あらすじ
「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった――。芥川賞作家が描く究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。渾身の長編小説。
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Posted by ブクログ
いや〜、めっっっちゃ良かった。2時間弱で一気読みしちゃった。この特になにか起こるわけでもなく、淡々と物語が進んでいく感じ、良い。エッセイもだったけど、本当に文章が綺麗で読みやすい。これこそ文体が好みなのかもしれない。それかこの本が読みやすいから?冬子には幸せになってもらいたいわ。三束さんとのやりとりに静謐さがあって良かった。
Posted by ブクログ
冬子の真っ直ぐな気持ちがあまりにも痛々しくて切なくて泣いてしまった。
聖、恭子など周りのキャラが意地悪でなんだか腹が立った。聖が冬子のデート終わりにかけた言葉が最悪すぎるて。
ガラケー、喫茶店での時間などなんだか懐かしい雰囲気が素敵。
人肌恋しいこの時期にこそ読むべき小説。空気が透き通って薄い冬の寂しさを感じさせてくれる。
内気な人の恋
他のサイトのレビューを読んでいると、
主人公に感情移入出来なくてイライラした、
というのが結構あったが、
それは読者が外向的な性格だからだろう。
内向的で人付き合いが苦手な人なら
必ず共感出来る作品。
Posted by ブクログ
切ないけれど、いい終わりだと思った。
恋愛小説ではあるんだけど、確かにそれがメインなのだと思うのだけど、私は友だちの物語としてとても良いと、とても好きだと思った。
読んでる間は少し苦しく感じていて、「感想は捻り出して書くことになるかも」と思ったりもしてた。
けど、大きな展開を経た最後、その印象がガラッと変わって、感じていた苦しさが嘘のように、スッキリした気持ち良さを感じた。
スッキリといっても色々あると思うんだけど、ひどい風邪でだるかった体が、熱がひいて体がスッキリしたときみたいなスッキリ。
不器用な主人公が少しずつ周囲の人間から影響を受けて、自分を変えたくなって、でもやり方が本当に不器用で、苦しくなる。
でも、だからこそ最後のシーンが尊いと思った。
Posted by ブクログ
表現がとても綺麗で、読み進めやすかった。
あれだけ悩んで考えていた事も、周りの人間関係も、完全では無いけど元通りの生活に戻っていくことで薄れていくのがリアルだった。
また、女性向けの実用書のコーナーのシーンで、昔自身も違和感を覚えたことを思い出した。私の人生は恋愛だけじゃないはずなのに、恋愛に支配されてる感覚がしたあの時、自分が何を考えていたのか思い出したい。
Posted by ブクログ
それなりの歳を重ねた男女の恋愛。
光の行方について話している時、やっとこの物語の意図的なものに気付いた気がしました。
枕元の光が窓から宇宙空間にすり抜ける
輝いているどんな光もいつか宇宙に吸収されて目には止まらなくなるけど、どこかで生き続けてる気がします。そうであってほしいですね。
Posted by ブクログ
大人の恋なのに、初心な感情があって、相手への強烈な思いや、臆病から来る恐怖が、こちらにも伝染してくる。
どんな真夜中も、どんな大恋愛も、風化する。
Posted by ブクログ
2026.10
黄色い家が衝撃だったので
他の作品も読みたくて
前から気になっていた本
本屋で最初の一文を読んでこれだ、と思った
通勤途中にちびちび読み
最後は週末に一気に読んだ
脳内再生されて勝手に映画になるのすごい
川上未映子さんの登場人物の会話は
私の心をぐさぐさ突き刺してくるので
かなりずしんとくる
人間を感じる
職場のアル中の人のことを考えながら読んでいた
===
P5 夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。
それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしはこの真夜中を歩きながら思いだしている。
P161 「そんなのっていつか仕事で読んだり触れたりした文章の引用じゃないのかって思えるの。何かにたいして感情が動いたような気がしても、それってほんとうに自分が思っていることなのかどうかが、自分でもよくわからないのよ。〜とにかく他人のものを引用しているような気持ちになるの」
P183 「…家族も家も、親も、学校も、この町もさ、何ひとつ僕が選んだものじゃないんだよ。〜みんなそろいのお面でもつけてるみたいにぼうっとした顔してさ。ぞっとするんだよ。退屈と停滞を、平和とか安心なんかと取り違えてるんだよ。」
P261 ひとりきりなんだと、わたしは思った。もうずいぶん長いあいだ、わたしはいつもひとりきりだったのだから、これ以上はひとりきりになんてなれないことを知っているつもりでいたのに、わたしはそこで、ほんとうにひとりきりだった。
P291 わたしは自分の意思で何かを選んで、それを実現させたことがあっただろうか。何もなかった。だからわたしはいまこうして、ひとりで、ここにいるのだ。〜いまみたいに自分に言い訳をして、自分がこれまでの人生で何もやってこなかったことを、いつだってみないようにして、ごまかしてきたのだった。傷つくのがこわくて、何もしてこなかったことを。失敗するのがこわくて、傷つくのがこわくて、わたしは何も選んでこなかったし、何もしてこなかったのだ。
P341 わたしのことなんて何も知らないくせにっていうかもしれないけど、それはそうかもしれないけれど、でもわたしはあなたを友達だと思ってるの、と涙と鼻水がいっぱいに広がった顔を歪ませて声にならないような声で言った。わたしは肯いた。あなたのことをもっと知りたいと聖は言った。
P345 「色々あるけど、こっちの世界もまあ悪くないわよ。はやく生まれてこい」
Posted by ブクログ
みんなが必ず心のどこかに感じている誰かといたいという気持ち、けれども人と関わることの難しさや大変さ、そんなものを感じさせる作品。
話に起伏はなく、淡々と過ぎていく冬子の日常に気づいたらのめり込んでいてスルスルと読み進めてしまう。
物語の終わりはどこかすっきりしないが多くの人にとってそうであるように物事にしっかりとしたオチはつかない。
だからこそ自分の他人との関わり方や今までを振り返りたい気持ちになる。
Posted by ブクログ
はじめての川上未映子さん。
内容は苦しくて心がぎゅっと掴まれる感じだったけど、言葉選びや文章が美してくて読んでいて心地よかった。人と関わるのもしんどいけれど、誰とも関わらない空気のような存在であることも寂しい、人と関われたとしてもどこか孤独だったりうまく表現できない、そんな人間の生きづらさを感じる本だった。
Posted by ブクログ
冬子の恋の仕方が切なすぎた。
初めて好きになった人、本気で好きになった人。まだ片思い中だとしたらなかなか言いたい事も言えないのはわかる。冬子の性格上だと尚更。
驚いた発言もあったり、間にイラっとする事や、ん?って思う部分があったけど、少しだけ自分と重なる部分があって思わず一気読みしてしまった。
Posted by ブクログ
聖は目の端をかく癖があって、三束さんは瞼に傷があって、目に関する共通した特徴が面白いなと思った。冬子に「目をかけている」ということなのかななんて思いつつ、冬子もまた三束さんと最後に会った日、目に「跡」をつけているのはそれだけ三束さんを思っていたということなのか。
冬子を「モノ」のように見る水野くんや典子のような存在がいたりもして、人の視線がすごくテーマになってる作品だなと思った。
恋をして傷ついて、時々思い出しながら時々泣いて、ゆっくり忘れていく失恋の痛みを冬子と一緒に思い出して切なくなった。三束さんが嘘をついていたとしても、それを向き合って冬子に伝えれば冬子は受け入れたんじゃないかと思う。三束さんもまた冬子にどう見られるかに臆病になっていたんだなと思う。
Posted by ブクログ
すべて真夜中の恋人たち
仕事、人間関係、恋愛。自分とはなんなのか、自分の殻に閉じこもってるように見えるけれど、そんなことすらも自らでは分からない冬子。ただ真夜中の光を求めていたことは確か。そんな冬子にとって三束こそが光だった。三束という存在が冬子の中に長い時間をかけて吸収される。
暗闇が広がる真夜中こそ、より強烈な光を感じられる。
Posted by ブクログ
34歳女性、入江冬子。
会社を辞めてフリーの校正者で一人頑張っている。前の会社でのこととか、フリーになってからの生活などを背景に、年配の男性、三束さんとの出会いという出来事を中心としてストーリーが進む。
光りの物理学的な原理のお話が出てきて、
なんだか考えるけどそうかんたんには理解できそうになく、
同じ人間でも様々な側面があるだろうし、
関係の仕方で異なる人間に映るだろうし、
見えているものと実際はどこまで乖離しているのかは誰にもわからないだろうけれども、
自分という限界の中で生きているんだなーと思う。
‥
最後まで読んで、また最初のページに戻ってみる。
_昼間のおおきな光が去って、残された半分がありったけのちからで光ってみせるから、真夜中の光はとくべつなんですよ。
Posted by ブクログ
はじめはお酒を飲んで人に会いに行く冬子の行動に少し引いた目で読んでいましたが、読み進めるうちに彼女の臆病さを理解すると、彼女なりの勇気の出し方なのかなと思いながら読み進めることができました。
周囲の人達が感情を揺れ動かしたり、見た目や環境がかわったりしている中で、冬子だけが何も変わらないまま、変えないまま34年間生きてきた。そして冬子なりにお酒を飲んでみたり、講義を受けてみようとしたり、なにかを変えてみなくちゃいけないと思った焦りのような感情は、私もふと感じることがあるので少し共感しました。
34歳と58歳、25も離れた2人の穏やかな時間は恋の駆け引きとか、恋人になりたいとか、そういった刺激やゴールを求めるものじゃなくて、ただ同じ時間を過ごすだけの心地よい空間で、冬子が動かなければずっと続く時間だったと思います。でも冬子が恋を知り、初めてのおしゃれをし、いつもと違う場所で誕生日を祝い、告白をした。恋を自覚し伝えたことで、始まることなく終わってしまった儚い関係だったけれど、今まで自分で選択することなく、ただ日々を過ごしていた冬子にとってこの出来事は人生に小さな光を与えてくれた気がします。三束さんも冬子に好意はあったとしても、いざ恋愛の関係性になってしまうと自分のついていた嘘や年齢などを考えて、まだ若い冬子から静かに身を引くという選択をしたのも納得のいく結末でした。
Posted by ブクログ
何故なのか分からないけれども、心の深いところに沁み入る様な物語でした。ぼんやりと生きている冬子に共感出来るところもありつつも、共感出来ないところもあり、等身大の女性の心情が細やかに描かれている印象を受けました。何に対しても受け身に生きていた冬子の人生の中で、三束さんと過ごした時間は、初めて彼女が主体的に行動出来た時間だったのだろうと思います。真夜中の様にしん…とした空気感を感じる、しんみりとした読後感でした。
Posted by ブクログ
繊細でいて生々しい、美しさと醜さを綺麗に納めたような小説だった。
全体的に冗長なのが主人公そのものを表しているようで、時折目を背けたくなった。
Posted by ブクログ
大学時代に教養科目の近代文学の講義で、同著者の『乳と卵』を選んで期末試験に解答した。そこから、同じ講義を受けていた友人がこの本を読んで、おすすめされたんだかどうだったかは覚えていないけれど、その時に僕も一回読んだ。
話題になっていたので、ふと思い出して、本棚から引っ張り出して読んだ。枕元で読んでいたら、3ヶ月もかかってしまった。
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わたしは自分の意思で何かを選んで、それを実現させたことがあっただろうか。何もなかった。だからわたしはいまこうして、ひとりで、ここにいるのだ。
(中略)
目のまえのことをただ言われるままにこなしているだけのことで何かをしているつもりになって、そんなふうに、いまみたいに自分に言い訳をして、自分がこれまでの人生で何もやってこなかったことを、いつだってみないようにして、ごまかしてきたのだった。傷つくのがこわくて、何もしてこなかったことを。失敗するのがこわくて、傷つくのがこわくて、わたしは何も選んでこなかったし、何もしてこなかったのだ。
Posted by ブクログ
初の川上さんの作品。
言葉とか、全体の雰囲気は文学的って感じた。お堅めな文学賞とかで好かれる系統と言ったらいいのかな。
大きな進展のない話だけど読みやすかったのは川上さんの力なんだろうな。
ただ個人的に主人公のことを好きになれなかった。
冬子は自分には自分がないと思っているんだろうけど、考えることを放棄しているだけというか、苦手って決めつけて自分からは動こうとしない。何をするにも緊張するのはまだわかるけど、それをお酒に頼ってなんとかするのは人としてどうなのかと思ってしまう、、。
よっぽど聖のほうが人間味があって好き。
まさに「自称サバサバ系女子」って感じだけど、人からどう思われるかよりも、自分がどう思っているかをはっきり言ってくれて、見ていて気持ちがいい。
ちょっとこねくり回しすぎな気もするけど笑
Posted by ブクログ
言葉のひとつひとつがきれいでうっとりしてしまうような文章ばかり。装丁も好き。
人と話すことが苦手で、自信の持てない冬子、殻に閉じこもってしまって、どんどん鬱々としていくシーンは読んでいて苦しかったけど、誰しもこういう繊細さや脆さを持ち合わせていると思う。
でも、そんな冬子だからこそ、三束さんとのひとつひとつの対話が、本当に大切で、光みたいに感じられたんだろうな。
学生のころに一度読んだことがあって、その時は冬子にすごく共感できた記憶があるんだけど、今回はもう少しこうすればいいのに!ってもどかしさを感じるシーンも多かった。
再読して自分の価値観が変わっていることに気づけるのも読書の醍醐味だなと思った。
Posted by ブクログ
映画化決定とのことで読みました。
主人公の入江冬子は、人付き合いが苦手で勤めていた会社を辞め、フリーランスの校閲者に。
日々の生活は、自宅で仕事をし、どこへ出かけることもない、いわゆる陰キャ。
仕事をふってくれる大手出版社社員の石川聖との関わりから少しずつ冬子の心境の変化が生じていく物語。
読んだ最初の印象は、人はみんな不器用なんだなってことです。
それは恋愛においても、仕事においても、生活すべてにおいてです。
もっと素直になればいいのに。
プライド、慢心、自己否定、引っ込み思案などその他いろんな感情が自分自身を苦しめる。
まさに恋愛の心境が描かれているものだなぁと感じました。
三束さんとの会話のテンポ感が(会話が続く時のリズム良い相槌や合間合間に生じる沈黙など)うまく表現されていると思いました。
川上さんの文章は、あえてひらがなを使ったり、句点をあまり使わずに一文を長くするなど、少し独特なところがあります。
そういう文章も作品に一風変わった持ち味を出しているのでしょう。
(好みが分かれると思いました。)
Posted by ブクログ
きっかけ
みきちゃんが貸してくれて
「大人の恋の話が読みたくて」
「でも途中で止まっちゃってます」
って
不器用に生きる校閲の仕事をしている冬子と、物理教師の三束さんの話
感想
作中に
絵に描いたような公演の網のゴミ箱
とか
停めてある自転車のカゴに誰かが
空き缶を投げ入れていく
描写があるけど それが まるで
誰かに呼び出されて言いたいことを
一方的に言われ続ける冬子と 被った
聖(ヒジリ)とか高校の同級生とか
以前の職場の先輩とか
文章は 一文がやたら長くて
冬子の頭の中がこんがらがってて
こーゆーの嫌いじゃない
アタシ、読むの大好きだけど
校閲って仕事は作中に引き込まれては
ダメなんだね 無理だな!と思った
個人的に
自分 目を患って読むのがしんどいと
思っているけど
手元に本があるとやっぱ
一気読みしちゃう ┐(´д`)┌
Posted by ブクログ
ものすごく良かった。
光をひとつテーマとする上で、冬子にしか見えない景色の美しさが見事に文章化されている。ほんとうに美しい文章に浸り続ける体験ができた。
感覚を描くのがうますぎる。全身の刺激が、自分の体に感じられるように読める。
でも、どうしてもこの物語を手放しに礼賛する気にはなれない。
悲恋がもたらすカタルシスによって物語が矮小化されているような気がどうしてもしてしまうのだが、これはぼくが若すぎるのか。青すぎるのか。
最後の方で、聖が悪者として描かれてすぎているように感じたのも正直すこしいやだった。登場人物がみな、嫌に描かれすぎている気がする。まあ、完全に悪者には描かれてはいないのだが。
最後については、ぼくはそこまで感動しなかった。この言葉(すべて真夜中の恋人たち)って、すこし客体的というか、当の本人が発する言葉にはぼくにはどうしても感じられない。時間が経って振り返っているからなのかもしれないけれど。
総じてめちゃめちゃ好きな小説ではある。
199 そのときは意識していなかったはずのものが、存在していないように思えたものが、記憶に残っていると思いもしなかったものがまるで無音のまま高速で成長を遂げる花の種のようにみるみるうちに育ちはじめて、夜は、わたしの目と耳と胸を、いっぱいにした。
Posted by ブクログ
一人の女性が自分を見つける物語だった。
仕事、恋愛、人間関係、色々な環境の中で自分の外殻に触れて形作っていくような
人は良くも悪くも外の世界と関わることで、自己を確立させる。主人公も三束さんやその他の人と関わることで初めて自分の想いに気づくことができたのかな
吸収されず反射したものが色として届く。想いとして発したものが相手に届き、自分になる?
この物語において光、色が差すものが何か、いろんな人の意見を聞いてみたい
Posted by ブクログ
言葉や描写が繊細で美しい。よってよりリアルな日々を描いている。
「あなたが自分の本当の気持ちを吹き受けて、自分で行動を起こしてそれで断られて玉砕してそんなドロドロの顔して帰ってきたって言うなら、私すごいと思うわよ。すごく頑張ったと思うもの。でも結局傷つくのが怖いのか何なのか知らないけど、安全なところからは出ないでおいて相手に気持ちを汲んでもらって、それで小学生みたいなセンチメンタルにどっぷり浸って自分の欲望を美化して、気持ちよくなってるのが端から見ててすごく嫌なんだよね。きれいごとってそんなにいい何がいいの?軽く見られるのが嫌なの?何か大事なものを守ってるように男に見られたいの?誰に見られたいの?そういう自分が好きなの?いっとくけど、それってただのグロテスクだよ。
生きることにこつというものがもしあるとするなら、それはやっぱり全面的には深刻にならないことよね。」
「知ってるとは思うけど、そういう人たちが傷つかないで安全な場所でひっそりと生きてられるのは、ほかのところで傷つくのを引き
うけて動いている誰かがいるからなのよ」
「たとえばあの葉っぱがみえるのは、葉っぱに光が当たっているからですけど、それであれが緑にみえるのはですね、これも簡単に言ってしまうと、葉っぱが無数にある太陽の光の色のなかから緑以外の色を吸収してしまって、それで緑色の光だけを反射しているからなんですよ。もちろん精確にいうと一色だけを反射しているわけではないんですけれど、まあそれが人の目には緑にみえるというわけなんですね」
Posted by ブクログ
言葉がとても繊細で美しく、ひとつひとつを大切に味わいながら読み進めました。
光や真夜中の描写が儚くて切なく、静かな物語なのに感情の揺れが繊細に伝わってきました。
主人公の冬子は、人との関わりが苦手で、傷つくことや失敗を恐れ、淡々と日々を生きていて。
自分の意思や言葉が曖昧で、時に危うく感じる部分もあったけれど「何も選ばずにやり過ごしてきた」という感覚には共感するところが多かったです。
聖との口論の場面はぐさぐさと刺さり、自分の感情は誰かの引用なのではないか、という問いも強く心に残りました。
三束さんと出会ってから、冬子は自分の感情に気づき、連絡をしたり、おしゃれをしたり、告白したりと、静かに行動を起こしていく。結果がどうであれ、「自分の意思で何かを選んだ」という経験は、冬子にとって大きな一歩だったと思います。二人のぎこちない会話や、光について語る場面もとても繊細で印象的でした。
人生は孤独で、人と関わることは煩わしい。それでも誰かとつながりたいという気持ちは消えない。登場人物たちの不器用さや葛藤を通して、恋愛や生き方に正解はなく、それぞれの在り方があるのだと感じました。
Posted by ブクログ
久しぶりにこういった恋愛ものを読んだが、若い頃は憧れを感じたり切なさが身に沁みたが、年をとってから読むとどこかで「甘えるな」と思ってしまう。
仕事、家事、育児、介護など毎日の中では自分を殺してやらなくてはならないことが多々ある中で、センチメンタルに浸かっているだけの主人公に「甘えるな」と言いたくなってしまった。
聖に非常に近い感覚。でも読みやすく面白いと思う。
以下、好きなフレーズ
あなたが自分の本当の気持ちを吹き受けて、自分で行動を起こしてそれで断られて玉砕してそんなドロドロの顔して帰ってきたって言うなら、私すごいと思うわよ。すごく頑張ったと思うもの。でも結局傷つくのが怖いのか何なのか知らないけど、安全なところからは出ないでおいて相手に気持ちを汲んでもらって、それで小学生みたいなセンチメンタルにどっぷり浸って自分の欲望を美化して、気持ちよくなってるのが端から見ててすごく嫌なんだよね。きれいごとってそんなにいい何がいいの?軽く見られるのが嫌なの?何か大事なものを守ってるように男に見られたいの?誰に見られたいの?そういう自分が好きなの?いっとくけど、それってただのグロテスクだよ。
生きることにこつというものがもしあるとするなら、それはやっぱり全面的には深刻にならないことよね。
Posted by ブクログ
納得いかない終わり方。
そして主人公冬子の行動、聖の言葉にとてもむずむずした。仕事上仲は良いが、根本的に合わない何かが2人の距離を近づけようとしていない感じ。
そして三束さんは誠実そうな人だったのに約束を破って嘘をついて姿を消したのも納得できない!!
Posted by ブクログ
ずっとどんよりしていた、、最後友情が壊れんかったことは意外で、まぁ良かった。その友達のことはずっと、なんやこいつ!と思いながら読んでたけど