川上未映子のレビュー一覧

  • 黄色い家(下)

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    ネタバレ

    登場人物たちが、その時代を生きた一人の人間として、これでもかと深く深く描かれている。奇妙で掴みどころがなくて心惹かれて、それでいて何か危うさもある黄美子さん。
    少女たちは自分の意思をもった一人の人間であると同時に、未熟な存在でもある。一人の大人として自分もそう思う。だが、花が去った後の黄美子さんのことを思うと、あまりにも切ない気持ちになった。

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    2025年12月05日
  • 黄色い家(下)

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    川上さんの作品の中で一番好き
    親ガチャに外れたのに理由なんてない
    生きてくためには犯罪も仕方ないことなのかもしれない
    その中の小さな幸せが愛おしい

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    2025年12月01日
  • 黄色い家(上)

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    生きるために犯罪に手を染めて、生きようとする少女の半生。最初から危うい感じ満載。ハラハラドキドキ、やべーじゃん!そう思いつつ読む手が止まりません。圧倒的文字量で主人公の少女の揺れ動く感情、機微が押し寄せてくる、押しつぶされそうなくらい。ギリギリで生きてる感じが切なくて、危ういんだけど、それでも生きてかなきゃならない屈折した心理描写が力強く描かれています。さすが川上未映子様

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    2025年11月25日
  • きみは赤ちゃん

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    川上未映子さんの妊娠から子が1歳になるまでのエッセイ。
    産後編の「父とはなにか、男とはなにか」が共感できた。と同時につらかった時期を思い出してしまった。
    「グッバイおっぱい」「夢のようにしあわせな朝、それから、夜」「ありがとう1歳」で号泣。
    お母さんってみんなすごい頑張ってる。

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    2025年11月23日
  • きみは赤ちゃん

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    出産9ヶ月になり、ネットでこの本の存在を知り読みました。今までの共感、これからの不安、色々感じるものがあり、産んでからまた読み直したいと思いました。

    ■出産編
    つわり:読みながら夫が毎日私が食べられるもの買いにスーパーに言ってくれたこと、排水口ふくむ食べ物の臭いが嫌すぎたことを思い出した。あと、まだおなかが大きくない妊婦さんもつらい時期があると体験した。(産む以外にこんなにしんどい時期があるとは思ってなかった!)

    出生前診断:一貫して子どもは親の都合(エゴ)で産んだんだから、という作者の意見が響いた。

    生みたい気持ちは誰のもの?:野田聖子さんのお子さんの話が心に残った。他人がそのことに口

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    2025年11月22日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    本当に大好きな著者さん。川上未映子さんの作品はなんだろう、ずっと宙に浮いてるみたいな、なんだかずっとふわふわしてるような感覚と物語にある不気味さとか悲しさとか美しさがなんとなく掴めないような物語で、その読中の不穏さが充溢した甘美な世界にどうしても浸りたくなる時がある。そんな衝動に駆られることが本当にある。
    この短編集で描かれている「春」は、私たちを取り囲む世界が一変してどうにも出来なかった「コロナ禍の春」のこと。人間の醜い部分ややさしい部分も含めて、何もかもが孤立化してしまって戸惑いながらも生きていた日常が思い出されて少し苦しかった。

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    2025年11月18日
  • 愛の夢とか

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    ネタバレ

    短編集。それぞれに心に響くポイントが異なる作品が並んでいる。

    『いちご畑が永遠につづいてゆくのだから』
    幻想的。文章構成の妙。表題を提示しそのあとに続く文章はまるで連作詞編をよんでいるよう。二人の関係性はいかに。個人的には30代前半の夫婦で子作りに関する話題で大ゲンカ。ブチぎれる妻と黙秘と苛立ちを醸し出す夫の一幕。

    『日曜日はどこへ』
    淡い青春への憧憬。大人になって日々を惰性で貪る感覚が高頻度で襲う私の人生。そうではないパラレルワールドを夢見みながら日常の平凡さに押しつぶされそう。

    『三月の毛糸』
    ファンタジーなラスト。テーマはわかり味が一番強い。
    凄惨な世界に取り囲まれている生活の危う

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    2025年11月17日
  • 夏物語

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    この本を読み始めたとき、『乳と卵』の作り直しかと思った。夏の、延々と続いている不快感のような暑さの中で繰り広げられる1人の女性の物語。乳と卵と重なるパートでは、主人公の女性よりも姪っ子の視点に立って読んでしまう。生まれてくる意味とは?人が自分で望んでこの世に存在するわけではない、という事実。生きる辛さや成長する際に突き当たる壁。考えさせられることが多い。
    後半はどちらかというと親の視点。子供自身との関係性や、産んだ経緯が色々な人々。子育てと虐待。

    様々な登場人物の喜怒哀楽の気持ち、思考回路、批判。人が生きる上で、自分が他者に与える影響をわかっているつもりでもわかっていないことがほとんどだ。自

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    2025年11月16日
  • きみは赤ちゃん

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    妊娠、出産、育児、川上さんが体験した子供を産むことと育てることの大変さ、尊さ、愛おしさが詰まった1冊。大変なことも沢山あるし、一生悩みが消えないのが子育てと言うけど、それ以上の幸せも沢山あるんだよなぁ、と感じられる本。全てのお母さん、本当に立派です。

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    2025年11月13日
  • きみは赤ちゃん

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    おそらく産後の今でなければ目にも留まらなかった、けれど実際は絶賛産後子育て中なのでつい手に取り、買って、読んでしまい、そして今出逢えて、読めてよかったと思う。

    わたしは日頃から自分の感情を言語化するのは得意な方だけれど、育児中という、感情をぶつける相手が(言葉の通じない赤ちゃんのほかは)夫しかいないという閉塞的な特異環境のなかで、ついつい飲み込んできた、日々飲み込み続けているあれやこれやの鬱屈した気持ちとか憤りとかを、文字という目に見えるかたちで、言葉で、こうして表してくれていることに安心した。わたしの飲み込んできたこの気持ちはある種普遍的なもので、その意味では間違っていなかったし、きっとな

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    2025年11月08日
  • 夏物語

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    子どもを産むその行為は理屈では表せない。
    価値観や倫理観がそれぞれ異なる中で、導く答えは誰にも否定されてはならないものだと感じた。
    主人公が傷つきながらも出した答えはある人から見れば否定されるような一般的ではないのかもしれないが、それでいいしそれがいいんだと思う。
    みんなちがってみんなよい。

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    2025年11月08日
  • きみは赤ちゃん

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    体験した妊娠〜に関わることを振り返って言語化してくださっている一冊。
    私自身が妊娠期に感じていた喜怒哀楽以外も含めた感情を、これでもか!というぐらい言語化されて、読んでいて恥ずかしくなることもあるくらい。

    まだ自分が経験していないフェーズの話もあり、のめり込んで読むことができました。
    きっと経験する前もした後で読んでも全く違う感じ方、感想になるんだろうなぁ。

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    2025年11月07日
  • ピーターラビットのおはなし

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    マグレガーさんが育ててる野菜は、ピーターが食べるとおなかをこわしてしまったが、いったいどんな野菜だったのだろうと思った。

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    2025年10月31日
  • きみは赤ちゃん

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    数年後の自分の未来の話かもしれないと思い勉強姿勢で読みました
    とてもとても心が動いてちょっとうるっとしながら、人が人を産んで育てる命懸けの日々をちゃんと残そうとしてくださったことがとても有難く思いました

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    2025年10月28日
  • きみは赤ちゃん

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    おそらくこの本を読むことでダメージを喰らう人もいると思うので、読む人は選ぶと思うが、刺さる人には刺さる本。
    子供を持つという選択や育児はセンシティブなトピックである分、赤裸々な体験を聞く機会もなかなかないので、新鮮だった。
    また、何より文章が上手いので気合を入れずに読めるところも良かった。

    また20年後くらいに読み返して、自分がどういう風に感じるか確かめてみたい作品。

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    2025年10月24日
  • 夏物語

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    長かった〜、でも惹きつけられた〜
    心象風景とか、感情の推移とか、複雑に入り組んだモノを丁寧に細かく描写するとこのくらいのボリュームになるんでしょうね。主人公とは何ひとつ共通する部分がないので共感はなかったけど、理解はできたのはこの丁寧な表現なんだろうな。書いてるうちによくわかんなくなっちゃったけど、とにかく出会えてよかった、読んでよかった一冊でした!

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    2025年10月23日
  • きみは赤ちゃん

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    男女問わず楽しめる妊娠〜出産〜育児エッセイ。
    女性にとっては共感できるポイントがたくさんあり、男性にとっては妊娠中からのモヤモヤや不安などがうまく言語化されている。

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    2025年10月23日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    心の些細な変化をこんなにも美しく丁寧に綴ることができるのかと感動した

    恋をしている瞬間に映る情景は本当に綺麗なんだと改めて思ったし、自分が過去に体験してきた失恋の思い出も肯定することができた気がした

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    2025年10月23日
  • きみは赤ちゃん

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    ネタバレ

    p347 すべての赤ん坊の目は、このように空を映していたときがあった、、
    言うまでもなく、空を目に映さないままであった赤ちゃんがいて、、、
    生の一回性、、
    色々とご意見が届いたのだろうなと想像されるこの一部分でもって、このような、出産というプライベートな出来事を出来るだけ鮮明にいいことも大変なことも誰もが読めるかたちで表現することのとんでもない重みを感じた。
    表現者のもつ圧倒的な力とそれを使う事の重圧を感じている。
    ただ、かきたいものをかいてるんじゃないんだなあという浅はかなる気付きでした。
    いつか私も赤ちゃんていう存在に会えたらと思える本

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    2025年10月19日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    ネタバレ

    光について
    本人でさえ自覚がないまま、ぼんやりと暗いところにずっといた入江冬子を、照らして、冬子は選択をできるようになって、そして、どこかへ吸収されてしまった冬子の光、三束さん

    私生活は荒れども美人で仕事熱心でマッチョメンタルな聖は色々周りに言われていて割かし外れてもいないのだけど、それでも嫌いになれない弱さを持っている

    冬子が三束へ電話越しに、私と寝たいと思ったことがあるか聞いて、はい と言われたシーンは、自分までが冬子になったように気持ちがいっぱいになってしまった 三束さんはどんな気持ちでその返事をしたのだろう

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    2025年10月14日