川上未映子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
コロナ禍が迫りくる東京を背景に六話の短編が綴られている。
感染症によって日常が崩壊する直前の脅威と不穏さが潜んでいた時期が舞台となっているのだが、登場する人物たちは切羽詰まった恐怖感には未だ襲われていなかったのだろうが、無意識ながらも情緒不安定な状態だったような気がした。
表題の「こわいもの」は身体が震え上がるようなものとは異なり、無意識に心に忍び込んでくる「こわいもの」だと私は理解した。
登場する人物が考えることや行動は極端な不自然さはなく、誰でもが陥る可能性があるような事柄だと思うのだが、川上未映子さんが描くと何となく不穏さが伝わってくる。
当たり前と思っていた生活が、当たり前で過ごせな -
Posted by ブクログ
読み進めるうちに、なんだか現実の感覚がふわふわしてくるような、不思議な没入感に引きずり込まれた。
とにかく、いじめの描写が壮絶。なのに、どこかファンタジーのような、現実離れした静けさを感じるのはなぜだろう。主人公の「僕」が、あまりにひどい現実から自分を切り離して、どこか遠くから自分を眺めているような「俯瞰の視点」のせいかもしれない。
特に印象に残ったのは、百瀬のニヒリズム。
「強い者が弱い者を踏みにじるのは、ただの自然現象だ」という彼の理屈は、残酷だけれど、私たちが目を背けている世界の真理を突きつけてくるようで、否定しきれない怖さがあった。
一方で、唯一の味方だと思っていたコジマの存在。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ女性の人生についてふんわり思っていたことが、かなり細かく描かれていた。
反出生主義。私自身も、鬱になった時、
こんなに辛い思いをするなら、消えたい。これからも辛いまま生きなければならないことは明らかで、明るい未来が見えない。だけど、自死は嫌だ。家族を悲しませ、想像できない痛みに自ら向かって行く勇気もない。だから、そもそも生まれなかったら1番良かった。と思ったのだった。
同時に、不妊治療は本当にエゴでしかないという考えを持った。自然の摂理ならともかく、不自然な形を取ってまで、不要なお金や他人の労力をかけてまで、将来私みたいに苦しむかもしれない子供を産むなんて。今、実際、苦しんでいる子供がいるの -
Posted by ブクログ
去年の今頃、男性である私の乳房が膨らみ、痛みを伴うしこりが生じた。乳がんを疑いパニックになりかけたが、乳腺内科で薬の副作用による女性化乳房と診断された。
ごく最近無事完治したものの、普段から自分より相手の乳房のことばかり考えてきた人間にとって、「女性らしい外見」としてシンボリックな膨らんだ乳房を自らが持つことは想像以上の違和感とストレスを覚える経験だった。
本作の登場人物である、豊胸手術を受けようとする母親と初潮が来て生命を育める身体になることを恐れる娘。それぞれ女性の外側と内側のシンボルの存在を象徴する彼女たちの関係性は、終盤の「玉子のシーン」で変化する。それが「女性である」ということ、ま