川上未映子のレビュー一覧

  • 黄色い家(下)

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    上巻の感想で「続きが楽しみです」と書いちゃったんだけど、「楽しみ」ってのはちょっと違ったのかもしれない。

    下巻はいよいよ皆が犯罪に関わっていくフェーズ。花ちゃんに感情移入して、ずっと息苦しかった。蘭や桃子ほどのいい加減さを持ち合わせていれば良かったのかもしれないけれど、真剣に生きようとすればするほど犯罪にからめとられ、巻き込まれていく。花の生き方を上から目線で否定することも可能だけれど、本人目線で見れば「他の選択肢はなかった」ように思える。そんな花ちゃんの生き様を追体験する650ページ。濃厚でした。

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    2026年04月28日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    コロナ禍で世界中が混沌とした不安と恐怖に埋もれていた頃のお話。6つの短編集。
    それぞれ全く異なるシチュエーションで人間関係も違うのに、それぞれのお話に抱く印象は白い深い靄のような闇。
    病棟から出られない孤独、他人の悪意が自分に向けられた時の嫌な汗と喉の渇き、心臓の鼓動の早さ、生と性、自分の中の悪魔。
    あの頃、世界の時間が歪んだ時、それぞれの出来事が不穏で心に影を落とすような引っ掛かりのあるお話たちでした。

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    2026年04月27日
  • きみは赤ちゃん

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    芥川賞作家の川上未映子氏が描く妊娠から出産、ベイビーが1歳になるまでのエッセイ。ややシニカルな小説家ならでは観察眼と表現力で「出産とは何だんだ?!」が泣き笑いの物語として紡がれる。
    どこまでいっても男性には本質的に理解できないであろう(自分が「あべちゃん」だったら今頃激詰されているかな…)「女性にとっての出産」を心身変化とともに少しでも感じることができる。特に何かと斜に構えている川上氏が「とにかくいとしい存在」「この子に会うために私は生まれてきた」という想いが理屈抜きに湧き上がってくると述べているのが印象的。

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    2026年04月27日
  • 愛の夢とか

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    溶けそうな夢たち。
    不思議な読後感が残って、ふとあれってどうなったんだろうとか、何気なく忘れられないお話たち。
    ふわふわと夢の中みたいに惹き込まれます
    とてもすきな感覚を持ちました

    十三月怪談
    どうなったの、会えたのかな?
    すべて夢のように語らい、ふたりともたのしく幸せに終われるといいな。

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    2026年04月26日
  • 黄色い家(上)

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    とりあえず上巻の感想です。

    ネットで黄美子さんの事件を見つける冒頭から一挙に緊張感が高まるが、その後、過去を振り返る構成。

    黄美子さんとの出会いが語られる東村山編と、スナックれもんの三軒茶屋編は、実にじっくりと描かれている。

    下巻はこれからなので判らないけれど、恐らく大きな事件が起きるのはこれから。
    まだ何にも起こっていないけど、ジリジリするような日常がよい。
    主人公の花の焦燥感に共感して、こちらまでジリジリヒリヒリしてしまう。

    続きが楽しみです。

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    2026年04月21日
  • ヘヴン

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    凄かった。
    正しさとは。人の数だけ、正しさもある。
    分かってるけれど、百瀬の言い分に歯痒さ、気持ち悪いとまで思ってしまった。
    お母さんが素敵なお母さんで良かった。

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    2026年04月21日
  • 黄色い家(上)

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    病院の待ち時間に読もうと、お出かけのお供に。読み出したら止まらなくなって1日で上巻読破。
    話の筋は全然違うけど、他人同士が身を寄せ合って暮らす感じが小池真理子の「恋」を思い出した。
    家族の呪縛、貧困、そのなかでももがきながら逞しく生きる人たち。登場人物がリアルで物語に一気に引き込まれた。

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    2026年04月21日
  • 乳と卵

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    著者らしい美しい文体の中に葛藤や反目が赤裸々に描写されていてとても良かった。ただ、夏物語をこの前に読んだのは明らかなミス…

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    2026年04月14日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    コロナ禍が迫りくる東京を背景に六話の短編が綴られている。
    感染症によって日常が崩壊する直前の脅威と不穏さが潜んでいた時期が舞台となっているのだが、登場する人物たちは切羽詰まった恐怖感には未だ襲われていなかったのだろうが、無意識ながらも情緒不安定な状態だったような気がした。
    表題の「こわいもの」は身体が震え上がるようなものとは異なり、無意識に心に忍び込んでくる「こわいもの」だと私は理解した。

    登場する人物が考えることや行動は極端な不自然さはなく、誰でもが陥る可能性があるような事柄だと思うのだが、川上未映子さんが描くと何となく不穏さが伝わってくる。
    当たり前と思っていた生活が、当たり前で過ごせな

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    2026年04月14日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    コロナ禍が舞台だけど生きてる人間の怖くて醜い部分が物語の中にしっかり描かれてて、タイトルの春の綺麗なものが全て掻き消されてる感じが良かった!

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    2026年04月11日
  • 黄色い家(上)

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    とりあえず上巻。
    川上さんの作品は読んでいく中で、知らなかったことというか想像すらできずにいたことについて申し訳なさというか罪悪感に近いような痛みや苦みを感じていくことがあるのですが、本作は今のところそれがない。明るい話ではないからずっしりとはくるけれども。男性の身として読む『夏物語』などと違って、本作で描かれるような貧しさというものやその周囲にあるものについては私自身がわりと密接なところで生きてきたからだろうか、などとあれこれ考えながら読んでいます。さて、下巻、物語はどこに向かっていくのか。

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    2026年04月10日
  • ヘヴン

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    すんごいしんどい話だった。
    人間サッカーとかもう吐き気すら感じる。
    百瀬が正しいわけないのに否定しきれない芯のある考えとかコジマの印とか正しさがどんどんわからなくなっていく。
    お母さんの包容力には読者まで安心感で満たされた。僕の斜視が治った後の綺麗な世界にコジマがいたらなぁって悲しくなった。

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    2026年04月07日
  • ヘヴン

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    読み進めるうちに、なんだか現実の感覚がふわふわしてくるような、不思議な没入感に引きずり込まれた。

    とにかく、いじめの描写が壮絶。なのに、どこかファンタジーのような、現実離れした静けさを感じるのはなぜだろう。主人公の「僕」が、あまりにひどい現実から自分を切り離して、どこか遠くから自分を眺めているような「俯瞰の視点」のせいかもしれない。

    特に印象に残ったのは、百瀬のニヒリズム。
    「強い者が弱い者を踏みにじるのは、ただの自然現象だ」という彼の理屈は、残酷だけれど、私たちが目を背けている世界の真理を突きつけてくるようで、否定しきれない怖さがあった。

    一方で、唯一の味方だと思っていたコジマの存在。

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    2026年04月05日
  • 愛の夢とか

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    ネタバレ

    文章のリズムがよく心地よく読めた。7編の短編集で、どれもよかったけど特に十三月怪談が好きだった。ヴァージニアウルフのような詩的な文章で、ちょっと不思議な世界観が好き。現実と霊魂の間で少しずつ記憶やいろいろが失われて薄まっていくけど大切な気持ちだけ残って、そんな様子が一人称視点でつらつらと連なり、読点を多用しひらがなの割合が徐々に多くなっていく文体で表現されていて感覚的なものがよく伝わった。

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    2026年03月31日
  • 夏物語

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    乳と卵のリライトに、その後の重厚な物語が加わった渾身の作品。文章は乳と卵よりこっちの方が断然良いと思った。

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    2026年03月30日
  • 黄色い家(上)

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    上下とも読み終えて。
    海外で翻訳めっちゃされてて大ヒット!にびっくり。
    これは日本のアンダーグラウンドというか、
    社会問題というか…
    心の繊細な描写とか、これこのままの感じ方を翻訳できるの?という感じで、シンプルな驚き。
    登場人物も絞られてて
    ある意味なんとなく予測がつく、という
    意味でとても読みやすい!
    弱きはどこまでいっても大逆転は難しいし
    普通の幸せを得ることも難しいし
    それにすら気づかなければ
    それはそれで幸せなのだし。
    読み終えて、モヤァとはしなかった。
    そうか、そうかそうか、、

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    2026年03月28日
  • 夏物語

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    ネタバレ

    女性の人生についてふんわり思っていたことが、かなり細かく描かれていた。

    反出生主義。私自身も、鬱になった時、
    こんなに辛い思いをするなら、消えたい。これからも辛いまま生きなければならないことは明らかで、明るい未来が見えない。だけど、自死は嫌だ。家族を悲しませ、想像できない痛みに自ら向かって行く勇気もない。だから、そもそも生まれなかったら1番良かった。と思ったのだった。
    同時に、不妊治療は本当にエゴでしかないという考えを持った。自然の摂理ならともかく、不自然な形を取ってまで、不要なお金や他人の労力をかけてまで、将来私みたいに苦しむかもしれない子供を産むなんて。今、実際、苦しんでいる子供がいるの

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    2026年03月29日
  • 深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

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    川上未映子作品を読んでいると、いろんなことを考えさせてくれるところが好き。女性としての私、社会人としての私、そして将来母や妻になるかもしれない私、などなど。それをあらゆる観点から多角的に読むことができる。日常だと「考えすぎやろ」とか言われるようなことを、つぶさに拾い上げてくれるところが好き。

    特に今回は、恋愛リトマス紙が好き。(笑)

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    2026年03月26日
  • 乳と卵

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    ネタバレ

    縁子が玉子を自分に向かって叩きつける場面が印象的でした。なぜ川上さんは、縁子が自分に叩きつけるものに玉子を選んだのか、理由があるようで考えてしまいます。縁子は自身の体内にある卵子について、「かきむしりたい」「ぶち破りたい」と日記に書いており、玉子はそのように縁子が厄介に扱った卵子と関連があるような気がします。その一方で、作中では「玉子」と「卵」で表記を変えていたりして、やっぱりなんの関係もなかったのかな、、、?と思ってしまい、謎のままです。

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    2026年03月23日
  • 乳と卵

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    去年の今頃、男性である私の乳房が膨らみ、痛みを伴うしこりが生じた。乳がんを疑いパニックになりかけたが、乳腺内科で薬の副作用による女性化乳房と診断された。
    ごく最近無事完治したものの、普段から自分より相手の乳房のことばかり考えてきた人間にとって、「女性らしい外見」としてシンボリックな膨らんだ乳房を自らが持つことは想像以上の違和感とストレスを覚える経験だった。

    本作の登場人物である、豊胸手術を受けようとする母親と初潮が来て生命を育める身体になることを恐れる娘。それぞれ女性の外側と内側のシンボルの存在を象徴する彼女たちの関係性は、終盤の「玉子のシーン」で変化する。それが「女性である」ということ、ま

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    2026年03月23日