川上未映子のレビュー一覧

  • 夏物語
    生死にまつわることなど内容は決して軽くないのに、登場人物達のチャーミングさ、人間らしさに親近感を覚えた。
    生きる意味を見い出せずせつない気持ちになったり、生まれてきたことを恨んだり、自分が生きることで精一杯なのに誰かと手を取り合って笑いあったり、誰かを愛しいと思って結ばれて生まれてを繰り返す人間はつ...続きを読む
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)
    これまで村上春樹の作品を読んで感じてたこと、例えば表層的なヘンテコな出来事の下層に通底するものに読者は共感するのだろうだとか、リアリズムにはフィクションやメタファーによってより迫ることができるのだろうだとか、そこらへんの漠然と抱いていた印象が、村上春樹の語る「地下二階」の話やコンラッドの引用などと符...続きを読む
  • きみは赤ちゃん
    母は偉大。どんなに想像を膨らませても、父親には分かりえない苦労や想いがある。分かることあきらめるのではなく、分かろうと想い、またわからない部分をリスペクトする気持ちを持たなければいけない。
  • あこがれ(新潮文庫)
    日常をとらえた描写、登場人物の気持ちの移り変わりを繊細に書く技術。川上作品ははじめて読んだが、次も読んでみたいと思える本だった。
  • 春のこわいもの
    オーディオブックのために書き下ろされた短編集。
    読書という枠でも、”時代が変わった”のだ。
    そのターニングポイントに、川上未映子あり。
    (今の時代を生きる同世代の私にとって最高のアイコン)
    コロナ当初、緊急事態宣言前のマスクが売ってない「あの春」が背景になった6編。

    冴えない人間の、パッとしない人...続きを読む
  • 愛の夢とか
    7つの短編でそれぞれの女性を綴った一冊。
    各々の女性の性格に合わせて、簡単な漢字もひらがなになっていたりするので、具体的な情景描写が少なくても何となく人物が置かれた環境が目に浮かぶ。

    女性というのは大体こんな感じ、という文学的イメージを一蹴するような、現実は、こんな掴みどころのないような、とか、取...続きを読む
  • きみは赤ちゃん
    タイムリーに読めたのかな?出産予定日まであと4日とかで読むには、「て、帝王切開こわすぎ…」とトラウマにもなったけれど笑
    自分も無痛分娩予定だから、とにかく子宮口よ開、開け、と思いながら読んだ。なるようにしかならないけれど、うまくいくといいな…。
    産んだ後の話については、夫との関係性が不安だ…。私は信...続きを読む
  • きみは赤ちゃん
    いやあ本当に良かった。

    女性作家さんが書く出産のリアル。
    それはそれは表現力も豊かだし、言い回しがめっちゃ面白いし(たぶん未映子さんが面白い)、途中途中笑えるフレーズが多くて、ほんと面白かった。

    ほんと数日前、やりたいことないし、子供を爆誕させて子育てに専念するかと思い立っていたところだったので...続きを読む
  • 春のこわいもの
    初読。
    一文たりとも見落としたくないくらい、言葉の積み方に魅了された。

    「娘について」こわいこわい。善意の皮がたるんだ悪意。
  • 春のこわいもの
    6つの短編。どれも何か大きな事件があるような話ではないのに内臓を掴まれて握り潰されるような圧倒的な強さがあって気力が消耗した。『花瓶』と『娘について』が特に良かった。
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)
    こんなに話し手の意図を話し手と同じ次元で汲み取れて、聴ききれなかったと思ったらそこで怯まずに踏みとどまってさらに聴きなおすことができて、こんなすごいインタビュアーさんがいるなんて……。川上未映子さんだから聴けたお話ばかりで、ほんとうに面白かった。
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)
    村上春樹の底の底にまで迫ったインタビュー。
    以前読んだ春樹と龍の対談本『ウォーク・ドント・ラン』と比べても、圧倒的に深い。春樹氏のインタビューでこれまでこんなに深く潜ったようなものは読んだことがなかった。村上春樹の地下一階を暴いていると思うし、なんなら地下三階くらいまで行ってそう。

    インタビュアー...続きを読む
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)
    めーっちゃ面白かった。
    川上さんだからこそインタビューを受けたそうで、かなりグイグイ突っ込んでいて村上さんもタジタジ笑
    小説を創作する上でどんな手順を踏んでいるのかすごく気になっていたけどビックリするくらい自由だった。
    リアリズムな印象な村上さんだけど、小説を書く際はイタコみたいなものに憑依したりも...続きを読む
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)
    2022年の150冊目。

    川上未映子さんが、村上春樹さんの井戸に一緒に入ることを試みた対談集。かなり、井戸の深いところまで二人で潜っている、そんな印象だ。

    川上さんは鋭くつっこみ、村上さんが楽しそうに真剣に受け答えたり、華麗に受け流したり、そんな展開で、飽きることなく(文庫本だが)437ページの...続きを読む
  • あこがれ(新潮文庫)
    麦くんとへガティー、各々悩みを抱えてるけど可愛らしくって、良い子たちで応援したくなる。

    へガティのお母さんへの手紙がまた優しくて切ない。
  • ウィステリアと三人の女たち(新潮文庫)
    川上未映子さんの短編集。
    「彼女と彼女の記憶について」
    「シャンデリア」
    「マリーの愛の証明」
    「ウィステリアと三人の女たち」の四編。

    田舎町の中学の同窓会に、出欠の返信も出さず当日に突然現れる女優や、思わぬ大金を手にして、デパートで気まぐれに高価な買物をして一日を過ごす女性などを主人公にした物語...続きを読む
  • ヘヴン

    ちょっと理解できるような、、

    虐められる側の「受け入れる」と言う考え、たしかにそれは弱者ではなく勝者に感じた。
  • 夏物語
    「その人がどれくらい貧乏だったかを知りたいときは育った家の窓の数を尋ねるのが手っ取り早い…」という面白い書き出しから始まるこの作品。

    かなさんからおすすめされて、ついに手に取ることができました。
    ありがとうございました。

    本作の構成も面白いです。
    「乳と卵」という作品がリメイクされ、第1部に入っ...続きを読む
  • あこがれ(新潮文庫)
    初・川上未映子さん。
    この文体、好きかもしれない…。

    黒髪おかっぱ頭のやんちゃ娘ヘガティーと、絵が得意でクラスメイトにあだ名をつける名人の麦くん。
    ふたりは学校でそんなに目立つ存在ではないけれど、男の子と女の子の最強小学生コンビなのだ。

    低学年の頃、麦くんが気になって仕方がない「ミス・アイスサン...続きを読む
  • ウィステリアと三人の女たち(新潮文庫)
    瑞々しくって、どこか不穏でフェミニズムを感じる文体が心地よい。物語以前に文体としての個性があるのが真似できないポイントで、だからこそ唯一無二なんだろうな。
    表題作はじめ、どの話も抱えるものを持つ女性が主人公で気持ちの移り変わりを自分事として想像するだけで贅沢な時間が味わえる。真夏の果物のような雰囲気...続きを読む