川上未映子のレビュー一覧
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上巻だけの感想
自分の居場所を確保するために必死に働く花。鋭敏にならざるを得なかった金銭感覚でコツコツと貯金をする。しかし、困難が何度も続く。
花が頑張らなければならない、となる状況に陥るのが見事に描かれている。同居人の黄美子(蘭、桃子も)が金銭感覚に乏しいことは序盤から丁寧に描かれていた。家賃や他の生活費に関しては尽く話が噛み合わないことが残酷なまでに描かれている。
闇バイトの上司(?)に高級焼肉店を奢ってもらったときに「おいしい」という感情よりも強く、こういった店で食事をする機会がないであろう黄美子や母のことを思って泣いてしまう。このシーンで花は本当に優しい子であることが分かる。また -
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・(上巻からの続き)
生活にだらしない母親とそのパートナーにお金を盗まれたことに耐えかねて家を出た花は、母の知人である黄美子に出会う。一緒にスナック経営に乗り出し、「黄色い家」で共同生活しながら生活を立て直していく。その過程で友人も出来、希望が見え始めたところでスナックが火事になってしまう。収入源が絶たれ生活が苦しくなる中、スナックの客経由で、偽造クレジットカードの出し子バイトから犯罪に手を染めていき、次第に同居人との関係も変わっていってしまう
・上巻の生活描写から一転、出し子の詳しい仕組み、各関係者のそれぞれの思惑、犯罪行為に対する良心の呵責を花が次第に感じなくなる詳細な心理描写、金銭をめぐ -
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・ニュースを通じて知人(黄美子)による監禁・障害事件を知った花の人生を通じて、事件に至るまでの過去の経緯が明らかになる
(上巻はまだ過去の描写の途中。下巻を早く読みたい)
・『なぜ日本文学は英米で人気があるのか』の中で川上未映子さんが村上春樹を痛烈に批判している記述があり(「マッチョイムズ、焼き増し」という批判だったかな?確か)、彼女の作品を読まねば!!ということで早速読んでみたけど、これは凄いな、、、
・花が目にする景色、友人との会話、安心/不安/怒り/行き場のない感情含めた描写、そこに漂う空気まで、あまりにも生々しく、花の人生を追体験している様な気持ちになる
・それでいてとてもテンポの良い -
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乳と卵。
大阪から姉の巻子と姪の緑子が訪ねてくるところから物語が始まる。
どうやら、巻子は豊胸手術をしようとスナックの仕事を休み、娘と妹宅にやって来たらしい
事件や何か起こるといったことはなく、巻子が何故
豊胸にこだわっているのがだんだん分かってくる
ちなみに、緑子はいつからか分からんが、巻子と会話をしなくなり、全て筆談。(病気が原因ではない様子)
女性が自分の胸の形にこだわってるなんて、全く分からない感覚だったし、中学の緑子が卵子の存在を
うとましく思う気持ちもラストに近づくにつれ、分かってくる。
銭湯♨️での姉妹の会話も面白過ぎだし、真夏の夜に近くの定食屋に三人で訪れるゆったりとした描写も -
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切ないけれど、いい終わりだと思った。
恋愛小説ではあるんだけど、確かにそれがメインなのだと思うのだけど、私は友だちの物語としてとても良いと、とても好きだと思った。
読んでる間は少し苦しく感じていて、「感想は捻り出して書くことになるかも」と思ったりもしてた。
けど、大きな展開を経た最後、その印象がガラッと変わって、感じていた苦しさが嘘のように、スッキリした気持ち良さを感じた。
スッキリといっても色々あると思うんだけど、ひどい風邪でだるかった体が、熱がひいて体がスッキリしたときみたいなスッキリ。
不器用な主人公が少しずつ周囲の人間から影響を受けて、自分を変えたくなって、でもやり方が本当に不 -
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親に恵まれない、家庭環境が最悪な主人公花がたまたま母親の友達という黄美子さんと出会い一緒に暮らすようになり、生活の為のお金稼ぎが段々と犯罪に巻き込まれて…
花のような親に恵まれず、でも生きていくにはお金が必要で、でも誰もちゃんとした生き方なんて教えてくれず、知らず知らず犯罪を犯す、こんな子たちが実際に居る事を私達は知っていて、いつも関係ないからと知らないふりをしているのではないか?と考えさせられた。花は稼いだお金で決して贅沢はせずに将来の為に貯金をしている、ただ普通に生活していきたいだけなのに、ひたすら風水の金運が良くなるという黄色グッズを信じて一生懸命に掃除する姿が痛々しく、悲しくやるせない -
Posted by ブクログ
思考回路をそのまま写し取ったような文体で、まっすぐ進まない。ああでもない、こうでもない、これかもしれないし違うかもしれない、否定して、また戻って、ぐにゃぐにゃと澱んでいく感じがある。
読点ばかりで、句点が少ない。
区切りが少なく、息切れする感じさえある。正直、読みやすいとは言えない。でも、それがこの作品を引き立てていると思った。
今回、感想を書くのは結構困難であった。ひとまず、自分なりの見解をまとめておく。
本作の中で、巻子の「どうしても豊胸したい」という願望が強く引っかかる。自分のためだと言い切ろうとするけれど、それは本当に自分の欲望なのか、それとも見られることを前提に内面化してきた価値 -
Posted by ブクログ
旦那が「川上未映子の文章おもしろいよ」とおすすめしてくれた本。
豊胸手術を切望する母と筆談する娘、彼らを見守る叔母である主人公。
側から見たら一見毒親にもなりかねない、夜の商売で生計を立てる母親も、娘としては唯一の身内であり、何か自分にはいえない秘密を持っているような相容れない存在であり。
筆談でしかコミュニケーションを取れないのも言葉で傷つけてしまうことを恐れての結果であり、しかしそれがより溝を生み、互いに本音を言えないままにずるずると日々を重ねている。もどかしい。だけど、初潮や子を産むことへの言い知れぬ恐怖を抱いている娘の若すぎる感性では、まともに大人と向き合うには辛すぎる。私自身も気付