川上未映子のレビュー一覧
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濃密だけれどどこか危うい七つの短編。
誰の心にもある、言葉にするのが難しい気持ちというものを本当に上手く書いてくれていて。自分の頭に長年積み重なってきた澱のようなものが解かれてほぐされていくような感触だった。それは女性特有の感情だったり、もっと言えば個人そのものの秘めたる想いかもしれないけれど。きっと私が思うように、他の人もこの短編たちを読んだらそう思うんじゃないかなと確信できるような感じ。
甘くて哀しくて優しくて厳しい気持ち。
どのお話も良かったけれど、愛の夢とか、十三月怪談の2つが特に好きでした。
川上未映子の作品がめちゃくちゃ好きな理由が目一杯詰まってる本でした。 -
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これはたぶん、生まれ変わりの物語。ただし直線上で続いていく世界の。
心内文がとにかく分厚い、1部がもう壮絶、鬱屈な逡巡です。比較的短いはずなのにページを容易に進めることができないほど、悩み抜かれた言葉たちが全力で迎えてきた。けど良い。
じゃあ2部は?というと、1部ほどの重量感を感じないのにやっぱり進まない。簡単に進んじゃいけない感じ伝わってきた。ノスタルジーもあるし、やっぱり良いです。
読む体力がない時には絶対に読めない、けど読んでどう感じたかを聞かせてほしい。って感じる作品でした。
新作の広告や誰かの解説も入っておらず、ただ純粋な物語で全652ページの大作です。
初めて線を引きたい衝動に駆られました。
楽しかったです。 -
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これは大好きな本。
富裕層でも貧困層でも一般層でも、その階層でのリアルな生き様が書かれている本は大好物。私の大好きな小説『あのこは貴族』の主人公は華子で、こちらの主人公は花。漢字でもうっすら棲み分けがされているというか。
こちらの小説は都市型貧困について本当にリアルにかかれていて、東京の下町で育った身としてはありありと花の生活が想像出来てしまって、ノンフィクションだと思って読んでいた。クラスに花みたいな子がいたかもしれないし、親が貧困だったら私もそうなっていたかもしれないと真剣に読んでしまった。花は自分に与えられた選択肢がほぼ一つしかなくて、それが正解でも不正解でも一つしかないんだから、それを選んで懸命に生きてきただけ。憎めないし応援してしまう。素晴らしい社会派小説だと思った。
中弛みもなく、2日で読み終えました。
下巻も楽しみ。 -
Posted by ブクログ
川上未映子さんの本、初めて読みました。
妊娠中からお子さんが1歳になるまでの経験を、笑あり涙ありで綴られたエッセイです。
特に産後編がとても参考になりました。メンタルが不安定になるってどんな感じなのか臨場感を持って理解できた気がします。夫にも予習がてら読んでおいてもらいたい。笑
出産って幸せであることは間違い無いけれど、漠然とした不安、辛さ、孤独感、自分が自分じゃなくなる喪失感があるのも事実で。それでも夫婦2人が家族3人になったときの日常の幸せは計り知れないものなんだと学びました。最後の方は幸せの涙を堪えるのに必死でした。川上未映子さんの作品これから読んでみようと思います! -
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久しぶりに純愛小説と出会いました。これは切な過ぎて泣けます。
「真夜中の」という言葉が、とても内容と合う。2人が「光」を話題にする中身も「生と死」「希望と絶望」など対義語になっていて面白い。
大人の恋愛って、高校や大学生とは違い、もっと深い環境が関わってきますよね。ただ会いたいとか、一緒にいたいとかそういった感情の後に必ず付いてくるそれぞれの事情。年齢が高まるにつれ、また環境が変わるから複雑です。
お金や仕事、既婚者とか子供とか、親のことなどなど、背負うものをいっぺんに振り払えれば楽だけど、それはまた別次元のお話。
ハッピーエンドでいいのかな?
とにかく胸にぐっと刺さる作品でした。
お互いが真面目で共通点が何もない中で、向き合うのが辛くなる未来があったのかもしれませんね。そんな関係が切なくて苦しい。
全体的にみたら簡単に短く伝えられるストーリーなのに、それを軸に主人公の過去や考え方、生活などを踏まえて長編にさせる著者が素晴らしい。
11月に映画公開ですね。観たい! -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルに惹かれて。
人と関わることに消極的で思ったことを言葉にするのが苦手な冬子。孤独に苛まれるなかで三束さんに出会い、知らぬ間に想いが募り、自分の恋心に気いていく。
不器用だし、見ていられないような部分も多い。共感できる、という主人公ではない。
ただ、三束さんの傘に入れてもらう場面、自分の気持ちに気付く瞬間やそれを彼に伝えるシーンなど、色々な素敵な場面が、冬子にぴったりな繊細な表現で描かれていて胸がいっぱいになった。
人を好きになる気持ちってやっぱりいいなと思うし、その気持ちが人を動かす力にも驚かされる。
川上さんの言葉選びがとにかく素敵で、優しくてゆっくり紡がれる文章が心地よかった。静かな夜にまた読みたくなると思う。