川上未映子のレビュー一覧
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出産9ヶ月になり、ネットでこの本の存在を知り読みました。今までの共感、これからの不安、色々感じるものがあり、産んでからまた読み直したいと思いました。
■出産編
つわり:読みながら夫が毎日私が食べられるもの買いにスーパーに言ってくれたこと、排水口ふくむ食べ物の臭いが嫌すぎたことを思い出した。あと、まだおなかが大きくない妊婦さんもつらい時期があると体験した。(産む以外にこんなにしんどい時期があるとは思ってなかった!)
出生前診断:一貫して子どもは親の都合(エゴ)で産んだんだから、という作者の意見が響いた。
生みたい気持ちは誰のもの?:野田聖子さんのお子さんの話が心に残った。他人がそのことに口 -
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ネタバレ短編集。それぞれに心に響くポイントが異なる作品が並んでいる。
『いちご畑が永遠につづいてゆくのだから』
幻想的。文章構成の妙。表題を提示しそのあとに続く文章はまるで連作詞編をよんでいるよう。二人の関係性はいかに。個人的には30代前半の夫婦で子作りに関する話題で大ゲンカ。ブチぎれる妻と黙秘と苛立ちを醸し出す夫の一幕。
『日曜日はどこへ』
淡い青春への憧憬。大人になって日々を惰性で貪る感覚が高頻度で襲う私の人生。そうではないパラレルワールドを夢見みながら日常の平凡さに押しつぶされそう。
『三月の毛糸』
ファンタジーなラスト。テーマはわかり味が一番強い。
凄惨な世界に取り囲まれている生活の危う -
Posted by ブクログ
この本を読み始めたとき、『乳と卵』の作り直しかと思った。夏の、延々と続いている不快感のような暑さの中で繰り広げられる1人の女性の物語。乳と卵と重なるパートでは、主人公の女性よりも姪っ子の視点に立って読んでしまう。生まれてくる意味とは?人が自分で望んでこの世に存在するわけではない、という事実。生きる辛さや成長する際に突き当たる壁。考えさせられることが多い。
後半はどちらかというと親の視点。子供自身との関係性や、産んだ経緯が色々な人々。子育てと虐待。
様々な登場人物の喜怒哀楽の気持ち、思考回路、批判。人が生きる上で、自分が他者に与える影響をわかっているつもりでもわかっていないことがほとんどだ。自 -
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おそらく産後の今でなければ目にも留まらなかった、けれど実際は絶賛産後子育て中なのでつい手に取り、買って、読んでしまい、そして今出逢えて、読めてよかったと思う。
わたしは日頃から自分の感情を言語化するのは得意な方だけれど、育児中という、感情をぶつける相手が(言葉の通じない赤ちゃんのほかは)夫しかいないという閉塞的な特異環境のなかで、ついつい飲み込んできた、日々飲み込み続けているあれやこれやの鬱屈した気持ちとか憤りとかを、文字という目に見えるかたちで、言葉で、こうして表してくれていることに安心した。わたしの飲み込んできたこの気持ちはある種普遍的なもので、その意味では間違っていなかったし、きっとな -
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ネタバレp347 すべての赤ん坊の目は、このように空を映していたときがあった、、
言うまでもなく、空を目に映さないままであった赤ちゃんがいて、、、
生の一回性、、
色々とご意見が届いたのだろうなと想像されるこの一部分でもって、このような、出産というプライベートな出来事を出来るだけ鮮明にいいことも大変なことも誰もが読めるかたちで表現することのとんでもない重みを感じた。
表現者のもつ圧倒的な力とそれを使う事の重圧を感じている。
ただ、かきたいものをかいてるんじゃないんだなあという浅はかなる気付きでした。
いつか私も赤ちゃんていう存在に会えたらと思える本