あらすじ
「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった――。芥川賞作家が描く究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。渾身の長編小説。
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Posted by ブクログ
聖は目の端をかく癖があって、三束さんは瞼に傷があって、目に関する共通した特徴が面白いなと思った。冬子に「目をかけている」ということなのかななんて思いつつ、冬子もまた三束さんと最後に会った日、目に「跡」をつけているのはそれだけ三束さんを思っていたということなのか。
冬子を「モノ」のように見る水野くんや典子のような存在がいたりもして、人の視線がすごくテーマになってる作品だなと思った。
恋をして傷ついて、時々思い出しながら時々泣いて、ゆっくり忘れていく失恋の痛みを冬子と一緒に思い出して切なくなった。三束さんが嘘をついていたとしても、それを向き合って冬子に伝えれば冬子は受け入れたんじゃないかと思う。三束さんもまた冬子にどう見られるかに臆病になっていたんだなと思う。
Posted by ブクログ
34歳女性、入江冬子。
会社を辞めてフリーの校正者で一人頑張っている。前の会社でのこととか、フリーになってからの生活などを背景に、年配の男性、三束さんとの出会いという出来事を中心としてストーリーが進む。
光りの物理学的な原理のお話が出てきて、
なんだか考えるけどそうかんたんには理解できそうになく、
同じ人間でも様々な側面があるだろうし、
関係の仕方で異なる人間に映るだろうし、
見えているものと実際はどこまで乖離しているのかは誰にもわからないだろうけれども、
自分という限界の中で生きているんだなーと思う。
‥
最後まで読んで、また最初のページに戻ってみる。
_昼間のおおきな光が去って、残された半分がありったけのちからで光ってみせるから、真夜中の光はとくべつなんですよ。
Posted by ブクログ
登場人物みんな、どこかおかしい。でもなぜか共感できる。最後に三束さんのプロフィールが、パズルのピースをはめるようにわかる。これまでの三束さんの言動に納得。三束さんの立場になると若い子に言い寄られて葛藤もあったと思うが、正直でいようとしてて、よかった。
Posted by ブクログ
氷が張った湖のような透明感と静けさを感じる作品だった。光に感する描写が多くて綺麗。冬子の所在なさげな感じが読んでいてすごく共感できて、読みながら「頑張れ!」と心の中で応援している自分がいた。
とにかく冬子と三束さんがどうなるのか気になって、最後の方は一気に読み進めてしまいちょっと寝不足気味に笑
個人的には「そうかぁ…」と残念な結末ではあるけど、何も自分で選んでこなかった自覚のある冬子が初めて選んだものが、三束さんだったんだと思うと胸が熱くなる。きっと冬子にとっては忘れられない、意味のある出来事になるんだろう。
それにしても、聖さん好きだなぁ。
Posted by ブクログ
聖の言葉が、特に終盤の私との会話の中の言葉が自分に刺さりまくった。安全圏を保とうとすることで、周りへしわ寄せが行く、とまでは思わないけど、自己完結型の人間は社会の中で害がないようである存在だと感じた。
最後の場面で、私が0から1にする行動を起こす。それは、自分から何も生み出そうとしない本人にとっては大きな変革である。その原動力は成就しなかった恋。
恋愛感情をこれからも持ち続けたいと思った
Posted by ブクログ
はじめはお酒を飲んで人に会いに行く冬子の行動に少し引いた目で読んでいましたが、読み進めるうちに彼女の臆病さを理解すると、彼女なりの勇気の出し方なのかなと思いながら読み進めることができました。
周囲の人達が感情を揺れ動かしたり、見た目や環境がかわったりしている中で、冬子だけが何も変わらないまま、変えないまま34年間生きてきた。そして冬子なりにお酒を飲んでみたり、講義を受けてみようとしたり、なにかを変えてみなくちゃいけないと思った焦りのような感情は、私もふと感じることがあるので少し共感しました。
34歳と58歳、25も離れた2人の穏やかな時間は恋の駆け引きとか、恋人になりたいとか、そういった刺激やゴールを求めるものじゃなくて、ただ同じ時間を過ごすだけの心地よい空間で、冬子が動かなければずっと続く時間だったと思います。でも冬子が恋を知り、初めてのおしゃれをし、いつもと違う場所で誕生日を祝い、告白をした。恋を自覚し伝えたことで、始まることなく終わってしまった儚い関係だったけれど、今まで自分で選択することなく、ただ日々を過ごしていた冬子にとってこの出来事は人生に小さな光を与えてくれた気がします。三束さんも冬子に好意はあったとしても、いざ恋愛の関係性になってしまうと自分のついていた嘘や年齢などを考えて、まだ若い冬子から静かに身を引くという選択をしたのも納得のいく結末でした。
Posted by ブクログ
何故なのか分からないけれども、心の深いところに沁み入る様な物語でした。ぼんやりと生きている冬子に共感出来るところもありつつも、共感出来ないところもあり、等身大の女性の心情が細やかに描かれている印象を受けました。何に対しても受け身に生きていた冬子の人生の中で、三束さんと過ごした時間は、初めて彼女が主体的に行動出来た時間だったのだろうと思います。真夜中の様にしん…とした空気感を感じる、しんみりとした読後感でした。
Posted by ブクログ
ものすごく良かった。
光をひとつテーマとする上で、冬子にしか見えない景色の美しさが見事に文章化されている。ほんとうに美しい文章に浸り続ける体験ができた。
感覚を描くのがうますぎる。全身の刺激が、自分の体に感じられるように読める。
でも、どうしてもこの物語を手放しに礼賛する気にはなれない。
悲恋がもたらすカタルシスによって物語が矮小化されているような気がどうしてもしてしまうのだが、これはぼくが若すぎるのか。青すぎるのか。
最後の方で、聖が悪者として描かれてすぎているように感じたのも正直すこしいやだった。登場人物がみな、嫌に描かれすぎている気がする。まあ、完全に悪者には描かれてはいないのだが。
最後については、ぼくはそこまで感動しなかった。この言葉(すべて真夜中の恋人たち)って、すこし客体的というか、当の本人が発する言葉にはぼくにはどうしても感じられない。時間が経って振り返っているからなのかもしれないけれど。
総じてめちゃめちゃ好きな小説ではある。
199 そのときは意識していなかったはずのものが、存在していないように思えたものが、記憶に残っていると思いもしなかったものがまるで無音のまま高速で成長を遂げる花の種のようにみるみるうちに育ちはじめて、夜は、わたしの目と耳と胸を、いっぱいにした。
Posted by ブクログ
一人の女性が自分を見つける物語だった。
仕事、恋愛、人間関係、色々な環境の中で自分の外殻に触れて形作っていくような
人は良くも悪くも外の世界と関わることで、自己を確立させる。主人公も三束さんやその他の人と関わることで初めて自分の想いに気づくことができたのかな
吸収されず反射したものが色として届く。想いとして発したものが相手に届き、自分になる?
この物語において光、色が差すものが何か、いろんな人の意見を聞いてみたい
Posted by ブクログ
言葉がとても繊細で美しく、ひとつひとつを大切に味わいながら読み進めました。
光や真夜中の描写が儚くて切なく、静かな物語なのに感情の揺れが繊細に伝わってきました。
主人公の冬子は、人との関わりが苦手で、傷つくことや失敗を恐れ、淡々と日々を生きていて。
自分の意思や言葉が曖昧で、時に危うく感じる部分もあったけれど「何も選ばずにやり過ごしてきた」という感覚には共感するところが多かったです。
聖との口論の場面はぐさぐさと刺さり、自分の感情は誰かの引用なのではないか、という問いも強く心に残りました。
三束さんと出会ってから、冬子は自分の感情に気づき、連絡をしたり、おしゃれをしたり、告白したりと、静かに行動を起こしていく。結果がどうであれ、「自分の意思で何かを選んだ」という経験は、冬子にとって大きな一歩だったと思います。二人のぎこちない会話や、光について語る場面もとても繊細で印象的でした。
人生は孤独で、人と関わることは煩わしい。それでも誰かとつながりたいという気持ちは消えない。登場人物たちの不器用さや葛藤を通して、恋愛や生き方に正解はなく、それぞれの在り方があるのだと感じました。
Posted by ブクログ
納得いかない終わり方。
そして主人公冬子の行動、聖の言葉にとてもむずむずした。仕事上仲は良いが、根本的に合わない何かが2人の距離を近づけようとしていない感じ。
そして三束さんは誠実そうな人だったのに約束を破って嘘をついて姿を消したのも納得できない!!