あらすじ
「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった――。芥川賞作家が描く究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。渾身の長編小説。
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Posted by ブクログ
スローテンポな会話や繊細な語りが心地よい。冬子の生き方や聖の言葉に(全てではないが)共感して、だからこそ二人が口論するシーンは胸と耳が痛かった。著者の作品を初めて読んだが、個人的に好みでとても良かった。
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タイトルに惹かれて。
人と関わることに消極的で思ったことを言葉にするのが苦手な冬子。孤独に苛まれるなかで三束さんに出会い、知らぬ間に想いが募り、自分の恋心に気いていく。
不器用だし、見ていられないような部分も多い。共感できる、という主人公ではない。
ただ、三束さんの傘に入れてもらう場面、自分の気持ちに気付く瞬間やそれを彼に伝えるシーンなど、色々な素敵な場面が、冬子にぴったりな繊細な表現で描かれていて胸がいっぱいになった。
人を好きになる気持ちってやっぱりいいなと思うし、その気持ちが人を動かす力にも驚かされる。
川上さんの言葉選びがとにかく素敵で、優しくてゆっくり紡がれる文章が心地よかった。静かな夜にまた読みたくなると思う。
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めっちゃよかった。川上未映子の良いところがめちゃくちゃに詰まった作品であった。恋愛小説というより、一人(もしくは周辺)の人間をすこぶる丁寧に描いた作品、という印象を受けた。そういうのめっちゃ好きィ…
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冒頭から引き込まれました。
「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。
どこか詩的で、幻想的な雰囲気を纏った文章は
中々描けないと思います。
川上さんの作品に共通して言えるのが、言葉の
一つ一つが詩のような表現で、読んでて気持ちいい余韻に浸れるところで、もちろん物語も素晴らしいのですが、引き込まれる文章が描けるというのが小説家の醍醐味だと感じました。
冬子と三束さんのぎこちない関係がどう変わるのか、冬子の葛藤が読んでて胸を突く場面もあるが、読み終わって最高の恋愛小説だと実感しました。
Posted by ブクログ
三束さんが冬子に恋愛感情を持っていたかはわからないけど、二人の空間が心地良かったのは確かだと思う。嘘をついていたのは仕事のことだけなのか、それとももっと大きな何かだったのか。その”見えない部分”も含めて、この作品は最後まで答えを明かさない。そういう意味でも『すべて真夜中の恋人たち』というタイトルなのかなと思った。
三束さんに出会ったおかげで光や色の見え方を知って、冬子は人を見る目も少し変わったんじゃないかな。
私も、その人が一番輝ける光の当て方で接することができる人になりたいと思った。
Posted by ブクログ
なんとなく、自分は触れることのない作家だと思っていた。のだけど、なぜか手に取ってしまった。タイトルのせいかな。
何か特別なことが起こるわけでもなく、流れていく物語。なのに、読み進めるのが怖い、心がざらつく。でも、読み進めてしまう。
他人にとっては消えてしまってもわからないような、弱い光。自分である以上、消えてくれない光。主人公の弱い光には、徐々に色がついていく。最後まで読んで、最後まで読んでよかったと。
自分の光は弱いまま、それはそれでよいかな、と思えた。
好きな芸能人のお勧めの本だったか、何かのきっかけで購入して積んでた本を長期休暇に読んだ。
純文学を普段読まないこともあり、ずっとモヤモヤしたようなもどかしい気持ちだった。
同じ年齢のまったく反対の友人への憧れと嫉妬とか、自分の気持ちを伝えず行動に移さない他人への苛立ちとか、共感できる感覚はいくつもあった。
Posted by ブクログ
自分の好きな流れるようにスラスラ読めるタイプの小説でした。リズム感のようなものが心地よさを与えてくれる文章が好きなのでとてもよかったです。
他の方の考察も読んだのですが、冬子と三束さんと恋愛がベースでありながらも、最終的には冬子が人間として自立していくまでの成長を描いた物語であることがわかります。自分で選択することを避けてきた冬子が三束さんとの恋愛、そして聖との関係性を経て最後には「すべて真夜中の恋人たち」という言葉を自分で生み出すという流れら素晴らしかったと思います。
また三束さんと結ばれずに終わるというのもよかったです。冬子が酒を飲んで酔った状態でしか三束さんと相対することができなかったように三束さんも自身が物理教師であると偽っていた、という互いに自信を隠していた状態では関係は成立しませんでした。しかし本音でぶつかることを選択した冬子と聖の関係は長く続くという対比がメッセージ性を含んでいてよかったです。
それに水野くんや典子など、主要でない人物の生々しい心理描写もよかったです。
個人的に一番面白かったのは恭子さんと再開するくだりです。昔お世話になった恭子さんが聖に対する評判や苛立ちを冬子に話し、だんだんとヒートアップしてゆき聖の悪口大会(恭子さんが一方的に話しているだけ)のようになってしまいますが、最後に冬子に渡した香水が、聖が冬子に渡したものと同じだったところが素晴らしかったです。考えは人それぞれであり、他人をエゴで評価するという点で恭子さんも聖も変わらないというアイロニー表現でした。
「真夜中」や「光」というテーマから感じられる静かな雰囲気や様々な人間の心情描写も素敵でした。とても面白かったです。
内気な人の恋
他のサイトのレビューを読んでいると、
主人公に感情移入出来なくてイライラした、
というのが結構あったが、
それは読者が外向的な性格だからだろう。
内向的で人付き合いが苦手な人なら
必ず共感出来る作品。
Posted by ブクログ
「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」から始まる綺麗な恋愛小説。
真夜中の雨でぼやけた光みたいな繊細な瞬きがよく似合う不器用で素朴な主人公冬子34歳の生き方が愛おしい。
いちいち人と話したり出かけるたびに、酒かちこむアル中具合も人間らしい脆さがみえる。
周りの女友達たちはみんなフレネミー要素があったり、劣等感を感じさせる真反対の人ばかりで、冬子はきっと毎日心が疲れるだろうなぁって何度も読んでて苦しくなった。
でも、冬子みたいな女がむかつく聖の気持ちも少しわかるので、2人の女同士の言い合いは共感と反省で胸が少し抉られた。
意見をはっきりという人=きつい・我が強い・自己中心的と思われがちだけど
自分の本心を出さないずるい人の代わりに悪者になってあげてるのにって思うことある。
主体性のない人間に、思った事はハッキリ言えばいいのに、って思ってしまう事がある。
でも人には人の性格があって、感じ方があって、ペースがあって、だから何かを押し付けるのって違うよねって反省できた。
それにしても、川上未映子は「乳と卵」だけ読んで女版村上春樹のような印象を受けてたんだけど
この作品は全然印象が違かったな。
Posted by ブクログ
仕事だけで、毎日が淡々と過ぎていってしまう、独身女性の物語。
人がたくさんいる場所が苦手で、話をすることも苦手。
そんな女性の恋物語。
世の中きっとそういう人だらけだと思う。
だからこそ共感を呼ぶのだろう。
自由を手に入れたら、その分何かを失うし、それでも、自由でいたい人はいればいいし、安全な現代社会で、少し不自由だけれど淡々と生きるのもいい。
それは自分で選ぶしかない。
私は、多分、不自由な安定をこのまま生きるだろう。
それでも、この主人公のように、恋ではなくても、素敵な自分の物語を紡いでいけるはずだ。
Posted by ブクログ
校閲を生業とし、人と関わらず、面倒なことから逃げ、流されるままに生きてきた冬子。周りの人から「君を見てるとイライラする」と言われてしまう。初めて自分の意思で、想いを伝える。心が動いて、好きという気持ちを実感して…三束さんはついていた嘘は職業だけではなかったんじゃないかな。冬子の純粋な愛に応えられない、もう会わないという選択になったのかもと思った
Posted by ブクログ
暗く、静止した物語。しかし欠片ほどの光が美しい文体で描かれている。
物語に通底する主人公の「弱さ」は、程度の差こそあれ自分にも共通するものであるが故、読み進めることに辛さ生じる箇所も多々あった。
ただ、ストーリーテリングそのものよりも、美しい文体と精緻な心象描写により作品に納得感を与える筆者の手腕に圧倒されながらあっという間に読み終えた。
Posted by ブクログ
優しくてドロドロしていて冷たくて心地よい本
明るさはないけれど真っ黒じゃなくて紺っぽいイメージ
今このタイミングで読めてよかったと思う
刺さる文がいくつも
Posted by ブクログ
みな孤独を抱えていて、それを受け入れられなかったり、受け入れたり、正当化したりして生きていて、それでもやっぱり人と繋がりたい気持ちがあって、どこかに光を求めていて。
自分は全く冬子ほど閉じた人間でないと思いながらも、読むうちに共感して、ヘブンに続いてこの方独特の繊細な表現に心が揺さぶられてしまった
Posted by ブクログ
川上未映子さんのきれいな水みたいな文章を浴びまくれる1冊。
物語よりもむしろ文章の魅力に虜になる。とくに冬子と三束さんの会話文が本当に良くて、別にそんな幻想的な世界を描いているわけでもないのにうっとり。
夜に外をあてもなく歩きたくなる。
Posted by ブクログ
30代後半の主人公の女性が、年上の「先生」と出会って惹かれていく。
主題が『センセイの鞄』に似ていて、ついつい比べながら読んでしまった。『~鞄』では二人の逢瀬は居酒屋だったが、本作では喫茶店である。というと、本作の方が健全なように聞こえるが、そうでもない。なにしろ本作の「わたし」こと冬子さんは喫茶店には必ずお飲を飲んでから行くのだから。
また、本作は恋愛以外にも、校正の仕事や、女友達とのやりとりについても描かれていて、冬子さんの少し危うくなっていく生活の様子がよりリアルに感じられた。
Posted by ブクログ
こんなにも繊細であなたのことが好きなのにもう会えない。ただあなたのCDなどの欠片を集めて生活していく。切ないなあと思いました。あなたのすべてが好きすべてを捧げられると思っても住所すらも知らなかった。でも職業も肩書きも関係なくて好きだった。もう会えないけれどあなたの影響を受けて一緒にいたという過去は残して、タイトルを書いて希望を残していくのが良かった。
Posted by ブクログ
すごく丁寧に書かれているような気がして、長い物語ではないんだけど、読み応えがある。
というか、しっかり感動できた。
じんわりと、良い話だなぁ・・・と
Posted by ブクログ
正直、主人公の冬子に共感はできない。どちらかというと聖に近い感覚を持っているので、共感して涙するみたいなことはなかった。
ただ、冬子の心が三束さんと関わる中で本当にゆっくりゆっくりと変化していく様が丁寧にえがかれていて、だからこそ簡単には共感できないという感覚になったのかなとも思う。
Posted by ブクログ
じわじわと嫌な感じになる 過去の性被害的記憶の描写が人によっては注意したくなるリアルさ。入江と聖の友情はなんだかいい 2人もいいとこもダメなとこも徹底して描写している 三束さんが悲しくて唯一いいキャラ。
Posted by ブクログ
人を好きになるということについて、考えさせられた。
主人公の冬子は募る想いを伝えるのが得意ではないけれど、三束さんと一緒に話したときの時間やもらった本、共有した話題を何度も思い返している様子が恋をしている時そのもので、純粋に人を好きになるってこういうことだなと感じた。
最後、2人はハッピーエンドとはならないけれど、甘酸っぱさが残り、これも恋愛の形だなと想う。
Posted by ブクログ
37歳のアル中の喪女が58歳の男に恋をする話
2026年秋映画化。どん底の女を最高級の文章で綴る本。さすがは川上さん、情景と感情がリアルに思い浮かぶ繊細で緻密な文章だった。閉塞と光が印象的。フランス映画のようなゆったりした時間の美しさがある
再読。岸井ゆきの×浅野忠信で映画化。読後カンヌっぽいと思ったが、始めからカンヌ映画の原作と思い読んだ方が心に響きそう。まのびが余韻の肝
Posted by ブクログ
初読み作家さん。
全体的に静かで、繊細で、淡々とした展開
でも、飽きずに読めたのは
文章がとても美しいからだろうな と思った。
主人公冬子、孤独で人とのコミュニケーションが
うまく取れない人物。
年上の男性教師 三束さんと出会い
静かに不器用に交流していく
2人の繊細な距離感は素敵、なんだけど······
冬子は一歩踏み出すのにお酒を飲む。
それも、酔うほどにかなり飲む…
お酒が苦手な私にとっては
え? 臭くないの?
待ち合わせした相手がいつもお酒の匂いがするってどうなの〜?三束さん!
と余計な事を考えた。
後半の、
冬子と三束さんがどうなっていくのかは、
読み応えあったし、
冬子とは真逆で、シャキシャキと器用に生きている友人の聖との関係はリアルな女子たちを描いていて
面白かった。
カンヌ国際映画祭に出品されている作品で
どんな感じで映像化されているのか気になるところ
Posted by ブクログ
不器用な人の不器用な生き様、
恋愛にはまっていく様子が
心に刺さる言葉で伝えられていた物語
正直、主人公と自分を重ねるということは
できないキャラクターだったけれど
それでも、その苦しさや、弱さは
どうにかしてあげたいと思うほど
ひしひしと伝わってきました
川上さんは本当に
こみあげてくる思いや
とめどなく溢れ出てくる感情を
表現するのが上手で
心を揺さぶられるシーンがたくさんありました