川上未映子のレビュー一覧

  • 夏物語

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    ずーーんときた、いい意味で
    子どもは受動的にこの世界に産み落とされる、誰かの欲によって
    自分から生まれたくてこの世に来たわけでは無い。
    子どもに会いたいというのはあくまで親の思いである。
    あとは性別についても考えた。
    女として生まれたからには、女性としての本能が備わっていて、否が応でもそれは表へ出てきてしまうわけだけど
    まあしょうがないけどさ、心のどこかでもやもやしてた 女らしくいること、女の体であることが心のどこかでずっと不満だった 特に別の姓になりたいというわけでも無いけど
    それが言語化されたな

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    2026年07月01日
  • ヘヴン

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    ネタバレ

    川上さんが伝えたかったことはとても難しいことだと思った。
    主人公や、コジマが壮絶ないじめにあっていても何事も無かったように学校に通い続ける姿に、誰かに相談したらいいのにと思ってしまったけれど、中学生の視野じゃ様々な可能性ややり方があることも分からないし、目の前の孤独な世界で耐えることを選んでしまうのかもしれないなとも思った。
    主人公がどんどん追い込まれていく描写が辛かった。

    コジマは初めは良かったけど、段々と自分の状況と大好きなコジマの思想との間で揺れ動く主人公の様子を見ていて苦しかったし、自分の思想で勝手に仲間だと思ったり、勝手に裏切られたと思ったりというコジマの危うさを感じて怖かった。それがやっぱり、最後の事件に繋がっていたと思う。虐められ、傷つけられることにも意味があると信じて受け入れるのは、最善の策とはどうしても思えなかった。

    もう一つ百瀬との印象的な場面。私は百瀬の言っていることには1ミリも共感できなかった。それがその人の今やりたいことだからといって、人を傷つけていいわけない。虐められてる方がなにか行動を起こすべきだなんてそんなのは間違っていると思う。
    正論を言っているようで支離滅裂なことを言っていたと思うけど、本人の世界ではそれが正しくて、自分が強者側だと信じてやまないからあんなに強気に出て、自分は正しいと胸を張って持論を披露できるんだね。
    ろくな大人にならないなと思うし、最後の事件の後色々な大人からこっぴどく叱られていてほしい。

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    2026年06月30日
  • あこがれ(新潮文庫)

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    水色のまぶたを持つミス・アイスサンドイッチ。

    会ったことのない、半分だけのお姉ちゃん。

    絵が得意で心優しい麦くんと、おかっぱ頭でやんちゃ娘なヘガティーの、淡くて切ない「あこがれ」にまつわるお話。

    小学生の主人公たちにとって、心を惹かれる何かや、衝撃的な事実1つで、日々の色ががらっと変わって、世界のピントがその1点にぐぐーっとフォーカスされていく。そんな様子の鮮やかさが、主人公たちの感性の柔らかさを感じさせて凄く瑞々しい。

    あとね、作中で2人がヘガティーの家で映画を観るシーンがあるんだけど。
    アル・パチーノ主演の『ヒート』で繰り広げられる銃撃戦を完璧に真似しちゃうヘガティーの描写がめちゃめちゃいい。かわいい。
    大好きなシーン。

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    2026年06月25日
  • ヘヴン

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    ネタバレ

    心を抉られながらも一気読み。
    いじめというものが取り沙汰されるたびに「逃げたっていい」「学校が全てではない」という言葉が自然と飛び交う。大人である我々の経験則から言えば間違いなく正しいのだが、実際にそこで生きている当事者にとっては虚しく現実味のない言葉なのだと思う。スマホが普及してネットへのアクセスが当たり前の世の中にあっても、やはり子どもにとっての世界は狭い。そんな中でコジマが拠り所として見つけ出した「強さ」が、「すべてを受け入れること」なのが虚しくてやるせない。それはコジマにとっての呪いになってしまっているからだ。
    どこか他のクラスメイトとは違う百瀬を最終的には実はいい奴、といった描き方をしない作者の徹底した冷徹さも本当に素晴らしい。
    『黄色い家』を読んで2冊目にこの作品を読んだが、「僕」の母のような少し肩の力の抜けたような登場人物がすごくいい。

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    2026年06月21日
  • 黄色い家(下)

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    これぞ純文学という文体で大衆文学を書いたような印象を受けた。ストーリーに大きな展開がなくても、川上未映子さんのような独特な言い回しでリズムよく心地よく読める本が好きになってきた。
    本書は持たざる者の苦悩と葛藤を描いており、今の日本の裏社会に通ずるものがある。犯罪に手を染める人々はその実、染めざるを得ないのかもしれない。とは言え、いかなる理由があれど犯罪は紛れもなく許されない。ここにももどかしさのようなものを感じるが、そこを打破できるのは社会であり政治であり国であろう。しかし、持たざる者を救う政策を打ち出す人は持つ者から疎まれる。いやはや、難しい。得てしてマジョリティに迎合した政治家が生まれるんだなと思わざるを得ない。

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    2026年06月20日
  • ウィステリアと三人の女たち(新潮文庫)

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    記憶を箱としたときのその扱い方が特徴である。箱は自由には開けられないし、他人が持っていることもある。つまり、箱を開ける瞬間は、完全に受動的だということだ。

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    2026年06月20日
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)

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    おそらく最新の(?)インタビュー集で、内容が濃く面白かった。現代の創作者の立場を川上さんが代弁すると同時に村上春樹が現代社会をどう捉えているのか気になっていた部分が解消された気がする。

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    2026年06月20日
  • 樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外

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    森鴎外 青年
    かわいいな!男の子やな!
    頑張れよっ
    大人になって読むからこの感想なんやろうか
    今読んでよかった

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    2026年06月19日
  • 黄色い家(下)

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    花と、蘭と、桃子と、黄美子さんの4人の生活が少しずつ崩れていき、ある時堰を切ったように大崩壊するところが印象的で、特にそのパートはグイグイ読み進めてしまった。
    花が、蘭と桃子に、「花は黄美子さんに騙されてる、いいように利用されてる」ことを告げられた時の描写が劇的で、つい読者である自分も、当たり前のように10代の頃から夜に仕事をしている花に見慣れていたせいか、ハッとさせられた。

    面白かったです

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    2026年06月19日
  • 黄色い家(下)

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    途中、かなりの重さに読むのをしばらく中断。しかし再開後は一気読みだった。
    黄美子さんは、考えることが苦手な人というのだろうか。生い立ちのせいもあるだろうが‥
    登場人物は皆キャラが立っているが、蘭と桃子は結果的には常識人だったようだ。
    花の思考回路は自分に近い部分がある、と感じるところがあり、それを桃子にビシッと指摘されて、うぐぐ、と胸に食い込んできた。

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    「苦労するのは、いいことなんですか」
    「いいことだとは言ってないよ。しょうがないってこと。でも苦労もできない馬鹿よかましでしょ。あいつらは幸せかもしれないけど、馬鹿だよ。」

    自分だけが苦労してきたぶってるとこね。どんなふうでも人にはそれぞれ苦労があるんだよ。

    でもあんたはこう言ってほしいんだよね、花ちゃんは、ほんとにすごいなぁって。しっかり者で気が利いて、ピンチをチャンスに変えられる、いつでも一生懸命で結果を残す、すごい人って

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    2026年06月14日
  • ヘヴン

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    やっぱり、この人の小説は、最もわかりやすい(ように見える)救済が訪れるわけではない。最後よかったな。

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    2026年06月14日
  • 黄色い家(上)

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    夢中になって読んでた。黄美子さんの過去の話を聞いたあと、花が黄美子さんを見た時の心理描写がなんとも言えない切なさがあって、印象的。下巻も楽しみ。
    なんで200万渡すん……となったがやはり親というのはそれだけデカい存在なのか。

    トロスケにお金を盗まれたかもしれないとなった時の、花が感じた畳み掛けるような絶望感が凄まじくて、ページをめくる手が止まらなかった

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    2026年06月10日
  • 黄色い家(下)

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    下巻は黄色い家での生活が崩壊していく流れがハラハラドキドキ描かれます。大黒柱となった花は苦悩の連続・・・
    現在に戻って描かれるラストは納得! 映水さんがいい味出してます。

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    2026年06月10日
  • 黄色い家(上)

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    うーん、どんどん読み進められるのだけど、なかなかに重い…
    下巻の最後、救いはあるのだろうが…?

    全体の所感は下巻読み終わってからにするけど、とりあえず上巻で気に止まったフレーズを書き留めておきたい。

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    こんなにとてつもない量のエネルギーを、1人の人間がどうやって受け止めて、それを背負うことができるんだろう。音楽を聴くだけで涙が出たり、会ったこともない誰かがいるだけで救われる人がいたり、勇気が出たり、自分もその一部になりたいというような気持ちに、どうして人はなるんだろう。
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    「おまえの人生どうなんだって訊かれたら、なんで答えるんだろうって」
    「それは誰に訊かれるの?」
    「え?」
    「誰もそんなこと聞かなくない?」
    「聞かないかもしんないけど」
    「じゃあいいじゃんか」
    「自分が自分に聞いてるのかもしんないけど」
    「じゃあ自分で自分に聞くの、やめればいいじゃんか」

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    2026年06月05日
  • 黄色い家(上)

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    黄美子さんの事件を知った花が過去を振り返る。ちょっと不思議な黄美子さんと孤独な少女たちの生活、さらに映水とのつながりも明かされて物語は続いていくが・・・
    最後に事件発生、下巻でどうなるか気になります。

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    2026年06月03日
  • 乳と卵

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    2008年に芥川賞を受賞した「乳と卵」を約10年経ってリメイクしたものが「夏物語』で、私はそちらを先に読んでいたので、内容はわかっていたけど、今回の方が読みやすかった。
    評価が完全に二分する作品らしいけど、私は好きだ。
    感想にはならないが、
    わたしたち女の思考ってこうなんだ。ぐるぐるとめどなく頭の中のおしゃべりは続くよ。

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    2026年05月27日
  • 黄色い家(上)

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    昔一緒に暮らしていた女の人が少女の監禁で逮捕された事件から振り返る自分も同じような暮らしをしていた過去

    所謂、毒親なのだろうけど
    そんな生活からの脱却にしても、必ずしも安心できるものではない

    詳細な感想は下巻でまとめて

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    2026年05月25日
  • 黄色い家(上)

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    ネタバレ

    人はなぜ、どのように水商売や裏社会に落ちていくのかというのがすごくリアルに描かれているなと感じます。
    主人公はすごく働き者で、真面目にコツコツ貯まったお金が、自分の親や身の回りの人のせいでなくなっていくのが、何とも切ないです。
    最終章では貯めたお金もなくなり、職場であるお店も燃えてしまったところで終わったので、ついにこれからやばい仕事に手をつけるのか…?というところです。続きが気になります。

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    2026年05月24日
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)

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    村上春樹ファンである小説家川上未映子が、村上春樹本人と対談したものを収録。熱狂的なファンのため、川上は細かい内容まで質問して、村上は質問に答える。なかでも『国境の南、太陽の西』、『アフターダーク』のような長編と短編に中間に位置する作品は、世間的にはあまり評価されていないと対談で言及されているが、川上はそのような作品こそ、村上作品の核なるものが詰まっていると指摘した点が印象的。また女性ファンの立場として、村上春樹の女性描写に若干の不満を募らせており、それに対して、村上が答えに窮してなんとか答えるところも、ある種の緊張感があって興味深かった。

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    2026年05月23日
  • 乳と卵

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    『乳と卵』 川上未映子

    「ほんだら生まなんだらよかったやん、お母さんの人生は、あたしを生まなんだらよかったやんか、みんなが生まれてこんかったら、なんも問題はないように思える、うれしいも悲しいも、何もかもがもとからないのだもの。」

    多様性が叫ばれる時代に生まれた。
    いつのまにかテレビのコンプラはすごく厳しくなって、昔のように父親が笑いながら「これ見ぃ」っていう顔が見れなくなった。
    整形は悪ではなくて、同性を好きになってもおかしくなくて、離婚も悲しくて悪いものではない。
    そうとでも言わないと、なんだか、疎外感を覚えてしまう。そんな時代。

    この作品もそうなのかな、と最初は思った。
    だけどもっと、「多様性」を正しいと思わなくて良くて、リベラルで良くて、なんというか、私らしく居ていいのかなって。

    私はそのように受け止めた作品です。

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    2026年05月13日