あらすじ
「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった――。芥川賞作家が描く究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。渾身の長編小説。
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Posted by ブクログ
なんとなく、自分は触れることのない作家だと思っていた。のだけど、なぜか手に取ってしまった。タイトルのせいかな。
何か特別なことが起こるわけでもなく、流れていく物語。なのに、読み進めるのが怖い、心がざらつく。でも、読み進めてしまう。
他人にとっては消えてしまってもわからないような、弱い光。自分である以上、消えてくれない光。主人公の弱い光には、徐々に色がついていく。最後まで読んで、最後まで読んでよかったと。
自分の光は弱いまま、それはそれでよいかな、と思えた。
Posted by ブクログ
ずっと小説が読めなかった。でも、やっと自分の時間が意識できるようになって、タイトルに惹かれて買ったこの本を5年越しぐらいに引っ張り出してきて読んでみた。
大人になってから初めて読めるようになったこの小説をずっと忘れないと思う。
冬子と感覚が似ていて、気持ちが読み取れて苦しかった。お酒を飲んでしまったら余計良くないことになるとわかっていても、飲んでいないと、感覚を鈍らせないと、向き合えない気持ちや刺激。
他者と自分を比べて自分を下に見ること、物事を感覚的に捉えて全てを受け取りすぎること、そしてその多くのものから目をそらして生きること、自分の中で処理しきれない感情をたった一人の特別な誰かに理解してもらいたいと思うこと。何かに依存していないと維持できないような心の弱さ。今このタイミングで冬子という人物に出逢えて本当によかった。聖もどうか幸せでありますように。また真夜中で迷子になったら、この光に会いに来よう。
Posted by ブクログ
私の好きな人から貸してもらった本です。
私は恋愛小説が苦手であまり読まないのですが、この小説の綴る一言一言の言葉や文章が繊細で毒を孕みそうな危険もありつつ優しさの内包されている面と触れ合えて、久しぶりに恋愛小説読んで恋愛っていいなと思いました。
まず、好きになるっていいなと思いました。
好きな芸能人のお勧めの本だったか、何かのきっかけで購入して積んでた本を長期休暇に読んだ。
純文学を普段読まないこともあり、ずっとモヤモヤしたようなもどかしい気持ちだった。
同じ年齢のまったく反対の友人への憧れと嫉妬とか、自分の気持ちを伝えず行動に移さない他人への苛立ちとか、共感できる感覚はいくつもあった。
内気な人の恋
他のサイトのレビューを読んでいると、
主人公に感情移入出来なくてイライラした、
というのが結構あったが、
それは読者が外向的な性格だからだろう。
内向的で人付き合いが苦手な人なら
必ず共感出来る作品。
Posted by ブクログ
こんなにも繊細であなたのことが好きなのにもう会えない。ただあなたのCDなどの欠片を集めて生活していく。切ないなあと思いました。あなたのすべてが好きすべてを捧げられると思っても住所すらも知らなかった。でも職業も肩書きも関係なくて好きだった。もう会えないけれどあなたの影響を受けて一緒にいたという過去は残して、タイトルを書いて希望を残していくのが良かった。
Posted by ブクログ
本書を読んで強く感じたのは、人の感情は決して一つではなく、いつも「ごちゃまぜ」なのだということだった。
聖は主人公に苛立ちをぶつける一方で、「友達になりたい」と涙ながらに伝える。三束さんの「人には、色んな事情があると思うので」という言葉も、主人公への優しさであると同時に、自分自身への弁明でもあったのかもしれない。誰かを思う気持ちと、自分を守りたい気持ちは、きれいに分けられるものではないのだと思った。
また、「自分の頭で考えたものじゃないと厭なのよ」「好かれるために生きてるわけじゃない」という言葉には、自立した生き方への憧れを感じた。自分を大切にしながら、周囲とは適度な距離を保ち、本当に大切な人とは深くつながりたい。そんな人との関わり方について考えさせられた。
そして何より心に残ったのは、「一日ごとに薄まり、忘れ、やがて消えてしまう記憶のなかにある痛みだった」という一節。今抱えている辛さも、いつかは少しずつ薄れていく。この小説は、心の傷を抱えている人に静かに寄り添ってくれる一冊だと思った。
Posted by ブクログ
なんで飲んじゃうのかなぁ、そしてなんでそれに対して穏やかに接することができるのかなぁ。
校閲の仕事に興味あったから、参考になった。校閲中にのめり込みそうだから、向いてないかもと思った。
映画化楽しみ。
Posted by ブクログ
人とかかわるのが苦手な冬子はある日、勇気を出して足を運んだ文化セミナーで一人の男性と出会う。そこから冬子と、三束さんと名乗った男性との静かな交流が始まる。
仕事に恋愛、人間関係と、さまざまな悩みや不安、生きづらさを感じる誰もが共感し、胸が疼く作品なのではないだろうか。冬子のようにどれだけ孤独を受け容れ生きづらさを自覚していても、誰の人生においても自分は重要な人間ではないということに気づいてしまうことほど苦しいことはない。一歩踏み出し自分で選び、自分の人生を生きること。
当たり前で大切なことに気づかされる。
あまりにも切ないけれど、きっとこの出会いも冬子にとっての大切な人生の一部なのだと思う。
Posted by ブクログ
親密な関係の女友達と主人公の入江冬子はそっくりで、彼女を思い浮かべながらこの本を読んでいた。性的なシーンは読んでいるだけで実際の光景は見ていないのに生々しく映像が頭に浮かんで、そういった経験のある彼女にとっては苦しい場面の一幕になるであろうと思った。この本を私と同じく買った彼女はこのシーンを読んでどう思うのか...
水野くんが入江さんに言った「何も言葉を持たないし、何を考えているのかも分からない、イライラする」それは彼女がかつて言われた言葉でもあった。この言葉を読んで以降、彼女も同じような悩みを持ちながら生きて今を過ごしているのではないかと思った。
Posted by ブクログ
繊細な心を持つ主人公のラブストーリー。
アルコールを飲まないと他者との会話も難しい。心を保つのがいっぱいいっぱいで生きている冬子。
三束さんに出会い、恋をして、解れていったり、壊れかけたり、自分自身も知らない色々な感情に出会い、翻弄する。
儚い恋、実って欲しかったなあ。
三束さんは職業のこと以外でも、冬子の純粋さとの不釣り合いさとかそう言う点でも心苦しかったのかなあ。三束さん自身は年齢を重ねている分、心の穢れも多少なりともあるでしょうから。
三束さんにとっての冬子はちょっとした寂しさを埋めるのに丁度いいくらいの相手だったのだろうか。
かなりの年齢差があり、それに加えてここまでピュアな恋愛小説ってなかなか無いから新鮮でした。
聖、なんて酷いことを言うの!と思ったけれど、的を射ているのかもしれない。最終的に主人公を救ったのもこの子だったんだなあ。
寝る前に読んだのだけど、どこか余韻に浸ってしまって少しだけ眠れないそんな夜を過ごした。
Posted by ブクログ
〜1周目〜
2023.07.04
恋愛物語というか、大人の女性が大人でありながら少しずつ成長していく物語になっていた。
奥手すぎるとイライラする部分もあったけど繊細な人々の話なのだなと思った。
Posted by ブクログ
文体のせいかもしれないけど冬子がとてもロマンチック。自然の美しい描写が多くて楽しい。その分、他人がどんな思考で話しているのか慮るような文章が書かれてないのも冬子らしくて面白い。
Posted by ブクログ
誰かの正解をなぞるのではなく、たとえ不器用でも自分の意思で選んだ道が“自分の人生”
傷つくことを恐れて何もしないことは自分自身の可能性の放棄。
今の自分を肯定するべき。
他者との繋がりだけに居場所を求めるのではなく、今自分が立っている場所での静かな時間こそ私の全て。忘れていくことは大切に咀嚼して、自分の一部にしていくプロセス。
執着を手放し、思い出を美しい結晶に変えてまた1歩踏み出す。
世界には一生かかっても伝えきれないほどの言葉と感情が溢れている。
本や写真を初めとする芸術からそれらに触れて、自分の感性を広げたい。
Posted by ブクログ
冬子さんが三束さんとの関わりを通して感じる感情、それを表現する言葉が、美しくもどこか胸を締め付けられるようで引き込まれてしまいました。
聖との衝突が書かれている所が特に好きで、修復を経て強くなる関係の美しさや、聖の心のうちでは生きづらさを抱えていることがよく分かる場面で、人間の魅力が良く表現されているなと思いました。
最後の選択は、三束さんなりの誠意なのか、本当の事を伝えるのが怖かったのか、両方なのか、また他にも思うところがあったのか、何か事情があったのかは分かりませんが、もっと言葉を交わしていれば、なんて思うのは無粋でしょうか。
日を追うごとに薄まっていく感情を抱えながら、たまに思い出して泣いて、思い出すこともなくなって。
いつか忘れてしまうのは必然で、人間として正常な反応であるからこそ、価値のあるものなのだなと気付かせてくれた本でした。
Posted by ブクログ
37歳のアル中の喪女が58歳の男に恋をする話
2026年秋映画化。どん底の女を最高級の文章で綴る本。さすがは川上さん、情景と感情がリアルに思い浮かぶ繊細で緻密な文章だった。閉塞と光が印象的。フランス映画のようなゆったりした時間の美しさがある
再読。岸井ゆきの×浅野忠信で映画化。読後カンヌっぽいと思ったが、始めからカンヌ映画の原作と思い読んだ方が心に響きそう。まのびが余韻の肝
Posted by ブクログ
初読み作家さん。
全体的に静かで、繊細で、淡々とした展開
でも、飽きずに読めたのは
文章がとても美しいからだろうな と思った。
主人公冬子、孤独で人とのコミュニケーションが
うまく取れない人物。
年上の男性教師 三束さんと出会い
静かに不器用に交流していく
2人の繊細な距離感は素敵、なんだけど······
冬子は一歩踏み出すのにお酒を飲む。
それも、酔うほどにかなり飲む…
お酒が苦手な私にとっては
え? 臭くないの?
待ち合わせした相手がいつもお酒の匂いがするってどうなの〜?三束さん!
と余計な事を考えた。
後半の、
冬子と三束さんがどうなっていくのかは、
読み応えあったし、
冬子とは真逆で、シャキシャキと器用に生きている友人の聖との関係はリアルな女子たちを描いていて
面白かった。
カンヌ国際映画祭に出品されている作品で
どんな感じで映像化されているのか気になるところ
Posted by ブクログ
不器用な人の不器用な生き様、
恋愛にはまっていく様子が
心に刺さる言葉で伝えられていた物語
正直、主人公と自分を重ねるということは
できないキャラクターだったけれど
それでも、その苦しさや、弱さは
どうにかしてあげたいと思うほど
ひしひしと伝わってきました
川上さんは本当に
こみあげてくる思いや
とめどなく溢れ出てくる感情を
表現するのが上手で
心を揺さぶられるシーンがたくさんありました
Posted by ブクログ
不器用な校閲者の冬子。そのレベル違いな不器用さに周囲は苛々させられ、彼女を様々な「捌け口」にしていく。そんな冬子に優しく接してくれるこれまた不器用な男性に出会って、という話。川上さんの紡ぐ言葉の美しさが光る。
Posted by ブクログ
「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。」
最初の一文が、美しくて切なくて、触りたくても触れない、みたいな、心に残る言葉たちだった。読み終わってみれば、この小説自体の印象と重なった。どんなに歳を重ねても、自ら選択し決断することは怖いし、言わなくてもいいことも言ってしまうし、保身や見栄のために嘘をついてしまう。私たちは全部抱えてぐちゃぐちゃになりながら生きているんだなぁ、人間って愛おしいなぁ、と。
Posted by ブクログ
後半にかけて読み応えがあった
主人公に感情移入はできなかった、聖が入江さんにイラつく気持ちもわかる
聖が入江さんを羨ましく?思う気持ちもわかる
てか学生の頃のあのキモ男は成敗されていてくれ
Posted by ブクログ
つらい話。一回半分まで読んで読むのを諦めてまた最初から読み直した。読み終えることができてよかった。主人公の主体性のなさとコツコツしたところが好きではある。2人の関係も好きではある。と油断していると時々出てくる尖った思考や言葉が突き刺さってくる。突き刺しにくる。真夜中の二人の話。読めてよかったと思っている。真夜中に散歩したことを思い出す。真夜中に散歩しながら会話したことを思い出す。真夜中に散歩しながら会話して笑ったことを思い出す。
Posted by ブクログ
モヤモヤとした中で進んで行くストーリー。
でも、この気持ち、分からなくもない。
わざと?ひらがなで書いている部分だったり、独特の空気感だったり、読むというよりは、感性を研ぎ澄まして「感じる」本かな。
Posted by ブクログ
ロマンチックだというのは、こういうのをいうのかなと思った。
冬子はどこか非現実的で、行動も言葉も、考えにも、とても時間を使う。
甘くもあり、苦くもある冬子の目から見た現実は、「ロマンチック」というのに相応しいのではないかと思う。
物理的に語られる光も、色々に散りばめられた嘘も、真実も、現実も、やがては冬子のロマンチックになる。
恋愛小説は久々に読んだけれど、やっぱり苦いものなのだと思った。
Posted by ブクログ
どちらかと言えば聖寄りの性格なので、大人しくて自分の意見をなかなか口にしない冬子の心情が新鮮だった。
冬子や他の登場人物からみる聖の印象が分かりやすくて、聖の気持ちも分かりやすかった。聖の、自分達もそうしたいと思ってるくせに堂々としてる人を軽蔑したりするのがイライラする、どうせ今も私があげた下着をつけているんでしょ、みたいなシーン、私も似たような気持ちになった事がある。
冬子と聖は間反対な性格だけど、2人とも恋愛下手で、痛々しかった。
Posted by ブクログ
自分に何もないのは自分で何も選択したことがないから…と自分の恋を動かす選択をする冬子がいじらしい。
すべてを選択した気になっている人間から人生で2回も「見ててイライラする」と言われてしまう冬子だけど、水野くんも聖もどこかで羨ましいと思っていたんじゃないかな。常識を突っぱねなくても、無理くり選択し続けなくてもそれなりに生きている冬子に嫉妬してたんじゃないかなって思った。
冬子の気持ちも聖の気持ちも典子や恭子の気持ちもどれもなんとなく共感できて、でもどれも人の嫌な部分を孕んでて、そのリアルさが痛々しかった。
Posted by ブクログ
なんとなく会社で周囲に馴染めなかった冬子、ご縁があり個人で校正の仕事をこなす中で聖と出会う。
(この時点で強い主体性がある訳では無いと示唆されてるなと思い返した。)
三束さんとの出会いはドラマ的ではなかった。カルチャーセンターにいく勇気を得るためお酒を飲んだ冬子。ここから少しアルコールで得られる感覚の鈍りに頼りがちになる。
喫茶店で頻度は少ないが三束さんと会うようになる。
物理の本、光の不思議な話、ピアノ子守唄が入っているCDなど三束さんから頂いたものも沢山あるにもかかわらず、冬子の胸に残るのは話している時に見ていたであろう三束の手や目の皺などばかり。この時点で既に冬子は三束に惹かれていたのだろう。
お互いに何をするわけでも特別な関係でもなかったがある時冬子の一言で関係が変化した。
私とそういったことをしたいと思ったことがありますか?そんな聞き方するか?とも思ったが冬子なのだから仕方ない
三束の誕生日に聖から贈られた彼女の不要な服、靴、鞄、下着を身につけ出かける。
あんな素敵な女性だったら隣に立てると錯覚したのだろう。ありのままの冬子で良かっただろうに。
帰宅する道中に心配してかけつけた聖とばったり会い、思ったことをそのまま口に出され口論?一方的なとっつきにあった。
三束の嘘は何のためにあったのか。それだけが不思議。
今回は主人公に共感することができなかった為か少し話にとっつきにくさを感じた。
言葉を紡ぐのに何度も頭の中で校正し、考えているうちに時間が経ってしまう。そういう彼女は言葉の重みを知っているのだ。
Posted by ブクログ
未映子節。恋愛は儚いものといいたいのはわかった。そのうえで、いいものだといいたいのか怖いものだといいたいのか。多量飲酒が見せた夢とでもいいたいのか。なんか解釈にモヤモヤするのと、タバコが映像作品からも紙作品からもみるみる消えつつある昨今、こんなにお酒が登場する作品って大丈夫なのだろうか。お友だちの存在の意味も私にはようわからず。