川上未映子のレビュー一覧
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購入済み
恋愛小説を久しぶりに読みました。でも恋愛小説、と言っていいのかな。むしろ社会とうまくつながれない主人公の心が解けていく、1人の女性の変化の物語として私は楽しみました。静かな筆致と、主人公の丁寧な内面描写が美しくて、読み終わった後も長く余韻の残る物語でした。
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ読みやすくて、面白くて、そして泣けた
すべて真夜中の恋人たちは、文章には引き込まれる一方で(おそらく恋愛というテーマ自体が)あまり自分に合わなかったが、このエッセイはめちゃくちゃ面白かった
出産も育児も、こんな感じなんだ……
つわりも出産後の痛みも、生まれてから寝られないのも、、、こわい………
自分が今後もしかしたら体験するかもしれないという事実が怖い(大学生の時も思っていたけど、結婚して20代後半に差し掛かったこのタイミングだからこそより実感を持ってしまって、こわい)
でも苦しい、辛い一方で、やっぱり我が子はかわいいんだろうなあ
なんとも形容し難い子どもに対しての愛とか、どうしたって生まれてくる夫へのイライラとか、言語化うますぎて作家ってすごーーいってなった
そんで多分、私も同じ状況になったとしたら、夫がいくら献身的に家事などをやってくれたとしても、きっと頭の中でぐるぐる考えて、当たり散らかすに違いない^_^
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Posted by ブクログ
とてもよかった!今まで川上未映子さんってちょっと、というかだいぶ苦手だったんだけど、この本は読み始めてすぐ、一編目がまずとてもよかった。誰にともなくとめどなく呟いているような、滔々と流れていくような一人語りなんだけど、独りよがりでもなくて、読者をちゃんと置いてけぼりにしない、ちょうどいい速度感。あぁ素敵だなぁ、わたしもこういう文章が書けるようになりたいなぁ、と思いながら読んだ。コロナ禍のことって思い出したくないし、それがテーマになってたり作中にキーワードとして出てきたりすると一瞬で萎える。でもこの本はそんな嫌な感じもなく、あの頃に漂っていた閉塞感というか不安感みたいなものが上手に表現されていて、あぁそうだったなぁ、こんな感覚にわたしもなったことあるなぁ、といろいろなシーンで感じた。
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Posted by ブクログ
川上未映子さんの、妊娠〜お子さんが一歳になるまでを描いたエッセイ。
妊娠中に購入して、妊娠週数や月齢に合わせて
読んで行った。そうする事で、「あぁ、苦しんでるの
私だけじゃないんだなぁ…」と思える精神安定にもなったし、なかなか人に会えないから川上さんとお話してるような気分にもなれた。
最後の章、一歳を迎えたお子さんとの日々を振り返っている文章で涙腺が決壊した。
本当に妊娠・出産って『大変』で、しんどくて、
でも嬉しい事もある、かけがえのない出来事だなと思えた作品でした。初めての妊娠・出産だったのでたくさん支えられました。
明日から仕事復帰。頑張るぞ〜! -
Posted by ブクログ
凄まじい物語に出会った。
この本には、私の怒りがあって、希望があって、願いがあった。
途中で本のページを引っ掻いてしまうくらい、感情を揺さぶられた。
女であるからには逃れられないことはいくつかあって、そのひとつに「出産」があると思う。
子どもを産めるのは私たち女だけであり、選択権はこちらにある。それにあたって社会的な構造、世間体、命とは何か、なぜ産むのか、なぜ産まないのかといった、他からの視点が入り込む。
生命は尊い。
だけど、この世に生を受けたがために苦しみ、死にたい思いをする人がいることもまた事実であるということ。
到底語り尽くすことのできない「生命」について、こんなにも生々しくて、言葉のひとつひとつに結晶化したエネルギーがある小説に、私は初めて出会ったかもしれない。
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Posted by ブクログ
すごく奥深い話だった。
女性特有の悩みや葛藤が生々しく描かれている。わたしもアラサーだからなのもあり主人公と似たような悩みを持っていることもあり、共感するところが多かった。こどもをもつこと、もたないこと、結婚すること、しないこと、色んな選択肢があるけど、産まれてきて良かったとすべての人が思える世の中になってほしい。
生きていてほしい。
緑子の思春期特有の悩みや母に対する苛立ちや母を想うきもちにも感ずるものがあったし、彼女の成長にはホッコリさせられた。
情景描写が長くて平和なシーンもあるが、全体的に重いのとショッキングなシーンもあるので読むのを途中でやめてしまおうと思ったときもあったが、学びの多い話でした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ『ヘヴン』を読んで、特に印象に残ったのは、主人公をいじめる側にいる百瀬と、主人公とは別のいじめを受けているコジマが、苦しみや人生について正反対の考え方を持っていることである。
百瀬は、物事には最初から意味があるわけではなく、出来事は「たまたま」の積み重ねによって起こると考えている。人が誰かを傷つけることも、その人の中にある欲望や衝動と、それを実行できる状況が重なった結果だと考える。主人公がいじめられていることについても、主人公の斜視に特別な意味があるわけではなく、いじめる側の欲望や状況が重なった結果だと捉えている。
また、百瀬が「自分がされて嫌なことを人にするな」という考え方に疑問を持っていることについて、私は意外にも共感する部分があった。私はこれまで、この言葉を当然の道徳として受け入れていた。しかし改めて考えると、「自分がされて嫌なことだから、人にはしない」ということが、必ずしも人間の行動を決める理由になるわけではないと思う。
例えば、浮気をされたら嫌なのに、自分は浮気をする人もいる。そういう人に「自分が浮気されたら嫌でしょう。だから浮気をしてはいけない」と言ったとしても、それだけで浮気をやめるとは限らない。すでにその人の中に浮気をしたいという欲求が生まれているからである。自分がされて嫌なことを相手にしないことと、自分がされて嫌だから相手にしないことは、同じではない。
私自身も、「自分がされて嫌なことは人にするな」と幼い頃から道徳として教えられてきたから、自分が他人に嫌なことをしないのだと思っていた。しかし、本当にそうなのかと考えると、少し違うように思う。私は、相手にされるのが嫌だからしないというより、そもそも自分がそのことをしたくないからしないのである。つまり、行動を決めているのは「自分がされた場合の想像」ではなく、自分自身の欲求や価値観なのだと思う。
そう考えると、百瀬の、人間は自分の欲望や都合によって行動するという考え方には、理解できる部分がある。人間には「こうするべきだ」と教えられた道徳があったとしても、それとは別に自分自身の欲求が存在する。そして、実際の行動では、その欲求が道徳よりも優先されることもある。百瀬は、そうした人間の矛盾を特別なものとして扱わず、人間とはそういう存在なのだと考えているのだと思う。
一方で、コジマは、物事にはすべて意味があると考えている。コジマ自身が受けているいじめについても、それを単なる偶然や無意味な苦しみとは考えず、自分が乗り越えるべき試練として捉えている。また、主人公の斜視についても、それによっていじめられているという苦しみだけを見るのではなく、その斜視も主人公を主人公たらしめているものだと考えている。そのため、主人公が手術によって斜視を治そうとすることにも反対している。
私は、物事には意味があるというコジマの考え方にも近いと思う。偶然に見える出来事であっても、そこに至るまでには必ずそれまでの出来事や経験があり、それらを遡っていけば、単純に「たまたま」と片づけることはできないようになっていると考えるからだ。例えば、今日自分がポテトチップスを食べたことも、「今日たまたま食べた」と考えることはできる。しかし、昨日それを買ったこと、その商品が好きだったこと、そもそもなぜその商品を好きになったのかという過去の経験など、さらに前の出来事へと遡ることができる。そう考えると、偶然に見える出来事も、過去から続いている一つのつながりの中で起こっているのではないかと思う。極端に言えば、ビッグバンが起こった時点から、その後の出来事までがすべてつながっているのではないかとさえ考える。
また私は、自分の人生に起きた辛い出来事についても、「何の意味もなかった」とは思いたくない。辛かった経験も、その後の自分の考え方や価値観をつくった一部であり、それを乗り越えその経験ごと自分の人生を愛することに意味があると思う。
ただし、ここではコジマとは大きく異なる。私は、苦しみに意味があるからといって、その苦しみを受け続けるべきだとは思わない。コジマは、自ら弱い立場に身を置き、苦しみに耐え続けることにも意味を見出している。しかし私は、苦しい状況にあるのであれば、その状況が少しでも良くなるように自分から行動するべきだと思う。
私にとって大切なのは、「苦しみに意味があるから耐える」ことではなく、「苦しみに意味を見出すためにそれを乗り越えていく」ことである。その経験によって自分が何を考えたのか、何を学んだのか、そこからどのように変わったのかということまで含めれば、その出来事を自分の人生から切り離して「無意味だった」とする必要もないと思う。
ただ、コジマは主人公が斜視の手術をすることは逃げだと言っている。斜視によって主人公は主人公たらしめているのにそれを取り除くことは苦しみに意味を見出していない、その苦しみを愛せていないと言うのだろうか。私は斜視を取り除くことだけで、斜視だった過去がある限りその人の本質はそう簡単に変わらないと思ってしまう。
百瀬の「すべてはたまたま起こっている」という考え方にも、コジマの「すべてには意味がある」という考え方にも、それぞれ理解できる部分がある。しかし、私はどちらかといえば、出来事には意味を見出したいと思う。それは、何もかもが最初から意味を持っていると信じているからというより、自分に起きた出来事を「無意味だった」と切り捨てるにはあまりに多くのことを乗り越え、その度に自らのことを肯定できるように成長しているからだ。
また、人間の行動については、道徳だけですべてを説明することもできないと思う。「自分がされて嫌なことを人にするな」と教えられていても、人間にはそれとは別に欲求が生まれることがある。そして、その欲求が実際の行動につながることもある。だからこそ、自分が何をしたいのか、なぜそうしたいのかを考えることが重要なのだと思う。
『ヘヴン』を読んで、私は「人間はどう生きるべきなのか」ということだけではなく、「人間は何によって行動するのか」「出来事に意味はあるのか」ということについて考えた。私は、すべてを偶然として片づけるよりも、自分に起きた出来事の中に意味を見つけたい。しかし、その意味を苦しみ続ける理由にはしたくない。苦しみを経験したなら、その経験を自分の人生の一部として引き受けながら、その先へ進んでいきたいと思った。 -
Posted by ブクログ
濃密だけれどどこか危うい七つの短編。
誰の心にもある、言葉にするのが難しい気持ちというものを本当に上手く書いてくれていて。自分の頭に長年積み重なってきた澱のようなものが解かれてほぐされていくような感触だった。それは女性特有の感情だったり、もっと言えば個人そのものの秘めたる想いかもしれないけれど。きっと私が思うように、他の人もこの短編たちを読んだらそう思うんじゃないかなと確信できるような感じ。
甘くて哀しくて優しくて厳しい気持ち。
どのお話も良かったけれど、愛の夢とか、十三月怪談の2つが特に好きでした。
川上未映子の作品がめちゃくちゃ好きな理由が目一杯詰まってる本でした。 -
Posted by ブクログ
これはたぶん、生まれ変わりの物語。ただし直線上で続いていく世界の。
心内文がとにかく分厚い、1部がもう壮絶、鬱屈な逡巡です。比較的短いはずなのにページを容易に進めることができないほど、悩み抜かれた言葉たちが全力で迎えてきた。けど良い。
じゃあ2部は?というと、1部ほどの重量感を感じないのにやっぱり進まない。簡単に進んじゃいけない感じ伝わってきた。ノスタルジーもあるし、やっぱり良いです。
読む体力がない時には絶対に読めない、けど読んでどう感じたかを聞かせてほしい。って感じる作品でした。
新作の広告や誰かの解説も入っておらず、ただ純粋な物語で全652ページの大作です。
初めて線を引きたい衝動に駆られました。
楽しかったです。 -
Posted by ブクログ
これは大好きな本。
富裕層でも貧困層でも一般層でも、その階層でのリアルな生き様が書かれている本は大好物。私の大好きな小説『あのこは貴族』の主人公は華子で、こちらの主人公は花。漢字でもうっすら棲み分けがされているというか。
こちらの小説は都市型貧困について本当にリアルにかかれていて、東京の下町で育った身としてはありありと花の生活が想像出来てしまって、ノンフィクションだと思って読んでいた。クラスに花みたいな子がいたかもしれないし、親が貧困だったら私もそうなっていたかもしれないと真剣に読んでしまった。花は自分に与えられた選択肢がほぼ一つしかなくて、それが正解でも不正解でも一つしかないんだから、それを選んで懸命に生きてきただけ。憎めないし応援してしまう。素晴らしい社会派小説だと思った。
中弛みもなく、2日で読み終えました。
下巻も楽しみ。 -
Posted by ブクログ
川上未映子さんの本、初めて読みました。
妊娠中からお子さんが1歳になるまでの経験を、笑あり涙ありで綴られたエッセイです。
特に産後編がとても参考になりました。メンタルが不安定になるってどんな感じなのか臨場感を持って理解できた気がします。夫にも予習がてら読んでおいてもらいたい。笑
出産って幸せであることは間違い無いけれど、漠然とした不安、辛さ、孤独感、自分が自分じゃなくなる喪失感があるのも事実で。それでも夫婦2人が家族3人になったときの日常の幸せは計り知れないものなんだと学びました。最後の方は幸せの涙を堪えるのに必死でした。川上未映子さんの作品これから読んでみようと思います!