川上未映子のレビュー一覧
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先日、母親3年生になりました♪
ということで、書店の文庫フェアでずっと気になっていたエッセイを見つけたので手に取った。
35歳で初めての出産。それは試練の連続だった!つわり、マタニティーブルー、分娩の壮絶な苦しみ、産後クライシス、仕事と育児の両立…芥川賞作家である川上未映子さんの異色エッセイ。
この作品のことをもっと早く知りたかった!
妊娠中に読みたかった!!!
(でも、もし妊娠中に読んでいたら出産に対する恐怖は増していたかも…)
エッセイを通して、慌ただしい日々の中に埋もれていた自分の妊娠、出産のこと、子どもが0歳だった日々のことを思い出して、懐かしい気持ちになったり、出産直後にメモし -
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01|感想
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3人の関係性がすごくいい⋯。貧しいながらも確かな幸せがあります。独特な筆致から3人の思いや息遣いが伝わってきて、読んでいて胸が暖かくなりました。文体は特徴的です。読点でつながる独特な文体や関西弁のリズムに戸惑いますが、だからこそ感情や息づかいが直に伝わってきます。素晴らしい作品でした。
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02|あらすじ
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豊胸手術を望む姉・巻子と、12歳の娘・緑子が、東京に住む妹・夏子もとへ訪れる、二泊三日の夏の物語です。緑子は母の行動を理解できず、ある日から突然口をきかなくなってしまいます。彼女が心の内 -
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ネタバレ6章まで読んだ時、ちょっと考える時間が必要になった。
なぜ誰かをいじめること暴力をふるうことがダメなのか。
百瀬の理屈にそった説明で納得させることは、私も難しいと感じてしまった。
それはなぜか。根本的な何かがズレてる感じがある。
「僕」にはあるけど、百瀬は持ってない何かがあるんだということはわかるんだけど。何なのかちゃんと説明できない。
それはモラルと言われる何かのことなのか。
(内田樹さんの本にこんな事が書かれてたように思う)
なんでひとを殺してはいけないんですか?
これは、あらゆる幸運がそろって今自分が恵まれた環境にいることを自覚できない人ができる質問である。
じゃあ、もしあなたがい -
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セリフが関西弁、地の文は標準語という自分が今まで読んだことのない文章で新鮮さがあった。
テンポのいい関西弁とそこにトーンを落とし重さを感じさせる標準語が混じり合った文章のおかげで、題材が重く600ページをこえる本作を飽きずダレることなく一気に読むことができた。
本作はパートナー不在で子供を欲する夏子、豊胸手術をしようとする夏子の姉である巻子など様々な女性が書かれている。
男である自分は物語内の彼女たちの姿を見て、今付き合っている彼女のこと、地元にいる母のことを以前より考えるようになった。それとかなり気持ち悪いと思うが将来彼女のお腹に宿るかもしれない架空の赤ん坊についても考えてしまった。けど男 -
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ネタバレしんどくて苦しくて涙が出た。虐められてる側の僕はなぜ同じことを虐めた側にできないのか。できないからできないと僕は言っていたけど、同じことをすることによって虐めた側と同類になってしまうからできないのではないかと思った。相手と僕は違う人間だけど体格も年齢も同じようなものなのに、なぜそれができないのか。生まれ持った性格もあるとは思うけど、虐めてくる相手を心の底から軽蔑しているからだと感じた。コジマがわざと不潔な格好をしている理由が、お父さんと一緒に暮らしていた頃の貧乏だった記憶や繋がりを忘れないためというところに、コジマは本物の強さを持っているなと思った。ひどいいじめをこれから受けるのだと察して恐怖
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女性の性にまつわる純文学
芥川賞の「乳と卵」をリライトした第一部とその数年後を描いた第二部に分かれる
以下、公式のあらすじ
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大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。子どもを産むこと、持つことへの周囲の様々な声。そんな中、精子提供で生まれ、本当の父を探す逢沢と出会い心を寄せていく。生命の意味をめぐる真摯な問いを切ない詩情と泣き笑いの筆致で描く、全世界が認める至高の物語。
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「乳と卵」だけを読んだときは、「私が共感できない方の芥川賞作品」と思ってたけど -
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ネタバレオーストラリア人の英語の先生からおすすめされて読んでみた。
自分30代女、まさに今子供をどうするかについてもうかれこれ5,6年自分の気持ちが行ったり来たりしている、そんな私にとってヒントをくれるような本だった。 こんなに迷うなら子供を持つ資格なんてないんだろうなと薄々思ってた。
でも善百合子の『自分の子供が苦しまずにすむ唯一の方法っていうのは、産まれないでいさせてあげることだったんじゃないの』この一文を見てはっとした。
私もそうだと気づいた。生まれてもない子供が大切すぎて、だからこの世に存在させるのを躊躇ってるんだって、多分そうだって気づいた。
だからこそ、もっと主人公の気持ちの移り変わりを -
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この小説だけではなく各文学で恋愛感情を示す「好き」という言葉の危険に満ちる一方、なんとも微笑ましいことか。さらに本書のような良質な心理描写の中で綴られる「好き」は一入である。好きという単語の配置のタイミングは恋愛小説の評価の多寡を分ける。本書はだいぶん後半に入ってくるが。
私がそこまで「好き」という表現を好むのは他の曖昧模糊になりがちな恋愛感情の表現より明らかな直接性があり覚悟がいる表現であることであるからだ。この言葉を繰り出すシチュエーションを思い浮かべるが良い。好きな対象に自分の制裁与奪を委ねてるのが普通に理解できる。他者に表明することで自分の尊厳を委ねかねない、この大事な言葉を気安く発