編集でした。

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    2025年04月27日
  • 愛の夢とか

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    絶対に女性にしか思い浮かばないような表現や言葉がすらすらと出てきて、それが抽象的な比喩なはずなのに生々しいとすら感じた。
    まさに詩のような文章を書く人だなと改めて感じられる短編集だった。
    初めて作家さんで気に入って買った本です
    (1冊目は「すべて真夜中の恋人たち」でした)

    最後の2篇は夢中になれたけど、その他は私にはあまり合わなかったのでマイナス1に。

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    2025年04月26日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    どこにしまい込んだかも忘れていた罪悪感を不意に見つけてしまった瞬間。息苦しく希望ひとつ探す気にもならない未来への不安と、そんな将来にまだどこか期待をしてしまう自分の醜悪さに嫌悪を覚える。行き場のない心のモヤを宙に浮いた掴みどころのない文章で描かれるオムニバス短編。
    頭から離れそうにもしつこく渦巻き続ける独特の魅力でした。

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    2025年04月21日
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

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    しばらく
    読書から遠ざかって、遠ざかって

    世界の片隅で、
    仕事に追われて、を言い訳に
    無気力に勝てず…、が理由で…

    そんな、
    クッタクタの日々を何とか乗り越えて、
    こえて
    手に取った本書。

    この人の言葉には、
    嘘がないと言うか
    表裏がないと言うか
    体の芯から出てくる感じが「ビッシバッシ」と
    響いて、伝わってくる。
    好きですな。

    かっこつけてない



    カッコいいんだよなぁ


    2011から2022までの11年間に渡るロングスパンのエッセイ集。
    著者が35歳くらいから46歳頃かな
    いわゆるアラフォー時代

    小説の合間に書かれたであろうエッセイたち。

    小説の書かれた時代に合わせて、

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    2025年04月20日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    「思いがけない電話がかかってきたとき。もう何年も音沙汰のなかった人の名前をメールの差出人欄に見たとき。べつに自分が何かした覚えもないのに、不安とも後悔ともつかない感情が突きあげて緊張が走り、一瞬で汗をかく。そういう予期せぬ小さな再会が、わたしは怖い」

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    2025年04月14日
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

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    10月ごろ読み終わったはずなのに、なぜか登録してなかった。
    おもしろかったはず!
    心に残った文章もあったのに忘れちゃった。
    また読まないと。

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    2025年04月06日
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

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    川上未映子さんの小説は読んだことがないのだけど、初めてエッセイ集を手に取ってみた。読者へ語りかけるような文体で、するすると入り込んでくるような感覚。ジェンダーに関する話題もちょこちょこ書かれてるけれど、10年近くたってもこの国はちっとも変わらないよな..と軽く絶望したりもしつつ。1篇ずつが短いので、夜寝る前に毎日少しずつ読むのも良さそう。これをきっかけに小説も読んでみたいと思った。

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    2025年04月02日
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

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    「たとえ元気がなくたって、笑顔でなくたって、強くなくたって、穏やかにいられること。なんとなく、思いついたときにでも、深く、しっかり息をしてみること。そのあとのことは、そのあとやってくるものに、まかせるような、穏やかさで」

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    2025年03月30日
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

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    親戚のちょっと年上のお姉さんが優しく話しかけてくれるているようなエッセイ。

    何より、川上未映子さんってこんなエッセイ書かれるのかー!という発見でまた一段と作家さんのことを好きになる。

    ときどき、あなたはどう?と語りかけてくれるから、自分の中のいろんな気持ちや思いを言葉に直して考えるきっかけにもなった。

    雑誌の読者に向けたものだから語り口的にもそう感じるのかもしれないけど、とにかく温かく包み込んでくれる。
    ひとつひとつが短くて読みやすいし、懐かしい人と久しぶりにゆっくり話して心がじんわり温かくなるような、そんな読後感でとっても好きです。

    サイン会に来て涙が溢れてしまった女の子に対するエー

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    2025年03月10日
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

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    川上さんの小説を多く読んでいる訳ではないので偉そうに言えないのだけど、エッセイという性質からか、音楽的な文章だな、という印象を抱いた。
    小説よりももっと自由度が高くて、自らのリズムに気ままに言葉を乗せている感じ。
    (放埒な文章という訳ではない、断じてない)
    詩的、というよりもっと音楽的で何なら歌みたいとさえ思える。

    脳細胞がシャキシャキ動くのを感じる。
    川上さんの言葉の、表も裏もぜんぶ読み取って吸収したいという欲求が、脳細胞の働きを活発にしている気がする。


    なんというか、作家という仕事は、言葉に対するセンスとか感受性の豊かさとかが大事なのだと思うけど、さらに物事や思考をどこまでも深く掘り

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    2025年03月10日
  • かえるのジェレミーのおはなし

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    カエルの1日の話だったが、なかなか緩急があって面白かった。特に、魚に食べられそうになったあと、急いで水面に上がってくる時の様子をソーダーに喩えているのが面白かった。

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    2025年03月08日
  • 乳と卵

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    お初の川上未映子作。表題作は文体に驚いたが、脳内で語りが生々しく再生される独特な感覚が早いうちに掴めてぐんぐん読み進められた。緑子が抱く、否応なくやってくる身体の変化で「女になる」ということを思い知らされたり、他者からそう思わされたりすることへの言いようのない居心地の悪さや気持ち悪さが、混沌としたまま、ただどうにも受け入れたくない気持ちは確かに日記に紡がれている。母親が豊胸にこだわる理由も、語り手が血のついた下着を見て受精の予定ないけどなとふと思うのも、なんか女であるという事実と、性・生との結びつきが強固である(強固なものであるとされてきた)ことによるもののような気がする。「生きづらさ」と言っ

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    2025年03月05日