川上未映子のレビュー一覧
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ネタバレ川上さんが伝えたかったことはとても難しいことだと思った。
主人公や、コジマが壮絶ないじめにあっていても何事も無かったように学校に通い続ける姿に、誰かに相談したらいいのにと思ってしまったけれど、中学生の視野じゃ様々な可能性ややり方があることも分からないし、目の前の孤独な世界で耐えることを選んでしまうのかもしれないなとも思った。
主人公がどんどん追い込まれていく描写が辛かった。
コジマは初めは良かったけど、段々と自分の状況と大好きなコジマの思想との間で揺れ動く主人公の様子を見ていて苦しかったし、自分の思想で勝手に仲間だと思ったり、勝手に裏切られたと思ったりというコジマの危うさを感じて怖かった。それがやっぱり、最後の事件に繋がっていたと思う。虐められ、傷つけられることにも意味があると信じて受け入れるのは、最善の策とはどうしても思えなかった。
もう一つ百瀬との印象的な場面。私は百瀬の言っていることには1ミリも共感できなかった。それがその人の今やりたいことだからといって、人を傷つけていいわけない。虐められてる方がなにか行動を起こすべきだなんてそんなのは間違っていると思う。
正論を言っているようで支離滅裂なことを言っていたと思うけど、本人の世界ではそれが正しくて、自分が強者側だと信じてやまないからあんなに強気に出て、自分は正しいと胸を張って持論を披露できるんだね。
ろくな大人にならないなと思うし、最後の事件の後色々な大人からこっぴどく叱られていてほしい。 -
Posted by ブクログ
水色のまぶたを持つミス・アイスサンドイッチ。
会ったことのない、半分だけのお姉ちゃん。
絵が得意で心優しい麦くんと、おかっぱ頭でやんちゃ娘なヘガティーの、淡くて切ない「あこがれ」にまつわるお話。
小学生の主人公たちにとって、心を惹かれる何かや、衝撃的な事実1つで、日々の色ががらっと変わって、世界のピントがその1点にぐぐーっとフォーカスされていく。そんな様子の鮮やかさが、主人公たちの感性の柔らかさを感じさせて凄く瑞々しい。
あとね、作中で2人がヘガティーの家で映画を観るシーンがあるんだけど。
アル・パチーノ主演の『ヒート』で繰り広げられる銃撃戦を完璧に真似しちゃうヘガティーの描写がめちゃめちゃいい。かわいい。
大好きなシーン。 -
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ネタバレ心を抉られながらも一気読み。
いじめというものが取り沙汰されるたびに「逃げたっていい」「学校が全てではない」という言葉が自然と飛び交う。大人である我々の経験則から言えば間違いなく正しいのだが、実際にそこで生きている当事者にとっては虚しく現実味のない言葉なのだと思う。スマホが普及してネットへのアクセスが当たり前の世の中にあっても、やはり子どもにとっての世界は狭い。そんな中でコジマが拠り所として見つけ出した「強さ」が、「すべてを受け入れること」なのが虚しくてやるせない。それはコジマにとっての呪いになってしまっているからだ。
どこか他のクラスメイトとは違う百瀬を最終的には実はいい奴、といった描き方をしない作者の徹底した冷徹さも本当に素晴らしい。
『黄色い家』を読んで2冊目にこの作品を読んだが、「僕」の母のような少し肩の力の抜けたような登場人物がすごくいい。 -
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これぞ純文学という文体で大衆文学を書いたような印象を受けた。ストーリーに大きな展開がなくても、川上未映子さんのような独特な言い回しでリズムよく心地よく読める本が好きになってきた。
本書は持たざる者の苦悩と葛藤を描いており、今の日本の裏社会に通ずるものがある。犯罪に手を染める人々はその実、染めざるを得ないのかもしれない。とは言え、いかなる理由があれど犯罪は紛れもなく許されない。ここにももどかしさのようなものを感じるが、そこを打破できるのは社会であり政治であり国であろう。しかし、持たざる者を救う政策を打ち出す人は持つ者から疎まれる。いやはや、難しい。得てしてマジョリティに迎合した政治家が生まれるんだなと思わざるを得ない。 -
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途中、かなりの重さに読むのをしばらく中断。しかし再開後は一気読みだった。
黄美子さんは、考えることが苦手な人というのだろうか。生い立ちのせいもあるだろうが‥
登場人物は皆キャラが立っているが、蘭と桃子は結果的には常識人だったようだ。
花の思考回路は自分に近い部分がある、と感じるところがあり、それを桃子にビシッと指摘されて、うぐぐ、と胸に食い込んできた。
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「苦労するのは、いいことなんですか」
「いいことだとは言ってないよ。しょうがないってこと。でも苦労もできない馬鹿よかましでしょ。あいつらは幸せかもしれないけど、馬鹿だよ。」
自分だけが苦労してきたぶってるとこね。どんなふうでも人にはそれぞれ苦労があるんだよ。
でもあんたはこう言ってほしいんだよね、花ちゃんは、ほんとにすごいなぁって。しっかり者で気が利いて、ピンチをチャンスに変えられる、いつでも一生懸命で結果を残す、すごい人って -
Posted by ブクログ
うーん、どんどん読み進められるのだけど、なかなかに重い…
下巻の最後、救いはあるのだろうが…?
全体の所感は下巻読み終わってからにするけど、とりあえず上巻で気に止まったフレーズを書き留めておきたい。
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こんなにとてつもない量のエネルギーを、1人の人間がどうやって受け止めて、それを背負うことができるんだろう。音楽を聴くだけで涙が出たり、会ったこともない誰かがいるだけで救われる人がいたり、勇気が出たり、自分もその一部になりたいというような気持ちに、どうして人はなるんだろう。
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「おまえの人生どうなんだって訊かれたら、なんで答えるんだろうって」
「それは誰に訊かれるの?」
「え?」
「誰もそんなこと聞かなくない?」
「聞かないかもしんないけど」
「じゃあいいじゃんか」
「自分が自分に聞いてるのかもしんないけど」
「じゃあ自分で自分に聞くの、やめればいいじゃんか」
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Posted by ブクログ
村上春樹ファンである小説家川上未映子が、村上春樹本人と対談したものを収録。熱狂的なファンのため、川上は細かい内容まで質問して、村上は質問に答える。なかでも『国境の南、太陽の西』、『アフターダーク』のような長編と短編に中間に位置する作品は、世間的にはあまり評価されていないと対談で言及されているが、川上はそのような作品こそ、村上作品の核なるものが詰まっていると指摘した点が印象的。また女性ファンの立場として、村上春樹の女性描写に若干の不満を募らせており、それに対して、村上が答えに窮してなんとか答えるところも、ある種の緊張感があって興味深かった。
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『乳と卵』 川上未映子
「ほんだら生まなんだらよかったやん、お母さんの人生は、あたしを生まなんだらよかったやんか、みんなが生まれてこんかったら、なんも問題はないように思える、うれしいも悲しいも、何もかもがもとからないのだもの。」
多様性が叫ばれる時代に生まれた。
いつのまにかテレビのコンプラはすごく厳しくなって、昔のように父親が笑いながら「これ見ぃ」っていう顔が見れなくなった。
整形は悪ではなくて、同性を好きになってもおかしくなくて、離婚も悲しくて悪いものではない。
そうとでも言わないと、なんだか、疎外感を覚えてしまう。そんな時代。
この作品もそうなのかな、と最初は思った。
だけどもっと、「多様性」を正しいと思わなくて良くて、リベラルで良くて、なんというか、私らしく居ていいのかなって。
私はそのように受け止めた作品です。