川上未映子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレこの作品における「いじめ」は、テーマというより一つのモチーフとして扱われているように感じた。いじめが許されないのは当然だが、作者が描こうとしたのは、卑劣で非情な環境に置かれた人間がどのように生き延びようとするのかという、もっと根源的な部分だったのではないかと思う。とはいえ、凄惨ないじめの描写はあまりに辛く、一語一句を丁寧に追うことはできなかった。
コジマが父との繋がりを絶やすまいとして風呂に入らず、服も洗わない行為が周りに理解されることはない。しかし中学生の少女にとってそれは、理屈を超えた、自分らしく生きようとする精一杯の自己主張なのではないだろうか。
また、百瀬の無慈悲で過度に冷笑的な世 -
Posted by ブクログ
自分の妊娠をきっかけに読み始めたけど、内容が濃くなかなか進まない。笑 結局正期産になってしまった。産後クライシスの場面では、さすがの語彙力で女性の脳内ではこういうことが起こるんだなあと、言語化されていることでとても勉強になった。クスッと笑えるところも多かった。ぜひ、世の中のパパになる人にも読んでいただきたい!!
産後に読むとまた違った気持ちで読めるのかもしれない。とにかくいまは、赤ちゃんに会うのがより楽しみになった。
ーーー誕生日におめでとうっていうのはきっと、この1年、無事にみんなが一緒に生きることができたっていうことにたいするおまでとうで、それはほんとうにすごいことなのだと、そういうかも -
Posted by ブクログ
あぁああもうなんなんだよこれぇぇええってなる。
なんてもん書いてんだよ『ミスミソウ』ってこんな感じなんかな読んだことないけどってなる。お世辞にも「続きが気になります⭐︎」なんて言えやしないわ。
なんでこうも暗くて救いようのない話を選んでしまうのか?昨今であれば『成瀬は◯◯〜』とかが良さそうなのに、と自分でも思うけど、おそらく眩しくて目がチカチカするので読めないだろうと思う。こういう誰に薦めていいのかわからない本ばかりが性に合う物悲しさよ。
それにしても、あいもかわらず川上未映子の、幼少期から思春期にかけての表現しようのない、トラウマまではいかないけど、「もしかして私だけ?」と自己完結しよ -
Posted by ブクログ
母、そして人としての親心を感じれた気がした。
私自身、子どもが産まれて2ヶ月がたち、日々成長する我が子の動向に振り回され、ふとした笑顔に癒され何とか乗り切っている毎日。
育児の隙間時間で読み切ったのだが、共感の嵐、世の中にはたくさんの育児同志がいるのだな、と心強く感じられた。
いつ読んでも良いと思ったが、妊娠中から読んでおけば育児先輩の本音1サンプルとして今を構えられて良かったかもな、と思った。
「誕生日おめでとう!」
の意味を改めて考えさせられた。
そうだよね、大人になって生きるのが当たり前になってるから言葉の価値が下がってきてる(もしくは、生ではなく死に向かう意味合いが強くなってる)け -
Posted by ブクログ
卒乳後のおっぱいが「打ちひしがれたナン」でこらえきれず笑ったのに、「どうかどうか終わりませんように。」で目の前がじわりとゆがんで、カフェで情緒不安定な人になってしまいました。
オニくんを産んだ産院が、98%くらいの確信度で、子供達を出産したところだとわかってしまい、あの先生の顔が浮かびました。切腹後だとあのご馳走が食べられなかったのでは…
ツライ、シンドイ、カワイイ、イトシイ、でもツライ、の産前産後の気分のジェットコースターを、ただ追体験させるだけではなく、あのときうまく言えなかった思いを代わりに言葉にしてくれてありがとうございます。後書きで、いろんな事情の人の気持ちを考慮しきれていなかっ -
Posted by ブクログ
川上未映子さんの文章を初めて読んだけど、こちらに語りかけてくれているような少し口語的なところがすごく心地よかった。
ひとつひとつは短くて軽やかなんだけど、女性に関する社会の問題提起とか、言葉や考えることの大切さとか、今の自分に刺さる話が多かった。
なんとなく価値観というか感性が似ているのかも…と恐縮ながら思った。別れるとき思わず泣きそうになってしまう人がいるよね、とか、あ〜〜わかるぅ〜〜となった。
深く息をするのが大事、は私も経験があって、なんだか私がこれから経験したり考えたりすることを先に経験して教えてくれる女性の先輩のような、そんな存在になりそう。 -
Posted by ブクログ
川上未映子さんの出産・育児エッセイです。出産編(2013年web連載)「できたら、こうなった!」と産後編(書き下ろし)「生んだら、こうなった!」という構成です。
そういえば、「サッポロ生」のCM「大人エレベーター」で見目麗しい川上さんのお姿発見! 妻夫木さんから「大人とは?」「アイディアが枯渇する恐怖は?」などの質問へ、さらりとカッコよく答える言葉選びに唸ります。本に囲まれた背景もいいです。
男には到底わからない、女性の心とからだの生理的感覚を、実に瑞々しい言葉で紡ぎ読ませてくれます。切実さを一人ボケ・ツッコミに言い換えて笑わせる表現、「さきどりネガティブさ」と自己分析を裏打ちする?よ -
Posted by ブクログ
ネタバレ僕が百瀬の言ってることをなかなか理解できない、受け入れたくないみたいな感情の描写がリアルでよかった。
「権利があるから、人ってなにかするわけじゃないだろ。したいからするんだろ」
「欲求が生まれた時点では良いも悪いもない。そして彼らにはその欲求を満たすだけの状況がたまたまあった」
「自分が思うことと世界のあいだにはそもそも関係がないんだよ。それぞれの価値観のなかにお互いで引きずりこみあって、それぞれがそれぞれで完結してるだけなんだよ」
権利とか人の気持ち(罪悪感)で善悪を判断する僕、そういった人それぞれの都合に意味づけするのは弱いからであり、世界はシンプルな仕組みでできているしそこに善悪